食品流通分野における製配販協調型アプローチでのバリューチェーン改革による社会課題・事業課題の解決と新規事業開発プロジェクト
client 大手総合商社(食品流通部門)
食品ロス削減・物流危機回避・CO2削減などの社会課題、多段階のストックポイントと過剰なサプライチェーンオペレーションで生じる非効率の解消といった事業課題の解決に向け、製配販協調型需給コントロールの枠組みをデジタルプラットフォームで実現する新規事業の展開により、食品流通バリューチェーンの全体最適化と構造的なコストミニマイズを目指す。
食品流通バリューチェーンの抱える社会課題・事業課題を解決する新規事業開発によりクライアントの成長と競争優位の確立
食品流通ビジネスは、消費市場の縮小(人口減少・少子高齢化による胃袋の数と容積の減少)にもかかわらず、食品スーパー店舗数は増加し(Overstore)、熱量ベースでの供給過剰は高止まり(Oversupply)の一途をたどり、もはや“競争”を超えた“争奪=Hyper competition(超競争)”の様相を呈している。
このままでは淘汰による業界規模が一定レベルまで縮小するか、業界全体の利益を極小化するまで消耗戦を続けるしかないとの危機感を抱いたクライアントが、個社の効率化(個別最適)ではなく、製配販横断での全体最適を目指す協調型成長戦略に大きく舵をきり、その実現に向け支援要請をいただいた。
成功の鍵は、全体最適を作れない構造問題を”協調の枠組み”と”デジタルテクノロジー”でどこまで切り込めるか
昨今注目を集めている食品ロス・物流危機・CO2削減など食品流通が抱える問題は、構造的な非効率が主な要因であり、今に始まったわけではなく古くから顕在化していた。この非効率を解決すべく製配販それぞれが個社ごとに不断の最適化を進めてきた。しかしながら、分断されている階層構造、硬直的な取引慣行、階層間のパワーバランスの著しい不均衡など、個社による個別最適のアプローチは限界に達している。このような構造において、いくらデジタルテクノロジーを活用して需要予測精度を高め、情報共有を促しても本質的な解決につながらない。
プロジェクトでは、「製配販が協調して需給をコントロールする枠組み」と「理想論ではなく実効性を担保する成果配分の枠組み」を成功要件とし、バリューチェーン全体最適を実現するビジネスモデルとそれを支えるデジタルプラットフォームを徹底的に突き詰めて検討した。
また、利害が相反するプレイヤーの協調にむけ、理屈ではない具体的な成果を示すべく、実践的なPoCによるトライアンドエラーの繰り返しとビジネスモデルやサービスモデルのブラッシュアップなど全て実践ベースでプロジェクトを推進した。
並行して、異業種アライアンスによる共同事業形態での事業化など、クライアントにおける事業戦略立案から事業会社化に向けたストラクチャー検討および実行計画策定などクライアントの意思決定を包括的に支援した。
正式なサービスローンチ前(事業化前)の段階であるがPoC参加企業において抜本的なコスト削減効果
現在は事業化に向けた最終段階であり、最終的な成果の刈り取りはこれからであるが、クライアントのプレスリリースへの業界の反応やPoCでの実績としての成果を鑑みるに、食品バリューチェーンが抱える社会課題・事業課題の抜本的な解決につながるだけでなく、それによるクライアントの更なる成長と競争優位に資すると考えている。