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経営研レポート

「アーミテージ・ナイレポート2024」を徹底解説

~日米は統合の度合いを深め、国家安全保障と経済安全保障を包含し、民主主義の規範と法の支配を守護する同盟関係へ~
2024.04.16
社会・環境システム戦略コンサルティングユニット
シニアスペシャリスト 新開 伊知郎
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【本稿のポイント】

  • 2024年版アーミテージ・ナイレポートは国家安全保障から経済安全保障をカバーする広い分野において統合された同盟関係の構築を提言
  • 国家安全保障に関しては、在日米軍司令部の機能を強化し、新設される自衛隊の統合作戦司令部との指揮統制の連携を深めること、日本は一元的な情報分析機関を設立し、従来脆弱であった日米のインテリジェンスコミュニティ間の連携を強化することを求めている。
  • 経済安全保障に関しては、中国との競争を意識し、産業政策の調整、強靭なサプライチェーンの構築、先端技術の開発協力などの促進を促している。
  • 中東での日本のプレゼンス向上を求めるなど、インド太平洋領域を超え、グローバルに貢献する同盟関係を提唱している。

米国ワシントンDCの有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(Center for Strategic International Studies, 以下「CSIS」)は、2024年4月4日に6回目になるアーミテージ・ナイレポート「2024年の日米同盟 統合された同盟へ」を発表した 1。アーミテージ・ナイレポートは今までほぼ、大統領選の前に、新大統領に対する日米同盟のロードマップを意図して発表され、その役割を果たしてきた。今年も大統領選の年にあたり、その位置づけは変わらない。また、今回は4月10日にワシントンDCで開催された日米首脳会談のタイミングに合わせた面もあるだろう。そこでこのレポートの概要を紹介したい 2

 1 初めてアーミテージ・ナイレポートが発表されたのは2000年。その後、2007年、2012年、2018年、2020年に公表されている。

 2 本レポートは以下のURLから入手できる。

  The U.S.-Japan Alliance in 2024: Toward an Integrated Alliance (csis.org)

1. レポート作成者について

アーミテージ・ナイレポートと称されるように、本レポートはリチャード・L・アーミテージ(アーミテージ・インターナショナル設立パートナー・社長、元国務省副長官、CSISカウンセラー)とジョセフ・S・ナイ(ハーバード大学名誉教授、元ハーバード大学ケネディ行政大学院学長、CSISトラスティー)がヘッドを務める超党派のスタディグループが作成したものである。なお、スタディグループのメンバーは以下のとおり。

  • ヴィクター・D・チャー(CSIS上級副所長、アジア・韓国部長)
  • ザック・クーパー(American Enterprise Institute(AEI)シニアフェロー)3
  • ウェンディ・クーパー(アジア・ソサエティ政策研究所 副所長)
  • マチュー・P・グッドマン(外交問題評議会(Council on Foreign Relations(CRF)国際経済政策特別フェロー)
  • マイケル・J・グリーン(シドニー大学米国研究センターCEO、CSISシニアアドバイザー(非常勤))
  • クリストファー・B・ジョンストン(CSISシニアアドバイザー、日本部長)
  • シーラ・A・スミス(CFRアジア太平洋研究シニアフェロー)
  • ニコラス・セチェーニ(CSIS日本部シニアフェロー)

3 著者は2016年6月から約1年半、客員研究員としてCSISに在籍した。当時、マイケル・グリーン氏がCSISの日本部長、ザック・クーパー氏、マチュー・グッドマン氏もCSISに所属しており、クーパー氏の研究室は私の研究室の2つ隣で何度か意見交換する機会があった。ニコラス・セチェーニ氏にはトランプ政権下の米国の政治状況についてよく解説していただいた。ヴィクター・チャー氏やグッドマン氏の研究室も同じフロアーにあり、お見掛けする機会が多かった。

