「Sports-Tech Landscape」2020の公表

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 当社)は、日本におけるスポーツビジネスの活性化とスポーツ関連のIT産業への投資促進を目的に、スポーツテック業界の俯瞰図「Sports-Tech Landscape」2020を公表しました。
2017年に国内初の「Sports-Tech Landscape」を公表して以降、今回が4年目の公表となります。2020年の今回は、17カテゴリー・延べ223社を掲載し、過去最大規模となります。今後も、当社では、スポーツ×テクノロジーの市場の成長化・成熟化に貢献していきます。

背景・目的

当社は2017年に国内初となる「Sports-Tech Landscape」2017*1を発行しました。その後は毎年改訂版「Sports-Tech Landscape」*2*3を公表し、さまざまな反響を得ました。また当社ではスポーツ領域のコンサルティングに留まらず、2018年3月30日に早稲田大学スポーツビジネス研究所と共同で、テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab」を設立しました*4。本コンソーシアムは異分野・異業種の連携、産官学の知見・技術の融合により、デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネスや周辺産業や地域と連携したスポーツビジネスエコシステムの創出を目指した多くの活動を実施しています。
それらの活動を通して得た知見をもって、当社ではLandscapeのカテゴリーの見直し、掲載企業の追加等のブラッシュアップを行い、このたび「Sports-Tech Landscape」2020版を公表するに至りました。

Sports-Tech Landscape2020概要

Sports-Techの定義について

①スポーツ領域を対象に、②IT等を活用した、新しいソリューションを提供する企業

表現方法

世の中に流通する「Landscape」や「カオスマップ」は企業ロゴをそのまま表示するケースが一般的ですが、企業ロゴを無断で利用することは商標権侵害のおそれがあるため、企業ロゴを使わず企業名をテキストで表示する方法を採用しました。本発表をご覧いただいた企業で、趣旨にご賛同いただける場合には、企業ロゴの使用許諾のご連絡をいただければ、順次企業ロゴへと表示を変更いたします。

本図の引用および転載について

本「Sports-Tech Landscape2020」の著作権は当社に帰属します。引用・転載時は、必ず当社の承諾を得るとともに、出所(株式会社NTTデータ経営研究所作成)を明記下さい。

Sports-Tech Landscape2020の特長

「Sports-Tech Landscape」2019と同様、縦軸にはスポーツビジネスの基本要素である「観る」「支える」「する」「創る」をテーマにしました。
「観る」については、「今までにない観戦体験」「スポーツ観戦をより身近に」といった価値を実現するソリューションを抽出しています。「支える」については、「個人やチームのパフォーマンスを最大化」「観る人やする人の活動環境を整える」といった価値を実現するソリューション、「する」については、「スポーツをもっと楽しく」「誰でも楽しめるように」という価値を実現するソリューションを選定しました。また、「創る」については、「従来の定義を超えたスポーツの創出」を実現するソリューションに着目し、あえて「する」とは分けています。

主な改訂点と考察

今回の改訂では、掲載企業を前回より58社増やし、延べ223社となりましたが、その背景には、スポーツ産業の活性化の機運が高まっていること等が挙げられます。また、「Ticketing & Operation support」のカテゴリーを「Ticketing」と「Operation support」に、「Funding & Matching」のカテゴリーを「Funding」と「Matching」に細分化し、15カテゴリーから17カテゴリーに変更しています。


2017年からの変遷をたどると、以下のことが明らかになりました。

  1. 企業数の増加
    掲載企業数は、64社(2017年)→132社(2018年)→165社(2019年)→223社(2020年)と順調に拡大しています。これは、2016年のスポーツ未来開拓会議以降、スポーツ産業の成長産業化が政府目標として掲げられ、多くの企業にとってビジネスの対象としての位置づけが浸透してきたことを示しています。
  2. カテゴリーの横断化
    大企業の場合には、1社で1カテゴリーではなく、複数カテゴリーにまたがって事業を展開している例も多くみられます。ソリューション別に担当組織が分かれている場合もあり、今後、個別の取り組みから連携・統合や取捨選択が如何に進んでいくのかが注目となります。
  3. カテゴリー数の増加
    カテゴリー数は、7個(2017年)→13個(2018年)→15個(2019年)→17個(2020年)へと増えています。これは、スポーツデータの分析・活用が進んでいることが主因と考えられます。また、2017年版では、「データアナリティクス&チームマネジメント」と一括りになっていたカテゴリーが、最新版では5~6個程度に分割されました。IoT等のデータ収集手段の深化や、スポーツ業界におけるデータ分析・活用の重要性の浸透などにより、データを活用するシーンが拡大していると考えられます。「観る」「する」「支える」のそれぞれでこのような変化が起きています。一方で、「創る」の領域も参入事業者数が増えています(2017年:6社→2020年:18社)。今後、データ活用の高度化やビジネスモデルの多様化に期待したい領域です。

