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アフターコロナ、成長のシナリオ~BBBで逆境を切り開く

2020.12.28

日経ビジネス2020年12月28日/2021年1月4日号

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進化する技術をいかに生かすか
本質を捉えたDXの戦略とは

コロナ禍をきっかけに、日本企業でもテレワークやペーパーレス化が大きく加速した。今、人々の価値観や働き方が大きく変わろうとしている。進化を続ける技術を、企業はどのように活用していけばいいのだろうか。2020年を締めくくる今回は、6月に社長に就任したNTTデータ経営研究所の柳 圭一郎氏に、最新の技術動向やデジタルを中心にした経営戦略の立案方法について、日経ビジネス発行人の伊藤 暢人が聞いた。

「DX」ブームの中で見失いがちな本質とは

――御社は戦略型コンサルティングファームとして企業や自治体のデジタル化をサポートされています。コロナ禍をきっかけに加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状をどのように捉えていらっしゃいますか。

「社名にNTTデータと入っているので誤解されがちですが、当社はITに限らず総合的な経営課題の解決をサポートしています。ただ、時代の要求として現在はITを活用した課題を取り扱うことが多くなっており、そこが我々の強みでもあります。

数年前までは、我々が企業や自治体に向けてデジタル化の重要性を訴えても正直反応は鈍かった。しかし今はデジタルを意識していない経営者はいないと感じるほどに浸透しました。

一方で、単にアナログをIT化したようなものも含めて、現在は何でもかんでもDXと表現する風潮があります。目先のIT化にとらわれるのではなく、世の中の大きな変化やトレンドの潮流を捉えたうえで、自分の会社がどうあるべきかを見極めることが必要です。つまり、自社の“コアコンピタンス”を理解するということです」

本来DXとは、「モバイルやクラウド、IoTやAIなどの技術を活用してイノベーションを起こす」という考え方だ。IT化そのものを目的とするのではなく、デジタルを活用し自社を変革する視点が必要なのだ。

技術起点の戦略ではなく未来予測から強みを定義する

――どのように自分たちのコアコンピタンスを見極めればよいのでしょうか。

「考え方として重要なのは、20年後、30年後の世界がどうなっているのかをイメージすることです。売り上げが下がっていると、どうしても小手先の戦略に走りがちですが、それでは会社の体力を奪われることになりかねません。まずは将来の世界をイメージして、そこで自分たちはどんな存在でありたいかを定義します。それをもとに今できる打ち手を考えていくことが重要です」

デジタルを活用した事業戦略というと、どうしても今ある技術を起点に考えてしまいがちだ。しかし、技術は日々進化するため、その考え方では方向性を誤ってしまう危険性があると柳氏は警鐘を鳴らす。

――航空機などの交通機関がコロナ禍で苦境に立たされていますが、同業ではなくテレビ会議ツールと闘うことになるとは誰も想像できなかったのではないかと思います。将来を予測するためのヒントがあれば教えてください。

「人類は感染症との闘いを繰り返してきました。振り返ってみると、今回のコロナ禍は事前には全く想像できなかったでしょうか? 同様に、将来を想像するためのヒントは、過去の歴史の中にあります。例えば、第1次、第2次産業革命では、人間の腕力や走力を補う技術が数多く生まれました。この先はおそらく人間の感覚や知能を補う技術が生まれるでしょう。また、限りなく空間の制約をなくしていく方向に技術が進化すると予想されます。それとともに、政治や意思決定、教育のあり方も変わるでしょう。そこにビジネスチャンスがあります」

自分と異なる感性をもった若手社員と議論したり、同社のような社外の知見を取り入れたりしながら、将来を予測する力が経営者には求められている。

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株式会社NTTデータ経営研究所

代表取締役社長

柳 圭一郎 氏

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NTTデータ経営研究所が最新の技術をもって解決をサポートする経営課題は非常に多岐にわたる

最新技術を武器に企業の成長を支援する

――様々な業界の課題解決をサポートする御社の具体的な事例をお聞かせいただけますか。

「最近では、リアルタイムに収集した情報を仮想空間でシミュレーションできる“デジタルツイン”といった領域の技術が加速しています。ヒット曲の予測などもその例ですし、キャンペーンの利用者数をバーチャルな世界でシミュレーションするなどはその典型です。当社の事例では、ある健康食品メーカーのテレビコマーシャルを、脳科学を利用して改善を加えたところ、実際に注文数が増えたという実績があります。

 マーケティング手法においても、これまでは過去のウェブの閲覧履歴や購買履歴から分析・提案していたものを、個人の性格や価値観、思考を掛け合わせて分析できるようになっています。面白いところでは、社員の性格を分析してプロジェクトなどで最適なチームビルディングも可能です。これは当社が保有する人の性格・思考を包含したデータベースとAIを活用しています。最新の技術によって、厳しい時代に闘っている経営者の皆さんのお役に立てると自負しています」

 数多くの知見と実績をもとに、同社は企業が変革の時代を乗り越えていくためのサポートに尽力する。

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本記事は、日経ビジネス2020年12月28日/2021年1月4日号に掲載されたものです。

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