logo
Insight
トップ・インタビュー

山口社長とスニール・グプタ教授の対談【第 1 部】

2024.03.29
(語り手)米国ハーバード・ビジネススクール経営学教授 スニール・グプタ
(聞き手)NTTデータ経営研究所 代表取締役社長 山口 重樹
heading-banner2-image

はじめに

山口

私は山口重樹、NTTデータ経営研究所とクニエの代表取締役社長で、NTTデータの顧問も務めております。

私はこれまでのキャリアにおいて、経済、経営、社会におけるデジタル技術の変革力に関して3冊の本を出版しました。デジタル技術が社会に与える影響に関心を持ち、2019年、デジタル技術が社会経済をどう変えるかについて書き始め、『デジタルエコノミーと経営の未来』を出版しました。

続いて、2020年には、『信頼とデジタル』という本を執筆し、デジタル技術を使った企業戦略について論じました。

2021年には、「デジタル変革」および「学習する組織」という概念に焦点を当て、デジタル変革を確実に成功させるために必要な組織やスキル、人材について執筆しました。

またデジタル変革を専門とする各国のビジネススクールの教授らと、積極的にディスカンションを行っています。

本日は2018年に出版されたスニール・グプタ教授の『Driving Digital Strategy(デジタル戦略の推進)』をご紹介します。グプタ教授は、ハーバード・ビジネススクールの経営学教授でいらっしゃいます。本日はお時間いただき、ありがとうございます。私はグプタ教授を、デジタル変革のパイオニアであり、一流の思想的リーダーのおひとりと考えております。再びお目にかかることができて、大変うれしく思います。

グプタ

お招きいただき、ありがとうございます。この討論に参加できて、本当にうれしいです。

山口

グプタ教授は、ハーバード大学の有名なMBAプログラムでも最も評判の高い教授のひとりとして広く知られておられるほか、ビジネスの専門家としても高く評価され、CBS、CNN、NPR、BBCなど国内外のテレビ番組に出演なさっています。

私がスニールさんの著書『Driving Digital Strategy』に出会ったのは2019年のことでした。最近、デジタル変革の現状について考えるなかで、この本を読み返す機会がありました。私は、これは素晴らしい本だと思いました。というのは、2018年に書かれた本であるのに、2023年現在のデジタル変革のあらゆる側面、特に企業を変革するにはいかにデジタル技術を活用すべきかについて、完全に網羅しているからです。

私は、2018年にこうした本をお書きになったスニールさんの先見性に本当に驚きました。本日は本書をデジタル変革に関する議論の出発点にしたいと思います。

2023年8月、私はハーバード・ビジネススクールを訪問し、スニール教授と意見交換する幸運に恵まれたのですが、その際、今回の対談を快諾してくださいました。

『 Driving Digital Strategy 』について

山口

それでは議論に移りましょう。

 

始めにスニールさんに、『Driving Digital Strategy』の大まかな内容について、デジタルリーダーシップの観点からお話しいただきます。それから、それに関する私の考えを述べさせていただきます。

その後で、2018年の出版後に状況がどう変わったか、そして本書に登場した企業がどんな進歩を遂げたかを見ていきます。

最後に、近年のAIの発達、そして最近のディスラプティブな変化に関するスニールさんのお考えをお聞きします。それではこの画期的な本について、掘り下げていきましょう。

はじめに、『Driving Digital Strategy』の大まかな概念を見ていきたいと思います。スニールさん、このフレームワークの主要な構成要素、そしてそれが事業を再興するのにどう役立つのか、説明していただけますか?

グプタ

このフレームワークの背景にある基本的な考えは、既存の大企業は同時に2つのことをしなければならないということです。既存の事業を引き続き運営しているわけですから、中核事業を強化しなければならない。一方、未来は現在とは事情が違うのですから、将来に向けて新しいものも構築しなければならない。これは飛行中に航空機のエンジンを交換するようなものです。もちろん、これは非常に難しい。既存の事業を運営しつつ、同時に変革を起こすにはどうしたらよいでしょう?

私の調査によれば、企業はひとつではなく複数のことをしなければいけないことがわかりました。主にしなければならないことは4つです。

まず、自社のビジネスモデルを考えること。言い換えれば、顧客行動が変化する中、どのように価値を創造し、獲得するのか?つまり、過去とは違った方法で、どのように顧客価値を創出し、獲得するのか?これが最初の部分です。

2つ目の部分は、いかにしてバリューチェーンを全く違った方法で考えるか、です。つまり、テクノロジーのおかげで自動化し、生産とサプライチェーンのプロセスを改善し、バリューチェーン全体を改善することができるわけですからです。

