諸外国におけるダイバーシティの視点からの行政評価の取組に関する調査研究」受託事業の調査報告書を公表

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島祐治、以下 当社)は、「諸外国におけるダイバーシティの視点からの行政評価の取組に関する調査研究」(以下 ダイバーシティ調査)に関して、昨年度に総務省行政評価局から事業を受託しました。このたび、調査報告書が総務省行政評価局のホームページにて公表されました。

背景

社会において女性、高齢者、障がい者、LGBT、外国人および外国出身者などのダイバーシティに配慮し、多様な人々を包摂するという視点は、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(平成28年6月2日閣議決定)において、個⼈の属性・社会的地位にとらわれない多様性の包摂の促進につながる取組が掲げられるなど、今後、各府省の行政施策展開及び民間企業の事業運営においても、常に意識して取り組むべき視点となってきます。行政評価局調査においても、これらの視点が今後求められていく可能性があると考えられます。
このような背景を踏まえ、本調査では、一昨年度に引き続き、ダイバーシティに関する政策の先進国であるカナダ・オーストラリア・ニュージーランドにおける行政評価・政策評価において、ダイバーシティを促進する取組みを調査し、カナダ・オーストラリアにおける現地調査から、各国の取組みの実態把握を実施しました。

概要

本調査では、以下のタスクを実施しました。

  1. 公知情報調査
    • ダイバーシティの包摂に関する国連や調査対象国等の取組みから国際的動向を把握し、また日本における現状を整理しました。
    • カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの各国政府におけるダイバーシティ関連の政策の実施状況および行政評価・政策評価において、ダイバーシティの包摂に関してどのような定量的・定性的分析が行われているかについて調査しました。
  2. 現地調査
    • カナダ政府・府省(国家財政委員会事務局(結果課、ダイバーシティ&インクルージョン担当)、文化遺産省、女性・ジェンダー平等省、統計局)において、ジェンダーやその他の属性ごとに政策効果を明らかにする評価事例、多文化主義政策、カナダ政府の職員のダイバーシティ促進等に関する政策・施策の評価事例の内容・結果についてインタビュー調査を行いました。
    • オーストラリア政府・府省(首相内閣省(内閣官房、女性担当室、国内政策グループ経済政策担当)、内務省、公共サービス委員会)において、多文化主義政策の行政サービスへの実装に関する評価や、公共部門におけるダイバーシティ促進戦略とその評価事例等についてインタビュー調査を行いました。

結果

本調査の調査報告書一式は総務省行政評価局のホームページ(http://www.soumu.go.jp/main_content/000623698.pdf)からダウンロードできます。

  1. ダイバーシティを政策・行政施策に取り入れることの位置付け3カ国はいずれも、ダイバーシティを国力の源泉として捉え、政府のリーダーシップのもと、あらゆる政策に取り入れることが明確化されています。カナダやオーストラリアでは、政策の説明責任の一環として、政策のPDCAサイクルにダイバーシティに関する検証・説明事項が評価全体の枠組みに組み込まれており、政府のリソース配分が場当たり的、あるいは特定の属性のみに閉じたものにならないよう強く配慮されていることがうかがえます。
  2. 各省庁の役割分担全政策の実施サイクルにダイバーシティの観点を盛り込むために、複数の府省が役割を分担している構造がみられました。例えば、カナダでは、評価全体の指導・監督と、各省への啓発、評価に必要なデータの整備は異なる府省が連携して推進しています。さらに、政策の立案と評価の根拠となる統計データを主管する統計局の役割は重視されるようになってきています。統計データはすべての政策においてダイバーシティの進展を測る最も重要な指標となるため、統計手法の洗練、統一化はわが国においても重要になると考えられます。
  3. 政府そのものの多様性確保今回調査を行った3カ国では、それぞれ政府全体の人事管理を担う部署が、政府職員のジェンダー、障害、民族的背景、年齢等の属性について、センサスの人口比率をもとに目標値を設定し、雇用数、職位別の人数、給与格差などさまざまな側面について実態を明らかにする取組が見られました。政府そのものがダイバーシティを体現することが重視されており、これにより政権交代等でダイバーシティに関する取組が後退することも防ごうとしています。

当社について

将来の社会課題及びその解決に資する制度設計やこれらに関する評価・効果測定等に係る調査研究・コンサルティング実績を多数保有しています。特に最近では、統計等を活用したエビデンスに基づいた政策立案(Evidence-Based Policy-Making:EBPM)などについて、受託調査だけでなく独自研究を行い、外部発信も積極的に行っています。

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