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グリッドフォーミングインバーター「デジタルグリッドルーター」をアジア開発銀行(ADB)の支援を得てスリランカに導入
同国の電力系統と直接接続した運用試験を開始しました

2024.07.05

株式会社DGキャピタルグループ(本社:東京都大田区、代表:阿部 力也・新海 優)は、一般社団法人デジタルグリッドコンソーシアム(事務局:東京都港区、代表理事:阿部 力也)と株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表:山口 重樹)が実施しているアジア開発銀行(ADB)による調査業務を踏まえて、2024年5月28日にスリランカのモラトゥワ大学に開設された"Digital Grid Research Lab"に、グリッドフォーミング技術を有する「デジタルグリッドルーター」を2台導入しました。

"Digital Grid Research Lab"では、スリランカの電力系統とデジタルグリッドルーターを直に接続し、負荷分担や模擬短絡試験等を行いました。今後、DGキャピタルグループは、スリランカにおけるコロンボ首都圏を中心としたエリアの送配電と電力系統のR&Dを担当する「ランカ電力会社(LECO: The Lanka Electricity Company (Private) Limited)」と、国立モラトゥワ大学(University Of Moratuwa)との協力により、グリッドフォーミング技術を有する「デジタルグリッドルーター」を活用した実験を進め、同国の再エネ電源の主力化に取り組んでいきます。

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ADB(アジア開発銀行)のプロジェクト

デジタルグリッドコンソーシアムとNTTデータ経営研究所は、ADBからの受託により、2023年7月~2024年12月にかけ、スリランカを対象とする“Deploying Solar Systems at Scale - Consulting Firm for Pilot Project”を実施しています。目的は、スリランカをはじめとする南アジア諸国において、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入と電力系統の安定化に貢献する技術を実証するパイロットプロジェクトを検討、立案するものです。

パイロットプロジェクトは、スリランカ有数の国立大学であるモラトゥワ大学で実施され、コロンボ首都圏を中心としたエリアの送配電と電力系統のR&Dを担当する「ランカ電力会社(LECO)」とも連携して実施されます。

デジタルグリッドコンソーシアムとNTTデータ経営研究所は、モラトゥワ大学やLECOと協力した調査・検討を進め、グリッドフォーミング技術を有する「デジタルグリッドルーター」を導入し、スリランカの電力系統や太陽光発電システムと直に接続する条件下での実験や、モラトゥワ大学が保有する電力系統解析用シミュレータ「RTDS(Real Time Digital Simulator)」を使用したPHIL(Power Hardware in the Loop)試験が可能なパイロットプロジェクトサイトのデザインや仕様を完成させました。

このデザインや仕様を基に、ADBがパイロットプロジェクトに必要な機器を調達し、2024年5月28日にモラトゥワ大学にパイロット事業を実施する "Digital Grid Research Lab"が開設されました。株式会社DGキャピタルグループの事業会社である株式会社DGパワーシステムは、日本で製造された2台のデジタルグリッドルーターを、このLabに寄贈しました。

スリランカ "Digital Grid Research Lab" での実験

モラトゥワ大学に開設されたパイロットプロジェクトサイト"Digital Grid Research Lab"では、DGパワーシステムが寄贈した2台のデジタルグリッドルーターと電力系統と直に接続し、以下の実験を行いました。電力系統と接続しない独立運転時には、EVのリユースバッテリーを活用したBMS(バッテリー管理システム)から電力を供給します。

デジタルグリッドルーターを電力系統と直接接続する実験は、日本では実施したことがなく、今回が初となります。電力系統との接続環境下でも、デジタルグリッドルーターはそのパフォーマンスを十分に発揮することができました。この結果を受け、現地の送配電会社LECOのゼネラルマネージャーは今後のラボにおける活動に期待を寄せています。

【 実験事項 1 】

  • 電力系統との接続時における、負荷への均等電力供給
  • 電力系統と遮断、独立系統での負荷への均等電力供給(無停電切替)
  • 電力系統との同期/再接続の安定性確認(無停電再接続)
  • 電力系統との再接続時の、模擬負荷均等分担確認

電力系統との接続/遮断時における、負荷への電力供給

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電力系統との接続/遮断が発生しても、「黄:DGRの電圧」と「橙:DGRの電流」は一定に保たれている

また、独立系統事故時におけるフォールトライドスルー(FRT:系統擾乱時における運転継続性能)に関し、最も過酷な完全短絡試験も実施しました。短絡電流が設定値内に抑制され、事故復帰後も短時間に安定化することを確認しました。

【 実験事項 2 】

  • 独立運転(電力系統を遮断した状態)での負荷への電力供給
  • 独立運転(電力系統を遮断した状態)での、模擬負荷短絡試験
  • 短絡時の短絡電流抑制確認
  • 短絡状態解消後の電圧・電流復帰確認

独立系統での完全短絡試験

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独立系統での完全短絡において、「上:DGRの三相電圧」が安定復帰し、「橙:DGRの電流」が抑制されている

今後、パイロットプロジェクトサイトである"Digital Grid Research Lab"において、モラトゥワ大学が所有する電力系統解析用シミュレータ「RTDS」及び、新規に設置したパワーアンプとデジタルグリッドルーターを接続し、再エネを導入するマイクログリッドや、スリランカの電力系統の運用シミュレーションやPower Hardware-in-the-Loop(PHIL)試験を実施していく予定です。DGキャピタルグループ、及びデジタルグリッドコンソーシアムは、このパイロットプロジェクトに協力し、グリッドフォーミング技術を有する「デジタルグリッドルーター」を活用した実験を進め、同国における再エネの主力電源化に取り組んでいきます。

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デジタルグリッドルーターとは

電気は大量に貯めることが難しく、電力系統では、エリア内の電力の需要と供給を基本的に「同時同量」に保つよう電力会社が制御しています。太陽光などの再生可能エネルギーの電源もその系統につながっているので、同時同量に保つ制御が必要で、多様な電源から構成される系統を安定させる技術をグリッドフォーミングと呼びます。大量の再生可能エネルギーの導入を可能とするグリッドフォーミングの研究開発は世界中で進められていますが、「デジタルグリッド」は様々な発電機や再エネ電源を統合して、あたかも一つの大きな発電機になるような技術です。

こうしたデジタルグリッド構想と関連する技術は、株式会社DGキャピタルグループの代表取締役兼CEOを務める阿部力也・元東京大学特任教授が開発しました。デジタルグリッドルーターは、デジタルグリッドによるマイクログリッドを構成する上での主要な製品となります。1台のデジタルグリッドルーターの出力は10~40kwですが、多数台を連携・同期することや大容量機に同じソフトウェアを実装することで様々なサイズのマイクログリッド・ミニグリッドの構築が可能です。スリランカのプロジェクトでは、2台のデジタルグリッドルーターを活用した実験を行っています。日本国内では、鹿児島県沖永良部島等での活用が予定されています。

報道関係のお問い合わせ先

株式会社DGキャピタルグループ

担当 沖島 洋人

TEL:090-1165-2317

E-mail:okishima@dgcapitalgroup.jp

内容に関するお問い合わせ先

株式会社DGキャピタルグループ

担当 沖島 洋人

TEL:03-6822-2120

E-mail:okishima@dgcapitalgroup.jp

 

一般社団法人デジタルグリッドコンソーシアム

担当 阿部 力也

TEL:090-5776-8179

E-mail:abe.rikiya@digitalgrid.org

 

株式会社NTTデータ経営研究所

社会・環境システム戦略コンサルティングユニット

担当窓口:東(ひがし)

E-mail:higashis@nttdata-strategy.com

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