スマート農業技術を活用した落花生生産の機械化実証事業の開始
-一貫体系による大幅な労働工数削減と品質確保-

千葉落花生スマート農業実証コンソーシアム

千葉落花生スマート農業実証コンソーシアム※1(代表機関:NTTデータ経営研究所、代表取締役社長 柳 圭一郎)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の委託事業に採択され、今後2年間で、スマート農業技術を活用した落花生の生産体制の革新と大幅な労働工数削減、品質の確保を実証します。
落花生は栽培から乾燥・調製まで露地で行われ、生産工程は各工程の殆どを人手に頼っているため、生産効率の向上が課題となっています。更に、昨今は気象変動により、露地自然乾燥時の長雨の影響などにより、品質安定という面でも課題が生じています。
本実証では、耕起・播種から収穫・乾燥・調製までスマート農業技術を活用した一貫体系を確立し、併せて、人力作業中心の露地での自然乾燥から屋内で工業的に乾燥・調製する新しいシステムを実現し、従来にない圧倒的な労働工数の削減と品質の確保を目指します。また、ドローン・センサーなどIoTとAIを活用したICT導入により収穫適期判断できる仕組みも実証します。

  • 千葉落花生スマート農業実証コンソーシアムメンバー :有限会社土屋ライスファーム、有限会社すぎやま、千葉県立農業大学校、株式会社NTTデータ経営研究所、株式会社NTTデータCCS、TOMTEN Trading有限会社

【背景と課題】

千葉県では、ネギ、ダイコン、ホウレンソウ、サツマイモ、ニンジン、落花生等、全国の生産量の中でも上位を占める畑作農業が盛んです。中でも、全国の8割を生産し名産品と呼ばれる落花生は、世界では大豆の次に食べられている豆類であり、且つ、日本では自給率1割程度の供給過少の作物であるにも関わらず、年々減作の一途を辿っています。
その大きな原因の一つが、生産工程にあります。落花生は単位面積当たり収益が高い作物ではありますが、栽培から乾燥・調製まで露地で生産が行われ、生産工程は多工程に渡ります。その殆どが人手による作業となっており、人手不足と作業量の多さが問題となっています。
また、落花生は、収穫適期が短く、更に土の中に莢(さや)を稔らせるため、収穫適期を視覚的に見定めるのが難しい作物です。収穫が早すぎた場合、未熟な莢の割合が多くなり、収穫が遅すぎた場合、完熟した子実が裂果や扁平化を起こし商品価値が下がります。現在は、収穫時期の判断は、初期開花からの日数と、葉の状態変化、試し掘りにより統合的に判断しますが、葉の変化の見極めには熟練を要し、生産者により品質の差が出る理由でもあります。
さらに、収穫後の乾燥は「1次乾燥(地干し)」と「2次乾燥(ボッチ)」の2つの特徴的な工程で行われますが、昨今の気象変動により、この時期の長雨の影響で乾燥が上手くいかず、作業量だけでなく、一部ではカビの発生など品質にも影響が及ぶことがあります。

これらの問題点を解決するための課題は以下のとおりです。

  1. 落花生生産工程の省人化技術の確立
  2. 天候に左右されない屋内での工業的乾燥・調製技術の確立と品質の確保
  3. 熟練者でなくてもできる落花生収穫期の適期判断技術の確立

【実証概要】

(1)落花生生産工程の省人化技術の確立

落花生の耕起等から脱莢・調製までの生産工程において、一貫した機械化体系を整え大幅な省人化を行い、従来と比較し効率化を実証します。従来の労働工数の8割削減を目指します。

(2)天候に左右されない屋内での工業的乾燥・調製技術の確立と品質の確保

乾燥工程は、1次乾燥、2次乾燥を露地から天候に左右されない屋内での工業的乾燥・調製に置き換え、水分・湿度・温度センサー等各種センサーを駆使し、水分量のコントロールとショ糖率の確保を工業的に確立し、作業時間の大幅な削減と品質の確保を実証します

(3)熟練者でなくてもできる落花生収穫期の適期判断技術の確立

ドローンによる空撮画像や固定カメラで取得した画像をAIにより解析し、深層学習用の教師データを作成することで、落花生の収穫適期を判断するためのシステムを構築します。推定された収穫適期と実証圃場で行った落花生の生長解析データとを照合することでシステムの精度を実証し、同一圃場において収穫適期が誤差3日以内で判定できるようAIモデルの作成を行います。

【各社の役割】

有限会社土屋ライスファーム
全ての実証を推進・実施。実証圃場の提供。普及。

有限会社すぎやま
収穫・乾燥・調製工程・AIを活用した落花生の収穫適期判断の実証。実証圃場の提供。
全体の実証へのアドバイス、普及。

千葉県立農業大学校
AIを活用した落花生の収穫適期判断の実証。実証圃場の提供。全体の実証へのアドバイス、普及。

株式会社NTTデータ経営研究所
コンソ―シアム代表。全体の実証計画の立案・推進等プロジェクト管理。業界への働きかけ、普及。

株式会社NTTデータCCS
AIを活用した落花生の収穫適期判断の実証、普及。

TOMTEN Trading有限会社
1次乾燥(地干し機能分)、2次乾燥(ボッチ機能分)の工業的乾燥による水分量のコントロールとショ糖率の確保技術確立の実証、普及。

本件に関するお問い合わせ先

■ 報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括本部 広報担当
Tel:03-5213-4016(代)
E-mail :

■ 内容に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
ビジネスインキュベーション推進室
熊田 総佳
Tel:03-5213-4260(直通)

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