「Sports-Tech Landscape」2019の公表

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 当社)は、日本におけるスポーツビジネスの活性化とスポーツ関連のIT産業への投資促進を目的に、現時点でのスポーツテック業界を俯瞰する「Sports-Tech Landscape」2019を公表しました。

背景・目的

当社は2017年に国内初「Sports-Tech Landscape」2017※1、翌年には改訂版「Sports-Tech Landscape」2018※2を公表し、様々な反響をいただきました。また当社はスポーツ領域のコンサルティングに留まらず、2018年3月30日に早稲田大学スポーツビジネス研究所と共同で、テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab」を設立し※3、異分野・異業種の連携、産官学の知見・技術の融合により、デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネス、周辺産業や地域と連携したスポーツビジネスエコシステムの創出を目指した多くの活動を実施しております。
それらの活動を通して得た知見をもって、当社ではランドスケープのカテゴリの見直し、掲載企業の追加等のブラッシュアップを行い、このたび「Sports-Tech Landscape」2019を公表するに至りました。

※1 国内初「Sports-Tech Landscape」2017の公表
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/171006/index.html

※2「Sports-Tech Landscape」2018の公表
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/180312/index.html

※3 テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab」の創設
https://www.nttdata-strategy.com/aboutus/newsrelease/180330/index.html

当社のスポーツコンサルティング領域

注釈

  • 注1:Sports-Techの定義
    ①スポーツ領域を対象にして、②ITを活用した、新しいソリューションを提供する企業
  • 注2:表現方法
    世の中に流通する「Landscape」や「カオスマップ」は企業ロゴをそのまま表示するケースが一般的ですが、企業ロゴを無断で利用することは商標権侵害のおそれがあるため、やむをえず企業ロゴを使わず企業名をテキストで表示する方法を採用しました。本発表をご覧いただいた企業で、趣旨にご賛同いただける場合には、企業ロゴの使用許諾のご連絡をいただきたく、お願い申し上げます。
    尚、使用許諾のご連絡をいただいた企業に関しては、順次企業ロゴへ表示変更いたします。
  • 注3:更新予定
    今回、2019年 4月時点で代表的な企業をピックアップしましたが、今後新しいプレイヤーが登場し、カテゴリの見直しが必要になった際には随時更新をしていく予定です。
  • 注4:引用・転載
    本Landscapeの著作権は当社に帰属します。引用・転載時は、必ず当社の承諾を得るとともに、「株式会社NTTデータ経営研究所により作成」と明記下さい。

概要(特長)

「Sports-Tech Landscape」2018と同様、縦軸にスポーツビジネスの基本要素である「観る」「支える」「する」「創る」を置きました。
「観る」については、「今までにない観戦体験」「スポーツ観戦をより身近に」といった価値を実現するソリューションを抽出しています。「支える」については、「個人やチームのパフォーマンスを最大化」「観る人やする人の活動環境を整える」といった価値を実現するソリューション、「する」については、「スポーツをもっと楽しく」「誰でも楽しめるように」という価値を実現するソリューションを選定しました。「創る」については、「従来の定義を超えたスポーツの創出」を実現するソリューションに着目し、あえて「する」とは分けています。

主な改訂点

今回の改訂では、①掲載企業を前回より23社増やし、165社としております。②「Health care」のカテゴリを「Health care & Recovery」に名称変更しています。③前回「Player condition & Team management」と分類していたカテゴリを「Player condition」と「Team & League management」に細分化し、15カテゴリに変更しています。
以下、15のカテゴリについて解説します。

