調査概要
【補足】 (*2)以下に該当するビジネスモニターを対象
(*3)各地域の範囲は以下の通り
<本調査におけるBCP(事業継続計画)の定義> |
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調査結果
1. 3.11東日本大震災での被災状況1.1 1.1 企業の被災状況◆7割弱の企業が、3.11の震災において「何らかの影響を受けている」と回答。今回の震災の影響について尋ねたところ、「自社拠点が被災」し、経営面等に影響が出ている企業は29.0%、「自社は被災していないが、取引先等の被災により影響を受けている」企業は39.1%で、7割弱の企業が、3.11の震災において「何らかの影響を受けている」状況であった。【図表1-1】 【図表1-1】 震災の影響有無(N=1,020) 大規模・多拠点の企業ほど、影響を受けている割合は高く、1,000人以上の企業は78.6%、5,000人以上では8割を超える(84.7%)。 業種別では、製造業において「何らかの影響を受けている」企業が9割近く(87.3%)に達し、他業種と較べ特に高い。【図表1-2】 【図表1-2】 震災の影響有無<従業員規模別><国内事業所数別><業種別> 1.2 受けている震災の影響の内容◆3.11の震災において影響を受けている企業のうち、6割近くが「売上等の営業状況が悪化」と回答。今回の震災において「何らかの影響を受けている」と回答した対象者に対し、受けている震災の影響の内容について尋ねたところ(複数選択)、「売上等の営業状況が悪化している」との回答が6割弱(57.3%)と最も多く、次いで「(原材料・資材等)調達が滞っている」との回答が4割を超えた(41.3%)。 【図表1-3】 【図表1-3】震災の影響内容 (N=695)
業種別にみると、「調達が滞っている」との回答率が最も高いのは、製造業(64.8%)であるが、「(顧客・親会社等への)製商品配送が滞っている」については、商業・流通・飲食(37.3%)が製造業(23.6%)を逆転している。 【図表1-4】 【図表1-4】 震災の影響内容<業種別>
◆「事業拠点の施設(建物)」そのものに被害が出た企業は約4分の3を占める。今回の震災において「自社拠点が被災」と回答した対象者に対し、被災した経営資産の内容について尋ねたところ(複数選択)、 「事業拠点の施設(建物)」そのものに被害が出たとの回答が、被災した拠点の種類に係らず概ね最も多く、平均して約4分の3(75.2%)を占めた。次いで多いのが、「施設内の設備・備品(情報システム等のIT資産を除く)」(平均64.4%)であった。 物流拠点を持つ企業においては、「原材料・部品・製商品」に被害が出たとの回答も多く、6割を超える(61.9%) 。 【図表1-5】 【図表1-5】 被災した経営資産
2. 3.11東日本大震災を受けた企業の課題意識2.1 最も脅威に感じた災害要因◆震災で最も脅威に感じたものは「原子力発電所の事故」。次いで津波、強烈な地震動が続く。回答者自身が最も脅威に感じた災害要因について尋ねたところ(最大3つまで選び回答)、 「原子力発電所の事故」(66.7%)が最も多く、以下「地震動による津波」(60.2%)、「強烈な揺れ」(53.8%)の順となった。 【図表2-1】 【図表2-1】 脅威に感じた災害要因 (N=1,020)
2.2 企業として想定外であった発災後の状況◆企業として最も想定外であったのは「電力施設の機能低下による計画停電」。次いで「交通インフラ機能低下 による帰宅・出勤困難の発生」、「過度な自粛ムードによる消費・購買力の停滞」が続く。勤務先の企業として想定外であった発災後の状況について尋ねたところ(複数選択)、「電力施設の機能低下による計画停電」(43.7%)が最も多く、以下「交通インフラ機能低下による帰宅・出勤困難の発生」(33.8%)、「過度な自粛ムードによる消費・購買力の停滞」(31.9%)の順となった。 【図表2-2】 【図表2-2】 想定外であった発災後の状況 (N=1,020)
従業員規模が大きくなるほど、 「電力施設の機能低下による計画停電」、 「交通インフラ機能低下による帰宅・出勤困難の発生」が想定外であったとの意識が強い。一方、 「過度な自粛ムードによる消費・購買力の停滞」 については従業員規模が小さい企業ほど想定外であった意識が強い。【図表2-3】 【図表2-3】 想定外であった発災後の状況(複数選択)<従業員規模別>
