地域包括ケアの推進に向けた新しい市町村支援プログラムを開発します
株式会社NTTデータ経営研究所
藤田医科大学
株式会社NTTデータ経営研究所(以下、NTTデータ経営研究所)と藤田医科大学は、このたび、地域包括ケアシステムの構築を推進することを目的とした新しい市町村支援プログラムとして、「実践型地域づくり支援プログラム」の開発および提供を行います。
背景・目的
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が推進されています。しかし、その取り組み状況には地域ごとのばらつきがみられるため、すでに行われている地域包括ケアシステム構築の推進を担える専門職人材の育成に加え、介護保険の保険者である市町村への支援を行う仕組みが求められています。
このような課題認識のもと、地域に根付く医療、介護サービスや教育を通じて市町村の地域包括ケアシステムの構築に貢献してきた藤田医科大学は、その教育資源とノウハウを活かし、地域包括ケアの推進に向けた新しい多職種人材育成の仕組みとして、7月8日、大学内に「地域包括ケア人材教育支援センター」を開所することとなりました。
また、NTTデータ経営研究所は、これまで地域包括ケアシステムの構築に関わる市町村の取組実態調査や政策支援を行ってきており、昨年度から市町村による地域づくりの支援方策について研究してまいりました。
そこでこのたび、両者の知見やノウハウ等を活用し、藤田医科大学に開所される「地域包括ケア人材教育支援センター」において、特に市町村の介護予防・日常生活支援総合事業や地域づくりにフォーカスを当てた新しい市町村支援プログラムとして「実践型地域づくり支援プログラム」を開発、提供することとなりました。
本プログラムを機に、地域包括ケアシステムの構築に向けた市町村支援の仕組みが全国的に普及することを目指します。
※「実践型地域づくり支援プログラム」の開発は、令和元年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金老人健康増進等事業「介護予防・日常生活支援総合事業及び生活支援体制整備事業の効果的な推進方法に関する調査研究事業」による補助を受け、実施するものです。
藤田医科大学地域包括ケア人材教育支援センターの概要
目的
自治体や関連団体・地域の医療・介護・福祉専門職等の人材教育を支援すること
3つの基本的な考え
- 人と情報の集約自治体や地域の医療・介護・福祉専門職等の人材教育を支援し、さらに藤田医科大学と関係諸機関との協力による課題解決型「地域包括ケア人材教育支援システム」にて情報収集・集合座学・実地研修等で一体的かつ継続的に提供します。
- 真の課題分析と提案自治体や専門職等の機関において、人口減少地域・担い手不足・人事異動・担当者の経験不足などでも、切れ目なく継続的に地域包括ケアの実践が継承される人材育成支援を行います。
- 個別利用と継続支援自治体や専門職等への「系統的な人材教育支援プログラム」は、集合研修や発表・情報提供が修了後も紹介継続され、修了が目的ではなく研修内容が使いこなせて結果が出るまで継続的に支援し、自由な参加とネットワークにおける情報共有が持続的成長を可能にします。
対象
自治体や関連団体・地域の医療・介護・福祉専門職、民間団体や企業等
方法
- 集合研修例:課題分析、情報収集、グループワーク、アクティブラーニング、反転授業等
- 実地フィールドワーク例:豊明市周辺での多職種ケアカンファレンス見学、参加、解説、質疑応答、成果分析、参加多職種との意見交換、住民主体健康教室やサロン等地域資源見学、住民互助支援見学、リハや栄養等専門職との同行訪問、課題解決型住宅改修評価訪問の同行、C型短期集中訪問通所サービス事業所の見学、移動支援サービス体験、買い物支援サービス体験、民間企業等との連携事例先訪問など
- 派遣型研修例:研修講師派遣、出張型地域ケア会議、自治体・法人等訪問、同行訪問による実地助言、部署内人材教育プログラム支援等
講師
藤田医科大学地域包括ケア中核センター、豊明東郷医療介護サポートセンターかけはし、豊明市、ほか関連団体等
※令和元年度は下記3.「実践型地域づくり支援プログラム」を行います。
令和元年度「実践型地域づくり支援プログラム」の概要
目的
- 総合事業等の取組における地域マネジメントの考え方と方法論について、参加者が実践型プログラムと自市町村での実践を通して体得すること
- 参加市町村の総合事業等の実際の取組を、実際のケースの検討を通して推進すること
テーマ
要支援者等の介護予防・生活支援の充実に向けた地域づくり
参加対象
東海北陸管内の市町村職員で、総合事業等に係る課題設定や解決策の推進を実行する担当者
実施時期・回数
2019年 9月 ~ 2020年 1月 全5回
プログラムの4つの特徴
- 実際の事業推進と直結する“実践型”のプログラムです。
- フィールドワークは現場視点に立った市町村の事例によって実施します。保険者の視点だけではなく、藤田医科大学の医療・介護専門職や地域の関係者との対話を通じて、自立支援の哲学や関係者との意識統合のプロセスについて学びます(フィールドワーク先は豊明市の実地拠点)。
- 参加者が他市町村の担当者や講師とネットワーキングを構築可能です。オフサイトミーティング(懇親会)など、講師や他市町村からの参加者との親睦を深める機会を提供します。
- 成果を挙げた伴走型支援プログラムのノウハウに基づくプログラムです。平成30年度、市町村向けに総合事業等の推進を目的として実施した伴走型支援のノウハウを基に、市町村の実情に応じた支援を行います。
全5回プログラム内容(予定)
回 |
テーマ/日時 |
ねらい |
内容 |
1 |
地域づくりを考える 9月12日(木)9:30~ 9月13日(金)17:00 |
地域づくりが求められる背景と考え方、市町村の役割について理解する |
【講義・ワーク】
- 地域づくりの哲学と行政の役割
- 自立支援のあり方
- 豊明市多職種ケアカンファレンスの視察
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2 |
わがまちの目指す姿・ 課題を検討する 10月8日(火)9:30~ 10月9日(水)17:00 |
わがまちの目指す姿を考える 「課題とは何か」「どう設定するか」を理解し実践する |
【講義・ワーク】
【フィールドワーク】
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3 |
地域資源を活かした 解決策を検討する 11月13日(水)9:30~ 11月14日(木)17:00 |
わがまちの課題を設定し、解決に向けた地域資源の活用策を検討する |
【講義・ワーク】
- 地域資源の活用方法
- 課題解決のための仕組みづくり・場づくり
【フィールドワーク】
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4 |
課題解決策を練る 12月17日(火)9:30~ 12月18日(水)17:00 |
参加市町村の課題解決に向けた取組を議論し、実践力を磨く |
【講義・ワーク】
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5 |
成果報告・振り返り 1月30日(木)9:30~ 1月31日(金)17:00 |
短期的課題解決と次年度のアクションについて助言を受け、実行力を高める |
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《講 師 陣》(7月1日現在、50音順)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員 |
岩名 礼介 氏 |
東北子ども福祉専門学院副学長 |
大坂 純 氏 |
PHP 総研主席研究員/立教大学院特任教授 |
亀井 善太郎 氏 |
埼玉県立大学教授 |
川越 雅弘 氏 |
日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト |
齊木 大 氏 |
藤田医科大学講師・地域包括ケア中核センター |
都築 晃 氏 |
医療経済研究機構主任研究員 |
服部 真治 氏 |
NTT データ経営研究所マネージャー |
大野 孝司 |
取材に関するお問合せ先
内容に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ経営研究所
社会基盤事業本部
ライフ・バリュー・クリエイションユニット
大野、野村、佐藤
Tel:03-5213-4110