調査概要
【補足】 *小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合がある。 |
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調査結果
1. ポスト3.11の仕事観3.11に発生した東日本大震災から半年以上が経過し、ビジネスパーソンの現在の仕事観はどのような状況か、また職業生活全般に影響を与える要因は何かについて分析を行った。 1.1 職業生活全般の満足度1.1.1 職業生活全般についての満足度◆職業生活全般に満足している人は約6割である(58.0%)。「職業生活全般について、現在満足しているか否か」を尋ねたところ、「非常に満足している」(3.2%)と「まあ満足している」(54.8%)を合わせ、6割弱(58.0%)が満足しているという結果となった。【図表1-1】 2010年9月に当社とgooリサーチ(NTTレゾナント)が共同で行った「働きがいに関する意識調査」によると、働きがいを感じている人は、52.4%であった。【図表1-2】 【図表1-1】 職業生活全般の満足度 (N=1,021) <参考> 【図表1-2】 働きがいの現状 (N=1,013)
1.1.2 職業生活全般に影響を与える要因◆「職業生活全般に満足しているグループ」と「職業生活全般に満足していないグループ」の間では、会社の満足度 で、62.2ポイントの差がある。次いで、「仕事の面白さ」55.8ポイント、「職場の働き易さ」53.0ポイントの差と続く。「職業生活全般について、現在満足しているか否か」の質問について、「非常にそう思う」と「まあそう思う」と回答した人を「職業生活全般に満足しているグループ」とし、「そう思わない」と「全く思わない」と回答した人を「職業生活に満足していないグループ」として、集計を行った。 【図表1-3】は、当社が独自で設定した職業生活全般に影響を与える項目のうち、「職業生活全般に満足しているグループ」と「満足していないグループ」の差の大きい順に挙げている。 最も差が大きい項目は、「会社の満足度」である。「満足しているグループ」と「満足していないグループ」では62.2ポイントの差がある。続いて、「仕事の面白さ」、「職場の働き易さ」と続く(55.8ポイント、52.9ポイントの差)。 「職業生活全般に満足しているグループ」では、「会社に満足している」が約7割(73.1%)に対して、「職業生活に満足していないグループ」では、「会社に満足している」は約1割(11.0%)である。 「職業生活全般に満足しているグループ」では、約9割(88.2%)がやればできるという気持ちで仕事に取り組み、同じく約9割(89.9%)が自分の仕事は取り組む価値があると感じている。 「職業生活全般に満足していないグループ」では、「会社の満足度」、「マイナスのストレスの無さ」、「給与の満足度」について、8割以上の人が「そう思わない」、「全くそう思わない」と回答している(89.0%,85.1%,83.7%)。 ただし、給与に満足している人は、「職業生活全般に満足しているグループ」でも、満足していない人が約5割(49.5%)に達している。【図表1-3】 【図表1-3】 職業生活全般の満足度と影響を与える要因 (N=1,021)
![]() *小数点以下第2位で集計しているため、小数点第1位の加算値が一致していない場合がある。 1.2 属性別にみた職業生活全般の満足度1.2.1 性別・年代別・役職別の職業生活全般の満足度◆女性は、6割超で職業生活全般に満足、男性と比べ6.7ポイント上回る。「職業生活全般について、現在満足しているか否か」の質問について、性別でみると、女性は、「非常に満足している」(2.2%)と「まあ満足している」(61.0%)を合わせ、63.2%が満足している。一方、男性は、「非常に満足している」(3.5%)と「まあ満足している」(53.0%)を合わせ、満足している人は56.5%にとどまっている。女性は、職業生活全般に満足している人が、男性と比べて6.7ポイント上回っている。 年代別にみると、50歳以上では、「非常に満足している」(4.3%)と「まあ満足している」(57.9%)を合わせて、62.2%が満足している。一方、40~49歳は、「非常に満足している」(2.7%)と「まあ満足している」(51.1%)を合わせて53.8%と満足している人が、他の年代と比べて相対的に少なく、「全く満足していない」は、13.1%と多い。 役職別にみると、事業部長・部長クラスは、「非常に満足している」(6.3%)と「まあ満足している」(64.0%)を合わせて、7割(70.3%)を超える人が満足している。一方、一般社員クラスは、「非常に満足している」(3.2%)と「まあ満足している」(50.1%)を合わせて、約5割(53.3%)にとどまっている。「全く満足していない」人も14.7%と他の役職と比べ、相対的に多い。【図表1-4】 【図表1-4】 職業生活全般の満足度 <性別><年代別><役職別> (N=1,021)
