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経営研レポート

ESG経営の意義と地域のそれを支える地域金融機関が果たす本質的な「ESG金融」

2024.03.07
クロスインダストリーファイナンスコンサルティングユニット
マネージャー   大嶋 昭彦
コンサルタント  原 進一郎
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1.はじめに:「モノ」の捉え直しからESGへ

昨今、ことさらに耳にするキーワードに“持続性・サステナビリティ”がある。自然環境などに使われていたキーワードが、企業経営や行政、地域コミュニティの運営においても重要なキーワードとして持ち込まれていると考えられ、経営分野や金融分野では E:Environment, S:Society, G:Governance の頭文字をとって、「ESG経営」・「ESG金融」などといわれることも多い。

このような考えや理念は一過性の標語的なものなのだろうか。今までのカネを中心に評価される経済活動の指標が、いわゆる「ヒト・モノ・カネ」といった企業活動に必要なリソースの有限性や持続性を中心に検討される、または、検討することが可能な社会環境になってきたときに、“カネ”だけではない新たなモノサシで経済活動を評価する形式に変化していくと考えられる。

企業経営を検討する上で、「CSR:社会への責任をどう果たすか」という観点ではなく、「ESG:どのように持続的に企業活動を行うか」という観点への遷移は、近時のコロナ禍におけるサプライチェーンの寸断や、外出制限による経済活動の停止などを例にとると、分かりやすいのではないだろうか。資源確保のレジリエンスを整え、かつ経済活動の短期~長期での持続性は、これらの資源の有限性・持続性を念頭におき、長期的観点では生産時の副産物として生成されるGHG(Green House Gas)※1 の環境への影響(環境の許容・収容の持続性)を考えることは当然であり、本稿読者におかれても、合点がいくのではないだろうか。

特に最近では、「人的資本」という言葉や「人権DD ※2」など、「ヒト(資本・資源)」に関する議論を、読者もよく耳にされるものと拝察する。先述のとおり「モノ」の有限性・持続性と同様に「ヒト」を生産活動に投下される資源として考えた場合、その継続的(≒持続的)な財・サービスの生産を考える上で、当然に重要な要素といえる。特に日本においてはヒト、すなわち人的資本の問題は地方経済・社会において、もはや手の施しようがなくなる寸前の状況といえる。超高齢化の問題、人口の東京一極集中…と枚挙にいとまがない。こういった新たな資本環境の変化、特に財務資本から非財務資本に目を向けて、企業や地域(行政)が持続性確立や維持していくことに金融機関はどのように考えてアプローチしていくべきか。地域あっての地域金融機関が、地域の維持発展にかかわる循環を生み出していくことを目的にESG金融へ向き合う方法について論じたい。

2.一般的にいわれる直接的・間接的なESG金融

企業活動・経済活動を行うには、「ヒト・モノ・カネ」といった非財務資本+財務資本が必要となる。歴史的に見れば、原初「ヒト」「カネ」を有限ではないものとして経済モデルが論じられてきた。しかしながら、近年の状況は前述のような経済モデルでは、環境問題など山積する問題への対処が困難となってきた、というのがここまでの一般的な議論である。

ヒト資本でいえば、歴史的には過剰な低賃金・児童労働や長時間労働が徐々に禁止されていった流れが存在している。これは、環境などの自然資本についても、生産活動において排出されるGHGを許容できる有限性にもつながるものであり、これらの資本(資源)の有限性は既存の経済モデルにおける投入資源の有限性につながる。すなわち、そのような経済モデルのアプローチを再考する必要に迫られているといえる。

その結果、世界はESGを念頭に置いた持続可能な社会・経済の創出に向けた各経済主体(政府、企業、消費者)の価値創造への転換期を迎えている。※3

本稿では、主にESG経営に資するESG金融にフォーカスしたい。最も生産的な用途に資本を配分する役割を担う金融機能は、「持続可能」な企業やプロジェクトに投資配分してESG経営を行う企業を支援する役割が期待されているためである。

(ア)ESG金融の全体像

ESG金融は、以下の3パターンとその掛け合わせとして理解できる。(図1)

