調査方法
2017年1月~2018年4月までに発表された学術論文、WEB上の公知情報等を主な対象として、応用可能性のある基礎研究、企業の取り組み、スタートアップ・ベンチャー企業の情報をとりまとめました。
株式会社NTTデータ経営研究所
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川島 祐治、以下 当社)は、当社が運営する応用脳科学コンソーシアムの活動の一環として、目まぐるしく進化を続ける脳科学とその応用動向について調査を行いました。
2018年現在のトレンドとして
本調査結果の詳細を、調査レポート「応用脳科学リサーチプロジェクト2018 調査報告書」として販売するとともに、成果の一部をセミナー形式でご報告します(末尾参照)。
2017年1月~2018年4月までに発表された学術論文、WEB上の公知情報等を主な対象として、応用可能性のある基礎研究、企業の取り組み、スタートアップ・ベンチャー企業の情報をとりまとめました。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)と脳・神経科学は、近年急速な進歩が見られる分野です。両分野は親和性が高く、2018年現在、世界中でAI 研究と神経科学研究を結びつける産学官連携巨大プロジェクトが推進されています。日本でも2017 年には、生命科学と情報科学をつなぐ新学問分野”Neurointelligence”を標榜したニューロインテリジェンス国際研究機構が、文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラムに新規採択されています。
今後さらに賢い人工知能の構築に向けて突破口となるのは生物の脳の理解と活用であると考えられていて、脳の「直感的理解」や「創造性」といった機能をどう機械に実装していくかが次世代人工知能開発の争点となる見込みです(Figure 1 脳科学とAIの共進化の展望)。実際に、脳のデータやモデルを利用したアルゴリズムの優位性に関する報告が続々と挙がっていることが分かりました。
脳が処理する情報は、運動(に関する意図)情報、感覚情報に加え、健康状態や特定の記憶やスキル、価値観や好みなど、非常に多岐にわたりますが、そうした脳の情報を読み取ったり編集したりということを、機械やヒトとコミュニケーションしながら行う技術=「脳情報通信技術(Figure 2)」の発展が著しいことが分かりました。特にBMI(ブレインマシンインターフェース)には大きな期待が集まっており、米国の大手IT企業等が積極的にこの分野に投資している現状が明らかになりました。
近年、北米や欧州をはじめアジア諸国などで、脳イメージング技術をはじめとする最新の技術を活用した大規模データ取得プロジェクトが、国・民間主導で進行していることが分かりました。2017年12 月には、Brain Alliance(豪)、Brain/Minds(日)、Brain Initiative(韓)、Human Brain Project(欧州)、BRAIN Initiative(米)といった既存の脳研究プロジェクトから研究者、政策立案者、資金提供者が結集し、国際的な基礎脳科学および疾患関連脳科学の研究に従事する「International Brain Initiative(IBI)」を創設することが正式に表明されました。この発表に先立って米国で開かれた国際会合(Coordinating Global Brain Projects)では、データ・ツール・リソースの世界的な共有を目的とする「International Brain Station(IBS)」の構築が提案されています。
こうした統一的な大規模研究は科学的な意義が大きいだけでなく、個人差の理解に基づいた商品・サービス提供が求められる時代に重要なデータ・技術基盤の形成につながることが予測されます。
医療領域だけでなく人材育成・能力開発分野においても脳科学が寄与する可能性の高いことが分かりました。例えば、ハイパースキャンニングと呼ばれる、実社会において集団(10名以上)の脳を同時に計測するような技術の発展は、集団脳が教育場面等でどのように相互作用し、結果を左右するのかを知る重要な手がかりとなります。また、脳科学関連の知識を企業における日々の業務に活用することを目的とする実務者向けの研修コースを提供しているビジネススクールも欧米に多数存在することが判明し、我が国でも今後人材・マネジメント領域における脳科学の活用検討が進んでいくことが期待されます。
コマーシャルベースでの製品・サービス開発をすでに展開している、または展開を目指して準備段階にあるスタートアップ企業という基準で181 社を調査しました。
国・地域別でみると米州が60%、次いで欧州が21%、イスラエル(8%)、アジア(インドおよびロシアを含む、8%)オセアニア(2%)となりました(Figure 4)。米州、欧州が先導的役割を果たしているのは、従来から見られる傾向ではありますが、特に近年はイスラエルの企業が活発であり、国際市場でもその存在感を発揮していることが分かりました。2017年3月には、イスラエルの脳科学技術の商業化を目指すNPO、Israel Brain Technologies(IBT)の中でスタートアップ企業の育成支援を行うプログラムBrainnovations と、米国アトランタに本部を置き、2014年からニューロサイエンス分野のスタートアップ企業を対象として投資を行っているNeuroLaunch が、両国の脳科学・ニューロテクノロジーの領域の企業間の対話を促すとともに、投資や技術革新を加速するためのパートナーシップを締結しています。
事業領域では、「医療・ヘルスケア」領域が多く(Figure 5)、その中でも「睡眠・リラクゼーション」関連技術が多数であることが分かりました。昨年、日本でも「睡眠負債」というワードが広く一般に浸透しましたが、世界的にも睡眠を改善し、睡眠時間を有効に使う技術への関心が高いことがうかがえました。「能力開発・人材育成」領域では、脳トレアプリなどを使って「認知・注意・集中力」を高めるサービス・製品が半数以上を占め、脳レベルからの能力の底上げに関心が高いことが推測されます。
調査結果の詳細は、『応用脳科学リサーチプロジェクト2018報告書』として販売します。
内容 | 冊子(A4版 フルカラー200p) + 本文pdf + Appendixエクセルファイル(※) ※25の脳・行動データ取得大規模プロジェクトリストおよび181の脳科学関連スタートアップ企業リストを附録(電子データ)として提供 |
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価格 | 198,000円(税込み) |
申込み・問い合わせ | 株式会社NTTデータ経営研究所 ニューロイノベーションユニット 茨木拓也/山崎厚子 E-mail:can-neuroscience@keieiken.co.jp ※メールタイトルに『「応用脳科学リサーチプロジェクト2018」報告書申し込み』と入力ください。 |
納品時期 | 申込書受領後、1週間程度 |
巻頭特集 脳科学と人工知能の共進化
特集1:進む脳情報通信技術とその応用
特集2:脳・行動の大規模データ取得プロジェクトと個人差の理解、ビジネス応用
特集3:人材育成に役立つ脳科学
脳科学研究・脳科学的知見の応用の最新動向
リサーチプロジェクト成果報告セミナーを開催いたします。
開催日時 | 2018年6月6日(水) 17:30~18:30 |
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開催場所 | 株式会社NTTデータ経営研究所 永田町オフィス(東京都千代田区平河町2-7-9 JA共済ビル10階) |
参加お申し込み | 以下、「内容・調査報告書・成果報告セミナーに関するお問い合わせ先」までご連絡ください(お席に限りがございます。) |
株式会社NTTデータ経営研究所
コーポレート統括部 経営企画部
広報担当
Tel:03-5213-4016
E-mail : webmaster@nttdata-strategy.com
株式会社NTTデータ経営研究所
ニューロイノベーションユニット
茨木拓也/山崎厚子
E-mail : can-neuroscience@keieiken.co.jp