「金融サービスの利用動向調査」サブバンクとしてインターネット専業銀行のシェアが2割に拡大~口座開設のきっかけや用途、選択理由で変わる利用バンクの業態~

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 当社) はNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、このたび「金融サービスの利用動向調査」を実施しました。
近年、ATMやインターネットバンキングなどの非対面チャネルの利用が拡大し、インターネット専業銀行を中心とした新たな形態の銀行も存在感を増してきています。また、複数の口座を利用用途によって使い分けを行う等利用者の行動にも変化が見られます。一方、金融機関では厳しい収益環境の中で利益率向上を図る目的で、営業店の統廃合、ATMの共通化、スマートフォンアプリの機能拡充等チャネルに関する施策を打ち出しています。利用者の側からは、既存のクレジットカードや電子マネーに加え、バーコード、QRコード決済等の新たな支払手段が登場し、電子決済手段の選択の幅が広がっています。
そこで、金融機関のこれからの戦略を立案する上で参考となるように、利用者の金融サービスの利用動向をテーマに調査を行いました。

主な調査結果

1.金融機関(預金取扱機関)の使い分けについて

金融機関利用者のメインバンクは、地方銀行、ゆうちょ銀行、メガバンクの業態が全国的に高いシェアを示している。その一方で、メインと別に利用・使い分けされているサブバンクについては、インターネット専業銀行が一定のシェアを獲得している。

  • 2つの口座で入出金があったとの回答が三分の一程度、また3口座以上との回答も同じく合計で三分の一程度を示していることから、金融機関利用者の7割程度が使い分けを行っている。
  • インターネット専業銀行のメインバンクとしてのシェアは、他業態と比較すると少ないものの、メガバンク、ゆうちょ銀行や地方銀行をメインに利用する層のサブバンクとしては約2割ものシェアを獲得している。
  • 保有していると最も多く回答があった金融機関はゆうちょ銀行、2番目は都市部で都市銀行、地方で地方銀行・第二地方銀行、3番目はインターネット専業銀行が占める。この結果は2016年調査と同様の傾向を示している。
  • 最もよく利用する金融機関は都市部では都市銀行、地方では地銀・第二地銀という回答に分かれた。また、2番手は全エリアにおいてゆうちょ銀行との回答となり、2016年調査と同様の傾向を示している。
  • 2番目によく利用する金融機関は全国的にゆうちょ銀行との回答が多い。最もよく利用する金融機関での回答が7%程度であったインターネット専業銀行が約2割のシェアを獲得している。
  • 最もよく利用している金融機関の口座は最も預貯金残高を有する傾向があり、クレジットカード引き落とし、給与受取や公共料金支払が多く利用されている。2番目によく利用している金融機関ではそれほど多く利用されていない。

2. メインバンクの選定要因について

自発的なきっかけから金融機関と取引を開始する利用者層や、金融機関のソフト面を考慮してメインバンクを選択する利用者からは、メインバンクとしてインターネット専業銀行が選ばれる割合が高い。

  • メインバンクに口座開設したきっかけは、就職後・アルバイト時の給与入金口座用という入金目的の回答が半数を占める。
  • 自発的なきっかけ(家計管理や投資・貯蓄)から口座開設した利用者の21.2%はインターネット専業銀行をメインバンクとして利用している。
  • メインバンクを選んだ理由の6割弱は、店舗やATMが自宅近くにあるからという、金融機関のハード面の設置場所に関するものである。その一方で、手数料、金利やIB(インターネットバンキング)チャネルの操作性などソフト面での経済性や利便性を考慮する回答者からはインターネット専業銀行がメインバンクとして選ばれる割合が高い。
  • メインバンクを変更した理由の半数超は、自宅近くの店舗やATMがなくなったからという、チャネルに関するものである。

3. 人間情報DBからみたインターネット専業銀行の利用者像について

当社が保有している「人間情報データベース(*1)」の情報を用いて、インターネット専業銀行の利用者像を分析したところ、インターネット専業銀行をメインバンクとして利用する回答者とサブバンクとして利用する回答者の趣味嗜好が異なる傾向を示すことが分かった。

  • SNS、家庭用ゲーム、アニメ鑑賞といった“バーチャル・オタク的趣味”を持つ回答者では、インターネット専業銀行をメインバンクとして利用する割合が高い傾向がある。
  • 投資を趣味としている回答者では、インターネット専業銀行をサブバンクとして利用する割合が高い傾向がある。

*1:NTTデータ経営研究所では、脳科学や認知心理学等の専門家の知見のもと、全国約5万人のモニターから基本属性、性格、健康、生活、教育・発達等の全17カテゴリ、累計3,000項目以上のディープデータを蓄積した「人間情報データベース」を展開している。
(参考:https://www.nttdata-strategy.com/dcs/index.html

4. チャネルの利用動向について

スマートフォンやタブレット等のモバイル端末を用いたIB利用について、利用頻度、利用経験とも増加しており、インターネットバンキング利用者の「モバイルシフト」が徐々に進展している。

  • 金融機関のインターネットバンキングの利用動向を確認すると、6割弱の回答者が利用した経験があるものの、月に一回以上利用する人はパソコンからは36.8%、スマートフォン・タブレットからは19.6%にとどまる。ただし、モバイルからのアクセスは2016年調査に比べ、利用経験及び利用頻度ともに伸びている。
  • インターネットバンキングを利用しない理由の筆頭は、セキュリティーへの不安であり、2016年調査と同様の傾向を示している。
  • インターネットバンキングにおける利用サービスは入出金明細の確認と振込が大半を占める。
  • 有人店舗に出向く理由は入出金、定期預金関連、振込・税金が多くを占める。

5. 電子決済手段の利用状況について

電子決済手段は依然としてクレジットカード支払いが高い利用シェアを占める。一方で、電子決済利用者のうちクレジットカード支払いを利用していないと回答した方の半数以上は、流通系の電子マネーを利用しており、コード決済についても2割程度の回答者が利用していると回答している。

  • 最もよく利用されている支払手段はクレジットカード(プラスチックカード)である。バーコード、QRコード決済も一定のシェアを獲得し、普及の兆しを見せている。
  • 電子決済手段を利用している層のうち、クレジットカード非利用層では流通系電子マネーやデビットカードの利用率が高い。また、バーコード・QRコード決済の利用もクレジットカード利用層よりも利用率が高い。

※本リリースの掲載の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

調査概要

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金融経済事業本部
金融政策コンサルティングユニット
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シニアマネージャー 菊重 琢
シニアコンサルタント 武内 俊吾
Tel:03-5213-4115

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