スマートフォンの日常使いから、フレイルリスク(虚弱リスク)を「見える化」し、行動変容につなげる実証実験が東京都のウェルネス事業における事業化促進プロジェクトに選定※1
~コロナ禍で外出を控える高齢者の健康維持向上に貢献~

株式会社NTTデータ経営研究所(以下、NTTデータ経営研究所)は、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と協力して、スマートフォンの日常使いから、フレイル※2リスクを見える化し、行動変容につなげるプロジェクトを提案し、東京都のデータを活用した「次世代ウェルネスソリューション」構築に向けた事業化促進プロジェクト※3に選定されましたのでお知らせします。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者が外出を控える暮らしが長引き、身体や認知の機能が低下するフレイルリスクが高まっています。そこで、本プロジェクトでは、同意を得た上で、高齢者が日常使用するスマートフォンからアプリの利用履歴や、位置情報、歩数や睡眠など生活習慣に関する情報を収集し、フレイルリスクを「見える化」したうえで、住民に効果的に提供することにより、フレイルの予防につなげることを検討しています。また、本取り組みはフレイル予防による医療費・介護費抑制にも貢献します。

本プロジェクトでは、スマートフォンのデータからフレイルリスクを推定(特許出願中)し、行動変容につなげるため、実証実験契約締結後から2022年2月下旬まで実施することを検討しており、2022年度以降の事業化を目標に取り組みます。

■プロジェクトの内容について

プロジェクトの内容については、大きく2点を検討していく予定です。

  1. 普段の生活の中で、フレイルリスクの推定およびリスク対象者の見える化
  2. フレイルリスクが高い方への効果的な介入※4と行動変容の確認

具体的に検討している内容は、次の通りです。まず、プロジェクト参加に同意いただいたスマートフォンを保有する参加者に通常の生活を送ってもらい、スマートフォンのログを収集した後、フレイルを自動で解析する「フレイル推定AI」に情報を送ります。「フレイル推定AI」がフレイルのリスクを推定し、リスク推定の結果を本人へお返しすることで、QOLの向上や取り巻く家族などへの安心感の提供について検討します。そして、見える化による介護予防のサービスの活用促進、スクリーニング※5の効率化を検討します。

また、行動経済学※6に基づいた「人間情報データベース※7を活用したクラスタ分析※8などの実施を通じて、住民それぞれの思考や行動の傾向に寄り添いながら、個々のフレイルリスクの要因に効果的な介入方法の開発および行動変容を確認します。「人間情報データベース」は、約5万人分の個人の性格、文化、認知バイアス※9などの人間特性を把握したデータベースです。

プロジェクトの実施後は「フレイル推定AI」を高齢者施設や健康食品会社、健康機器メーカーへ提供するなど、ヘルスケア企業との協創を検討します。将来的には、参加者の健康診断のデータや気候情報などのオープンデータを収集し「フレイル推定AI」に集約することでAIの精度を上げていきます。

図:今年度の実証スキーム(予定)
図:今年度の実証スキーム(予定)

※上記の図は、現在検討中であることから変更になる可能性があります。

■フレイルリスクについて

フレイルは本人が気づかないうちに進行することから、健康状態からフレイルになる手前でフレイルのリスクを提示することで気づきを与え、健康的な行動に誘導する必要があります。従来のフレイル判定方法は、定期的な健康診断時に、握力測定やフレイルチェックリストへの回答などで推定するものでした。そのため、診断頻度が少なく、健康診断参加者のみのリスク把握しかできないことが課題となっていました。また、リスク把握後の健康状態を改善するために行われる治療や提案、アドバイスをお伝えする方法が限定されるため、効果的な行動変容につなげにくいことも課題となっていました。本実証を通じて、課題の解決を検討します。

今後もNTTデータ経営研究所とドコモは、AI技術をスマートフォンアプリと連携させ、普段の生活の中で自然と人々が健康になれる世界観を実現していきます。そして、医療、ヘルスケア領域における課題解決に貢献していきます。

※1 公募の結果、適切なものとして選定されていますが、今後契約予定です。

※2 フレイルとは、加齢に伴って身体の能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態であり、介護が必要となる前段階。

※3 データを活用した「次世代ウェルネスソリューション」構築に向けた事業化促進プロジェクト。
  https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/public-sector/articles/lg/tokyowellnessincubation2021.html

※4 介入とは、健康状態を改善するために行われる治療や行為。

※5 スクリーニングとは、集団の中から特定の条件などに合致する対象を選別すること。

※6 行動経済学とは、経済学のモデルに心理学的な要素をとりいれた手法。

※7 NTTデータ経営研究所の「人間情報データベース」は、2016年から構築を開始し、約5万人分の個人の性格、文化、認知バイアスなどの人間特性をこれまでに累計3,000項目以上取得しています。本データベースは、日本の縮図であり、社会実験やモデリングに最適な環境で、多数のソリューション構築・導入実績があります。
  URL:https://www.nttdata-strategy.com/dcs/about/index.html

※8 クラスタ分析とは、データ解析手法の一つで、多数のデータ群を似た特徴を持つ集団に分類する手法。

※9 認知バイアスとは、物事を認識、判断、思考する際に、これまでの経験や固定観念に従って、合理的でない結論にたどり着くことや、その合理的でない考えを意味します。

*「人間情報データベース」は株式会社NTTデータ経営研究所の登録商標です。

お問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所
社会事業基盤本部 ライフ・バリュー・クリエイションユニット
担当:北野、西口
Tel:03-5213-4048
E-mail:
Page Top