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ニュース・リリース

NTTデータ経営研究所、
人生100年時代における次世代シニアの介護に関する意識調査を実施

~介護は民間サービス・介護ロボット活用に前向き、ケアプランは専門家と相談の上、自分でつくりたい~
2024.05.29
株式会社NTTデータ経営研究所
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株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 当社)は、人生100年時代における次世代シニアの介護に関する意識を調査するため、日本国内の50代~80代の男女2,000人を対象にアンケート調査を実施し、その結果をまとめましたのでお知らせします。

  1. 人生設計は80歳位まで(平均寿命程度)、健康が最大の心配ごと
  2. 介護人材の不足は約9割が認識、民間サービス、介護ロボット活用などで家族や身内の負担軽減したい
  3. デイサービス利用には前向きな声が約半数、ケアや医療、機能訓練等を期待
  4. 専門家には頼りたいが、ケアプランは相談の上、自分で作成したい

【主なポイント】

次世代シニア(50~60代)の介護に関する意識について、現状と今後の関心や意向についての設問を通して、明らかになったポイントは以下の通りです。

1. 人生設計は80歳位まで(平均寿命程度)。健康が最大の心配ごと

調査対象者が人生設計を考えているのは、平均寿命である80代まで(全体の35.9%)が最も多く、最大の心配事は「健康」(72.1%)で、次に「お金」(48.8%)、「介護」(41.8%)となった。身体的能力の衰えに対する懸念(脚力、視力、聴力)に加え、「物忘れ」(61.4%)への懸念も大きく、認知症も意識されている。

2. 介護人材の不足は約9割が認識、民間サービス、介護ロボット活用などで家族や身内の負担軽減したい

今後高齢者の増加に伴い、介護サービスを提供する人材が大きく不足する見込みであることを知っている人は、88.1%である。多くの人がこの問題について認識している。

「自分に介護が必要になったときの考え方に近いもの」について、できるだけ公共のサービスを活用したいと回答したのは49.8%、家族や身内で完結したいと回答したのは17.6%にとどまった。民間のサービスも含めて利用したいという回答は25.7%あった。特に、50代~70代で民間サービスを利用したい層が約3割いることが明らかとなった。一方、できるだけ友人・知人とも助け合って暮らしたいという回答はわずか7.0%であった。

将来、介護が必要となった場合、介護ロボット(見守りセンサー、移動介助ロボット、コミュニケーションロボット、入浴介助ロボット、食事介助ロボット)を利用したいかとの問いに対しては、総じて利用したい割合が3割程度、利用したくない割合は1割程度にとどまった。介護ロボットを利用したい理由として、いずれの機器でも介護者・家族の負担軽減が期待できるとの割合が最も多く、利用したいと回答した割合が最も高いのは見守りセンサー(44.4%)であった。一方で、「プライバシー」を理由に利用したくないと回答された割合が最も高い介護ロボットも見守りセンサー(26.8%)であった。また、コミュニケーションロボットに対しては対応に柔軟性がなさそう(29.2%)との回答が多かった。

3. デイサービス利用には前向きな声が約半数、ケアや医療、機能訓練等を期待

将来、介護が必要となった場合、デイサービスを利用したいと思うのは53.7%(そう思う20.5%、どちらかと言えばそう思う33.2%)で、そうは思わない11.5%(どちらかと言えばそう思わない6.7%、そう思わない4.8%)を大きく上回る。この傾向は年代が上がるごとに強くなる。デイサービスを利用したい理由は、必要なケア(入浴等)や医療を受けたいから(78.2%)が最も多く、機能訓練(リハビリ)や体力づくり(60.1%)が続いた。

一方で、デイサービスの利用に後ろ向きとなる理由は、他人に干渉されたくない(48.0%)、好きな場所で自由に過ごしたい(44.5%)との回答が多かった。

4. 専門家には頼りたいが、ケアプランは相談の上、自分で作成したい

介護を受ける際に関わる専門家(医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパーなど)に頼りたいと回答したのは約半数(53.1%)と最も多かった。しかし、ケアプランの作成については全て自分で作成したい(8.1%)、専門家と相談して自分で作成したい(45.5%)と、自分でケアプランを作成したいと考える人が過半数を占めた。利用するサービスを自分で決めたい(61.6%)、専門家の視点が必要(48.3%)など、サービス選定を専門家任せにせず自らサービス設計に主体的に関与することで、自分の状態に合ったサービスを活用しながら生活していくことへの期待があると考えられる。