図1 ESG金融の概観

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出所:NTTデータ経営研究所作成 

「 A)直接・間接のESGファイナンス」では、これまでの財務的なモノサシの財務資本からESGを中心にした形の「直接金融」におけるファンド・ボンドの組成、「間接金融」としてインパクト投資やマイクロファイナンスが具体例として論じうる。欧州、アジア太平洋、北アメリカを中心にグリーンボンドの発行額が増加しており、ドイツではドイツ銀行が40億ユーロ(約5600億円)をグリーンボンドとして発行する ※4 など、各国で活発な動きが見られる。

次に「 B)ESGファイナンスに向けた付属サービス」として、IPOを含む株式上場時のSPOなど当該企業のESG対応に関するコンサルティングや、ESGファンダメンタル分析といった、各種ESG指標の定量化を挙げることができる。米国を主な舞台として、「B Corp」と呼ばれる認証制度を非営利団体のB Lab ※5 が運営しており、この認証を受けることで、社会や環境に配慮した公益性の高い企業であることを示すことができる。(同認定は、パタゴニア社、ダノンジャパン社、ネスレ子会社であるネスプレッソ社などが取得済み)この認定を取得するためのコンサルティングサービスもこの付属サービスの一つといえる。

また FTSE Russell ※6 では、「FTSE Russell ESGレーティング」を整備し、「調査対象企業の事業特性をもとに潜在的なESGリスクに対する取組みを評価」できるモデルを構築している。

最後に「 C)既存+新規サービスについてESG観点を主軸に事業変革を行っているサービス」では、既存の金融事業においては、マイクロファイナンスやマイクロインシュアランスといった小口金融などで金融包摂を実現するケースが挙げられる。モノサシとしての財務指標だけでなく、デジタル技術によってこれまで提供できなかった金融の在り方を実現するケースである。実際は、「 A)直接・間接のESGファイナンス」のようなケースにおいて、データ活用型でのビジネスを試み、今まで金融の与信機能で活用しきれなかった非財務情報をもとに貸付などのサービスを行うことが検討できる。日本では、金融機関において欧米諸国と異なり、既存の事業領域を超えて非金融業を営むことが規制上可能となっており、こういった非金融事業を合わせた形で価値提供できるケースも存在しているものと考える。

例えば、先述のような非財務資本情報は現在そもそもデータ化されていないばかりか、情報の収集手段がない状態である。人的資本情報を活用するような与信スコアリングを行うのであれば、人的資本情報を詳らかにするようなサービスを金融機関自身が展開する、または人的資本にかかわるような事業者との協働によってサービスを構築し、その中での情報を統計化・匿名加工などの適切な対処をおこなった上で金融・非金融の間でのデータの還流が考えられる。事業者や地方公共団体などの新たな可能性に目をむけ、日本ならではの金融包摂の再解釈や新たな価値提供を行うことで、様々なエンティティが晒されている局面に寄り添う金融機関の事業形態が検討できる。

(イ)国内のESG金融の動向

日本では、金融庁と東京証券取引所が公表したコーポレートガバナンスコードにおいて「サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題であるとの意識が高まっている。こうした中、我が国企業においては、サステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を一層進めていくことが重要である。」※6 と記載されるなど、機運が醸成されている。

地域金融機関でも、ESG金融に関する取り組みがなされている。地域の課題解決に向けたファンドの設立や出資の他、国際的な金融原則の枠組みに沿った融資商品としてポジティブインパクトボンドの提供を行うようなケースがここ数年の事例として見受けられる。ポジティブインパクトボンドは、企業活動が環境・社会・経済に及ぼす影響を包括的に分析・評価し、特定されたポジティブな影響の増大とネガティブな影響の低減に向けた取り組みに対して目標を設定し、モニタリングを実施することで、継続的に融資を通じて当該取り組みを支援していく、といった金融商品である。金融機能に当該者が生み出す持続性のある活動を促進させる機能を有している点で、拡張性のある金融商品として今後も活用する機会が増えてくるものと考える。