![]() 1.2.2 会社の従業員規模別・業種別・資本別の職業生活全般の満足度◆従業員数99人以下と5,000人以上では、6割超の従業員が職業生活全般に満足している。業種別では、金融・保険業に勤務している7割弱の従業員が職業生活全般に満足している。「職業生活全般について、現在満足しているか否か」の質問について、従業員規模別でみると、「従業員数99人以下の企業」は、「非常に満足している」(2.5%)と「まあ満足している」(59.9%)を合わせて、満足している人が6割を超えている(62.3%)(注2)。同様に、「従業員数5,000人以上の企業」でも、「非常に満足している」(3.8%)と「まあ満足している」(58.6%)を合わせて、満足している人が6割を超えている(62.4%)。 業種別でみると、「金融・保険業」が「非常に満足している」(1.3%)と「まあ満足している」(66.2%)を合わせて、満足している人が約7割(67.5%)に達している。一方、「全く満足していない」は、13.0%と他の業種と比べ相対的に多い。 資本別では、大きな差はみられない。【図表1-5】 【図表1-5】 職業生活全般の満足度 <従業員規模別><業種別><資本別> (N=1,021)
![]() (注2) 小数点以下第2位で集計しているため、小数点第1位の加算値が一致していない。
1.3 従業員規模別・資本別の会社・所属組織・個人のパフォーマンス◆勤務している会社の業績が、業界平均よりも高いと感じている人は、4割以上である(43.8%)。自分自身の働きぶりが周囲から評価されていると感じている人は、5割以上である(51.1%)。「会社の業績は業界平均よりも高いか否か」、「所属する組織は会社から評価されているか否か」、「自身の働きぶりは周囲から評価されているか否か」を尋ね、従業員規模別、資本別に集計した。 「会社の業績は業界平均よりも高いか否か」について、「非常にそう思う」(3.4%)と「まあそう思う」(40.4%)を合わせ、4割以上(43.8%)が自分の会社の業績は、業界平均を上回っていると感じている。 従業員規模別にみると、「5,000人以上の従業員規模の企業」に勤務している人は、「非常にそう思う」(7.1%)と「まあそう思う」(48.6%)を合わせ、半数以上(55.7%)が自分の会社の業績は、業界平均を上回っていると感じている。一方、「99人以下の従業員規模」では、「そう思わない」(50.0%)と「全くそう思わない」(16.7%)を合わせ、3分の2(66.7%)の人が業界平均を下回っていると感じている。 資本別にみると、「外資系企業」(肯定計56.6%)は、「日系企業」(肯定計40.1%)を16.5ポイント上回っている。 「所属する組織は会社から評価されているか否か」について、「非常にそう思う」(2.9%)と「まあそう思う」(44.4%)を合わせ、47.3%が自分の所属する組織は会社から評価されていると感じている。 従業員規模別にみると、「99人以下の企業」は、肯定計53.1%であり、「100人~499人の企業」の肯定計39.5%と比べ、13.6ポイント上回っている。 資本別にみると、「外資系企業」(肯定計53.1%)は、「日系企業」(肯定計45.6%)を7.5ポイント上回っている。 「自身の働きぶりは周囲から評価されているか否か」について、「非常にそう思う」(3.0%)と「まあそう思う」(48.1%)を合わせ、約5割(51.1%)が自身の働きぶりは周囲から評価されていると感じている。 従業員規模別にみると、「100人~499人の企業」を除き、肯定計で半数以上の人が「自身の働きぶりが評価されている」と感じている。 資本別にみると、「外資系企業」(肯定計54.8%)は、「日系企業」(肯定計50.1%)を4.7ポイント上回っている。【図表1-6】 【図表1-6】 会社・所属組織・個人のパフォーマンス <従業員規模別><資本別> (N=1,021)
