「オランダ・スウェーデン・イギリスにおけるダイバーシティの視点からの行政評価の取組に関する調査研究」受託事業の報告書公表
株式会社NTTデータ経営研究所
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島祐治、以下当社)は、「オランダ・スウェーデン・イギリスにおけるダイバーシティの視点からの行政評価の取組に関する調査研究」(以下 本調査)に関して、総務省行政評価局から事業を受託しました。このたび、調査報告書が総務省行政評価局のホームページにて公表されましたので、お知らせします。
背景
社会において女性、高齢者、障がい者、LGBT、外国人および外国出身者などのダイバーシティに配慮し、多様な人々を包摂するという視点は、「経済財政運営と改革の基本方針 2016」(平成28年6月2日閣議決定)において、個人の属性・社会的地位にとらわれない多様性の包摂の促進につながる取り組みが掲げられるなど、今後、各府省の行政施策展開及び民間企業の事業運営においても、常に意識して取り組むべき視点となってきます。行政評価局調査においても、この視点が今後求められていくものと考えられます。
このような背景を踏まえ、本調査では、ダイバーシティ促進政策の先進国オランダ・スウェーデン・イギリスの行政評価・政策評価における取り組みを調査。さらに、オランダ・スウェーデンでは現地調査も行い、各国の取り組みにおける実態把握に努めました。
概要
本調査では、以下のタスクを実施しました。
- 公知情報調査
- ダイバーシティの包摂に関する国連、EU等の取り組みから国際的動向を把握し、また日本における現状を整理しました。
- オランダ・スウェーデン・イギリスの各国政府におけるダイバーシティ関連の政策の実施状況および行政評価・政策評価において、ダイバーシティの包摂に関してどのような定量的・定性的分析が行われているかについて調査しました。
- 現地調査
- オランダ政府府省(教育・文化・科学省、健康・福祉・スポーツ省、法務省、社会問題・雇用省、外務省)において、ジェンダー平等、移民、障がい者等に関するダイバーシティ促進政策の評価事例の有無とその内容・結果についてインタビュー調査を行いました。
- スウェーデン政府府省(健康・社会問題省、財務省行政管理庁)において、ジェンダー平等、障がい者等に関するダイバーシティ促進政策の評価事例および行政相談機能を果たす差別オンブズマンの事例についてインタビュー調査を行いました。
結果
本調査の調査報告書一式は総務省行政評価局のホームページ
(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/kyotsu_n/chosakenkyu_hyoka.html)からダウンロードできます。
調査結果の概要は以下の通りです。
- 統計データの利用ダイバーシティに関する政策は、短期間で成果(不平等の解消)に結びつくものではなく、方法論的な限界があります。オランダ・スウェーデンでは定量的に効果を把握するために、各国の統計局が長期間にわたって行っている各種統計を用いており、オランダでは移民とネイティブオランダ人双方の就学率・所得等の変遷から経済的・社会的地位の変化を比較し、スウェーデンではすべての統計項目を男女双方の観点から集計することで政策においてジェンダーの平等が実現されているか把握しています。
- 汎用的な評価ツールダイバーシティの推進に関する政策においては、各府省が所管する制度、業務等においてジェンダーや移民等の個別領域を評価するものと、平等性や政策の有効性・効率性を府省横断的に評価するものがあります。
オランダにおいては、各分野の政策について、5~7年に一度、財務省が定めた政策の有効性・効率性を評価するための15の質問項目を元に評価することが義務付けられています。また、スウェーデンにおいては、各府省が行うジェンダー関連政策の分析のためのガイドラインを整備しており、統計だけでは明らかにならない場合の背景を探るための指標を設定する際に用いられていました。さらに、イギリスにおいては政策における平等性促進の影響を評価するための評価ガイドラインが整備され、その評価を元に政策の改善・改廃を決定していました。
当社について
将来の社会課題及びその解決に資する制度設計に係る調査研究・コンサルティング実績を多数保有しています。特に最近では、統計等を活用したエビデンスに基づいた政策立案(Evidence-Based Policy-Making:EBPM)などについて、受託調査だけでなく独自研究を行い、外部発信も積極的に行っています。
本件に関するお問い合わせ先
サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ経営研究所
社会システムデザインユニット
川﨑、上瀬
Tel:03-5213-4295