3つ目の構成要素は、顧客とどのように繋がるか、です。ここでも、テクノロジーのおかげでこれまでとは違った方法が可能になったからです。

最後にもう一つ重要な部分は、組織のあり方、社員のスキルアップ、報酬の支払い方といった、社内の変革です。これらの構成要素を一緒に考えなければなりません。単にひとつのピースではなく、会社という組織の全ての部分がこの新しい現実に適応しなければならないのです。その結果、企業は変わります。5年後にはその会社は、今日と比べてだいぶ変わっていることでしょう。

山口

それでは、デジタルリーダーシップの最初の部分、「事業を再構築する」について詳しく見ていきましょう。スニールさん、このスライドでは事業の範囲をどのように再構築するかについて、興味深い引用をされていますね。特に、ビジネスの競争優位性の再定義、データと顧客の役割についてです。これについて、もう少し詳しく説明していただけますか?

content-image
グプタ

よい例をお見せしましょう。たとえば、「アマゾンって、何の会社だろう?」と考えると、共通項を探すのは非常に難しいですよね。なぜアマゾンは、これほど多様な事業展開をしているのでしょう?ご存じのように、同社はオンライン小売業者として書籍と電化製品の販売からスタートしました。こうした製品を仕入れて自社の倉庫で保管し、オンラインチャネルで販売していたのです。

当時のアマゾンの価値提案は、「実店舗に行くより、オンラインで買う方が消費者にとって便利である」ということでした。実店舗を構える必要がないので、商品も安い。店舗スペースという物理的な制約がないため、バリエーションも無限です。けれどまもなくアマゾンは、オンライン小売業者ではなくマーケットプレイスになりました。つまり、サードパーティーの販売業者もアマゾンのプラットフォームで販売できるようにしたのです。オンライン小売業者とオンラインプラットフォームでは、根本的な違いがあります。

なぜ、そんなことをしたのでしょうか?オンラインプラットフォームになってサードパーティーを参加させれば、アマゾンのプラットフォームで販売する事業者が増える。そうすると欲しいものが全てアマゾンで見つかるようになるので、アマゾンを訪問する購入者も増えるからです。購入者が増えれば、販売者は顧客のいるところで営業をしたいので、販売者の参加意欲も高まります。これは好循環を生みます。販売者が増えれば購入者が増える。購入者が増えれば販売者も増える。規模拡大に伴って収益が漸減するどころか、突然、スケールメリットが大幅に増大するのです。

content-image

また、アマゾンはキンドルなどのハードウエア製品を発売しました。皆さん、「小売業者だったアマゾンが、なぜハードウエアの製造なんて始めたのだろう?」と、思われるでしょう。これも考え方は至って単純で、キンドルの製造はハードウエア自体で利益を上げるためではなく、電子書籍の販売数を増やす手段だったのです。つまりより多くの電子書籍を売るために、キンドルは値段を抑えて販売するのです。これは、昔ながらの剃刀と替刃の商法です。替刃で儲けるために剃刀本体は安く売る。こうしたことはいくらでもできます。

でもここから、さらに広いフレームワークが見えてきます。つまり以前は、競争で優位に立つには、よりよいもしくは安い商品が必要だと考えられていました。それが左下の枠です。伝統的な戦略です。でもこれはひとりの顧客にひとつの製品を売ることが前提です。私が自分の自動車を売る、それがよりよいもしくは安くなければならないということです。

同じ顧客に、複数の製品を売るならどうでしょうか?それが右下の枠内に書いてある補完財です。替刃で儲けるために剃刀を安く売る。この剃刀と替刃の商法は長いこと行われてきました。でも、今日違う点は、剃刀と替刃で業界が異なる場合があるということです。

たとえば、アマゾンは自社プラットフォームで販売するサードパーティーの販売業者に、銀行が太刀打ちできないほど低利の融資を提供して、銀行と競争することができます。なぜそんなことをするのでしょう?なぜならアマゾンは、「融資で儲ける必要はない。この販売業者が成長して、当社のプラットフォームでの取引が増えれば、もっと高い出品料が入ってくるから」と言えるからです。アマゾンは他に収益源があるので、銀行にとっての本業を、剃刀にすることができるのです。このため、銀行にとって、競争は非常に難しくなります。

一方、同じ製品を複数の顧客に販売する場合、左上の枠のようなネットワーク効果が期待できます。つまり販売者が増えれば購入者も増える、購入者が増えれば販売者も増えるのです。

フェイスブックやホワッツアップについて考えてみましょう。フェイスブックの利用者があなたひとりだけだったら、フェイスブックなんてあまり価値がありませんよね。でも利用者がどんどん増えることで、フェイスブックというサービス自体は変わらないのにその価値は上がります。ネットワーク効果とは、顧客を繋げることです。補完財とは製品を繋げることです。私は、競争優位性は製品だけから生まれるのではないと思います。確かに、よい製品は必要です。でもそうした製品同士をどのようにして繋げますか?顧客とどのように繋げますか?デジタル経済では、こうしたことがはるかに大事になるのです。

そのもうひとつの例が、ジョンディアです。この会社はトラクター、耕運機、プランターなどの機器メーカーでした。しかし今では農場管理会社に移行しました。ここでも、機器を販売するだけでなく、機器を気象データ、種子最適化ソフトウェア、自動灌漑など、あらゆるサービスに繋げることで、ビジネスの幅を広げています。こうした企業は製品だけでなく、複数の製品と複数の顧客を繋ぐプラットフォームを構築することを考えているのだと思います。

content-image
山口

貴書では、プラットフォームとエコシステムの重要性を強調する中で、ゼネラル・エレクトリック社(GE)の事例も紹介されています。プラットフォームとエコシステムがGEのデジタル変革にどのような影響を与えたのか、教えていただけますか?

