2016年5月20日
働き方変革2016
働き方変革に取り組む企業は1年で約1割増、3社に1社が取り組む
~女性活躍推進への見方は女性の方が厳しい~
目次
- 調査概要
- 調査結果
- 1 働き方変革への取り組み
- 1.1 働き方変革への取り組み状況
- 1.2 働き方変革に取り組んでいる企業の変化
- 2 生産性があがる時間帯
- 2.1 生産性があがる時間帯
- 2.2 生産性があがる時間帯に必要な時間の確保
- 3 育児期・介護期の従業員の処遇
- 3.1 所属する職場の状況
- 3.2 育児期・介護期の従業員の処遇
- 4 女性の活躍推進
- 4.1 女性の昇進について
- 4.2 女性の働く時間について
- 4.3 男性の育児参加について
調査概要
- 調査対象:NTTコム リサーチ クローズド調査(*1)
- 調査方法:非公開型インターネットアンケート
- 調査期間:2016年3月16日~2016年3月28日
- 有効回答者数:1,157人
- 標本設計:従業員規模10名以上、経営者・役員を含む雇用者(正社員)、20歳以上のホワイトカラー職種を対象。 なお、男女は均等に割り付け、役職(*2)は、一般社員と管理職が7:3で割り付け。
- 回答者の属性(*3) (*4):
【補足】
(*1)NTTコム リサーチ http://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスである。自社保有パネルとして国内最大級の延べ217万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、さまざまな市場調査ニーズに対応している。(モニターの人数は2016年3月現在)
(*2)本調査では、一般社員クラスと係長・主任クラスを「一般社員」、課長クラス、事業部長・部長クラス、経営者・役員クラスを「管理職」という。
(*3)回答者の属性は、回答者のアンケート上の自己申告に基づいている。
(*4)回答の構成比は、小数第2位を四捨五入しているため、各構成比の合計は100%にならない場合がある。
調査結果
1 働き方変革への取り組み
1.1 働き方変革への取り組み状況
「働き方変革」に取り組んでいる企業は、3割を超え(32.1%)、「働き方変革」に取り組む企業は1年で約1割増加している。
自社が働き方変革に取り組んでいるかどうかを尋ねたところ、働き方変革に取り組んでいる企業は、3割を超えている(今回調査:32.1%)。昨年度の同調査(前回調査「働き方変革2015年(2015年3月13日~2015年3月17日実施)」)では、約2割(22.2%)にとどまっていたが、働き方変革に取り組む企業が1年で約1割増加したと言える。【図表 1-1-1】
【図表1-1-1】働き方変革に取り組んでいる企業の割合

※なお、働き方変革は多様な使われ方をしているので、本調査では、「働き方変革」について、働き方を変えて、①コミュニケーションスタイル等の組織風土を変える、②作業手順を変えること、③ワーク・ライフ・バランスを推進し、④ハラスメントの予防も実現することと定義し、回答していただいている。
1.2 働き方変革に取り組んでいる企業の変化
働き方変革に取り組んでいる企業の約半数(48.6%)が「休暇が取得しやすくなっている」ことを実感している。次いで、4割を超える人が家庭との両立が容易になっている(43.4%)と感じている。
働き方変革に取り組んでいる企業の従業員を対象に、「働き方変革」に取り組む前と比べて、どのような変化があったかを尋ねたところ、約半数(48.6%)の従業員は「休暇が取得しやすくなった」と回答している。
次いで、「家庭との両立が容易になった」(43.4%)、「労働時間の減少」(43.1%)や「気持ちに余裕が生まれている」(41.2%)が続いている。
働き方変革に取り組んだ結果、「生産性の向上」や「やらされ感の減少」も約4割(それぞれ39.9%、39.3%)に達している。【図表 1-2-1】
【図表 1-2-1】働き方変革に取り組んでいる企業の変化(n=371)

