2005年1月11日
経済産業省、ECOM、NTTデータ経営研究所が共同調査を実施
「平成15年度IT業務連携に関する実態調査」
(情報経済アウトルック2004)
~部門内、業務効率化に留まるIT活用~
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経済産業省(商務情報政策局 情報経済課)、電子商取引推進協議会(略称:ECOM、東京都港区芝公園、会長:張 富士夫 トヨタ自動車株式会社 取締役社長)、及び株式会社NTTデータ経営研究所(東京都渋谷区東、社長:若山 彰)は共同で『平成15年度IT業務連携に関する実態調査』を実施しました。 この調査は、「平成15年度電子商取引に関する実態・市場規模調査」と合わせて実施したもので、ECが着実に拡大する中で、各企業が、企業内・企業間における業務連携において、ITを如何に活用しているかという実態を明らかにしたものです。調査対象は、日本の製造業、流通業、サービス業などで、大企業は「経営企画」「開発・設計」「調達」「生産・サービス提供」「販売」の5部門、中小企業は「経営企画」に調査票を送付、延べ890社の回答を分析したものです。 【調査結果の概要】 必要性の認識度は高いが、活用が不十分なIT(1)経営戦略目標の達成手段としてのIT今回の調査結果によると、ほとんどの日本企業は、「自社の戦略目標の達成に向けてITを活用することが必要」との意識をもっています。
(2)意識とは裏腹のIT活用成熟度の低さ しかし、大半の企業は、ITを活用できていない、又はIT活用が部門内に留まっており、企業全体、あるいは企業をまたぐバリューチェーン全体の最適化には至っていません。すなわちIT活用成熟度は高くないのが日本企業の実状です。
(3)経営企画と現場との意識のギャップ ITを活用した業務連携の現状を企業がどう評価しているかを見ると、各業務の現場部門と経営企画部門との間ではその満足度に差があります。特に社外(企業間)の業務連携に対する満足度は、経営企画の方が現場部門よりかなり低い状況です。各現場の方が部分最適に陥りやすく、現状肯定的な側面が出やすい、ということが考えられます。企業間の業務連携による全体最適化には、部門横断的な視点と、改革の実現に向けた強いリーダーシップが求められているとも言えるでしょう。
戦略の質が問われるIT活用-業務効率化か、本質的な競争力の強化か(4)IT活用の『質』について、再考することが必要IT活用意識を戦略目標の種類ごとに分析して見ると、商品供給力を戦略目標とする企業においてはITの必要性に対する意識が高いものの、商品開発力や営業販売力を戦略目標とする企業においては、相対的に意識が低い状況です。すなわち、欠品率の低下、直接コストの削減など、定量化した数値に基づいた目先の効率化を進める意識は高いが、商品の高付加価値化、営業提案力の向上など、長期的視点に立った本質的な競争力の強化にITを活用する認識は低いといえます。
さらに、IT活用の狙い、ソリューション導入対象を見ても、内部管理である財務・人事情報の管理-ERI/EAIが突出しており、顧客情報の管理-CRM、製品情報の管理-PLMといった競争力の強化に係る部分にITが十分活用されていないことが伺えます。この事実は、企業間の連携によるバリューチェーン全体の最適化が実現できていない状況の裏付けになっているともいえます。
IT業務連携の課題-明確なIT投資戦略、部門横断的視点、改革のリーダーシップ(5)IT業務連携を促進するための課題ITを活用した業務連携の促進に関わる課題として、技術面、インフラ的基礎要件については、基本的には充足しています。しかし現場のITリテラシー不足やITへの取り組み意識などが阻害要因となっており、"人"に関わる重点投資がより求められる状況にあります。これらの状況は、特に企業間の業務連携を推進する際に、業務プロセスの調整がうまくいかないことにも影響していると言えます。 実際、各部門間のITによる業務連携の実態を仔細に比較すると、いずれの部門においても「カスタマーサポート」及び「社外」との業務連携が遅れている状況にあります。これは満足度で見ても低くなっており、顧客や社外など、外部からの情報を企業活動に連動させるための環境整備が遅れている状況が伺えます。 また投資対効果の把握がネックとなっていること、及び前述のIT活用の質的側面を考慮すると、目先の金銭的評価にとらわれずに中長期的視点で成長力・競争力を向上させるためのIT投資に積極的に取り組むことが阻害されている傾向も伺えます。 これらの阻害要因を克服していくための前提として、経営戦略目標とリンクした明確なIT戦略の策定に加え、企業内他部門及び企業間で情報連携を進めるため部門横断的な視点、改革の実現に向けた強いリーダーシップが求められているといえるでしょう。
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以上 |
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