グプタ

GEは興味深い例です。ジェフ・イメルトは優れた構想を持っていたと思いますが、実施方法は必ずしも適切ではなかったため、GEはあまり成功しませんでした。今でも誰もが、GEの構想は正しかったと言います。このプラットフォームを作ろうというGEの考えは、当初はGE自身のために何かを創ろうというものでした。つまり、チップやIoTを風力タービンなどの機械に搭載して、自社の資産の生産性を向上させようと。その後でGEは、自社のためだけでなく、「顧客のためのGE」へと移行したのです。

風力タービンを顧客に販売する場合、以前なら営業担当者が出かけて行って顧客に風力タービンを売っていました。しかし、GEは「わが社はただ風力タービンを売っているのではない、顧客が一定の成果を上げる助けをしているのだ」と言い出しました。装置そのものの販売から、成果ベースのソリューションへと移行したのです。そしてそれらを統合して、顧客のよりよい発電を支援するようになりました。GEの風力タービンを使うことで、風力タービンをもっとよく監視できるようになった、風の流れから風力タービンの生産性をいつでも監視できるようになったのです。

それからGEは「世界のためのGE」になりました。つまり、プラットフォームの一部になるのにGEの顧客である必要はなくなったのです。そういう構想でした。もちろん、課題はたくさんあります。なぜGEが構想どおりに実現できなかったのかは、後ほどお話ししましょう。しかし構想は、きわめて正しかった、つまり、「製品だけではなくそれ以上のことを考えよう、さまざまな製品や、さまざまな顧客を繋ぐ仕組みやプラットフォームの構築を考えよう」というビジョンです。こうした考え方が独自の競争優位性を生み出すのです。

山口

貴書では、プロセスの再構築やビジネスモデルの転換に成功した企業として、ヒューレット・パッカードが例に挙げられています。HPがなぜどのように成功したのか、説明していただけますか?

グプタ

私は製品のサービス化(PaaS)という概念は、HPだけではなく、多くの企業が実践してきたと思います。その基本的な考え方は、1度製品を販売したら終わりというのではなく、サブスクリプションサービスとしてもっと継続的な関係を築けないか、ということです。たとえばソフトウェアの場合、マイクロソフトはかつてオフィスをコンピューターにプレインストールして販売していましたが、今ではマイクロソフトオフィス365として年間契約します。こうして継続的な収益を生んでいるのです。

ソフトウェアのサービス化は、非常によく知られています。しかし今、企業は、「なぜソフトウェアだけに限る必要があるのか、製品だってサービス化できるではないか」と考えています。たとえばミシュランタイヤは、顧客に単にタイヤを売るのではなく、まず無料で提供して、1キロ走行するたびに支払うように求めるのです。「走った分だけ支払う」という考え方ですね。ロールスロイス社はジェットエンジンで同じことをしました。フライト1時間ごとに支払う仕組みです。

HPも同じことをしようとしたのだと思います。つまり「インスタント・インク」というサービスがあって、インクカートリッジを購入する必要はなく、印刷した枚数に応じて支払うのです。私は、これは非常にユニークなビジネスモデルだと思います。これには、顧客との関係よりよく維持し、経費を削減し、全体的な市場規模を拡大できるたくさんの利点があり、多くの企業が、非常に有益だと感じています。

山口

スニールさん、新しいビジネスモデルを作るのにどんな要素が役立つのか、もっと説明していただけますか?他に何を考慮すべきでしょうか?

グプタ

新しいビジネスモデルを構築したければ、何が顧客行動を変えるのかをよく理解しなければならないと思います。どうすれば顧客の抱える問題を解決できるのか?どうすれば、顧客が望むような改善を支援できるのか?自社の事業を起点とするのではではなく、まず顧客のことから考えるのです。

たとえばHPの場合、顧客が欲しいのはインクではなく、何かを印刷したり制作したりすること、特定の目的のためのクラウドソフトウエアやあるいはハイブリッドクラウドなのです。ですからまずは顧客が抱える問題、どんな問題を解決するのかを考えます。そうすると突如、製品中心からソリューション中心の考え方へと変わります。その途端、あらゆる可能性が生まれるのです。

