佐渡島をフィールドとした、自然共生型地方創生モデルの実践 ~佐渡島自然共生ラボ エシカルファクトリープロジェクト~
client 自治体、大学、企業、地元住民などとの共創プロジェクト
持続可能な地域の実現を目指して、佐渡島で自治体、大学、企業、地元の人々とともに”食”を通じた自然共生型地方創生プロジェクトの企画、実践をしています。地元の人々との強固なネットワークを構築しながら、地域資源を活かしたエシカル食品の開発、世界を対象にしたマーケティング支援、地域への還元の仕組づくり、人材育成などを実施。小さくても地域にポジティブな変化を積み重ねることで、佐渡島の持続可能な未来が見え始めています。
地方創生に自ら主体的に関与する
海、山、大地の豊かな恵み。伝統文化・芸能が息づいた日本らしい原風景を持つ佐渡島。トキの再生などで知られる生物多様性に配慮した農業は世界農業遺産にも指定されています。
そんな佐渡においてもまた、人口減少や高齢化により、労働機会や教育の場の減少、ライフラインであるフェリーの便数減少など、地方が抱える問題や、離島ゆえの課題を抱えています。最近では、自然の荒廃も深刻になってきています。
持続可能な地域の実現に向けては、地域の自然資本、人的資本の持つ価値が最大限発揮されることが重要です。
こうしたことを踏まえ、地域未来デザインユニットでは、地域のひと、企業、技術、などを活かした本当の”地方創生”を実践的に模索しています。
コンサルタントとしての社会的ミッションと、地元の思いとをつなぎあわせる
【佐渡エシカルファクトリープロジェクトの立ち上げ】
自然共生社会を前提とした経済・社会・環境の好循環を実現するため設立された産学官民連携型の「佐渡島自然共生ラボ」。このラボの取組のひとつとして、私たちは、2023年3月、「佐渡エシカルファクトリープロジェクト」を企画し、立ち上げました。気候変動危機などを背景としてエシカルな食材に対する関心が近年高まっている一方、食料の生産の現場では「手間がかかる」「売価と釣り合いにくい」などの課題を抱えている状況に着目。食の”価値”を高める加工・製造業のエンパワーメントを通して、「よい地域のアクション」と「エシカル消費」「資金」が結びつく好循環を築くことを目的として、地元の食品加工業者2社らとともにスタートしました。
【佐渡と世界を繋ぐ】
地元の食品加工業者2社と一緒に、エシカルな食の第1弾として、普段捨てられる野菜の端材を活用したベジタブルカレー、地元の酒造が製造するリキュールの残渣として捨てられていた苺を再利用したジェラートを開発。佐渡の資源を世界市場に結びつけるべく、フランスのパリなどで試食会を実施。また、オーガニックで環境負荷の少ない食のコレクションを販売する「パタゴニア プロビジョンズ」と地元の加工業者との意見交換会を設定するなど、島外へビジネスを広げる機会を積極的に取り入れています。
【佐渡を知る・話す・溶け込む】
本当の「地方創生」を実践するには、地域のひとや暮らし、文化に対する深い理解と地元の方々との信頼関係が重要です。私たちは、江戸時代から続く老舗こうじ屋さんとの交流、地元のお祭りへの参加、佐渡各地のエシカルなレストラン・農場の見学、伝統文化の担い手とのディスカッション、地域に密着した防災イベントの開催などを通して、地域との関係づくりを着実に進めています。
【今後のアクション 「佐渡発!コンサルティング人材育成プログラム」の運営】
「コンサルティングで外貨を稼ぎながら、若者の働きたい仕事・職場を、ここ、佐渡島に生み出していく」をビジョンに掲げ、2024年1月に新たな人材育成プロジェクトを立ち上げ。佐渡島の両津港に弊社のサテライト機能を設置したことを皮切りに、今後佐渡島を拠点に活動する20~30代を対象に人材育成研修を実施予定。弊社からコンサルティング業務を発注し実践の場を提供しながら、将来的には弊社との協働受注を目指します。
地域の方々との強くあたたかい関係性を基軸に、小さくても確かなイノベーションを生み出す
【小さくても確かな社会のイノベーション】
約1年間プロジェクトに取り組んできた中で、地元の若者による地域商社の設立、エシカル食品の開発、クラウドファンディングの成功、など、着実に地域に良い変化をもたらす成果を積み上げてきました。今後は、若者を対象とした人材育成プログラムのローンチなど未来への投資も行う予定としており、環境に配慮しながら地域課題も解決する、社会性、経済性、人間性の好循環を生み出す地方創生モデルが見え始めています。
【経営研スタッフと地域のつながり】
こうした”小さな社会の変化”を生み出すことができたのは、経営研のスタッフと地元の企業、大学、地域おこし協力隊の皆さんなどとの温かくて太いつながりができたからこそだと考えています。こうした人的ネットワークがあることで、様々なプロジェクトのフィールドとしての佐渡と私たちの関係が日々強固になっています。