(ウ)人的資本開示ルールの整備と投資家の投資判断の変化

ESG投資では、これまで開示を問われてこなかった人的資本についても開示が求められている。例えばEUでは、対象が海外企業の欧州拠点も含めて人的資本を含めたESGの情報開示ルールの整備が進められている。米国でも、人的資本の情報開示のルール整備がなされている。米国では一部州において“反ESG法”といった特定の運用においてESGを念頭においた投資・運用を禁止する動きもあるものの、前述のような資本・資源の有限性などを考慮に入れれば、本来的な持続性を企業活動などに求める動きは、依然として重要である。こうした「ESGを重視した動きは一過性のものに過ぎない、ブームやルールメイク的なエコシステムの恣意的な潮流に過ぎない」ということはいえず、引き続き経済活動やその環境の持続性は重要なものと考える。

こうした各国の動きを受けて、非財務情報をESGの観点から分析して自らの投資判断に活用する投資家が増えている。つまり、高いESG評価を持つ企業を「持続的な成長力のある会社」と判断して投資する投資家が増えている。

これは直接金融上の話に留まらず、今後、間接金融、つまり融資などの事業性金融における金融機関の領域においても同様に活用されていくべきであり、その方向を加速させ、より広範にこういった事業体やそれらの集合ともいえる地域の経済の持続性に積極的に関与していくことが重要と考える。

3.具体的な地域金融機関等の取り組みの可能性

ここまでの検討は、あくまでも外国における直接金融などの情勢を中心に論じた「潮流」の観点が強かったが、「いかに地域金融機関などがこれらの状況に則して、金融事業や非金融事業を行い、総合的に地域社会などの持続性に寄与していくか」を検討する必要があると考える。

地域金融機関が行うことのできる、より具体的な取り組みは以下のような形と考える。

① 現状の企業や行政における取り組みでの気候変動リスクを適切に評価、またそれらに対する客体の対処を評価し、融資などを実行する。これにより、(地域)社会全体の気候変動に対する一定のレジリエンス確保の方向性を構築する。さらに、CATボンドなどのリスク移転型の金融商品などを用いて、総合的に(地域)社会の気候変動リスク対処を行い、自身が根ざす地域のサステナビリティを確保する。ひいては自身の金融事業のサステナビリティを創出する。

② ここまで議論のあったような各種非財務資本に着目し、それらのマネジメントに寄与するようなソリューションをデジタル・フィジカルの両面で展開する。地域の非財務資本を中心としたリソースを企業単位の他、地域などの面単位で把握し、それらの将来予想を企業群や(地方)行政と連携して行っていくことで、地域の持続性を先見的にとらえていく(地域のシンクタンク的立ち位置)。これにより、①のような金融手法と合わせ、社会の非財務資本に対する社会的リスク対処を行い、自身が根ざす地域のサステナビリティを確保する。ひいては自身の金融事業のサステナビリティを創出する。

では、これらの観点をどのように各地域にビルトインするのか。特に②における地域の非財務資本を中心としたリソースの実態把握は「把握した情報をデータ活用の基礎として活かし、(金融機関の兼業としての)非金融事業を行うにあたって、どのようなものを選択し、いかに事業展開していくか」といった観点にも影響してくる。

これは、先述のような非財務資本情報をもちいた、新たな金融包摂の取り組みの拡張・派生型のモデルを考えていく上で非常に重要な観点と考える。

ここからは、これまでの議論を前提とし、金融機関がこれらの地域社会のステークホルダーとどのように接し、検討を深めていくかについて論じる。

4.銀行産業の特殊性と各経済主体とのかかわり方

(ア)銀行産業と経済主体の関連性

ESG経営を各地域で進めていくために、「銀行」、中でも「地域金融機関」に注目して論じたい。地域金融機関は企業のほか、行政との関係も含め、他の金融機関以上に立地する地域の持続性創出に密接にかかわっている。むしろ、地域の持続性に向き合わざるを得ない状況に置かれていると考えられる。