2. 日米同盟が直面する国際情勢

本レポートの「イントロダクション」では、日米は第二次世界大戦後、例を見ないような分断された国際環境に直面していると指摘している。2023年10月のハマスによるイスラエル攻撃は中東紛争を再燃させた。ロシアによるウクライナ侵略は国際システムを揺るがし、世界はブロック化するのではないかという懸念を生み出した。中国はインド太平洋領を中心に軍事的、政治的、経済的威圧を用いて領土的要求を強め、利得の拡張を図っている。ロシアや中国は西側との協力を放棄するようになっており、こうした状況をとらえ、北朝鮮は米国やその同盟国に脅威を与えるような、戦術核から戦略核をカバーするフルスケールの核能力の開発を進めている。

一方、日本と米国は、新冷戦を引き起こすことなく、中国との戦略的競争の在り方を模索している。経済関係を維持しながら、経済安全保障の観点から重要な素材や技術を中国から守る仕組みを整備し、さらに、特に環境問題のような利害が共通するテーマに関しては協力していくという関係の構築が現在の課題である。

この不確実な環境において日米同盟の重要性は以前にも増して高まっているが、米国のリーダーシップに対する懸念は深刻なものになっている。きたる大統領選挙でどちらの候補が勝っても、米国の孤立主義や信頼性への懸念は残るであろう。

このような中、短期的にはグローバルおよび地域的なリーダーシップの負担は日本に重くのしかかってくることになるだろう。

3. 本レポートの提言「統合された同盟に向けて」

上記のような国際環境に対応するために、本レポートは日米に対し、軍事オペレーションの計画・実行から、産業政策の調整やセキュアなサプライチェーンの推進などの経済と安全保障がリンクする領域をカバーする「より統合された」同盟関係に向けて行動することを提言している。提言は(1)安全保障同盟の深化、(2)パートナーシップや連合の拡張、(3)経済・技術協力の強化の3本柱からなる。

(1)安全保障同盟の深化

今までは軍事的調整に関して正式なメカニズムがなくても日米同盟は有効に機能してきたが、もはやそのような状態は許されず、指揮構造の近代化、インテリジェンス協力の深化、防衛産業と技術協力の促進が求められている。

① 指揮統制の再構築

日本が2025年3月までに「統合作戦司令部」を設置するのを契機に、米国は在日米軍司令部を機能強化し、日米が双方の独自の指揮系統を維持しつつ、軍事オペレーションのより緊密な調整をサポートする常設の計画・調整部局を設置すべきだと提言している。

② インテリジェンス連携、サイバーセキュリティの強化

日本のインテリジェンスコミュニティは縦割りで全ての情報を総合的に分析する機能を欠いていることから、本レポートでは、インテリジェンス連携は日米同盟の弱点であると指摘し、日本は内閣官房にインテリジェンスコミュニティから横断的にスタッフを集め、日本政府のすべての安全保障に関するインテリジェンスにアクセスできる分析機関を設けるべきだと提言している。

さらに日本に対して、経済セキュリティ・クリアランス制度を整備するための法制化を優先課題にすること、サイバーセキュリティを強化することを求めている。この動きをサポートするために米国は、日米のインテリジェンスの共有関係をファイブ・アイズ・パートナーシップ 4 同等に高めるためのロードマップを設定すべきとしている。

③ 防衛産業・技術協力の重点化

ウクライナでの戦争で、同盟国の強固な防衛産業基盤の重要性が明らかになったことを受け、日本の革新的な防衛産業をサポートすることは米国にとってメリットがあり、日本は武器輸出をさらに緩和することによって日米のコラボレーションを拡大することができると分析している。日本の情報セキュリティの整備・強化に応じて、米国は技術提供ポリシーを簡素化していくべきで、さらに日本のAUKUS 5 でのプロジェクトなど、他のパートナーとのコラボレーションを支持すべきと提言している。一方、日本及び日本の防衛産業に対し、競争力の確保やタイムリーな装備品供給のためには、自国固有のニーズに固執することなく世界市場にも目を向けるべきと注文をつけている。