それからもちろん、販売プロセス、報酬プロセスなど、内部組織も変える必要があるでしょう。しかしそれは常に、「顧客の問題をどう解決したらよいのか?」という観点から出発します。ただ顧客に自社の機器や製品を提供するのではなく、「この機器なら顧客の問題をどう解決できるだろうか?」と考えるのです。これがビジネスモデルの変革を促進する、最も重要な要素だと思います。

山口

それではスニールさんのフレームワークの2つ目、「バリューチェーンを再評価する」に移りましょう。私はスニールさんのオープンイノベーションに関するお考えに、特に感銘を受けました。スニールさんは、オープンイノベーションの本質を、認識さえされていないかもしれない顧客の問題に対処するための、外部テクノロジーや企業との共同作業であると主張されています。オープンイノベーションが単なるテクノロジー重視ではなく、顧客主導であるべきだと強調する姿勢には説得力があります。この考えについて、もっと詳しく説明していただけますか?

グプタ

企業はイノベーションを考える際には、素晴らしい発想をして新しい解決策を見つけてくれる、できるだけ優秀な人材の雇用を考えると思います。しかし社内にどれだけ優秀な社員がいても、世界には他にも優秀な人材が大勢いるのです。

オープンイノベーションの基本的な考えは、特定の問題に全く異なる方法で取り組むであろう、こうしたたくさんの人の洞察力や専門知識を、いかにして活用するかということなのです。

例を挙げましょう。

NASAにはもちろん、非常に優秀なロケット科学者が大勢いますが、NASAは太陽光から最大限の電力を得るために国際宇宙ステーションをどう配置したらよいかという問題に直面していました。もちろん技術的な問題もあって、うまく配置しないと、ソーラーパネルの一部が壊れてしまう。なおかつ影にならないようにして、ソーラーパネルからできるだけ多く発電したい。NASAの科学者たちは、長いこと苦労してきました。

NASAには優秀な頭脳が集まっているのだから大丈夫、自力で解決できるだろうと想像されるでしょう。ところがNASAはコンペを開き、ロケット科学者だけでなく誰でも参加できるようにして、「この問題をぜひ解決してください」と言ったのです。そうしたら、解決策への報酬は3万ドルと大した額でもなかったのに、わずか数か月のうちに400人以上、2000件以上の解決策が集まりました。2か月で、たったの3万ドルの報酬で。

「だが使えるような代物だったのか?」と思われるでしょう。それが何と、NASAが何年もかけて考えたものよりも優れていたのです。NASAは非常に驚きました。これはハーバードとの共同プロジェクトだったのです。それなのにこの人たちは、どうしてこんな短期間に一流の科学者が揃っていたNASAよりも革新的な発想ができたのだろうと、すっかり驚いてしまったのです。

他の多くの事例でも、同じことが起きています。なぜかというと、社内の専門家や科学者は、決まった考え方をするからです。皆、一定の考え方をするように、一定の方法で訓練を受けているので、一定の考え方をするのです。ですから世界レベルで募集すると、同じ問題でも200もの違った取り組み方が出てくるのです。こうした多様なアプローチは、1つの方法で考えるよりも、解決策を見出すためには時に非常に役に立ちます。

オープンイノベーションが有効である2つ目の理由は、大抵の場合、組織内の人間は平均的に見て非常に優秀ではあるけれど、とことんまでやってみることはほとんどないからです。一般的に、あまりに途方もない可能性には手を出さない。外部の人間は違った角度から物事を見ているので、大抵はその解決策をとことん試してみる。ですからその唯一の解決策が、全く見方が違う人間がやるとうまくいったりするのです。

3つ目に言いたいのは、製品の利用者は製造している会社よりも、その製品をどう改善すればよいかをよく知っている、それを示す研究がたくさんあるということです。メーカーは実際に使用したことがないので、わかりません。もし私が特定の製品やテクノロジーを使っているなら、それにどんな問題があって、どう改善したらよいかわかります。こうした利用者が意見を出してくれたら、それは非常に、非常に有益なのです。

山口

社員が会社の内側から極端な価値を生み出すのは難しいことがわかりました。顧客にとって大事な、もっと現実的な価値を生み出すためには、企業は外部と協力する必要があるのですね。続いて、スニールさんは、バリューチェーンを見直すための重要な要素としてオペレーショナルエクセレンスとオムニチャネル戦略を挙げておられます。オムニチャネル戦略の考え方に基づき、これらの要素を評価していただけますか?