2020年は、我が国スポーツ産業にとって節目の年となります。幾つかのスポーツテック・ソリューションは2020年開催の国際大会への導入が決まっていますが、それが1つのショーケースとなり、グローバル市場に展開されていくこと、スポーツテックの技術やデータなどのソフトレガシーが継承され、スポーツ産業の成熟化やスポーツ以外の市場との融合が進んでいくことが望まれます

17のカテゴリーについて

  1. Mediaこのカテゴリーには、スポーツ選手や試合の情報・映像など、スポーツ関連のコンテンツを配信するための媒体を所有している企業を取り上げました。スマホなどでの視聴も定着しつつあること等から、今後は映像の質の向上等により付加価値の高いコンテンツをいかに作り出し、提供し続けられるかが差別化のポイントになると考えられます。
  2. Entertainment & Contentsこのカテゴリーには、スポーツ関連のコンテンツを製作する、またはその製作技術・編集技術を開発する企業と、それらコンテンツを活用した新しい視聴形態の提供や、イベント等を実施することによって、スポーツコンテンツの視聴体験にエンターテインメント性を加える企業を取り上げました。最近では、AIカメラを活用し、自動中継を行うことのできるソリューションなども登場しています。自由視点映像、人工知能(AI)、AR等を活用することで、スポーツならではのコンテンツ視聴体験をどう提供できるかが、差別化のポイントになると考えられます。
  3. Fan engagementこのカテゴリーには、スポーツチームまたはプレイヤーのファンに対し、データやITの活用によってそのエンゲージメントを高めるソリューションを提供する企業を取り上げました。スポーツチームとファンの結びつきを強めるためにデジタルデータを活用する傾向は強まっており、ギフティングなどのソリューションも出てきています。今後も多様化するファンのニーズに寄り添ったコンテンツを提供する企業は増えていくものと考えられ、MediaやTicketingといったカテゴリーとの連携も不可欠になります。
  4. Facility managementこのカテゴリーには、競技場・アリーナ等のスポーツ関連施設に、施設管理、競技・試合の運営支援や、観客に対し付加価値のある観戦体験を創出するためのITソリューションを提供する企業を取り上げました。試合会場での体験価値を向上させるために、テクノロジーを活用した映像・照明などの演出も増え始めております。5G等のインフラを活用したアプリケーションの開発も進められており、今後のスタジアム収益に貢献するようになるものと考えられます。
  5. Ticketingこのカテゴリーには、チケッティングに関するITソリューションを提供する企業を取り上げました。チケッティングに関しては、実績の販売データ等を基にしたチケットのプライシング制度を導入するチームも増えつつあります。また、電子チケットやリーセルなどの市場も拡大傾向にあり、今後も様々なITソリューションを活用したサービスが提供されていくものと考えられます。
  6. Operation supportこのカテゴリーには、試合・大会運営を支援するITソリューションを提供する企業を取り上げました。顔認証による入場管理システムや駐車場シェアリングシステムなどの、運営コストの削減や観客の利便性向上などに資するサービスが増えつつあります。今後も他産業で活用したソリューションをスポーツ産業へ横展開する動きが加速するものと考えられます。
  7. Player conditionこのカテゴリーには、インプットされたデータを分析することによって選手個人のコンディションを管理・向上させるITソリューションを提供する企業を取り上げました。ITソリューションを導入し、選手のコンディションを可視化する動きは高まっており、最近では食事や腸内環境などのデータに着目したプレイヤーも増えつつあります。今後は、センサー等を用いて蓄積されたデータと食事・睡眠・腸内環境などのデータを組み合わせ、より良いITソリューションを如何に提供できるかが差別化ポイントになると考えられます。
  8. Team & League managementこのカテゴリーには、チームやリーグ運営の効率化や管理を向上させるためのITソリューションを提供する企業を取り上げました。チーム成績やスケジュールを管理するアプリやスタジアムで顔認証システムを導入し、顧客属性を判別するソリューションを提供する企業等が続々と登場しています。
  9. Tactics supportこのカテゴリーには、データ分析によって個人やチームの試合戦術・戦略支援をするITソリューションを提供する企業を取り上げました。コート上の選手の動きやボールの軌跡などを解析し、戦術や戦略に活かすことでより高いパフォーマンス発揮が見込まれ、様々な競技で活用シーンが増えています。最近ではドローンを活用したソリューションなどを提供するプレイヤーも出てきています。
  10. Data aggregationこのカテゴリーには、プレイヤーの動作・フォーム・投球解析や、試合中の動線などをデータ化する技術を提供する企業を取り上げました。これらの技術によって収集したデータを分析・解析し、最適なトレーニング内容や傷害予防にも役立てることができるため、注目されています。今後は、脳科学や栄養学といったスポーツ科学以外の分野のデータを連携したITソリューションも開発されていくものと考えられます。
