株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:山口 重樹 以下、当社)は、2022年度に京都府京都市(市長:門川 大作)と共同で実施した、ナッジを活用したタクシー駐停車マナー改善実証について、下記2つの賞を受賞したことをお知らせします。
■ 行動経済学会・環境省 「ベストナッジ賞」コンテスト2022:
ベストナッジ賞(環境大臣賞)
■ 一般社団法人 日本広告業協会
第10回 広告業界の若手が選ぶ、コミュニケーション大賞(JAAA若手大賞):特別賞
一般社団法人 日本広告業協会
第10回 広告業界の若手が選ぶ、コミュニケーション大賞(JAAA若手大賞):特別賞
行動経済学会・環境省 「ベストナッジ賞」コンテスト2022:
ベストナッジ賞(環境大臣賞)
ナッジ(nudge)とは
行動科学の知見を活用して、人々のより良い行動を後押しする政策手法です。「nudge=肘でそっと押す」という原義の通り、選択肢の制限(禁止や罰金など)をせずに、人間の意思決定特性(認知バイアスなど)を踏まえた「ちょっとした工夫」で、人々の行動に変化を起こす点に特徴があります。
2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者リチャード・セイラーが、キャス・サンスティーンとの共著『Nudge』(2008年)において提唱し、今では世界各国の行政機関で活用が進んでいます。
タクシー駐停車マナー改善ナッジの概要
京都市内有数の繁華街である四条通では、一部のタクシーによる交差点・横断歩道付近での客待ち駐停車が頻発しており、近隣バス停におけるバス発着の妨げや交通渋滞の要因となっていました。
本実証では、人間の心理的な特性などを踏まえた工夫によって人々のより良い行動を促す「ナッジ」を活用した看板を設置することで、タクシー駐停車マナーの改善を目指しました。その結果、看板設置後は設置前と比べ、1日あたりの違法停車時間が約9割減少したことが確認されました。
(図)上:歩道側に設置した看板 下:車道側に設置した看板
(参考)
ニュースリリース https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/220530.html
詳細解説 自治体ナッジシェア https://nudge-share.jp/
2022年度ベストナッジ賞(環境大臣賞)について
「ベストナッジ賞」コンテストは、環境省および日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)が行動経済学会と連携し、幅広い分野にわたる社会・行政の課題解決に向けて、ナッジ等の行動科学の理論・知見を活用して行動変容を促進し、効果を測定した実績のある取り組みについて環境大臣賞を表彰するものです。
2022年度は、多くの取り組みの中から、有識者による審査、行動経済学会第16回大会におけるプレゼンテーション審査を経て、上位4件がベストナッジ賞(環境大臣賞)として選定され、当社の取り組みもそのひとつとして選出されました。
講評 (選考委員長:大阪大学 佐々木周作先生)
「タクシー駐停車マナー改善ナッジ」は、窓付き看板でタクシー運転手と利用者の両方に介入している点、利用者の参加により介入効果の増幅を試みている点がユニークで、選考委員会で高く評価されるとともに、行動経済学会第16回大会来場者による投票において最多の票数を獲得されました。
(参考)
行動経済学会ベストナッジ賞 http://www.abef.jp/prize/bestnudge/
「ベストナッジ賞」コンテスト2022の結果についてhttps://www.env.go.jp/press/press_01069.html
第10回JAAA若手大賞 特別賞について
「広告業界の 若手が選ぶ、コミュニケーション大賞(JAAA若手大賞)」は、 一般社団法人 日本広告業協会が主催。広告業界活性化の一助となることを目的とし、広告業界の次代を担う若手によって優れたコミュニケーション事例を表彰するアワードです。
当社の取り組みは、一般的な広告ではないものの、社会課題解決に寄与したクリエイティブとして特別賞を受賞しました。
講評
アイデアの明快さと、突出した成果が目立った好事例。たった一枚の単純な看板で、9割近い成果を出したという点は、誰もが目標にしたい点ではないかと思う。また直接的に駐停車禁止と訴えかけるのではなく、当事者に第三者(歩行者)の視線を意識させることで、自ら行動を変えるよう促したという点もポジティブに響いた。
ナッジに限らず、業界外の視点や手法を活用する柔軟さにも、今後のコミュニケーションビジネスにおいての可能性を感じた。
(参考)第10回 JAAA若手大賞 審査結果発表
NTTデータ経営研究所におけるナッジに関する取り組み
人は必ずしも正論だけでは行動しないことを前提に、弊社では、行動変容(ナッジ等)に関する脳科学、意思決定科学、データサイエンス、行動変容の対象領域の専門コンサルタントによる社内横断型専門チーム「行動デザインチーム」を2019年に設置。サービスを届けたい相手の行動分析、効果的な行動変容施策の立案から検証まで、科学的根拠に基づきつつ相手の心に届くことを目指す「行動デザインコンサルティングサービス」を提供しています。
(参考)行動デザインサービス紹介ページ
https://www.nttdata-strategy.com/services/social/activation_design.html