グプタ

オムニチャネル戦略とは、簡単に言えば、顧客は興味やニーズに応じて複数のチャネル経由で購入ができることで、どのチャネルにも特定の機能があります。これは今では、非常に一般的な戦略になったと思います。たとえばウォルマートなら、実店舗だけでなくオンラインストアもあり、店頭で買うことを好む顧客もいるし、オンラインの方がいいという人もいます。今いる場所によって、両方とも可能です。これがオムニチャネルの基本的な考えで、両者は補完的であり、代替関係にはありません。

この補完性は、様々な形で見られます。製品間の補完性もある。たとえば保険会社は通常多くの代理店を抱えていますが、デジタル時代になって疑問を持ち始めています。なぜ代理店が必要なのか?消費者は直接当社のウェブサイトにアクセスして、適切な保険商品を選べるのに。代理店はもう不要ではないか?このチャネルは重要ではないのでは?……答えは「ノー」です。なぜなら、単純な商品ならウェブサイトで販売できますが、保険商品や金融商品にはかなり複雑なものがあるからです。

新しい顧客にとって、単純な商品を探すにはウェブサイトが楽かもしれませんが、投資や保険などニーズがずっと複雑な場合は、様々な選択肢を説明してくれる人と実際に話す必要があります。単純な商品にはウェブサイトは有益かもしれませんが、複雑な商品には代理店チャネルが有益です。これが商品間の補完性と言えるでしょう。

顧客についても同じです。一部の銀行は、若い、テクノロジーに精通した消費者にはデジタルチャネルやモバイルチャネルの方がずっと強力である一方、それ以外のタイプの顧客にとっては実店舗の方がはるかに有効であることに気づいています。顧客行動が違うのです。顧客体験の段階によっても同じことが起こり、ある特定のチャネルを使うかもしれないし、他のチャネルを使うかもしれない。それがオムニチャネルの考え方だと思います。異なる顧客のために異なるチャネルが異なる時点で異なる役割を果たすのです。それを理解する必要があります。

山口

ありがとうございました。オムニチャネル戦略を立てる際には、商品、顧客、顧客ライフサイクルの補完性を考慮すべきなのですね。

グプタ

フランスの小売業者カルフールを例に挙げてみましょう。同社も、電子商取引で食料品販売を始める必要があると気づきました。利益率の低い事業ですが、消費者がその方を好むからです。しかしオンラインでの食料品販売で利益が上がらないなら、何の意味があるでしょう?なぜならカルフールは、オムニチャネルの顧客の方が、店頭だけ、あるいはオンラインだけ買い物をする顧客よりも遥かに多くの利益をもたらしてくれることにも気づいたのです。それぞれのチャネルを独立したものとして考えず、オムニチャネルのメリットを捉えるべきだと思います。

content-image
山口

それではフレームワークの3つ目「顧客との繋がりを再構築する」に移りたいと思います。この部分でスニールさんは、適切な顧客を獲得するための重要な考え方、「200対20の法則」を紹介されています。顧客の20%が、200%近い利益をもたらすというものです。私はその観察眼と洞察力に非常に感銘を受けました。スニールさん、いかにして適切な顧客を獲得したらよいのか、詳しく教えていただけますか?

グプタ

わかりました。次のスライドお願いします。顧客について考えるには、顧客の2つの側面を考慮に入れる必要があります。顧客が製品やサービスから得る価値、それが横軸です。顧客のために私たちがいかに価値を生み出すか、です。縦軸は、いかにして顧客から価値を得るか、です。これは基本的に、私たちに入る利益です。横軸は私たちがいかに顧客に価値を提供するか、縦軸は私たちにがいかに顧客から収益を上げるかです。一方がマーケティング、もう片方は財務といった感じですね。

content-image

顧客はこの4つのボックスのいずれかに当てはまります。理想的なのは右上のボックスの、私が「スター顧客」と呼んでいる顧客です。製品やサービスを気に入って大きな価値を得、私たちも大きな利益を得る。いわゆるwin-win、顧客は私たちを気に入ってくれ、私たちも彼らを気に入っている状況です。一方、フリーライダーのことを考えてみましょう。この場合顧客は、私たちの製品が素晴らしく、低価格で、値引きが大きいので満足ですが、私たちの方はあまり利益があがりません。これはよい状況とは言えません。こういう人は基本的にフリーライダーです。たくさん顧客がいても私たちは儲かりません。

一方、左上のボックスの脆弱な顧客を見てみると、私たちはこれらの顧客から多くの収益を上げていますが、彼らは私たちからあまり価値を得ていません。なぜ、いまだに私たちのところで買うのでしょう?単に選択肢が少ないからかもしれません。

たとえば私が、町に1社だけのケーブル会社だとしたら乗り換えるわけにはいかないでしょう。しかしその会社のサービスが特に気に入っているというわけではない。もし、別な選択肢が現れたら、すぐに乗り換えることでしょう。

さて、それではなぜ、こうした4つの分類が大事なのでしょうか?もし自分の企業の顧客のうち何人がどのボックスに入るかわからなければ、自社の市場シェアを見ても、素晴らしい、なかなかいいシェアだと感じるかもしれません。でももし、顧客の大部分がフリーライダーだとしたら、それは悪い顧客構成なのです。