![]() 1.4 経営力・職場力・個人力1.4.1 経営力◆現在、会社の将来性や会社の一体感を感じている人は、1割強にとどまる(13.9%、12.6%)。「会社の経営戦略、施策、就業環境について現在どのように感じているか」について、当社が独自で設定した経営力関連項目で、「Yes」「No」の2択で質問したところ、「制度・しくみ・執務環境」といったハード面の「会社の立地条件」や「勤務時間や就労形態の柔軟性」について、約3割が肯定回答(「Yes」と回答)であった。続いて、「温度・湿度等の執務環境の維持」の肯定回答が2割を超えている(20.6%)。 一方、「会社の将来性」「会社の一体感」は、13.9%、12.6%にとどまっている。 また、「あてはまるものがない」と回答した人は、4割近く(37.0%)に達している。【図表1-7】 【図表1-7】 経営力 (N=1,021)
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1.4.2 職場力◆上司の承認、職場の承認を感じている人は、1割超(12.5%、12.3%)。「上司や職場について現在どのように感じているか」について、当社が独自で設定した職場力関連項目で、「Yes」「No」の2択で質問したところ、上司関連をみると、「上司の声かけや傾聴」、「決断や判断に対する信頼感」について、約3割が肯定回答(「Yes」と回答)であった(29.0%、27.9%)。続いて、「上司の遂行能力の高さ」について肯定回答をしている人は、約4分の1(25.3%)である。一方、「仕事の適正配分」(上司の成長に配慮した仕事のアサイン)や「上司の承認」(上司がメンバーの成果を褒め、やる気を高める)は、肯定回答が1割程度(13.0%、12.5%)にとどまっている。 職場関連をみると、いわゆる「セクハラやパワハラがない」について、約3割が肯定回答であった(29.0%)。続いて、「職場の風通し」については、肯定回答している人が21.6%である。 「上司の承認」と同様に、「職場の承認」(互いに成果を認め、称賛しあう風土)は、12.3%と他の職場関連項目と比べ、相対的に低くなっている。 また、「あてはまるものがない」と回答した人は、3割超(33.9%)に達している。【図表1-8】 【図表1-8】 職場力 (N=1,021)
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1.4.3 個人力◆職場で必要な人間と感じている人は、約4割。「回答者本人の現在の状態」について、当社が独自で設定した個人力関連項目で、「Yes」「No」の2択で質問したところ、スキル面をみると、「自律的な行動」(指示がなくても自律的に行動している)について、半数近く(47.1%)が肯定回答(「Yes」と回答)であり、「職場で必要な人間」について、肯定回答をしている人は約4割(40.2%)である。続いて、「自身のコミュニケーション力」や「社内外に通用する専門スキルの保有」については、3割超の人が肯定回答をしている(33.4%、32.3%)。 ストレス面をみると、「疲弊感」(心が疲れて弱っている)(28.8%)、「仕事量の多さ」(25.3%)、「上司との関係」(23.4%)は、それぞれ4分の1を占め、「仕事量の少なさ」(6.6%)や「仕事内容の平易さ」(5.1%)を負担と感じている人と比べ、多い。【図表1-9】 【図表1-9】 個人力 (N=1,021)
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2. 震災時の状況とポスト3.11の変化震災時の状況と3.11以降の変化について、分析を行った。 2.1 3.11東日本大震災時の安否確認の状況2.1.1 3.11東日本大震災の発生時(14時46分)の所在◆3.11東日本大震災発生時(14時46分)の所在は、「会社の普段勤務している場所」が最も多く64.9%、次いで「自宅」(9.8%)、「自宅以外」(5.8%)と続く。過半数(64.9%)を超える人が「会社の普段勤務している場所」で東日本大震災を経験した。次いで自宅が1割弱(9.8%)と続く。【図表2-1】 【図表2-1】 東日本大震災発生時の所在 (N=1,021)
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2.1.2 3.11東日本大震災時の安否確認の状況◆「震災発生直後に会社から安否確認の連絡は来なかったし、自分からも報告しなかった」割合は5割弱(47.8%)に上る。震災発生直後の安否確認については、「会社から安否確認の連絡は来なかったし、自分からも報告しなかった」は、5割弱(47.8%)を占めて最も多く、次いで、「会社から安否確認がきた」が、3割強(33.1%)と続く。【図表2-2】 【図表2-2】 震災発生直後の安否確認 (N=1,021)
