本邦初となる、宇宙施策に関する意識調査を実施
~宇宙施策に肯定的な意見が約9割、日本発宇宙ベンチャー企業の活躍に期待~

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎)は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の委託事業において、「宇宙に関する認知度・関心度などについてのアンケート」を実施しました。本アンケートは、本年7月から9月にかけて開催された内閣府「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会※1」の取りまとめ内容を踏まえつつ、我が国の宇宙施策に関する認知度や関心度を把握することで、今後の宇宙政策・施策に資することを目的としています。

宇宙施策に関する意識調査は前例がなく※2、本調査が我が国において初めての実施となります。今年11月に宇宙飛行士の野口聡一氏が民間企業のロケット"CREW DRAGON"で国際宇宙ステーションに向かったことや、同じく12月に小型惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に無事帰還したことが大きな話題になりました。また民間企業による衛星打ち上げや宇宙旅行の計画、NASAやJAXAなどの連携による月面開発プロジェクト開始など、宇宙に関連した活動が熱気を帯びています。
そのような中、一般の人々は宇宙に関する取り組みや日常生活での役立ち方などをどの程度認知しているか、また、日本における今後の宇宙開発についてどのような期待を抱いているかなどについて調査を実施しました。

【調査結果のハイライト】

宇宙に関する取り組みは全年代・性別で広く支持されている

宇宙施策に関しては、「通信衛星の開発・運用」「地球観測衛星の開発・運用」「測位衛星の開発・運用」「月面活動に向けた研究開発や実証実験」の4つの分野それぞれにおいて、いずれも約9割が支持していることがわかりました。また、宇宙予算を増やすことについては約8割が支持する結果となっています。

宇宙に関する将来技術を日本が推進していくことに対する支持は高い

宇宙太陽光発電や月面天文台、宇宙エレベーター、サブオービタル飛行といった将来技術について、日本として推進していくことに対する支持は、8割~9割と高い結果であることがわかりました。

宇宙に関する取り組みに対する高い支持率がある一方で、宇宙利用に関する認知度は身近な例を除いては低い結果に

現在の主要な宇宙利用に対する認知度は、宇宙施策を支持しているという割合(約9割)と比べると低い傾向にあることがわかりました。
GPSというキーワードについては約8割の認知があったものの、災害状況を撮影する人工衛星やバックアップ回線としての人工衛星の認知については約4割という結果となりました。

月や火星に日本人宇宙飛行士を派遣すべきとの意向は高い

月面の探査計画である「アルテミス計画」の現時点の認知度は15%程度と低い一方で、月や火星に日本人宇宙飛行士を派遣すべきとの意向は約8割という高い結果であることがわかりました。

宇宙産業の活性化に向けたベンチャーへの支援は広く支持されている

宇宙産業の活性化に向けて「宇宙関連のベンチャー企業を支援すべきだ」との回答が全体で約8割あることがわかりました。特に、10代では男女ともに9割強(男性:98.2%、女性:92.4%)に達しました。

今回は我が国初となる宇宙施策に関する意識調査ということで、全体的な傾向を把握することを重視してアンケートを設計しました。その結果、宇宙施策に対する支持や宇宙開発に関する期待が高いことが確認できました。その一方で、身近な存在としての宇宙利用に向けた取組に向けて、幾つかの課題があることが明らかになりました。例えば、月面探査や将来技術に対する政府機関が担う役割への期待が高い一方で、人工衛星の様々な活用場面における認知度にばらつきがあったことについては、日常生活における具体的な利用シーンやイメージを持ってもらうことの重要性が確認されました。
また、宇宙産業ベンチャーへの期待が10代において最も高かったことは特徴的な結果でした。若年層にとっては、憧れの対象としての「宇宙」として捉えているだけではなく、20年~30年先の宇宙そのものが日常空間・生活空間の一部になっていくことへの期待が背景にあるのではないかとの示唆が得られました。

【今後について】

宇宙利用の拡大に向けて、日常生活での認知向上や若手の宇宙産業への参画に向けた興味や行動に繋がるような取組が期待されていることが今回の調査結果から明らかになってきました。2040-2050年頃には、宇宙そのものが私たちの日常空間や生活空間の一部になる将来像を見据えて、NTTデータ経営研究所 社会システムデザインユニットでは、地球規模での持続的な発展に向けた社会システムづくりの構想・立案・実行に向けたコンサルティングを推進していきます。