山口

適切な顧客構成に力を入れることが、非常に大事だということがわかりました。

次に、弊社のデジタル戦略フレームワークについてご説明したいと思います。弊社では、デジタル技術はビジネスによい影響を与えると考えております。特に、ユビキタス化、パーソナライゼーション、ワンストップ顧客サービスを通じて、顧客体験を高めることができると信じています。

content-image

バリューチェーンに関しては、自動化とデータ主導のアナリティクスにより、詳しい実態を把握し、それによるコスト削減と従業員の能力向上を目指しています。最終的な目標は、お客様が抱える真の課題を解決することにより、お客様に支払い意欲を高めていただくことです。私どもは、既存企業がデジタル変革に成功するためには、このことがきわめて重要だと考えております。

企業のデジタル変革成功の鍵は、たとえば顧客からの信頼といった、既存の強みを活用することにあります。そのためには、お客様にご提供した価値を再発見・再発見することが不可欠だと、私は思っております。これを達成するには、デジタル技術の活用は非常に重要です。これには以前はなかった新しい能力の獲得、デジタル技術による既存の能力の強化が含まれます。

content-image
content-image

デジタル変革の成功を促進する弊社のフレームワークは、3つの主要な要素から構成されています。1つ目は、顧客ベースのサービスの検討。2つ目はバリューチェーンの検討。最後に、ビジネスモデルの計画です。

content-image

弊社はまず、顧客体験をいかに向上させ改善するかを考えます。それが、新しい顧客価値の提供につながるのです。

弊社の2つ目のステップは、弊社のバリューチェーンがいかにしてこれを実現できるか把握するために、バリューチェーンを検討することです。

最後のステップは、これを実現するビジネスモデルを計画することです。いかにして顧客体験を向上させ改善できるか、いかにしてバリューチェーンに価値を付加できるか、それを把握してこそ初めて、収益モデルやコスト構造を構築し、ひいては収益を生み利益を増大させる方法も影響するようなビジネス判断が可能になるのです。

顧客が抱える真の問題を特定するための1つ目のキーポイントは、顧客の根本的な課題を把握することです。そのためには、会社の目標、任務、価値観を現在の実際の顧客体験に適合させ、その基盤の上に新たな顧客課題と価値を創造しなければなりません。

顧客価値を創造するための基本的な考え方は、顧客が純粋に取り組みたいと思っている課題に、デジタル手段を使って取り組み、解決するということです。弊社ではお客様の根本的な課題を解決するためには、お客様が製品やサービスを購入した後でそれをどう使っているかに注目することが非常に大事と考えています。

たとえば保険は通常、自動車事故のような時に使われます。お客様の課題は、事故が起きた時、スムーズに効率よく解決してもらうことです。ですから、重要なのは、この特定の課題に取り組むためのデジタルサービスの開発です。この場合は、スムーズで包括的なソリューションですね。さらに顧客が抱える課題に関して見方を広げると、自動車を運転する際の最重要課題は交通事故の回避です。ですから、事故が起こらないサービスを提供すれば、より大切な顧客課題に取り組むことになります。

content-image

これを実現するために、保険会社はドライバーの行動を監視するセンサーを自動車に搭載したり、ドライバーに警報を発したり、事故多発地域の情報を提供したりするデジタルサービスを検討してもよいでしょう。これらのデジタルサービスは安全性を高め、事故の危険性を最小限に抑えることが目的としており、顧客のさらに根本的な課題を解決するものです。

content-image

顧客の課題にデジタル技術で対処するデジタル時代には、もう1つ重要なポイントがあると思います。1つは顧客課題の解決ですが、もう1つは提供したサービスに対する顧客のフィードバックや反応を掴み、そのフィードバックを使ってサービスをさらに向上させることです。改善のためにはサービスを提供し、お客様の反応に関するデータを収集し、そのデータを分析し、それをサービス向上のために継続的なサイクルで利用しなければなりません。

content-image

最後に、顧客体験あるいはバリューチェーンについて考える時には、「デジタル・バイ・デフォルト」アプローチが必要です。デジタル技術の活用を考える際には、緊急の課題を解決するために表面的なプロセスや目の前の業務のデジタル化に集中しがちです。

しかし私は、このアプローチは課題解決を目指す真のデジタル変革ではないと思います。保険会社の場合、既存の申込みプロセスをデジタル化・効率化して顧客の利便性を図るだけではなく、そのプロセスの中にある真の課題、すなわち顧客に最適な保険商品を提案し、契約を確保することに焦点を当てるべきです。そのためには、私たちは既存のプロセスにとらわれず、スマートフォンのようなデジタル技術を使い、ビッグデータやAIを活用した新しいプロセスを構築する必要があります。私はこうした考え方が不可欠だと思います。

content-image

まとめますと、弊社では変換、接続、アルゴリズム、認知などのデジタル技術を駆使することで、企業は顧客体験やバリューチェーンを変革できると考えています。このアプローチは単に従来のプロセスを変えることではなく、本当の課題や問題に対処するための新しいプロセスを設計することに重点を置いています。弊社では、この文脈における「デジタル・バイ・デフォルト」の考え方を重要視しているのです。

