デジタルストラテジーコンサルティング プロジェクト事例紹介
一般社団法人第二地方銀行協会様
地域金融機関におけるデジタル活用を目指して
~会員銀行のオープンイノベーション促進に向けた取り組み~
一般社団法人第二地方銀行協会
大用 恭市 氏
森 俊二 氏
株式会社NTTデータ経営研究所
ビジネストランスフォーメションユニット
マネージャー 桜井 駿
コンサルタント 元吉 章仁
歴史的な低金利と、少子高齢化・人口減少によるマーケットの縮小に伴い、地方銀行はビジネスモデルの変革を迫られています。近年では、Fintechによるデジタル化の波が訪れ、スタートアップをはじめとする新たなプレーヤーが金融業界に参入しています。
そうした中で、地方銀行においても、Fintechをはじめとするデジタル分野の動向を適切に捉え、限られた経営リソースの中で、デジタルテクノロジーを自社の経営課題に適用することが求められています。地方銀行におけるデジタル活用を推進する第二地方銀行協会の大用氏、森氏に、本取り組みを支援するNTTデータ経営研究所の桜井、元吉がインタビューを行いました。
お客様
大用 恭市 氏
一般社団法人第二地方銀行協会 企画部長
金融庁・財務省を経て、2011年より現職。
第二地方銀行協会加盟銀行に関する、金融関連の制度改正等への対応、地方創生に向けた取り組みのほか、デジタル化に向けた情報収集・IT企業等との交流の企画のプロジェクトに参画。
森 俊二 氏
一般社団法人第二地方銀行協会 企画部副部長
新生銀行において金融法人を中心に法人営業等に従事した後、2017年より現職。
現在は、第二地方銀行協会加盟銀行のデジタル戦略取組みのサポートを最大のテーマとしている。
2018年よりデジタル戦略に関するプロジェクトの企画・運営に参画するとともに、第二地方銀行とIT企業等をつなぐリレーション構築・強化を推進中。
プロジェクトチーム
桜井 駿
株式会社NTTデータ経営研究所 ビジネストランスフォーメションユニット マネージャー
大手証券会社を経て2015年より現職。「顧客開発に悩む企業の問題を解決する」をミッションに、デジタル×デザイン×戦略を軸とした戦略コンサルティングに従事。
主な著書に、「超図解ブロックチェーン入門」(日本能率協会マネジメントセンター)、「決定版FinTech」(共著、東洋経済新報社)
一般社団法人Fintech協会 事務局長、不動産・建設分野のスタートアップコミュニティ「PropTech Meetup」のオーガナイザーを兼務。
元吉 章仁
株式会社NTTデータ経営研究所 ビジネストランスフォーメションユニット コンサルタント
大手証券会社、ITベンチャー、外資系コンサルティング会社を経て2018年より現職。
金融業務及びデジタルマーケティングにおける実務経験をベースに、金融・不動産業界におけるデジタルプロジェクトに従事。
【プロジェクトの成果】
桜井取り組みは現在2年目となりますが、実際の成果を教えてください。
大用氏まず一つはカルチャーの変化があります。これは会員銀行はもちろん協会内でも起きていることで、組織の内部や、外部の人々とも協力、協業をして取り組みを推進していくということが増えて来ています。
もう一つは賛同者が増えていることがあります。我々が中長期的な方向性を打ち出し、それに基づくアクションを実施していることで、取り組みに加わってくれる人が増えています。これは会員銀行の数や、参加人数はもちろんのこと、外部のメディアや、交流会に登壇するスタートアップ企業、そして取り組みをメディアや口コミで知った他の業界団体など、あらゆるとこから反響を貰っています。こうした事は今までに無く、驚いています。
自分たちで掲げたビジョンに向けて、あらゆる人々の声を聞いたり、支援を受けながら仮説検証を繰り返すことで、会員銀行にとって意義ある取り組みにしていければと思います。
交流会でのスタートアップの登壇者と第二地方銀行協会のメンバー、弊社
元吉我々自身も、会員銀行の皆さんからの期待はとても大きいと日々感じています。
大用氏社会全体のデジタル化や環境変化が急速に進む中、デジタル分野の対応を金融機関としていかに的確かつ戦略的に対応していくかが重要な局面にあります。
そして、第二地方銀行として、メガバンクや大手地銀とは異なる経営戦略を打ち出していくことが求められている中、プロジェクトを開始して2年目を迎えるNTTデータ経営研究所との協業では、変化の激しい環境の中においても、金融実務の知見をベースにして、いつも非常に的確なアドバイスや指導をいただいていることに感謝しています。
会員銀行からも高い評価の声を数多く頂いています。
桜井ありがとうございます。我々のチームは、金融機関の経歴と、ITの経歴を融合しており、Fintech領域の専門家として、人材を揃え、これからも期待に添えるよう努力していきたいと思います。
大用氏協会では、デジタル活用推進の取り組みのほか、毎年、地方創生『食の魅力』発見商談会を開催しています。
第二地方銀行の取引先で全国に向けて食品の販路拡大を希望する地元企業と、地域色豊かな食品を求める食品担当バイヤーとの商談の場を8年間にわたり実施しています。
こういった全国の会員銀行とのネットワークを通じた活動は協会ならではの強みでもあります。
東京から見た景色と、地方から見た景色というのは大きく異なり、会員銀行の方々と話をしていて気づくことも多々あります。そのような地方からの声を発信し、取り持っていくのも協会の役目だと考えています。
元吉協会が中心となって、さまざまな企業と会員銀行が一堂に会し、集中的に話ができるという取組みは非常に価値があり、これからも全力でご支援させて頂きたいと思います。
大用氏デジタル化をきっかけに、企業風土やマインドの変化が連鎖して起こることも重要だと考えています。
その点については、デザイン思考や顧客志向などの研修を通じて徐々に広がっています。現在、協会では、頭取や社長向けの代表者講演会を年に4回、専務・常務級クラス向けの地域金融戦略委員会を年8回開催しています。
今後は、担当者の勉強会といったボトムアップアプローチのみならず、経営者にも同じように丁寧に情報提供を繰り返していくことで、デジタルの取組みやオープンイノベーション検討会の内容もインプットし、トップダウンアプローチによるコミットメントを通じた好循環を生み出すことで、さらなる成果につなげていきたいと思います。
桜井最後に各地域の会員銀行と一緒にコラボレーションをしたいという企業の皆さまに向けてメッセージをお願いいたします。
大用氏デジタル化に向けた動きはとても速く、協会としても幅広く情報を集め、地に足をつけて有益な情報を提供していきたいと考えています。時代として"連携"がキーワードでもありますので、会員銀行とより良い関係を築いていただければと思います。