2 生産性があがる時間帯
2.1 生産性があがる時間帯
半数以上(53.6%)が9:00~12:00を生産性が一番あがる時間帯と回答している。
生産性が一番あがる時間帯について尋ねたところ、半数以上(53.6%)が9:00~12:00をあげている。次に、15:00~18:00の時間帯が16.9%である。
21:00~24:00の時間帯をあげた人がわずか0.8%と少ない一方で、6:00~9:00の時間帯をあげた人は5.4%である。男性は、6:00~9:00の時間帯をあげた人が7.0%と18:00~21:00をあげた人の割合(6.2%)よりも多い。
女性は、生産性が一番あがる時間帯を9:00~18:00とした人が8割を超え(82.9%)を超えている。(男性の同時間帯は、76.2%。)【図表 2-1-1】
【図表 2-1-1】生産性があがる時間帯

2.2 生産性があがる時間帯に必要な時間の確保
生産性のあがる時間帯にいつも必要な時間が確保できている人は2割(17.8%)を下回り、ある程度確保できている人は約6割(58.5%)である。
生産性があがる時間帯を尋ねたところ、いつも必要な時間が確保できている人は2割(17.8%)を下回り、ある程度確保できている人は約6割(58.5%)である。
生産性のあがる時間帯をいつも確保できている人とある程度確保できている人をあわせると、と全体の76.3%が必要な時間を確保している。
一方で、確保できていない人は10.4%、全く確保できていない人は3.7%であり、あわせて14.1%(163人)存在する。【図表 2-2-1】
また、役職別に見ると、確保できている人は「課長クラス以上」の方が「係長クラス以下」に比べ約5ポイント多い一方、「係長クラス以下」では「わからない」とする回答が1割を超えていることから、確保できていない人についても、「課長クラス以上」の方が「係長クラス以下」に比べ約5ポイント多い。 【図表 2-2-2】
【図表 2-2-1】生産性のあがる時間帯に必要な時間が確保できている割合

【図表 2-2-2】生産性のあがる時間帯に必要な時間が確保できている割合 役職別

生産性のあがる時間帯に必要な時間が確保できない理由として、約半数が「電話やメールの対応」や「余計な仕事への対応」を挙げている。
生産性があがる時間帯に必要な時間が確保できていない人(163人)にその理由を尋ねたところ、全体では半数以上(51.5%)が、「電話やメールへの対応」をあげている。続いて、約半数(49.7%)が「余計な仕事を依頼されることが多く、本来の仕事に集中できない」ことを挙げている。
女性の約6割(58.2%)が「電話やメールへの対応」を挙げ、男性の半数以上(53.1%)が「余計な仕事を依頼されることが多く、本来の仕事に集中できない」ことを生産性があがる時間帯に必要な時間が確保できない理由にあげている。【図表 2-2-3】
また、役職別に見ると、「課長クラス以上」では、「社内の打ち合わせ」「取引先等への外出」「部下や後輩への指導」の3項目を選択した割合が、「係長クラス以下」の同割合を10ポイント超上回っている。【図表 2-2-4】
【図表 2-2-3】生産性のあがる時間帯に必要な時間が確保できていない理由 (複数回答)

【図表 2-2-4】生産性のあがる時間帯に必要な時間が確保できていない理由 役職別 (複数回答)

3. 育児期・介護期の従業員の処遇
3.1 所属する職場の状況
職場に育児中の従業員がいる職場は全体の4分の1(25.2%)、介護中の従業員がいる職場は全体の5.5%である。
所属する職場の育児や介護の状況を尋ねたところ、育児中の人は全体の9.3%、介護中の人は全体の3.1%であり、男女別にみると、女性の13.6%が育児中であり、4.0%が介護中である。男性は、5.1%、2.2%にとどまっている。
職場に育児中の従業員がいる職場は全体の4分の1(25.2%)である。女性回答者の職場が3割の超えている(31.4%)一方で、男性回答者の職場で育児中の従業員がいる職場は2割を下回る(19.0%)。
職場に介護中の従業員がいる職場はわずか6.5%である。女性回答者の職場は7.5%、男性回答者の職場で介護中の従業員がいる職場は5.5%である。
自分自身も職場にも育児中、介護中、病気やけがで治療中の人がいない職場は、約6割である(58.8%)。
女性の回答者の職場では、いずれもあてはまらないと回答した人は約半数である(50.6%)である一方で、男性の回答者の職場では7割近く(66.8%)がいずれもあてはまらないと回答している。【図表 3-1-1】
【図表 3-1-1】所属する職場の育児や介護の状況 (複数回答)