想定外の意識も地域間で差があり、被害の大きい東北地方に本拠を置く企業では、計画停電ではない、送配電網・通信網そのものの被災による「停電」、「情報通信・連絡の途絶」といった地震による直接的な被害や、「物資・燃料の不足」、「物流障害」など輸送網・サプライチェーン機能低下によるモノへの影響に係る回答が他地域と比べ特に高い。 これに対し、東北に次いで影響を受け、大都市圏を抱える関東地方では、「計画停電」や「帰宅・出勤困難の発生」といったライフライン・交通インフラの機能低下によって引き起こされた影響に係る回答が比較的高い結果となった。【図表2-4】 【図表2-4】 想定外であった発災後の状況(複数選択)<地域別>
2.3 震災発災後の対応に関し、自社において発見された課題・見直し事項◆3.11の震災を受けた企業の課題として、「出勤・帰宅困難時の対策強化」や、「安否確認方法・手順の見直し」 について必要性を感じる企業が3分の1を超える。震災発災後の対応に関し、自社において発見された課題・見直し事項について尋ねたところ(複数選択)、 「出勤・帰宅困難時の対策強化」(36.1%)が最も多く、次いで「従業員・職員等の安否確認方法・手順の見直し」(35.7%)、「(従業員・職員等の安否確認以外の)緊急時の手順・行動計画の見直し、教育・訓練の徹底」(31.5%)、「計画停電等、社会インフラ機能低下時の対策強化」(30.0%)が続いた。 【図表2-5】 【図表2-5】 自社において発見された課題・見直し事項 (N=1,020)
3. 企業の事業継続に係る対応状況3.1 3.11時点での企業のBCPの策定状況◆3.11時点でBCPを策定済みの企業は約25%。東日本大震災発災前におけるBCPの策定状況について尋ねたところ、「策定済み」と回答した企業は25.8%。「策定中」まで含めると、44.7%の状況であった。【図表3-1】 【図表3-1】 3.11時点での企業のBCPの策定状況 (N=1,020) 上場企業では、半数近くの45.1%がBCP策定済み。一方で未上場企業は2割を切る(18.6%)。 従業員規模が大きくなるにつれ、BCP策定済み企業の割合は増え、500人から999人では3割近く(29.2%)に達し、5,000人以上の企業では、5割を超える(51.5%)。 業種別では、金融・保険業ではBCP策定済み企業の割合が54.4%と、群を抜いて取り組みが進んでいる。一方で、教育・医療・研究機関(11.6%)や、商業・流通・飲食(18.7%)においては、事業継続の取り組みに遅れもみられる。【図表3-2】 【図表3-2】 3.11時点での企業のBCPの策定状況<上場区分別><従業員規模別><業種別><地域別> 3.2 3.11時点でBCP策定済み企業の策定内容・機能状況◆「取引先」まで含めてBCPを策定していた企業は1割に満たない。震災前にBCPを策定していた企業のうち、BCP策定対象としていた拠点について尋ねたところ(複数選択)、 「支社・事業所」もBCPの対象に含めていた企業は約6割であった。 自社の「営業所・営業拠点」や「物流拠点」をBCPの対象に含めていた企業はそれぞれ約3割、約1割にとどまり、「取引先」まで含めてBCPを策定していた企業は1割に満たない。【図表3-3】 【図表3-3】 BCP策定対象としていた拠点 (N=645)
◆3.11の震災において、約3分の2の企業が、既存BCPでは「問題があった」または「機能しなかった」と回答。震災前にBCPを策定していた企業のうち、今回の震災で自社のBCPは機能したか尋ねたところ、「BCPは一部機能したが、問題となる部分はあった」(62.7%)が最も多く、 「BCPはまったく機能しなかった」(3.0%)と合わせると、約3分の2の企業が、既存BCPでは「問題があった」または「機能しなかった」 との結果が得られた。【図表3-4】 【図表3-4】 3.11震災でのBCPの機能有無 (N=263)
