株式会社NTTデータ経営研究所(以下、NTTデータ経営研究所)は、株式会社NTTドコモ(以下、NTTドコモ)、練馬区、SOMPOホールディングス株式会社、SOMPOケア株式会社と協力して、フレイルリスク「見える化」・行動変容促進による介護予防高度化ソリューションの実装化事業を提案し、東京都の「令和4年度 東京都次世代ウェルネスソリューション構築支援事業(連携プロジェクト)」(代表団体:NTTドコモ)※1に選定されましたのでお知らせします。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者が外出を控える暮らしが長引き、身体や認知の機能が低下するフレイルリスク※2や要介護になる危険性が高まっています。
本プロジェクトでは、昨年度に採択された「令和3年度 東京都次世代ウェルネスソリューションの構築事業(事業化促進プロジェクト)」※3の成果を踏まえ、練馬区協力のもと、高齢者が日常使用するスマートフォンのログから生活習慣に関する情報を収集します。
そしてAIを用いてフレイルリスクを「見える化」したうえで、健康行動や社会参加を促すことで、フレイルの予防につなげることを目標としています。さらに、本ソリューションを用いて住民への高品質なサービスの維持と自治体業務の効率化を両立させた持続的なビジネスモデルを検討します。
本プロジェクトは、実証実験契約締結後から2023年2月下旬まで実施することを検討しており、2023年度以降の継続的な事業化を目標に取り組みます。
プロジェクトの概要ついて
本プロジェクトは練馬区協力のもと、練馬区在住の高齢者に参加を募り、大きく2点を検討していく予定です。
- 自律的な健康行動や社会参加を促進するソリューションを活用した高齢者のフレイル予防の検証
- 都民への高品質なサービスの維持と自治体業務の効率化を両立させた持続的なビジネスモデルの実現
昨年度に実施した実証実験同様に、スマートフォンアプリから得られる生活情報ログを収集した後、NTTドコモの技術である「フレイル推定AI」が個人に応じたフレイルのリスクを推定し、行動経済学※4に基づいた健康行動を推奨するメッセージを通知することで、行動変容効果を確認します。
今年度は上記に加え、自治体や民間企業が実施する社会活動の場への参加を促す機能を開発し、その活用による健康行動促進、社会参加促進及びフレイル予防への効果を検証します。
また、本事業を通じて、住民・自治体・民間企業の三方良しを実現しながら、持続的なビジネスモデルの確立を目指します。
- 住民:社会参加やフレイル予防への取り組みのきっかけづくり(行動変容)と継続
- 自治体:医療費・介護給付費適正化や、スマートフォンの日常使いからのフレイルリスク者の把握・介入による業務負担軽減・効率化
- 民間企業:本事業で収集した多様なデータの活用による、より効果的な企業間の協業モデルの開発
昨年度プロジェクトについて※5
昨年度は、50歳~74歳の都内在住もしくは都内通勤者340人を対象に、個人のフレイルリスクやリスクに応じた健康行動をナッジ※6を活用したメッセージで推奨することによる、行動変容効果を検証しました。
約4ヶ月間の比較対照実験の結果、個人に寄らない一般的な健康改善メッセージよりも、個人のリスクに応じたナッジを活用したメッセージのほうが、健康行動の行動変容効果が高く、歩数や睡眠時間の改善効果が確認できました。
特に、フレイル予備軍※7に対して個人のリスクに応じたナッジを活用したメッセージを提示することで、約50%の人で健康行動の行動変容効果を確認することができました(成果公表準備中)。