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空飛ぶクルマを想定した「鉄道」と「空の移動」を組み合わせた実証実験を実施

~都内駅ビル屋上からの離発着における課題抽出~
2024.02.06
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JR東日本が設置、運営するWaaS共創コンソーシアムにおいて、当社が実証実験プロモーターを務める「空飛ぶクルマ」活用をテーマとした実証試験が行われました。2024年1月24日、『「空飛ぶクルマ×鉄道×まちづくり」シンポジウム in NAGANO』として、その実証結果を報告しています。

実証実験は、都内駅(新宿駅)から直結の駅ビル屋上のヘリポートを用い、ヘリ離発着時の顧客動線の検討や騒音の計測を行っています。併せて、長野県内における観光をユースケースとし、新幹線の駅である長野駅から白樺湖までのモニターツアーを実施しました。

ここでは、その報告内容の一部を掲載いたします。鉄道とエアモビリティを組み合わせた移動経験は、新しい価値を創出するものと考えており、今後も当該分野での活動を推進してまいります。

当社web掲載「『空飛ぶクルマ×鉄道×まちづくり』シンポジウム in NAGANO

空飛ぶクルマは既存の自動車のように、手軽に、便利に利用できる新しいモビリティ手段として注目されています。このたび、将来的に利活用が想定される都市部での離発着における課題抽出を、ヘリを用いて行いました。

また、同日長距離を手軽にかつ容易に移動できる新幹線と、この空飛ぶクルマを組み合わせた、観光地まで移動するモニターツアーを実施し、将来的な空飛ぶクルマの実装に向けた検討を行っています。

※本実証実験はJR東日本 WaaS共創コンソーシアムの活動の一環であり、モニターツアーは川崎重工業株式会社の事業と連携して実施したものです。

WaaS共創コンソーシアム

【実施日】

2023年12月28日(木)

【実証内容】

(1)都内駅ビル屋上ヘリポートでの離発着

JR新宿ミライナタワー屋上のヘリポートを用い、ヘリの離発着を行いました。顧客動線の確認、必要と想定される付随施設やサービスを確認しています。また、将来的な実装において課題となることが想定される、離発着時の騒音についても複数箇所で測定しました。

騒音の測定箇所は以下のとおりです。

  • ヘリポート
  • ヘリポート下の屋上退避エリア
  • 入居テナント最上階
  • 新宿駅新南口前
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(2)鉄道と空の移動を組み合わせたモニターツアー

鉄道により長野駅まで移動したモニターを、長野市内のヘリポートより白樺湖までヘリで往復するモニターツアーを実施しました。長野市内のヘリポートから白樺湖まで、自動車で移動すると2時間程度を要しますが、これを20分程度に短縮することができます。長距離を新幹線で、さらに目的地までは空の移動でスムーズに移動できる将来像の実現を検討しました。

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【結果・検討概要】

(1)都内駅ビル屋上ヘリポートでの離発着

・ヘリポート調査

新宿ミライナタワー屋上にはヘリポートが整備されていたものの、その利用実績は本実証までありませんでした。改めて、場外離発着場としての要件を満たすことを現地調査により確認しています。しかしながら、実際の使用までに必要な手続きには、相応の時間を要することとなりました。空飛ぶクルマの社会実装を目指すにあたっては、こうした事務に要する時間や要件等についても検討が必要だと考えられます。

・顧客動線、インフラ等

ヘリポートは緊急時利用を想定して設置されているため、顧客動線上には施錠されている扉の通過や階段がありました。携帯電話のデータ通信も困難であり、実際に空飛ぶクルマの離発着場として用いるには、そうした点も課題となります。事業化にはチェックインゲートや待合室なども必要だと考えられます。

・騒音

最大値のみ着目した場合、ヘリポートが最も大きく、次いで新宿駅新南口前の広場となっています。これは、騒音の影響がヘリポートやヘリポートが設置されているビル以外にも、一定の影響があることを示しています。一方で、駅を通過する電車の騒音レベルとほぼ同等であり、かつ混雑した場所であることから、人が感じる不快感は最小限となる可能性があるものと考えます。

(2)鉄道と空の移動を組み合わせたモニターツアー

・ヘリポート調査

本実証実験は、鉄道とのスムーズな接続を目指していたことから、長野駅近郊にてポートとして活用できる場所を検討しました。近隣の公園等も候補地として有力であったものの、一部、必要な空域が取れないことが現地調査により分かっています。駅近接のエリアでは、既存のビル屋上や公園等をすぐに活用することが難しい状況で、活用のためには、あらかじめ都市計画やビル等の設計に要件を見込む必要があります。

実証実験ではハイヤーで短時間に移動できる距離であることから、犀川第2緑地公園をポートとして活用しています。

・顧客動線、インフラ等

モニターツアー実施当日は、長野市内の霧の影響により、ヘリの運行開始時間が大幅に遅延することとなりました。その間、モニターに待合室が必要であったこと、長時間の待機となる場合には、お手洗い等の施設インフラが必要であるとのモニターからの意見もありました。さらに、遅延や運航中止となった場合の代替交通手段の確保、その場合の旅客への補償制度など、空の移動に特有の対応も必要であることが分かりました。

今回の実証では、駅からハイヤーで15分程度かけてヘリポートまで移動しています。ヘリポートから目的地までは20分程度であることを考えると、このハイヤー移動時間をいかに短縮するかが重要である、とのモニターからの声も頂戴しています。

【駅とポートが隣接するメリット】

実証実験を通して、駅と空の移動を組み合わせる場合の課題等が明らかとなってきました。一方で、駅近隣にポートがあることの利点も見えてきています。

(インフラ面)

  • 駅と近接するポートの場合、待合室やお手洗い等の駅インフラ共用が可能
  • 空飛ぶクルマを想定した際には充電設備が必要。インフラが活用できる可能性がある
  • 駅ビルの屋上、駅前の駐車場など、ポートとして活用可能性のあるエリアが比較的多い

(他交通手段との連携)

  • 代替交通手段を要する場合、駅であれば鉄道、タクシー、バス、レンタカーなど、他交通手段の確保が比較的容易である

(騒音等)

  • 平常時にも電車の通過、混雑による雑音が発生しており、それ以下の騒音であれば近隣の理解を得られやすい可能性がある

【お問い合わせ先】

WaaS共創コンソーシアムでは、空飛ぶクルマの活用を共に推進いただけるパートナーを引き続き募集しています。意見交換や実証実験結果の詳細などを含め、お問い合わせは下記までお願いいたします。

ビジネスストラテジーコンサルティングユニット

シニアマネージャー 勝又 E-mail : katsumatam@nttdata-strategy.com

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