3.3 機能しなかったBCPの内容◆機能しなかったBCPの内容として、最も多かったものは「従業員・職員への退社・出勤等の判断指針」で 3分の1を超える。震災前にBCPを策定していた企業のうち、今回の震災で機能しなかったBCPの内容について尋ねたところ(複数選択)、最も多かったものは「従業員・職員への退社・出勤等の判断指針」で34.7%を超える回答を得た。この他では、初動段階で「被災・被害状況の確認・連絡手順の策定」(24.3%)においてBCPが機能しなかったと感じた人が多い。 また、応急・復旧段階においては、「ステークホルダーとのサプライチェーンについての復旧手順・代替策の用意」(23.7%)においてBCPが機能しなかったと感じた人が多い。【図表3-5】 【図表3-5】 3.11震災で機能しなかったBCPの内容 (N=173)
◆比較的、対策や手順の策定が進んでいた初動段階では、特に被害状況確認や、従業員等への退社・出勤等の判断にて、想定外の対応が発生し、結果としてうまく機能しなかったという意見が多数。BCP策定済みの企業において、機能しなかったBCPの内容ごとに、その理由について尋ねたところ(複数選択)、初動段階で「機能しなかった」との意見が多かった「従業員・職員への退社・出勤等の判断指針」や「被災・被害状況の確認・連絡手順の策定」については、「手順や対策を定めていたが、予期せぬ作業・対応が発生した」という意見が多数であり、震災前に想定していた被害規模・被害程度などの想定が崩れ、計画通りに対応できなかったことが示唆される。 【図表3-6】
◆取引先や情報伝達先など、外部との連携に係る復旧手順・代替策の不備が、3.11震災で顕在化。応急・復旧段階で「機能しなかった」との意見が多かった「ステークホルダーとのサプライチェーンについての復旧手順・代替策の用意」については、「手順や対策を定めていたが、予期せぬ作業・対応が発生した」(41.5%)に続き、「そもそも、当該部分において手順や対策を定めていなかった」が34.1%と比較的高い回答率であった。「ステークホルダーとの金流・情報連携などについての復旧手順・代替策の用意」や、「マスコミ・自社サイト等、外部メディアへの情報発信手順・代替案の用意」も含めてみると、取引先や情報伝達先など、外部との連携に係る復旧手順・代替策については、今回の震災で対策の不備が顕在化したといえる。 【図表3-6】 【図表3-6】 3.11震災で機能しなかったBCPの内容とその理由
3.4 震災を受けたBCP見直し・策定意向◆6割を超える企業が、3.11の震災を受け、BCPを見直す(BCPを新たに策定する)意向。今回の震災を受け、BCP見直し・策定の意向について尋ねたところ、19.7%が「BCPを見直し中(もしくは、震災を受け、BCP策定中)」と回答。「BCP見直し(策定)を検討中」は42.2%で、あわせて6割を超える企業が、3.11の震災を受け、BCPを見直す(BCPを新たに策定する)意向。【図表3-7】 【図表3-7】 3.11の震災をうけたBCP見直し・策定意向 (N=1,020)
業種別では、物流業が最もBCP見直し・策定意向が強く(71.9%)、次いで製造業(70.1%)、金融・保険業(69.1%)と続き、影響が世界規模となったサプライチェーンの主たるプレーヤ-である物流・製造業が、もともと事業継続への取り組み意識が強かった金融・保険業をわずかに上回った。【図表3-8】 【図表3-8】 3.11の震災をうけたBCP見直し・策定意向<業種別> (N=1,020)
◆3.11の震災を受け、BCPを見直すにあたり、想定するリスクとして「東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震」を挙げる企業が約6割。震災前との比較では「原子力災害」を新たに想定リスクに加える企業が多い。今回の震災を受け、自社のBCPを見直すにあたり、どのようなリスクを想定するか尋ねたところ(複数回答)、 「地震(東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震)」(59.9%)が最も多く、以下「地震(主として直下型地震)」(54.4%)、「自社設備の事故・故障・機能停止(停電)」(39.9%)と続いた。 震災前に、想定していたリスクとの対比でみると、「原子力災害」について震災前は7.8%であったのに対し、震災後では33.0%と大きく上昇しており、 「原子力災害」を新たに想定リスクに加える企業が多いことが伺える。【図表3-9】 【図表3-9】 3.11の震災をうけたBCP見直し・策定において想定するリスク(震災前との比較)
以上 |
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