顧客利益だけでなく、その先の「社会にとって良いこと」を追求する

Kobayashi Kentaro 小林 健太郎

地域未来デザインユニット

江井 仙佳 ユニット長/パートナー

ユニット長から見た小林 健太郎

行動デザイン、ナッジなど、「ひと」に直接働きかけることを通して、社会にポジティブな影響を与えようとするスタンスに、常に好感を抱いています。ありたい未来の社会のすがたと一人ひとりの価値観や選択とをつないでいくーこうした新しいコンサルティング像を切り拓いていくことを期待しています。

公共課題解決に必要な、多角的な視点・経験を得る機会に

学生時代には、公共的なテーマについて考えることに面白みを感じていたので、政治哲学や政治理論の勉強をしていました。とても楽しかったのですが、一方でより具体的な現実の公共課題の解決に関わってみたいとの思いが強くなり、公共コンサル志望で就活をしました。当時、公共系と民間系で採用が分かれている企業も多い中、経営研にはローテーション制度があり、民間クライアントが多い部署も経験できることを知り、多角的な視点を持った公共コンサルになりたいと考えていた私にはぴったりだと思い入社を決めました。

「行動デザイン」を通じて、行政・企業の取組・視点をアップデート

国や自治体の政策検討のための調査研究事業や、業務改革、計画立案の支援などに多く従事しています。高齢者福祉、消費者行政、行政DXなど様々な分野に携わる機会がありますが、「行動デザイン」というアプローチを強みとしているので、その観点でのご支援も多いです。「行動デザイン」とは、認知バイアスのような人間の意思決定特性も含めた「行動を妨げる要因」を多角的に分析し、本人が望ましい行動を取り易いように環境・政策・サービスをデザインするというアプローチです。特に行政では、せっかく制度やサービスを整備しても、当事者視点では障害がたくさんあり、利用や行動変容に繋がっていないことがよくあります。行動デザインの観点で現状分析と施策検討を行うと、お客様から「これまでと視点が全く変わった!」と言っていただけることが多いです。私が直接支援した対象の政策・サービスが良くなるだけでなく、プロジェクトを通じてお客様が行動デザインの視点を得て、その後も活用してもらえることで、間接的にも良い影響を生むことができるという点にも大きなやりがいを感じます。

社会課題解決に取組む際の難しさと面白さを実感

入社して2年目に従事した、国土交通省がクライアントのプロジェクトが印象に残っています。コンパクトシティ政策におけるナッジの使いどころを検討し、実証実験を行う調査研究事業でした。ナッジというのは、認知バイアスなどの人間の意思決定特性を踏まえ、望ましい行動が取りやすいように環境にちょっとした工夫を行う政策アプローチなのですが、コンパクトシティ政策という居住移転の自由にもかかわるテーマにおいては、意思に反する誘導とならないよう、活用のしどころを慎重に見極めながら検討を行う必要がありました。そうした社会の複雑な諸条件の中で課題解決の糸口を試行錯誤しながら探していく営みは、とても難しくはあったのですが、公共コンサルの面白みや意義を強く感じたことを覚えています。また、このプロジェクトではクライアントととても活発な議論をしながら検討を進めることができたのですが、終了時にクライアントから「今まで関わった委託事業の中で一番面白かった」と声をかけてもらったことが強く心に残っており、その後のプロジェクトで、クライアントと創発的な関係を築くことを重視するきっかけになっています。

行政のケイパビリティ向上を通じてより良い社会の実現に貢献していく

公共的な問題に対峙するにも様々なアプローチがありますが、これまでの経験を踏まえ、私は「行政組織のケイパビリティ向上」を今後の主なコンサルテーマにしていきたいと考えています。個別の政策・サービスに対するコンサルも大事ではありますが、すべての政策・サービスについて外部支援が入るわけではありません。そこで、例えば、行動デザインのアプローチ自体を学びその後行政活動に活用してもらうように、行政組織における政策立案能力自体の向上に寄与していきたいと思っています。そのために、行動デザインに留まらない様々なアプローチや多様な分野におけるコンサルノウハウを獲得していくことが直近の目標です。

公共課題は複雑で前進するにも時間がかかりますが、その「一筋縄ではいかない」点に面白さを感じ、粘り強く考えてくださる方と、是非一緒に取り組めたら嬉しいなと思っています。