content-image

弊社のフレームワークについてお聞きいただき、ありがとうございました。それではデジタルリーダーシップの話に戻りましょう。

フレームワークの4つ目「組織を再構築する」で紹介されている、伝統的なプロセスと新しいテクノロジーに関するあなたのフレームワークはとてもユニークでした。移行期間の管理に関して、示唆に富んだ引用がいくつかありました。移行のスピードが遅いほど、時間の経過に伴う累積損失や利益の減少損失が大きいということには、私は全く同感です。さらに、移行スピードに影響を与える3つの要因のほか、パイロット試験に関するあなたのお考えはすばらしいものでした。

それからスニールさんは、移行の3つのステップについて言及されました。私は移行の1つ目には全く同感ですが、2つ目と3つ目については詳しい解説をお願いしたいと思います。

スニールさん、なぜ企業は技術プラットフォームを一般に公開すべきだとお考えなのですか?エコシステムを作るのが目的でしょうか?

グプタ

繰り返しになりますが、多くの場合、テクノロジーの構築は、自社のためだけでなく、顧客との取引をより良く、より簡単にするためにするものだと思います。

ですからアマゾンが全社内用技術プラットフォームを構築した時は、第三者販売の業者もシステムに接続できるようにし、それがのちにアマゾンウェブサービス(AWS)になりました。ゴールドマン・サックスが自社プラットフォームを構築したとき、当初の目的は社内の組織の壁を解消することでしたが、その後、「社内の意思疎通がやりやすくなったのなら、顧客との取引も部署を越えてやりやすくしたらどうだろう」と考えたのです。企業側にとって都合のよいプラットフォームは、顧客にとってもよいものであるに違いありません。

それは自社が顧客番号ゼロとなって技術を改良し、他の顧客も使えるようにするようなものです。それは顧客のためにもよいことだし、強力な収益源にもなります。それがステージ2の基本的な考えです。

ステージ3とは、ネットワーク効果を狙ってまだ顧客にさえなっていない第三者にこのプラットフォームを開放することです。これはアマゾンで見たような、販売者が増え購入者が増えるというネットワーク効果を生み、「勝者が全てを勝ち取る」という状況を生み出します。

山口

スニールさん、組織の立て直しに成功した企業の例があれば、教えていただけますか?

グプタ

大変よい例は、驚異的な仕事をしたマスターカードだと思います。2010年にアジェイ・バンガがCEOに就任した時、マスターカードはかなり伝統的なカード取引会社でした。基本的には取引ネットワーク提供事業者で、ビザに続く第2の大手企業でした。

そこでアジェイは、「わが社は伝統的な事業と、昔ながらの顧客である銀行にしか目を向けていないではないか。だが世界の取引の85%はカードではなく現金と小切手によるものだ。われわれはビザとアメリカンエキスプレスのことばかり考えているが、わが社の真の競争相手は現金と小切手だ。そうなると、視野が完全に開けてくるだろう」と言いました。そしてそれを認識したマスターカードは、既存の事業を成長させつつ様々な事業へと多角化するための戦略を練りました。そして全く違う技術プラットフォームを構築したのです。今やマスターカードは、サイバーセキュリティの主要企業の一つでもあります。

顧客が銀行であれば、サイバーセキュリティサービスまでその銀行に提供します。10年前にはなかったイノベーションサービスも提供します。今日では同社の収益の35%近くが、カード取引ではなくサービスによるものです。その方が、はるかに収益性が高く、事業の持続性も高いのです。マスターカードの市場規模は10年で350億から3500億に増えました。これは組織大変革の驚くべき事例です。金融サービスはもちろんテクノロジーの影響を大きく受けるものですから、これにはリーダーの先見の明のみならずテクノロジーも大きな役割を果たしました。

山口

この部分には、モーターボートの比喩も出てきました。この比喩のおかげで、既存事業とシナジー効果がある分野において企業がどのように変革に取り組むべきか、よくわかりました。スニールさん、新しい組織は既存の事業とどのような関係を築くべきか、この比喩でご説明いただけますか?