※1 宇宙利用の現在と未来に関する懇談会:宇宙開発・利用が現に国民生活にもたらしている便益や、ポストコロナの「ニュー・ノーマル」時代の社会システムにおける宇宙の貢献のあり方についての懇談会を開催(当該懇談会の開催に際して、NTTデータ経営研究所にて支援)
( https://www8.cao.go.jp/space/use_mtg/kaisai.html )
※2 2020年12月時点の公開情報に基づく宇宙施策に関する意識調査を対象(NTTデータ経営研究所調べ)

【本件に関するお問合せ先】

■ 報道関係のお問合せ先

株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括本部 業務基盤部
広報担当
Tel:03-5213-4016
E-mail :

■ 内容に関するお問合せ先

株式会社NTTデータ経営研究所
社会システムデザインユニット
アソシエイトパートナー 渡邊 敏康
シニアコンサルタント  五十嵐 智史
コンサルタント     佐々木 俊哉
Tel:03-5213-4295

調 査 結 果(概要)

調査概要

  1. 調査対象日本国内に居住する15歳以上の男女
  2. 調査方法オンラインによるアンケート調査
  3. 調査実施時期2020年10月
  4. 有効回答者数646名
  5. 標本設計年代による6区分(10代・20代・30代・40代・50代・60代以上)、性別による2区分(男性・女性)を組み合わせた12区分

主な調査結果

① 宇宙施策に対する分野ごとの支持の状況

  • 「通信衛星の開発・運用(94.5%)」「地球観測衛星の開発・運用(94.5%)」「測位衛星の開発・運用(93.5%)」「月面活動に向けた研究開発や実証実験(89.7%)」が支持する回答となった。
① 宇宙施策に対する分野ごとの支持の状況

② 宇宙予算を増やすことに対する支持の状況

  • 宇宙予算を増やすことについては全体で77.6%が支持する回答となった。
② 宇宙予算を増やすことに対する支持の状況

③ 宇宙施策に対する支持の状況

  • 宇宙太陽光発電、月面天文台への支持が約9割、他も軒並み7~8割程度であった。
③ 宇宙施策に対する支持の状況

④ 宇宙利用内容に関する認知度

  • 「スマートフォンの地図アプリやカー・ナビゲーションシステムは、人工衛星を用いて現在位置を表示している」(GPS)では77.1%、「飛行機や船舶におけるインターネット通信は、データのやりとりに人工衛星との通信を利用している」(飛行機Wi-Fi)では54.5%、「人工衛星の観測データを利用して大気汚染情報(黄砂や二酸化炭素濃度など)の把握が行われている」(大気汚染観測)では46.7%、「大規模自然災害の発生直後に、人工衛星から撮影された画像が災害対応に活用されている」(災害状況撮影)では42.7%、「地上通信回線のバックアップ(災害などで使えなくなったときの予備)には、人工衛星が利用されている」(バックアップ回線)では36.8%となった。なお、アルテミス計画関連の認知度は、現時点では約15%となっている。
④ 宇宙利用内容に関する認知度

⑤ 宇宙開発の在り方に対する意向

  • 月や火星に日本人宇宙飛行士を「派遣すべき」との意向は約8割となっている。
⑤ 宇宙開発の在り方に対する意向

⑥ 宇宙産業におけるベンチャー企業への支援に対する支持の状況

  • 「日本は宇宙産業の活性化に向けて・・・A:宇宙関連のベンチャー企業を支援すべきだ B:宇宙関連のベンチャー企業を支援すべきでない」という質問に対し「Aの考えに近い」「Aの考えにやや近い」と答えた人の割合が、全体で83.4%となった。
  • 年代別では男女ともに15歳~19歳が最も高く、男性15歳~19歳で98.2%、女性15歳~19歳で92.4%となった。
⑥ 宇宙産業におけるベンチャー企業への支援に対する支持の状況

調査概要および調査結果はこちらから

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