横浜市では、心疾患患者が治療後も地域、在宅で切れ目なく運動継続できるように地域連携体制の構築に取り組んでいます。また、市内のスポーツ施設と連携し、心臓リハビリテーションができる環境整備を進めています。
自己リハビリモデル事業(以下 本モデル事業)は、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)および株式会社NTTデータ経営研究所をはじめとするNTTグループ(以下、NTTグループ)の提供するICTサービス「みえるリハビリ※1」を活用することで、スポーツ施設や自宅周辺等のお好きな場所で安心して自己リハビリに取り組んで頂き、健康寿命延伸への貢献をめざします。
1.背景
心疾患は日本人の死亡原因疾患の第2位であり、特に心不全は再発率・再入院率が高いことが知られています。定期的な運動を含んだ心臓リハビリテーションは心疾患の再発・再入院予防に効果があることがこれまでの研究で確認されて知られています。
しかし、退院後の外来心臓リハビリテーションの実施率は約7%と低く、その要因の1つとして、外来心臓リハビリテーション実施施設が自宅近くにない、通院することが困難という課題があげられます。
横浜市の心臓リハビリテーション実施件数は国や神奈川県と比べて低い状況にあり、診療体制の構築、心臓リハビリテーション実施施設の拡充や地域連携の取り組み等を行うことで心臓リハビリテーション実施の推進を図っています。
2.モデル事業の概要
(1)近隣スポーツ施設から自宅まで「切れ目のない」リハビリの実現
横浜市が取り組む「市内スポーツ施設等との連携」施策※2と連携し、スマートフォンアプリ「みえるリハビリ」を利用することで、参加者は横浜市が連携するスポーツ施設だけでなく、自宅でも安心して運動に取り組むことが可能となります。
運動実施にあたり、横浜市の心臓リハビリテーション強化指定病院が発行する運動処方箋に記載された、個人に推奨される「運動の強さ(METs)」をアプリで確認し、日常生活の中での運動継続をサポートします。
(2)個人の運動目標の設定と、行動変容アプローチの実施
スマートフォンアプリ「みえるリハビリ」では、1週間の運動目標時間を設定し、目標達成状況に応じたフィードバックメッセージの送信、ポイント/レベルシステムやウォークラリーといったお楽しみ要素、知人・家族などのサポータ登録といった行動経済学を基にした行動変容を促す仕組みを採り入れており、参加者が運動継続することをサポートします。
また、本スマートフォンアプリ開発にはNTT Comのデザインスタジオ「KOEL」※3が参画し、運動習慣獲得のためのユーザーリサーチや体験設計を行い、参加者の大多数を占める高齢者にも使いやすいUI※4を実現しています。
3.今後について
本事業を通じて、参加者の運動目標の達成状況(運動習慣獲得状況)や、行動変容アプローチに対する評価を行い、横浜市の医療政策へのICT活用を検討します。
また、NTTグループは「みえるリハビリ」で採用する行動変容アプローチの更なる高度化を行い、全国の自治体が運動習慣獲得支援・疾患の再発防止に継続して取組むための提案を行い、社会実装をめざします。
各社の役割
横浜市 | 市民への周知、広報、関係協力病院およびスポーツ施設との調整、本モデル事業の評価 | ||
NTTグループ (NTT Com・NTTデータ経営研究所) | ICTサービス(スマートフォンアプリケーション・ hitoe®※5を使った着衣型ウェアラブルデバイス等、データ利活用プラットフォーム)の提供、データにもとづく自己リハビリ時間や運動習慣獲得効果の分析 |