![]() 「震災発生直後に会社から安否確認の連絡は来なかったし、自分からも報告しなかった」割合は、「100人~499人」、「1,000人~4,999人」で多くなっている。 一方、 「会社から安否確認の連絡がきた」割合は、従業員規模別でみると、5,000人以上が4割を超え(42.4%)、従業員規模が減少するにつれ、低下する。 業種別でみると、「震災発生直後に会社から安否確認の連絡は来なかったし、自分からも報告しなかった」割合は、「教育・医療・その他サービス業」(59.8%)、「運輸・建設・不動産業」(52.1%)で多い。 一方、「会社から安否確認の連絡がきた」割合は、「通信・メディア業」(53.8%)、「コンピュータ・情報サービス業」(50.0%)が相対的に高い。 資本別でみると、「会社から安否確認の連絡がきた」割合は、「外資系企業」は46.1%と、「日系企業」(29.4%)を大きく上回る。【図表2-3】 【図表2-3】 震災発生直後の安否確認 <従業員規模別><業種別><資本別>
![]() 2.1.3 会社からの安否確認の状況と会社に対する意識◆「会社から安否確認あり」の層は、「会社から安否確認なし」層よりも、職業生活全般の満足度、会社に対する満足 度が高く、「職場の働きやすさ」、「信頼できる経営戦略・会社の一体感」、「社員を大切にしてくれる会社という 実感」が得られている割合が高い。「会社から安否確認の連絡がきた」を「会社からの安否確認あり」、「会社から安否確認の連絡は来なかったし、自分からも報告しなかった」、「自分から自発的に安否確認の連絡をした」を「会社からの安否確認なし」として、職業生活全般の満足度(「非常にそう思う」「まあそう思う」の計)、会社満足度(同)、職場の働きやすさ(同)をみると、それぞれ、「会社から安否確認あり」の層は、「会社から安否確認なし」の層よりも満足度が高く、働きやすいと感じている。 また、「信頼できる経営戦略に基づき、会社全体に一体感がある」、「社員を大切にしてくれる会社という実感」についても「会社から安否確認あり」の層は、「会社から安否確認なし」の層よりも該当率が高くなっている。 有事の安否確認は、会社と社員を結び、会社に対して社員が再評価する機会となっている可能性がある。【図表2-4】 【図表2-4】 ポスト3.11の仕事観、職場観の変化 <上位項目>
![]() 2.2 ポスト3.11の仕事観、職場観の変化◆3.11東日本大震災後の仕事や職場等の状況について、なんらかの気づきがあった人は約6割。 「仕事があることの大切さを実感した」人の割合は3割(29.9%)、次いで「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に対する関心が高まった」が2割弱(19.5%)と続く。3.11東日本大震災後、仕事や職場等の状況についてさまざまな項目で尋ねたところ、なんらかの気づきがあった人は全体の約6割を占めた(59.7%)。そのうち、「仕事があることの大切さを実感した」人の割合は3割(29.9%)、次いで「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に対する関心が高まった」が2割弱(19.5%)を占める。 続いて、「社員を大切にしてくれる会社だと思った」(13.8%)、「一緒に働くことができる仲間がいることの幸せを感じた」(12.9%)、「自分の仕事の価値やキャリアについて、長期的な視点で考えるようになった」(11.0%)、「日本の競争力やジャパンブランドについて考えるようになった」(11.0%)、「仕事を失うかもしれないという不安が高まった」(10.1%)は、1割前後を占める。【図表2-5】 【図表2-5】 ポスト3.11の仕事観、職場観の変化 (N=1,021)
![]() 上位項目(5番目まで)について、従業員規模別、業種別、資本別にみると、「仕事があることの大切さ」は、従業員規模別では、「99人以下」(31.5%)、業種別では、「運輸・建設・不動産業」(34.2%)と「通信・メディア業」(33.3%)、資本別では、「日系企業」(30.1%)で相対的に高い。 「ワーク・ライフ・バランスに対する関心が高まった」は、従業員規模別では「100人~499人」(20.7%)、業種別では「流通・商業」(24.7%)、資本別では、「外資系企業」(22.8%)で相対的に高い。 「社員を大切にしてくれる会社だと思った」は、従業員規模別では、「5,000人以上」(19.0%)、業種別では、「通信・メディア業」(20.5%)、資本別では、「外資系企業」(17.1%)で相対的に高い。 