育児・介護で困っていることがあれば、相談に乗ってあげたいと思う人は、全体の約半数(53.8%)。
アンケートの回答者全員に対して、育児や介護をしながら働いている人に対する意識を尋ねたところ、全体の約半数(53.8%)が「育児・介護で困っていることがあれば、相談に乗ってあげたいと思う」と答えている。
男性よりも女性の方が相談に乗ってあげたいと思う人が8.9ポイント多く、6割近く(57.9%)が相談に乗ってあげたいと思っている。
ただし、男性回答者の7割近く(66.8%)が自分自身も職場にも育児中、介護中、病気やけがで治療中の人がいない職場であり、どちらとも言えない人が約2割(18.8%)となっている。【図表 3-1-2】
【図表 3-1-2】育児・介護で困っていることがあれば、相談に乗ってあげたい

育児中の従業員がいる職場、介護中の従業員がいる職場、病気やけがで治療中の従業員がいる職場のそれぞれで4分の1以上が「時短の従業員が多く、通常勤務の人にしわ寄せがある」と回答している。
所属する職場の状況について、「時短の従業員が多く、通常勤務の人にしわ寄せがあるか」と尋ねたところ、育児中の従業員がいる職場全体で「非常に感じている」(6.5%)、「多少感じる」(19.2%)とあわせて25.7%であり、女性は、「非常に感じている」(7.8%)、「多少感じる」(23.3%)と3割以上(31.1%)がしわ寄せを感じている。
同様に、介護中の従業員がいる職場では、「非常に感じている」(9.3%)、「多少感じる」(17.3%)とあわせて26.7%であり、女性よりも男性の方がしわ寄せを感じており、「非常に感じている」(9.4%)、「多少感じる」(28.1%)と4割近く(37.5%)がしわ寄せを感じている。
また、病気やけがで治療中の従業員がいる職場では、「非常に感じている」(7.3%)、「多少感じる」(20.0%)とあわせて27.3%であり、男女の差は2ポイント程度である(男性:28.4%、女性:26.3%)。【図表 3-1-3】、【図表 3-1-4】、【図表 3-1-5】
【図表 3-1-3】育児中の従業員のいる職場のうち、時短者がいることによる通常勤務者へのしわ寄せの割合

【図表 3-1-4】介護中の従業員のいる職場のうち、時短者がいることによる通常勤務者へのしわ寄せの割合

【図表 3-1-5】病気やけがで治療中の従業員がいる職場のうち、時短者がいることによる通常勤務者へのしわ寄せの割合

3-2. 育児期・介護期の従業員の処遇
女性の7割近く(68.8%)が「育児・介護を抱えていたとしても、簡単な仕事だけではなく、本人の能力に見合った仕事を与えるべきだと思う」と回答している。
育児・介護と仕事の両立や、女性の活躍推進に関する考え方について尋ねたところ、全体の6割を超える(64.0%)人が、「育児・介護を抱えていたとしても、簡単な仕事だけではなく、本人の能力に見合った仕事を与えるべきだと思う」と答えている。
女性は、男性よりも9.6ポイント多く、7割近く(68.8%)が「育児・介護を抱えていたとしても、簡単な仕事だけではなく、本人の能力に見合った仕事を与えるべきだと思う」と答えている。【図表 3-2-1】
【図表 3-2-1】育児・介護を抱えていたとしても、簡単な仕事だけではなく、本人の能力に見合った仕事を与えるべきか