4 ファイブ・アイズ・パートナーシップは米・英・加・豪・ニュージーランド5カ国の機密情報共有の枠組みの呼称

5 AUKUSは2021年に発足した米英豪の安全保障枠組み。二つの柱から構成され、第1の柱はオーストラリアへの原子力潜水艦の配備、第2の柱はサイバー、AI、量子技術、海洋戦略、極超音速兵器などの先端技術分野での協力。第2の柱での日本の協力が検討されている。

(2)パートナーシップや連合(コアリション)の拡大

日米は両国間関係の統合を深めるとともに、他の同盟国や同志国、特にオーストラリア、フィリピン、韓国、台湾とのコネクティビティを促進すること、日本は紅海における商船保護など、中東の危機に対してもより大きな役割を担うこと、日米は協力して、民主主義や法の支配の擁護、強化を推進することを提言している。

① 米韓同盟との橋渡し

日米同盟と米韓同盟は運用レベルにおいて公式のコネクションを立ち上げるべきだと提言している。それに向けて日本と韓国は、2007年の安全保障協力に関する日豪共同宣言 6 をモデルにした安全保障に関する共同宣言を発表し、二カ国間の防衛関係を正常化することを求めている。

② 日米豪の安全保障協力の運用

日本とオーストラリアは円滑化協定 7 を締結し、防衛協力を深めている。米国が日本における指揮統制および防衛産業政策を近代化する中で、既に進行中の三カ国間の安全保障協力を運用していくことを重点化すべきと提言している。

③ フィリピンとの協力の促進

マルコス政権が米国との同盟関係を再建し、南シナ海における中国の威圧に対抗することを決意したのは、日米にとって戦略的に重要な機会であり、日米はフィリピンの活動を支援・強化するために最善を尽くすべきであると提言している。

④ 台湾の抵抗力の支援および台湾との三極対話を目立たずに深めること

「一つの中国」政策を維持しつつ、日米両国は、中国からの軍事的・経済的威圧に対する台湾の抵抗力をサポートすべきと提言している。また、日本に対し、米国が台湾と定期的に実施している安全保障政策対話に参加するなどして目立たないように台湾の安全保障当局との関係を構築することを求めている。

⑤ 中東での協力の強化

日本は米国以上に中東からのシーレーンに依存しており、紅海において商船をテロリストの攻撃から守るなど、シーレーン保護のために目に見える貢献をすべきであると主張している。

⑥ 民主主義の規範および法の支配の推進

戦略的に重要な国々における汚職、外国(中国)からの干渉、ディスインフォメーションに対抗することを極めて重要な課題と位置づけている。そして、Quad 8 やG7、そして韓国と緊密に協力して、インド太平洋において民主主義の抵抗力を強化し、ディスインフォメーションと戦い、法の支配を強固にするための戦略と調整メカニズムを構築し、中国の吸収(co-option)戦略 9 に対抗することを提言している。

6 2022年に新たな安全保障協力に関する共同宣言を発表

7 「自衛隊と他国の軍隊の相互訪問を円滑にすることを目的に、共同訓練を行う際の武器・弾薬の取り扱いや、事件・事故を起こした場合の裁判権などについて、あらかじめ取り決めるもの」(NHK、2024.4.13アクセス)

8 Quadは日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国、G7は日本、米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、イタリアの7カ国

9 Coercion(威圧)と対になるもので、賄賂を含む資金提供等により相手を取り込む(吸収する)こと

(3)経済・技術協力の強化

日米の経済関係は貿易摩擦により多くの問題を抱えるものであったが、時間をかけて真に協調的なものに移行してきたと分析し、今日、重要技術の保護、サプライチェーンの強靭性の強化、重要戦略分野におけるフレンド・ショアリングの推進といった経済安全保障と国家安全保障が重なり合う論点は、両国にとって最も重要な政策課題であると論じている。

① 経済安全保障に関するG7のプロセスを促進

G7広島サミット2023で採択された「経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明」10 のビジョンを実現することは極めて重要であり、それに向けて引き続き日米両国はリーダーシップを発揮することを求めている。