【まとめ】

■ 今後は限られた公共サービスの資源を補う取り組みが重要

50代~70代では、介護に関わる民間サービスを利用したい層が約3割いることが明らかとなった。今後は現在以上に民間の介護サービスニーズが増加する可能性がある。公的サービスに限らず+αのサービスも加えてケアマネジメントする考えが広まることで、限られた公共サービスの資源を補える可能性が考えられる。

また、今後の介護のあり方として地域の多様なサービスを増やすことは必要であるものの、ニーズが顕在化しておらず、事業者の参入が困難になっていることがうかがえる。多様なサービスの創出にあたっては、住民の考え方やニーズを改めて確認し、住民同士や関係者で対話を重ねていく必要があると考えられる。

■ 多様なデイサービスの形態も増加

デイサービスの数は年々増加しており(但し、地域密着型を除く)、その特徴も多岐にわたる。近年では、リハビリテーションに重きを置くリハビリ特化型デイサービスのほか、多種多様な娯楽活動を用いて利用者の意欲を高めることを目指すデイサービスや、外観やインテリアにこだわった次世代型デイサービス等も展開されている。

自立した生活を送るためには、身体機能の維持に加え、精神面の充実も重要な要素である。利用者が積極的に「利用したい」と思える、かつ利用することで精神的充実感を味わうことができるデイサービスを広く普及していくと同時に、デイサービス等の公的サービスに限らず、地域の中で身体的、精神的に充実感を得られる居場所作りを推進していく必要があると考えられる。

■ 介護ロボットの導入には前向き、プライバシー配慮や丁寧な説明が大事

介護ロボットの導入について、総じて前向きであり、その背景には、介護者・家族の負担軽減が期待できる点にあった。現在、介護施設で最も導入が進んでいる介護ロボットは、見守りセンサー 1 である。見守りセンサーは担い手が少ない介護職の負担を軽減し、業務を効率化する上で重要な役割を果たしている。一方で、利用者のプライバシーへの配慮や、プライバシーに関して不安を感じる利用者への、丁寧な説明等が求められると考えられる。

多様な介護ロボットがある中で、「対応に柔軟性がなさそう」との回答が最も多かったのは「コミュニケーションロボット」であった。近年、AIの進歩が目覚ましいが、その機能性や使い勝手が十分に知られていない可能性が考えられる。

後述の通り、将来、介護が必要になった場合にデイサービスの利用に前向きな人ほど、介護ロボットの利用にも前向きな回答割合が多かった。デイサービスをはじめとする多様な要介護度の利用者が集まる場で、利用者自身が介護ロボットの機能や有効性等への理解を深める環境を整備することにより、抵抗感を軽減する効果が期待される。

■ 今後は利用者が自らケアプランを作成できる仕組みや環境も重要

近年、ケアマネジャーの人材不足が深刻化しており、新規依頼を受けられない、利用者への対応が遅れるなど、ケアマネジャーの業務負担に留まらない影響 2 が指摘されている。質の高いケアマネジメントを行っていくために、ケアマネジャーの人材不足の解消は重要な課題であり、令和6年度の介護報酬改定では基本報酬の引き上げ等の対応が行われた。

一方で、自分のケアプランを自分で作成したいと考える人が過半数を超えるにもかかわらず、実際に自己作成者がいる保険者は1割程度とのデータ 3 もある。今後、ケアマネジャーの人材不足解消のための施策に加え、ケアプランの自己作成について広くノウハウを周知し、利用者が自らケアプランを作成できる仕組みや環境を整えることも重要と考えられる。

【調査の概要】

調査対象

クロスマーケティング クローズド調査

調査方法

非公開型インターネットアンケート

調査期間

2024年3月7日~8日

有効回答者数

2,000人

(50代、60代、70代、80代以降の年代毎に500人、男女比 1:1 )

<調査結果の利用について>

  • 調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所」と記載した上でお願いします。なお、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
  • 調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
  • 本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。

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