「一緒に働くことができる仲間を持つことの幸せを感じた」は、従業員規模別では「5,000人以上」(16.7%)、業種別では、「通信・メディア業」(17.9%)、資本別では、「外資系企業」(14.0%)で相対的に高い。 「自分の仕事の価値やキャリアについて、長期的な視点で考えるようになった」は、従業員規模別では「500人~999人」(12.9%)、業種別では、「流通・商業」(15.1%)、資本別では「外資系企業」(14.5%)で相対的に高い。 「日本の競争力やジャパンブランドについて考えるようになった」は、従業員規模別では「500人~999人」(12.9%)、業種別では「製造業」(16.6%)、資本別では「外資系企業」(14.0%)で相対的に高くなっている。【図表2-6】 【図表2-6】 ポスト3.11の仕事観、職場観の変化(上位項目) <従業員規模別、業種別、資本別>
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3. テレワーク導入状況3.1 テレワーク導入状況の推移◆3.11東日本大震災後、テレワークをはじめとする柔軟なワークスタイルに対する関心が高まっているが、勤務先が テレワークについて、「制度(試行実験も含む)を整備し、実施している」割合は9.0%、「職場の上司や個人の裁量 で実施している」割合は8.8%と、合わせた実施率は2割弱(17.8%)である。9月時点で、テレワークに関して、「制度(試行実験も含む)を整備し、実施している」割合は9.0%、「職場の上司や個人の裁量で実施している」割合は8.8%と、合わせた実施率は17.8%である。 震災後、6月に当社とgooリサーチ(NTTレゾナント)が共同で実施した調査(「東日本大震災後と柔軟なワークスタイルに関する調査」(注3)(以下、「東日本大震災後とワークスタイル調査」))では、テレワーク実施率は約2割を占めたが、本調査では17.8%とやや減少傾向にある。【図表3-1】 【図表3-1】 テレワークの実施状況 (N=1,021) 【参考】 テレワークの実施状況(3.11震災前~発生から1カ月以降) (N=1,015) (注3)「東日本大震災後とワークスタイル調査」のURLは以下のとおりである。 3.2 テレワークの導入と職業生活全般の満足◆テレワークを実施している企業に所属する人は、職業生活全般の満足度が高い。テレワークの実施の状況と、職業生活全般の満足度との関連をみると、職業生活の満足度が高い割合(「非常にそう思う」「まあそう思う」の計)は、「制度(試行実施を含む)を整備し、実施している」企業に所属する人の68.4%(注5)、「職場の上司や個人の裁量で実施している」企業に所属する人の70.0%を占め、「実施していない企業」に所属する人の55.5%に比較して、相対的に高くなっている。 【図表3-2】 テレワークの実施状況と職業生活全般の満足度
![]() (注5)小数点以下第2位で集計しているため、小数点第1位の加算値が一致していない。
4. 節電対策とワークスタイル6月に実施した「東日本大震災後とワークスタイル調査」(注6)においては、夏場に向けた節電計画の策定段階で65%の企業が15%前後の節電を目標としていること、テレワーク実施企業の設定している節電目標はテレワーク未実施企業よりも高いことを明らかにした。 ここでは、実際に夏場を経過して、節電目標にどのような特徴がみられたか、実施した施策の効果や負担感についてどのように企業が評価しているのかを、ワークスタイルへの影響という視点で分析した。 4.1 今夏の施策による節電効果4.1.1 施策の効果◆今夏は、実際に約70%の企業が10%以上の節電を実施した。東京電力・東北電力管内に事業所を持つ企業に、夏場の全社的な節電目標を尋ねたところ、「10%以上20%未満」と回答した企業が44.5%、「20%以上30%未満」と回答した企業が21.4%となり、約7割の企業が10%以上の節電を行った。【図表4-1】 「東日本大震災後とワークスタイル調査」と比較すると、20%以上の節電を実現した企業の割合が27.1%に増加しており、多くの企業の努力で節電は当初の目標以上の成果となったことがわかる。 【図表4-1】 夏場に向けて設定した節電目標 (N=490)
