logologo
Insight
トップ・インタビュー

生成AIがDXに及ぼす影響 ーAI自体が戦略ではないー

2025.09.17
(語り手)コロンビア大学 ビジネススクール教授 デビッド・ロジャース
(聞き手)NTTデータ経営研究所 シニアマネージングディレクター 山井 康浩
     NTTデータ経営研究所 シニアコンサルタント 田島 友梨香
heading-banner2-image

DXの目的は持続的な企業変革

コロンビア大学ビジネススクール教授 デビッド・ロジャースとと当社シニアマネージングディレクターの山井康浩、シニアコンサルタント田島友梨香が、生成AIの普及がDXにどのような影響を及ぼすかについて、教授の書籍「THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP(デジタル・トランスフォーメーション・ロードマップ)」の枠組みをもとに議論しました。

まず冒頭では、DX推進の現場での実体験や課題認識が共有され、DXの失敗要因と成功企業の共通点について話されました。成功のキーポイントは、明確なビジョンと重点課題への集中、そして迅速な実験と学習サイクル、柔軟なガバナンス体制であると強調し、単なる技術導入やプロジェクト列挙ではなく、戦略と学習の両輪が重要だとロジャース教授は論じています。

続く話題では、生成AIによるDXの可能性や限界について議論されました。

ロジャース教授は、生成AIは決して「魔法の杖」ではなく、企業にとっての“戦略”そのものになり得るわけでもないと語ります。むしろ、自社の課題や顧客ニーズから発想し、その解決に最適化された技術として生成AI等を選択検証し、失敗を恐れず実験と改善(カイゼン)を継続すべきだと提唱します。「ツール先行の発想」ではなく、「課題軸・ビジネス軸」からの技術選定こそが真の変革につながると強調しています。

終盤では、DX推進をめぐるグローバルなマクロ環境や人材多様化の問題にも話が及びました。日本ならではの雇用慣行の壁と人材流動性、グローバルな人材確保、そして新しい価値観の浸透といったポイントを踏まえた上で、ロジャース教授は、こうした要因を総合的に捉え、企業が「本質的な問い」を保ちながら、最適な組織・人材・パートナーシップを構築していく必要性を語り議論を締めくくりました。

【 スピーカー 】

デビッド・ロジャース(コロンビア大学ビジネススクール教授)

山井 康浩(株式会社NTTデータ経営研究所 シニアマネージングディレクター)

田島 友梨香(株式会社NTTデータ経営研究所 シニアコンサルタント)

【 目 次 】

  1. イントロダクションおよびロジャース教授のご紹介
  2. グローバルでのDXの進展とビジネス構造の変化
  3. 生成AIの高度化と社会への影響
  4. DXに対する生成AI普及のインパクト
  5. 消費者・個人の価値観の変容
  6. ビジネス環境の変化とDXへの影響
Profile
author
author
David L. Rogers
デビッド・ロジャース
コロンビア・ビジネス・スクール教授

ブランドおよびデジタル戦略の分野におけるグローバルリーダーの一人。顧客ネットワークとデジタル変革の先駆的モデルを開発。

コロンビア・ビジネス・スクールでは、エクゼキュティブ向けの教育プログラムのファカルティ・ディレクターとして、主にデジタル・ビジネスおよびデジタル・マーケティングを担当。

author
author
Yamai Yasuhiro
山井 康浩
株式会社NTTデータ経営研究所 ソーシャル・バリュー・ファイナンス室 室長/シニアマネージングディレクター(兼)グローバルビジネス推進センター センター長

日本銀行、外資系コンサルティングファームを経て、2025年NTTデータ経営研究所入社。この間、一貫して金融機関・事業に対するコンサルティングに従事。

長期ビジョン・中期計画策定、デジタル戦略策定・実行、グローバル成長戦略などに取り組む。また、本部生産性改革、ITアーキテクチャ改革などでも実績を持つ。

TOPInsightトップ・インタビュー生成AIがDXに及ぼす影響 ーAI自体が戦略ではないー