② 中国の過剰生産能力とダンピングに対抗するための協力

中国の過剰生産能力による世界への輸出攻勢は日米欧の産業界にとってリスクである。この問題に対し、日米は同志国と協調してアプローチすべきであり、従来の反ダンピングや反補助金施策の他に新たな対策を講じるべきだと論じている。最初のステップとして、日米欧韓は、中国企業が急速にグローバルリーダーに成長した電気自動車に関する重要セクターの過剰生産能力への対応調整のために対話を始めるべきと主張している。

③ 自由貿易協定の新たなモデルの模索

レポートの作者は米国がCPTPP(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)に復帰することを支持すると述べながら、近い将来にその可能性は低いと分析している。そのため、暫定措置として、日米は、伝統的な論点に加え、サプライチェーンの強靭性、経済的威圧、気候と貿易、先進技術標準といった新たな論点を盛り込んだ新たな自由貿易協定のフレームワークを構築することを提案している。さらに、電気自動車やバッテリー、半導体、重要鉱物等の特定セクターに関する既存の協定にマーケットアクセス、標準のハーモナイズ、貿易円滑化条項といったテーマを盛り込み、真のサプライチェーン協定に高めていくことを提言している。

④ 双方向の投資を管理する共通ルールの策定

本レポートの作者は、日本製鉄のUSスチール買収案に対する両大統領候補の反対表明は、米国の国益への影響を反映していないと分析している。これを踏まえ、新たな自由貿易協定のフレームワークが投資に関してより確実性を高めるようなのになることを求めている。また、対米外国投資委員会(CFIUS)は日本を「除外国(ホワイトリスト)」に認定すべきだと提言している。

⑤ 米国のLNGの日本への新規輸出の許可

2024年1月にバイデン大統領によって発表されたLNGの新規輸出認可の一時停止から日本を除外することを検討するよう提言している。

⑥ 開発協力をグローバルに深化

日米は、世界の健康安全保障推進、サブサハラ・アフリカにおける次世代リーダーシップの育成やエネルギーに関する協力、ラテンアメリカの持続的な経済成長や生計機会(livelihood opportunities)への投資、インド太平洋地域におけるテレコミュニケーションへのアクセスの拡張等に向けて協調して取り組むべき、官民資本を持続可能なインフラへの投資に向かわせるためにインド太平洋経済枠組み(IPEF)やグローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)の活動を拡張すべきと提言している。これらの活動は、発展途上国に中国の一帯一路構想に対する高品質の代替案を提供するという点で極めて重要と位置付けている。

⑦ G7にオーストラリアと韓国を加えることへの支持

ロシアによるウクライナ侵攻以来、G7は法に基づく国際秩序を維持する主要な国際フォーラムとして機能している。しかし、その機能を強化するためには価値観を同じくし、リソースも保有しているメンバーを増やす必要があり、日米はG7にオーストラリアと韓国を加えることを支持すべきだと提言している。

⑧ 米国の国家安全保障会議と日本の国家安全保障局による新しい経済安全保障対話による経済安全保障政策の調整の強化

2022年に発足した日米経済政策協議委員会(経済版 2+2)は地経学的戦略を調整する上で有効な場であるが、政治的にセンシティブであり、調整の困難な経済安全保障や産業政策の調整を推進していくためにはこれだけでは不十分で、日米はホワイトハウスと内閣官房が参加する新たな協議メカニズムを構築すべきと提言している。

10 外務省、https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/hiroshima23/documents/(2024.4.11アクセス)

4. 所感

本レポートは2024年4月4日に発表されたものであるが、4月10日の日米首脳会談で合意された日米共同声明を読むと、すでに本レポートの、少なくともアジェンダセッティングとしての役割はほぼ終えたようにすら感じられる。それほど、本レポートに記載された論点の多くが日米共同声明に盛り込まれており、今後、このレポートが提言している方向、内容で具体化されていくであろう。

本編に記載された提言だけではない。本レポートのConclusionで、作者は米国で学ぶ日本人留学生、日本で学ぶ米国人留学生の数が近年激減しているのは長期的に日米関係の基礎を揺るがしかねないと危惧を表明している。日米共同声明には、日米の高校・大学交流を支援するために1200万ドルの「ミネタ・アンバサダー・プログラム」を立ち上げることも盛り込まれている。

