DXの目的は持続的な企業変革
コロンビア大学ビジネススクール教授 デビッド・ロジャースとと当社シニアマネージングディレクターの山井康浩、シニアコンサルタント田島友梨香が、生成AIの普及がDXにどのような影響を及ぼすかについて、教授の書籍「THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP(デジタル・トランスフォーメーション・ロードマップ)」の枠組みをもとに議論しました。
まず冒頭では、DX推進の現場での実体験や課題認識が共有され、DXの失敗要因と成功企業の共通点について話されました。成功のキーポイントは、明確なビジョンと重点課題への集中、そして迅速な実験と学習サイクル、柔軟なガバナンス体制であると強調し、単なる技術導入やプロジェクト列挙ではなく、戦略と学習の両輪が重要だとロジャース教授は論じています。
続く話題では、生成AIによるDXの可能性や限界について議論されました。
ロジャース教授は、生成AIは決して「魔法の杖」ではなく、企業にとっての“戦略”そのものになり得るわけでもないと語ります。むしろ、自社の課題や顧客ニーズから発想し、その解決に最適化された技術として生成AI等を選択検証し、失敗を恐れず実験と改善(カイゼン)を継続すべきだと提唱します。「ツール先行の発想」ではなく、「課題軸・ビジネス軸」からの技術選定こそが真の変革につながると強調しています。
終盤では、DX推進をめぐるグローバルなマクロ環境や人材多様化の問題にも話が及びました。日本ならではの雇用慣行の壁と人材流動性、グローバルな人材確保、そして新しい価値観の浸透といったポイントを踏まえた上で、ロジャース教授は、こうした要因を総合的に捉え、企業が「本質的な問い」を保ちながら、最適な組織・人材・パートナーシップを構築していく必要性を語り議論を締めくくりました。
【 スピーカー 】
デビッド・ロジャース(コロンビア大学ビジネススクール教授)
山井 康浩(株式会社NTTデータ経営研究所 シニアマネージングディレクター)
田島 友梨香(株式会社NTTデータ経営研究所 シニアコンサルタント)
【 目 次 】
- イントロダクションおよびロジャース教授のご紹介
- グローバルでのDXの進展とビジネス構造の変化
- 生成AIの高度化と社会への影響
- DXに対する生成AI普及のインパクト
- 消費者・個人の価値観の変容
- ビジネス環境の変化とDXへの影響