![]() (「節電目標がわからない」と回答した企業を除く) (注6)「東日本大震災後とワークスタイル調査」のURLは以下のとおりである。 4.1.2 テレワークの実施別施策効果◆夏場において、テレワーク実施企業は、未実施企業よりも節電率が高かった。夏場における節電率について、テレワーク実施企業と未実施企業でみると、「10%以上」の節電目標を持つ企業は、未実施企業で70.6%であるのに対し、実施企業では78.4%と、7.8%の差が生じた。【図表4-2】 このような違いは、「東日本大震災後とワークスタイル調査」における節電実施前の計画値と整合的である。節電前の計画値では、節電目標の違いはオフィス使用面積の削減に伴うエネルギー消費量の削減と対応していた(当社情報誌「情報未来」参照)。本調査における削減率の実績値がほぼ同じ傾向を示していることから、テレワークの実施に伴いオフィス使用面積が減少しオフィスの消費電力が削減されたことが、実際追加的な節電につながったと考えられる。 【図表4-2】 夏場における節電率 <テレワーク実施企業・未実施企業別>
![]() (「テレワークの実施の有無がわからない」を除く) 4.2 今夏の施策による節電効果4.2.1 施策の実施率と評価率さらに、今夏に実施した各施策の実施率と、施策を実施した人のうち実施するべきだったと評価する割合(「評価率」と定義)を比較した。その結果、施策実施率と施策評価率は正の相関がみられ、広く実施された施策のほうが実際に実施してみた場合の評価率も高いことがわかった。 評価率はどの施策でも65%を超えていた。特に評価率が高い施策としては、「クールビズ」、「省電力機器・設備の拡充」、「タスクアンビエント照明」など、オフィスにおける仕事ルールの変更や設備機器への投資で対応できる施策が挙げられる。また、省エネ機器への投資である「省電力機器・設備の拡充」や「タスクアンビエント照明」は、実際に実施してみると高い満足度が得られていることがわかる。 一方で、ワークスタイルの変更を伴う施策は、評価率が高いものと低いものに分かれた。休暇の促進や所定外労働の削減等負担の少ない施策の評価率が高い一方で、サマータイム制、輪番休業、オフィス全体の閉鎖など、労働時間の大幅な変更を強いられる施策は評価率が低い結果となった。【図表4-3】 【図表4-3】 節電施策の実施率と実施した場合の施策評価率 (N=572)
![]() 今年の夏の節電に対する意見を質問したところ、全体的にはやはり肯定的な意見が多く、「妥当な施策だった」(43.2%)、「もっと積極的に節電に取り組むべきだった」(17.7%)という回答が、「やりすぎた施策だった」という回答(14.3%)を上回った。 次に「働く時間」「働く環境」「クールビズ」などに特化して意見を聞いた。働く時間をシフトすることにより「顧客との調整が難しかった」(7.0%)、「家族との時間がとりにくくなった」(5.2%)という回答は、「柔軟なワークスタイルが促進された」(3.7%)、「家族との時間がとりやすくなった」(5.1%)という(節電以外の)メリットと同程度以上の割合であった。また、「オフィス環境が暗すぎる、暑すぎる」(23.4%)という回答が、「冷えすぎず節電以外にメリットがあった」(13.8%)という回答を上回った。一方で、クールビズの導入については、デメリットよりも節電以外にもメリットと感じる回答が多くみられた。 このように、「クールビズの導入」にはメリットを多く感じる一方で、「働く時間の変更」や「働く環境」で比較するとデメリットが多く感じられていることがわかった。【図表4-4】 【図表4-4】 今夏の節電に対する意見 (N=572)
![]() 4.2.2 来夏の施策検討次に、来年度実施してもよい節電施策を聞いたところ、「クールビズの導入・拡充」(51.4%)、「省電力機器・設備の拡充」(46.2%)、「有給休暇の取得促進」(37.8%)、「夏季連続休暇の増加」(35.5%)で高い割合となった。【図表4-5】 【図表4-5】 来夏実施してもよい施策 (N=572)
![]() 施策別に本年度の実施率と来年度の実施希望率を比較すると、働くうえで負担が大きくなる施策については、来年度の実施希望率が本年度を下回っている。一方で、本年度の実施率を来年度の実施希望率が上回る施策として、「省電力機器・設備の拡充」、「休暇の増加や短時間勤務の実施」、「テレワークの導入・拡充」などが挙げられる。 本年度は緊急避難的に節電施策を実施せざるを得なかったが、今後は施策選択にあたり、働く環境への影響に配慮する必要が生じてくると考えられる。【図表4-6】 【図表4-6】 本年度の実施率と来夏の実施希望率 (N=572)
![]() 以上 |
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