前段として、まず銀行と各経済主体との関係を整理したい。一般的に「銀行」という産業は、資金循環のインフラとしての役割を持つ特殊な産業である。各経済主体と資金調整を接点として密接に関わっており、地域のESG・サステナビリティに深く根差した産業であり、関わる主体(ステークホルダー)が社会全体から地域経済まで広範にわたり、これらの主体なくしては金融事業自体が成立しない、そもそも「資金を融通する相手が存在しない」状況ではその存在意義自体に関わってくるものである。この点がまさに、地域の持続性創出に向き合わざるを得ない地域金融機関そのものである。

銀行は、各経済主体が成立することで自身の事業が成立しているため、自身の「ESG経営の推進」のほか、関わる「市民・家計(個人)」、「公共・政府」、「企業」のESG経営を促す、または促すような金融サービス(ESG金融)を展開する存在であり続ける必要がある。この関係性をまとめたフレームワークが下の図である。(図2)

本フレームワークでは、銀行を中心としてステークホルダーをマッピングしている。例えば、市民・家計は市民社会(NGO)を組成して公共・政府と相対し、企業に対しては消費者団体を介する。お互いの三角形が接するポイントは、お互いが互いの義務を果たしている様子を示している。このフレームワークは、銀行が対象とする規模や状況に応じてステークホルダーの規模も合わせて調整することができるため、引き続き地域金融機関が地域に果たす役割を論じる際にも用いたい。

図2 銀行を取り巻くステークホルダーとそれらの関係性

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出所:NTTデータ経営研究所作成

(イ)ESG経営を行う企業と地域金融機関の関わり

地域金融機関は、各地域でESG経営を行う企業を支援し地域を活性化する立場にあると考える。前述のフレームワークを、「地域」というスケールに調節すると、以下のように描くことができる。(図3)

図3 地域金融機関を取り巻くステークホルダーとそれらの関係性

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出所:NTTデータ経営研究所作成

つまり、「地域・地場で暮らす人」「地域・中小企業」「都道府県・市町村」の相互の営みを、地域金融機関がESGという切り口から捉え直し、ESG経営を行っている企業や中間団体(商工会議所等)をESG金融という形で支援・協働することで、地域内経済の維持・発展に貢献することができると考える。

もちろん、ESG経営を一時の流行と捉え、ポーズを取るだけの企業も一定数いると思われる。しかしながら、今後、各企業は自社に関わりのあるSDGsのマテリアリティに対して、ESGの観点から自社の戦略を論じることができなければ、地域外の投資マネーを呼び込むことが困難になっていくことは、これまで述べてきたような世界の潮流から明らかである。

当然のことながら、ESGに限らず先行して積極的に取り組んでいる企業がルールメイクしていくことが、ビジネスにおける常である。そのため、単にレギュレーション対応であると割り切り、最小限の対応で切り抜けようとしている企業は、近い将来、他社が敷いたレールを後ろから走らざるを得なくなってしまう可能性がある。

国内では、サントリーグループが、SDGsから自らのマテリアリティを特定し、2019年に「サントリーグループ サステナビリティ・ビジョン」を発表しており、ここまで論じたような人的資本に関する人権の状況などにも早々に表明を行った先進的な企業の一角といえるものと考える。(図4)

図4 サントリーグループのサステナビリティ・ビジョン

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出所:サントリーグループHP(https://www.suntory.co.jp/company/csr/management/

このビジョンの下、サントリーグループでは、具体的な数字を伴った中長期的な目標を立て、四半期に一度取締役会に報告するなど、推進体制を構築している。このように、先行してポジションを取り、対外的にプロモーションしていくことで、業界の潮流をけん引する機能もあり、なにより自らのブランドのポジションを内外に示すことができていると考える。

5.地域金融機関によるESG金融を通じた地域への貢献の在り方

最後に、地域金融機関におけるESG金融の可能性について議論したい。

銀行の中でも、とくに地域金融機関は、地域の企業への融資を通じて、企業活動を間接的にコントロールしうる力を有していると考えられる。これは、「銀行が先行的にSDGsなどの取り組みを評価軸として提示し、実際にその評価軸にマッチした企業との取引に軸足を置いていく」といったESG金融を通して、その地域全体のSDGsの取り組み、ひいては地域の持続性を創出・促進できる立場にあるといえるからだ。