  11. Matchingこのカテゴリーには、スポーツを学びたい人と教える人、スポーツ業界で働きたい人と求人をしている会社、同じ趣味のスポーツ愛好家同士、スポーツをしたい人とスポーツ施設など、スポーツにまつわる出会いを提供する企業を取り上げました。今後もITソリューションは増え続けるものと考えられます。
  12. Fundingこのカテゴリーには、スポーツチームなどの運営費が欲しい人と資金の出し手をつなげるソリューションを提供する企業やスポーツ特化型のクラウドファインディング企業を取り上げました。最近では、ブロックチェーン技術を活用したITソリューションも出てきており、運営資金の獲得やファンと選手の距離感を縮めるソリューションとして拡大が期待されています。
  13. Fun & Trainingこのカテゴリーには、スポーツをもっと楽しむため、またはトレーニングを支援するためのデジタル技術を取り入れたデバイスを提供する企業や、トレーニングコンテンツを共有するプラットフォームを運営する企業などを取り上げました。トレーニング分野では、アプリを通じて自宅でもスポーツジムのLIVEレッスンが受講できたり、リアルタイムでプロのトレーナーからの音声アドバイスもらえたりすることのできるソリューション等も登場しています。また、スマートシューズなどにより、ランニングデータの見える化に取り組むプレイヤーなども出てきています。当カテゴリーは、部活動などの教育分野との親和性が高いのも特徴です。
  14. Smart apparelこのカテゴリーには、着用者の動作をデータ化する技術が搭載された衣料や衣料繊維を開発・提供する企業を取り上げました。研究分野では、各種のデータを取得する際、被験者が身体に貼付された実験器具を意識してしまい、通常時のパフォーマンスを発揮しづらい等の課題がありましたが、衣類を着用するだけでデータ収集ができるこれらの技術は、データ収集を容易にするだけでなく、実験課題のソリューションとしても注目されています。より快適なスポーツアパレルの開発を目的としている技術もあり、引き続き今後の活用方法の多様化も期待されます。
  15. Health care & Recoveryこのカテゴリーには、個人の健康管理やフィットネス事業の延長線上でのITサービスを提供する企業や、テクノロジーを活用した疲労回復装置を提供する企業を取り上げました。食事と運動強度から栄養状態を分析する技術や低周波にて運動後の疲労回復を促す装置等が登場しており、少しずつスポーツ分野への導入も進んでいくものと考えられます。
  16. Augmentation & Sportificationこのカテゴリーには、スポーツ選手の身体機能または競技種目の進化・発展を目的とした身体拡張技術や、従来のスポーツの定義や現存のルールに当てはまらないスポーツや種目を生み出そうとしている企業を取り上げています。テクノロジーによってこれまでの枠組みを超えた、新しいスポーツの創出が引き続き期待される分野です。一部では体育の授業などの教育分野で試験導入される動きも見られつつあります。
  17. eSportsこのカテゴリーには、eスポーツ分野において競技運営支援・対戦映像の配信などにITソリューションを提供する企業や、デジタル技術を搭載した新しいコントローラーの開発などによって競技普及を図る企業を取り上げています。国内では2019年の茨城国体にてeスポーツ選手権が開催され、反響も大きく、2022年にはアジア競技大会で公式種目として開催されることが決定していることなどからも、今後更に成長している市場として着目されています。

NTTデータ経営研究所のスポーツ領域コンサルティングについて
当社ではスポーツ領域に対して以下のコンサルティングサービスを行っています:

  • スポーツに関する新規事業の開発
  • スポーツビジネスにおける事業戦略立案
  • スポーツにおけるデジタル技術(AI・IoT含む)の導入戦略立案
  • スポーツを軸にした「まちづくり」や「産業創出」
  • スポーツビジネスと他業界とのアライアンス戦略
  • スポーツによる企業の課題解決(健康経営、働き方改革など) など
【当社のスポーツコンサルティング領域】

*1:国内初「Sports-Tech Landscape」2017の公表
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/171006/index.html

*2:「Sports-Tech Landscape」2018の公表
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/180312/index.html

*3:「Sports-Tech Landscape」2019の公表
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/190522/index.html

*4:テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab」の創設
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/180330/index.html

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括本部 業務基盤部
広報担当
Tel:03-5213-4016
E-mail :

内容に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
情報戦略事業本部
ビジネストランスフォーメーションユニット
河本、竹中、松川
Tel:03-5213-4140

Page Top