女性の7割超(73.0%)が「育児・介護を抱えているか否かに関わらず、本人の成果に応じて評価・処遇すべきだと思う」と回答している。
全体の7割近く(65.9%)が、「育児・介護を抱えているか否かに関わらず、本人の成果に応じて評価・処遇すべきだと思う」と回答している。
女性は、男性よりも14ポイント多く、7割超(73.0%)が「育児・介護を抱えているか否かに関わらず、本人の成果に応じて評価・処遇すべきだと思う」と回答している。【図表 3-2-2】
【図表 3-2-2】育児・介護を抱えているか否かに関わらず、本人の成果に応じて評価・処遇すべき

4. 女性の活躍推進
4-1. 女性の昇進について
女性の約4分の3(75.9%)が「出産・育児を理由として、女性の昇進を妨げるべきではないと思う」と回答している。
全体の約7割(69.9%)が、「出産・育児を理由として、女性の昇進を妨げるべきではないと思う」と答えている。
女性は、男性よりも11.8ポイント多く、4分の3超(75.9%)が「出産・育児を理由として、女性の昇進を妨げるべきではないと思う」と答えている。【図表 4-1-1】
【図表 4-1-1】出産・育児を理由として、女性の昇進を妨げるべきではないか

女性の8割超(81.7%)が「女性管理職を無理に増やすのではなく、昇進や管理職への登用は、あくまで本人の能力によって行うべきだと思う」と回答している。
「女性管理職を無理に増やすのではなく、昇進や管理職への登用は、あくまで本人の能力によって行うべきだと思う」かと尋ねたところ、そう思う(36.8%)とどちらかと言えばそう思う(39.4%)をあわせて、全体の4分の3以上(76.2%)があくまでも本人の能力によって昇進や管理職への登用をするべきと回答している。
女性は、男性よりも10.8ポイント多く、8割超(81.7%)が「女性管理職を無理に増やすのではなく、昇進や管理職への登用は、あくまで本人の能力によって行うべきだと思う」と回答している。【図表 4-1-2】
【図表4-1-2】女性管理職を無理に増やすのではなく、昇進や管理職への登用は、あくまでも本人の能力によって行うべきか

全体の約2割(23.4%)が「女性が評価や昇進において優遇される場合がある」と回答している。
全体の約2割(23.4%)が「私の職場では、女性が評価や昇進において優遇される場合がある」と回答し、女性は男性よりも若干割合が多く、4分の1以上(25.3%)が優遇されていると感じている。 【図表 4-1-3】
【図表4-1-3】職場で女性が評価や昇進において優遇される場合があるか

4-2. 女性の働く時間について
女性の6割近く(57.1%)が「女性も男性並みに長時間働けるような環境が整備された社会が、女性活躍社会である」と回答している。
全体の半数以上(54.5%)人が、「女性も男性並みに長時間働けるような環境が整備された社会が、女性活躍社会であると思う」と答えている。
女性は、男性よりも5.1ポイント多く、6割近く(57.1%)が「女性も男性並みに長時間働けるような環境が整備された社会が、女性活躍社会であると思う」と回答している。【図表 4-2-1】
【図表 4-2-1】女性も男性並みに長時間働けるような環境が整備された社会が女性活躍社会であると思うか

4.3 男性の育児参加について
男性も半数以上(53.9%)が「育児を行う男性は、育児休業や短時間勤務等を取得し、より積極的に育児へ参画すべきだと思う」と回答している。
「育児を行う男性は、育児休業や短時間勤務等を取得し、より積極的に育児へ参画すべきだと思う」かと尋ねたところ、全体の約6割(59.1%)が、積極的に育児に参加するべきと回答している。
男性も半数以上(53.9%)が、男性もより積極的に育児へ参画すべきだと回答している。
女性は、男性よりも10.4ポイント多く、6割超(64.3%)で男性もより積極的に育児へ参画すべきだと回答している。【図表 4-3-1】
【図表 4-3-1】育児を行う男性は、育児休業や短時間勤務等を取得し、より積極的に育児へ参画すべきか

以上