また、地域全体を1つの仮想的な証券、ある種の地方債(行政主体でありつつ銀行が発行体を担う)として組成し、他の地域・海外からの資金引き込み手を担いつつ、適宜そのファンドを再配分することを狙うような活動も一考に値する。現状このようなケースは地域創生ファンドなどに地域金融機関が関わることで遂行されているが、一歩、近時のテクノロジーを念頭におけば、外部からの資金流入においてはセキュリティトークン、内部における持続性への貢献者へはNFTや地域通貨トークンのようなものを付与して報償するといった、いわゆるトークンエコノミーのような経済圏を組成し、その主導を地域金融機関が担うことも十分に実現の射程に入ってきていると考える。

このような世界で投資基準として採用されているESGの基準に照らして、自らの地域をアピールすることで、地域外から資金を流入させ、自らの地域を活性化させることも地域金融機関が期待される役割の一つであると考える。

非財務情報の観点でこれまでの議論を加味して追加的に議論をすると、すでに一部の地域金融機関でも動きが見られるが、銀行のこれまでの信頼を基盤に、その地域の人材資本を可視化し、人材と企業とを引き合わせることで地域活性化に貢献する、という取り組みも考えられる。地方公共団体や銀行といった、すでに一定の信頼を勝ち得ている経済主体が中心となり、リスキリングや企業支援、新興tech企業への投資を進めていくことも今後ますます重要になっていくと考える。

以上のような取り組みが、地域金融機関の本来の価値を起点としつつ、ESGの観点にも耐えられる形での地域社会への価値提供であり、自らと自らが根を下ろす地域をサステナブルにする取り組みであると筆者は捉えている。

これらを実現するためには、各地域で暮らし、実際に経済活動を行う市民や企業についての高鮮度で深い情報が欠かせない。これらの情報を得ていくためには、従来の金融業の範疇の外に出て、これらの情報を取集できるような仕掛けを作っていくこと、その情報のデータ活用においては、データの主体の同意だけでなく、安全で透明性のあるデータ活用のモデルを構築・運営し、元々の信頼を棄損せず、新たな「(お金だけでなく)情報も預けられる地域の担い手」というポジションを確立していくことが肝要と考える。

6.おわりに

本レポートでは、ESGに着目し、地域金融機関だからこそ取り組むことができる地域経済の維持・発展のためのESG金融について論じた。ESG金融は日々発展を遂げており、その目指す世界観は一朝一夕には実現できないことは承知しているが、だからこそ今から取り組む価値があるものと考えている。実現にあたって、当社がその一端を担うことができれば望外の喜びである。

※1 GHG:暖まった地表面は、熱を赤外線として宇宙空間へ放射しますが、大気がその熱の一部を吸収する。これは、大気中に熱(赤外線)を吸収する性質を持つガスが存在するためであり、このような性質を持つガスを「温室効果ガス(Greenhouse Gas)」と呼ぶ。

※2 人権DD:人権デューデリジェンス(Due Diligence)一例で言うと、サプライチェーン上の過程などで、人権を棄損させるような行いが混在していないか等などの確認。2011年、国連人権理事会において、全会一致で支持された原則「ビジネスと人権に関する指導原則」では、ビジネスと人権の関係を、1.人権を保護する国家の義務、2.人権を尊重する企業の責任、3.救済へのアクセスの三つの柱に分類し、人権を保護する国家の義務を再確認するとともに、企業には、その企業活動及びバリューチェーンにおいて人権に関する諸権利を尊重する責任があることを明記し、人権尊重の具体的方法として「人権デュー・ディリジェンス」の実施も規定された。

※3 「サスティナブルファイナンス原論(編・著者名:ディアーク・シューメイカー/ウィアラム・シュローモーダ[著]加藤 晃[監訳]、きんざい)」

※4 https://www.reuters.com/article/idUSL4N2FQ3EK/

※5 https://www.bcorporation.net/en-us/

※6 https://www.ftserussell.com/

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