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2011年7月19日

東日本大震災を受けた企業の事業継続に係る意識調査

6割を超える企業が、既存のBCPでは「問題があった・機能しなかった」と回答
-退社・出勤等の判断や安否確認、取引先等との連携に係る対策不備が顕在化-

株式会社NTTデータ経営研究所


株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:豊田 充)は、NTTレゾナント株式会社が提供する「gooリサーチ」登録モニターを対象に、このたび「東日本大震災を受けた企業の事業継続に係る意識調査」を実施しました。

近年、地震をはじめとする自然災害、新型インフルエンザによるパンデミック発生等、企業の事業継続を脅かすリスクの顕在化により、BCP(事業継続計画)の策定をはじめとした、さまざまな対策が講じられてきました。そうしたなかで、3.11に発生した東日本大震災では、多くの企業がこれまで定めてきた対策について、その有効性が問われたといえます。

そこで、本調査では、今回の震災を受け、企業にどのような影響が及び、何が課題であったのか、BCPをはじめとした既存の対策は有効に機能したか、等について調査を実施しました。

 

【主な調査結果】

1. 3.11東日本大震災での被災状況
◆7割弱の企業が、3.11の震災において「何らかの影響を受けている」と回答。
「自社拠点が被災」し、経営面等に影響が出ている企業は29.0%、「自社は被災していないが、取引先等の被災により影響を受けている」企業は39.1%。
震災により、大規模・多拠点の企業ほど、影響を受けている割合は高く、1,000人以上の企業は78.6%、5,000人以上では8割を超える。
業種別では、製造業において「何らかの影響を受けている」企業が9割近くに達し、他業種と較べ特に高い。

◆3.11の震災で影響を受けている企業のうち、6割近くが「売上等の営業状況が悪化」と回答。
間接的な震災の影響については、「売上等の営業状況が悪化している」との回答が6割弱と最も多く、次いで「(原材料・資材等)調達が滞っている」との回答が4割を超えた。

◆「事業拠点の施設(建物)」そのものに被害が出た企業は約4分の3を占める。
被災した経営資産の内容については、「事業拠点の施設(建物)」そのものに被害が出たとの回答が、被災した拠点の種類に係らず概ね最も多く、平均して約4分の3を占めた。次いで多いのが、「施設内の設備・備品(情報システム等のIT資産を除く)」であった。


2. 3.11東日本大震災を受けた企業の課題意識
◆震災で最も脅威に感じたものは「原子力発電所の事故」。次いで津波、強烈な地震動が続く。
回答者自身が最も脅威に感じた災害要因について尋ねたところ、「原子力発電所の事故」(66.7%)が最も多く、以下「地震動による津波」(60.2%)、「強烈な揺れ」(53.8%)の順となった。

◆企業として最も想定外であったのは「電力施設の機能低下による計画停電」。次いで「交通インフラ機能低下による 帰宅・出勤困難の発生」、「過度な自粛ムードによる消費・購買力の停滞」が続く。
従業員規模が大きくなるほど、「電力施設の機能低下による計画停電」 、「交通インフラ機能低下による帰宅・出勤困難の発生」が想定外であったとの意識が強い。
一方、「過度な自粛ムードによる消費・購買力の停滞」については従業員規模が小さい企業ほど想定外であった意識が強い。

◆3.11の震災を受けた企業の課題として、「出勤・帰宅困難時の対策強化」や、「安否確認方法・手順の見直し」について必要性を感じる企業が3分の1を超える。
震災発災後の対応に関し、自社において発見された課題・見直し事項については、「出勤・帰宅困難時の対策強化」(36.1%)が最も多く、次いで「従業員・職員等の安否確認方法・手順の見直し」(35.7%)、「従業員・職員等の安否確認以外の緊急時の手順・行動計画の見直し、教育・訓練の徹底」(31.5%)、「計画停電等、社会インフラ機能低下時の対策強化」(30.0%)が続いた。


3. 企業の事業継続に係る対応状況
◆3.11時点でBCPを策定済みの企業は、約25%。
「策定済み」と回答した企業は25.8%、「策定中」まで含めると、44.7%の状況であった。
上場企業では、45.1%がBCP策定済み。一方で未上場企業は2割を切る。
従業員規模が大きくなるにつれ、BCP策定済み企業の割合は増え、500人から999人では3割近くに達し、5,000人以上の企業では、5割を超える。
業種別では、金融・保険業が群を抜いて取り組みが進んでいる(54.4%)。一方で、教育・医療・研究機関(11.6%)や、商業・流通・飲食(18.7%)においては、事業継続の取り組みに遅れも。

◆「取引先」まで含めてBCPを策定していた企業は1割に満たない。
「支社・事業所」もBCPの対象に含めていた企業は約6割。
一方で、自社の「営業所・営業拠点」をBCPの対象に含めていた企業は約3割、同様に「物流拠点」については約1割にとどまる。

◆3.11の震災において、約3分の2の企業が、既存のBCPでは「問題があった」または「まったく機能しなかった」 と回答。
震災前にBCPを策定していた企業のうち、今回の震災で自社のBCPは機能したか尋ねたところ、「BCPは一部 機能したが、問題となる部分はあった」(62.7%)が最も多く、「BCPはまったく機能しなかった」(3.0%)と合わせると、約3分の2の企業が、既存BCPでは「問題があった」または「機能しなかった」 との結果が得られた。

◆機能しなかったBCPの内容として、最も多かったものは「従業員・職員への退社・出勤等の判断指針」で3分の1を超える。
最も多かったものは「従業員・職員への退社・出勤等の判断指針」で34.7%を超える回答を得た。この他では、初動段階では、「被災・被害状況の確認・連絡手順の策定」においてBCPが機能しなかったと感じた人が多い。
また、応急・復旧段階においては、「ステークホルダーとのサプライチェーンについての復旧手順・代替策の用意」においてBCPが機能しなかったと感じた人が多い。

◆比較的、対策や手順の策定が進んでいた初動段階では、特に被害状況確認や、従業員等への退社・出勤等の判断にて、想定外の対応が発生し、結果としてうまく機能しなかったという意見が多数。

◆取引先や情報伝達先など、外部との連携に係る復旧手順・代替策の不備が、3.11の震災で顕在化。

◆6割を超える企業が、3.11の震災を受け、BCPを見直す(BCPを新たに策定する)意向。
今回の震災を受け、BCP見直し・策定の意向について尋ねたところ、19.7%が「BCPを見直し中(もしくは震災を受け、BCP策定中)」と回答。「BCP見直し(策定)を検討中」は42.2%で、あわせて6割を超える企業が、3.11の震災を受け、BCPを見直す(BCPを新たに策定する)意向。
業種別では、物流業が最もBCP見直し・策定意向が強く、次いで製造業、金融・保険業と続いた。

◆3.11の震災を受け、BCPを見直すにあたり、想定するリスクとして「東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震」を 挙げる企業が約6割。震災前との比較では「原子力災害」を新たに想定リスクに加える企業が多い。

以上

◆ 本件に関するお問い合わせ ◆

株式会社NTTデータ経営研究所
〔内容に関するお問い合わせ先〕
 パートナー 加藤 賢哉
 マネージャー 白橋 賢太朗
 TEL:03 (5467)9301

〔報道関係のお問い合わせ先〕
プラクティスサポート部
 井上 国広   TEL:03 (5467)6313

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