  1. Mediaこのカテゴリには、スポーツ選手や試合の情報・映像など、スポーツ関連のコンテンツを配信するための媒体を所有している企業を取り上げました。メディア視聴方法が多様化している近年、コンテンツの作成から配信まで一気通貫で行っているプレイヤーも増えており、映像の質の向上等により付加価値の高いコンテンツをいかに作り出し、提供し続けられるかが差別化のポイントになると考えられます。
  2. Entertainment & Contentsこのカテゴリには、スポーツ関連のコンテンツを製作する、またはその製作技術・編集技術を開発する企業と、それらコンテンツを活用した新しい視聴形態の提供や、イベント等を実施することによって、スポーツコンテンツの視聴体験にエンターテインメント性を加える企業を取り上げました。テクノロジー起点で競技方式やルールそのものに影響を与えるソリューションも登場しています。自由視点映像、人工知能(AI)、AR等を活用することで、スポーツならではのコンテンツ視聴体験をどう提供できるかが差別化ポイントになると考えられます。
  3. Fan engagementこのカテゴリには、スポーツチームまたはプレイヤーのファンに対し、データやITの活用によってそのエンゲージメントを高めるソリューションを提供する企業を取り上げました。スポーツチームとファンの結びつきを強めるためにデジタルデータを活用する傾向は強まりつつあり、今後も多様化するファンのニーズに寄り添ったコンテンツを提供する企業は増えていくものと考えられます。MediaやTicketingといったカテゴリとの連携も不可欠になります。
  4. Facility managementこのカテゴリには、競技場・アリーナ等のスポーツ関連施設に、施設管理、競技・試合の運営支援や、観客に対し付加価値のある観戦体験を創出するためのITソリューションを提供する企業を取り上げました。今後もWi-Fiやビーコン等が整備されたスタジアムは増えていくものと考えられます。更に5G等のインフラを活用したアプリケーションが開発されることで、スタジアム収益に貢献するようになるものと考えられます。
  5. Ticketing & Operation supportこのカテゴリには、チケッティングや試合・大会運営を支援するITソリューションを提供する企業を取り上げました。チケッティングに関しては、実績の販売データ等を基にしたチケットのプライシング制度を導入するチームも増えつつあり、今後も様々なITソリューションを活用したサービスが提供されていくものと考えられます。
  6. Player conditionこのカテゴリには、インプットされたデータを分析することによって選手個人のコンディションを管理・向上させるITソリューションを提供する企業を取り上げました。ITソリューションを導入し、選手のコンディションを可視化する動きは高まりつつあり、プレイヤーは増えていくものと考えられます。今後は、センサー等を用いて自動的にデータを収集できるか、蓄積されたデータを基にアルゴリズムを構築し、より良いITソリューションを提供できるか、が差別化ポイントになると考えられます。
  7. Team & League managementこのカテゴリには、チームやリーグ運営の効率化や管理を向上させるためのITソリューションを提供する企業を取り上げました。チーム成績やスケジュールを管理するアプリやAIを活用し選手の写真管理を効率化できるソリューションを提供する企業等が続々と登場しています。
  8. Tactics supportこのカテゴリには、データ分析によって個人やチームの試合戦術・戦略支援をするITソリューションを提供する企業を取り上げました。コート上の選手の動きやボールの軌跡などを解析し、戦術や戦略に活かすことでより高いパフォーマンス発揮が見込まれ、様々な競技で活用シーンが増えています。
  9. Data aggregationこのカテゴリには、プレイヤーの動作・フォームや、試合中の動線などをデータ化する技術を提供する企業を取り上げました。これらの技術によって収集したデータを分析・解析し、最適なトレーニング内容や傷害予防にも役立てることができ、注目されています。今後は、脳科学や栄養学といったスポーツ科学以外の分野のデータを連携したITソリューションも開発されていくものと考えられます。
  10. Funding & Matchingこのカテゴリには、スポーツを学びたい人と教える人、同じ趣味のスポーツ愛好家同士など、スポーツにまつわる出会いを提供する企業を取り上げました。アマチュアスポーツチームなどの選手育成費用が欲しい人と資金の出し手をつなげる、という意味でスポーツ特化型のクラウドファンディングも含めました。最近では、ブロックチェーン技術を活用し、スポーツ選手やチームを「投げ銭」で応援するITソリューションも出てきています。運営資金の獲得やファンと選手の距離感を縮めるソリューションとして拡大が期待されています。
  11. Fun & Trainingこのカテゴリには、スポーツをもっと楽しむため、またはトレーニングを支援するためのデジタル技術を取り入れたデバイスを提供する企業や、トレーニングコンテンツを共有するプラットフォームを運営する企業などを取り上げました。トレーニング分野では、アプリを通じて自宅でもスポーツジムのLIVEレッスンが受講できたり、リアルタイムでプロのトレーナーからの音声アドバイスもらえたりすることのできるソリューション等も登場しています。部活動などの教育分野との親和性が高いのも特徴です。
  12. Smart apparelこのカテゴリには、着用者の動作をデータ化する技術が搭載された衣料や衣料繊維を開発・提供する企業を取り上げました。研究分野では、各種のデータを取得する際、被験者が身体に貼付された実験器具を意識してしまい通常時のパフォーマンスを発揮しづらい等の課題がありましたが、衣類を着用するだけでデータ収集ができるこれらの技術は、データ収集を容易にするだけでなく、実験課題のソリューションとしても注目されています。より快適なスポーツアパレルの開発を目的としている技術もあり、引き続き今後の活用方法の多様化も期待されます。
  13. Health care & Recoveryこのカテゴリには、個人の健康管理やフィットネス事業の延長線上でのITサービスを提供する企業や、テクノロジーを活用した疲労回復装置を提供する企業を取り上げました。食事と運動強度から栄養状態を分析する技術や低周波にて運動後の疲労回復を促す装置等が登場しています。今後はスポーツ分野へ本格導入していくものと考えられます。
  14. Augmentation & Sportificationこのカテゴリには、スポーツ選手の身体機能または競技種目の進化・発展を目的とした身体拡張技術や、従来のスポーツの定義や現存のルールに当てはまらないスポーツ、種目を生み出そうとしている企業を取り上げています。引き続きテクノロジーによってこれまでの枠組みを超えた、新しいスポーツの創出が期待される分野です。
  15. eSportsこのカテゴリには、eスポーツ分野において競技運営支援・対戦映像の配信などにITソリューションを提供する企業や、デジタル技術を搭載した新しいコントローラーの開発などによって競技普及を図る企業を取り上げています。eスポーツは2018年2月よりプロライセンスの発行が開始され、2022年のアジア競技大会で公式種目になることが決定しています。また国内でも2019年の茨城国体にてeスポーツ選手権が開催されることとなっており、更に普及が進んでいくものと考えられます。

(参考)NTTデータ経営研究所のスポーツ領域コンサルティング

  • スポーツに関する新規事業の開発
  • スポーツビジネスにおける事業戦略立案
  • スポーツにおけるデジタル技術(AI・IoT含む)の導入戦略立案
  • スポーツを軸にした「まちづくり」や「産業創出」
  • スポーツビジネスと他業界とのアライアンス戦略
  • スポーツによる企業の課題解決(健康経営、働き方改革など) など

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括本部 業務基盤部
広報担当
Tel:03-5213-4016
E-mail : webmaster@nttdata-strategy.com

サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
情報戦略事業本部
ビジネストランスフォーメーションユニット

河本、竹中
Tel:03-5213-4140

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