グプタ

企業が新しい分野に進出する時、全く新しい変革を行う時には、その革新組織を中核組織の内部に置くべきか、それとも外部に置くべきかという疑問が常に出てくると思います。過去には多くの企業が別組織を作りました。それは単に、本業である伝統的事業の中に置くと、伝統的事業の官僚体制がこうした新しい変革を成長させてくれないだろうと考えたからです。それなら別組織にして、風通しをよくして変革を育てよう。ある程度は、それもよい考えです。しかしこうした独立組織に起きたのは、モーターボートのような現象でした。

大企業を、大きな船だと思ってください。そこでモーターボート、つまり新しい変革組織を立ち上げます。でも大抵の場合そこで企業が気づくのは、モーターボートはいくら走っても本船の方向は変えないということです。その理由は、独立した変革組織は中核事業とあまりに切り離されているので、変革を思いついて中核事業に持ち込んでも、中核事業の幹部は、「それはうまく行かない、中核事業とは関係ない、なんのつながりもないから」と言うだけなのです。

現在、ほとんどの企業が最良の方法と考えているのは、当面は組織の外で全く新しい事業を始めるものの、後にそのモーターボートを本船に繋げ、時機を見計らって本船に引き上げるというものです。モーターボートを走らせること自体が目的ではありませんから。目指すのは、本船の方向転換です。モーターボートにある程度スピードを出させれば、本船に繋がっているので本船の進行方向が変わります。そして適切な時機が来たら変革を中核事業に持ち込むのです。長く待ちすぎると、本船とモーターボートとの接続がなくなってしまうのでいけません。

山口

わかりやすいご説明ありがとうございます。シナジーを起こすために、企業がいかにスタートアップや(新規事業の)グループ会社と協力して組織を育てていくべきかがよくわかりました。シナジーは非常に重要ですね。

最後に、デジタル段階における人材管理について触れられていますが、デジタル変革のためには、どんな人材が必要だと思いますか。

グプタ

今日では、私たち全員がスキルアップし直さなければならないと思います。

なぜなら、かつての私たちの働き方は非常に違ったものでしたから。

たとえば新型コロナウイルス前は、私たち教授は皆、黒板のある教室で対面授業をしていました。しかしパンデミックが始まると、同じようにはできなくなりました。ズームを使った教え方など、新しいスキルを学ばなければなりませんでした。ズームなど誰も知りませんでしたが、覚えざるを得なかった。これが一例です。しかし古い方法で働いていた人々は、この再スキルアップを嫌がります。新しいスキルでは、以前のようにうまく仕事ができないのではないかと心配だからです。私も初めは、ズームでは教室でのようにうまく授業ができませんでした。実際の教室での私の教え方は、オンラインでするのとは違っていたからです。でも時間と共に、学習するものです。

企業は、従業員が学習するための資金を提供するとともに、失敗したり以前ほど成績を上げられなくてもよいように時間も与えなければなりません。新しい言語、新しい技能を学習するのには、時間がかかるのです。従業員が学習するための資金も時間も与えられなかったら、このアイデアはうまくいかなったとたくさんの理由を上げ始めてしまい、新しいイノベーションは決して浸透せず、新技術の取り込みも実現しません。

山口

スニールさん、『Driving Digital Leadership』に関する詳しいご説明をありがとうございました。次のセッションに進む前に、弊社のフレームワークをご紹介したいと思います。

弊社ではデジタル技術は、顧客情報の収集、内部処理、実験にかかるコストを削減すると考えております。結果として、フラットで顧客中心の経営アプローチが最もデジタルビジネスに適しています。そのためには伝統的な組織とは異なる経営スタイルが求められます。

content-image

デジタル変革を成功させるには、リーダーは伝統的なビジネス組織とアジャイルな組織を効果的に調整しなければならないと考えております。弊社ではこれを「ハイブリッド経営」と呼んでいます。ハイブリッド経営は、データを基盤とした管理に特に重点を置いています。データを利用して伝統的なビジネス組織とアジャイルな組織を管理するには、適切な尺度の設置など多くの課題があることが知られています。

content-image

こうした役割を担うリーダーは、多様な分野の知識が必要ですが、私は最も重要な素質のひとつは、このスライドに示されているとおり、対人能力だと思っています。デジタル変革を推進するためには、仮説を持つことはきわめて重要で、この仮説を評価する思考法を確立することが不可欠です。私はこれを「仮説(Hypothesis)」「計画(Plan)」「実験(Experiment)」「検証(Review)」の頭文字をとって「HYPER」と呼んでいます。

content-image

さらに、これはひとりの個人に限ったことではありません。それぞれの知識を組織の中で共有し、共通の知識に変えることが必要です。ですから私は、共有のためにHYPER+SHAREというダイアグラムが必要と考えるのです。

content-image

第2部に続く。

この記事の対談動画はこちら

Profile
author
author
Yamaguchi Shigeki
山口 重樹
株式会社NTTデータ経営研究所 代表取締役社長
author
author
Sunil Gupta
スニール・グプタ
ハーバード・ビジネス・スクール 経営学教授

ハーバード・ビジネス・スクールのエドワード W. カーター記念教授であり、同校マーケティング・ユニットに所属。また、ハーバード・ビジネス・スクールのGMP(General Management Program)の主査であり、かつデジタル時代の事業戦略の転換(Driving Digital Strategy)講座の共同主査も務める。MBAおよびAMP(Advanced Management Program)ではデジタルマーケティング戦略を教えている。

連載一覧

TOPInsightトップ・インタビュー山口社長とスニール・グプタ教授の対談【第 1 部】