また、岸田首相とバイデン大統領は、首脳会談後の共同記者会見で、日米関係を「グローバルなパートナーシップ」と位置付けた 11。これも本レポートの提言に沿うものである。

なお、本レポートの提言には、すでに進行していると言えるものもある。米英豪の安全保障の枠組みであるAUKUSとの連携については、2024年4月8日に米英豪の国防相が共同声明においてAI等の安全保障に関わる先端技術分野での日本との協力を検討する旨を表明し、このことは日米共同声明にも盛り込まれた。この技術協力にあたっては、日本からの技術漏洩に対する懸念が示されてきたが 12、日本はセキュリティ・クリアランス制度を導入する法整備を急ピッチで進めており、2024年4月10日に衆議院で法案が可決された 13。本レポートが日本にセキュリティ・クリアランス制度の整備を求めていることは先に紹介したとおりである。

オーストラリア、フィリピンとの連携に関しても、日米豪比4カ国は2024年4月6日に中国を牽制する狙いで「国際法の下、航行と上空飛行の自由と海洋権益の尊重を支持する」という共同声明を発表し、翌7日に南シナ海で海上自衛隊と各国海軍による共同訓練を実施している。さらに、4月11日(米国時間)には日米比の初の3カ国首脳会談がワシントンDCで開催された 14

自衛隊と在日米軍の指揮系統の連携については、本レポートの発表以前から日米首脳会談で取り上げられることが報道されていた 15

以上のことは、米国のシンクタンクは米国の政策コミュニティの一部をなしており、すでに本レポートの検討段階で様々なアイデアが政府に提言され、逆に政府の問題意識、課題をレポートに盛り込んでいる面もあるからであろう。本レポート(を作成したシンクタンクの研究者)の政府への影響力の強さがうかがわれる。

CSISの本レポートの発表イベントを取材したNikkei Asia の森安記者は、今までのアーミテージ・ナイレポートが「対等な」同盟について論じ、日本に従前より大きな役割を果たすことを求めてきたのに対し、今回のレポートはさらに進んで、米国のリーダーシップが揺らいでいる今、同盟を牽引する役割を日本に求めていると書いている 16。しかし、日本は米国の「対等な」同盟国なのだろうか。本レポートの発表を報じた朝日新聞は同日のオピニオン面「記者解説」で米軍基地もPFASの汚染源とみられる問題を取り上げ、「健全な同盟関係を築くためにも、米側の権限が強い日米地位協定を見直すべきだ」と論じている 17。日米地位協定は他国(ドイツやイタリア、ベルギー)の協定と比べても日本の権限が制限されていると言う。在日米軍が事件や事故を起こすたびに、日米地位協定による日本の主権の制限が問題になってきた。「全国知事会は18年、沖縄県からの訴えを受けて初めて日米地位協定の抜本的な見直しを提言した。」18 翌年に出版された山本章子の「日米地位協定」(中公新書)は20年に石橋湛山賞を受賞している。この協定の問題は徐々に日本国民に認識されてきていると言えよう。日米地位協定は日米同盟の基礎を構成するものである。健全かつ盤石な同盟関係を築くためには、現在の国際情勢に対応するための枠組みや政策の整備以上に難しい課題ではあるが、このような基盤部分のアップデートにも目を向けるべきと考える。

11 首相官邸、https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0410kyodo_kaiken.html (2024.4.12アクセス)、

  THE WHITE HOUSE, https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2024/04/10/remarks-by-president-biden-and-prime-minister-kishida-fumio-of-japan-in-joint-press-conference/(2024.4.12アクセス)、

12 朝日新聞 2024年4月10日朝刊

13 朝日新聞 2024年4月10日朝刊

14 朝日新聞 2024年4月9日朝刊

15 朝日新聞 2024年3月28日朝刊、日本経済新聞電子版2024年4月3日等

16 Nikkei Asia 電子版 2024年4月5日

17 朝日新聞 2024年4月8日朝刊

18 同上

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シニアスペシャリスト 新開 伊知郎

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