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2016年2月18日

「都市地域に暮らす子育て家族の生活環境・移住意向調査」

子育て世代の移住定住施策として効果が高いのは「自然体験」を重視した保育・教育

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目次


調査概要

  • 調査対象:NTTコム リサーチ クローズド調査(*1)首都圏及び全国の政令指定都市に居住する0歳~6歳未満の子供のみを持つ男女
  • 調査方法:非公開型インターネットアンケート
  • 調査期間:2016年1月26日~2016年1月29日
  • 有効回答者数:1,023人
  • 回答者の属性:

注意)本調査では全国の都市的地域に居住する子育て家族の意識を調査することを目的とした。そのため、対象地域は全国の政令指定都市、中核市、および東京都全域、埼玉県南部地域・南西部地域・東部地域、千葉県東葛飾地域、葛南地域を対象とした。
また、回答者のうち女性が男性の1.8倍になっており、男性が少ないことにも注意が必要である。

【補足】
(*1)「NTTコム リサーチ http://research.nttcoms.com/

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://nttcoms.com/)が提供する、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスである。
自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2016年2月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されている。


調査結果

1 子育ての現状と課題

 都市地域で暮らす6歳以下の子供のみをもつ男女に、現在の子育て状況やストレス、自然体験等に関するアンケート調査を実施した。

1.1 子育てを支援する祖父母や親族がいない人が約半数

 現在、同居している、あるいは、ご近所に暮らしていて、子育てをサポートしてくれている家族(親など)について聞いたところ、約半数の49.4%が子育てをサポートする祖父母や親族がいないという回答が得られた。都市部で育児に孤軍奮闘する親が多いことが示された。一方で子供の祖父母が近くに住んでいて子育てをサポートしているなど、祖父母や親族によるサポートが得られている割合も半数であることが分かった。【図1-1】

【図表1.1】子育てを支援する家族の有無(N=1,023)

子育てを支援する家族の有無

1.2 子育てにおけるストレスや不安を約3割の親が頻繁に感じている

 子育てにおけるストレスや不安を「常に感じている」と「よく感じている」を合わせると29.7%であり約3割の親が頻繁なストレスや不安を抱えていることが分かった。さらに「時々感じている」まで合わせると75.3%と約4分の3の親が子育てにおけるストレスや不安を抱えていることが分かった。【図1-2】

【図表1.2】子育てにおけるストレスの有無(SA)(N=1,023)

子育てにおけるストレスの有無

1.3 子育てにおけるストレスや不安で大きいのは「時間的拘束」、「経済的負担」、「仕事との両立」。「外遊びの不足」、「テレビ・ゲームへの依存」、「物音への配慮」など都市生活ならではの不安も。

 子育てにおけるストレスや不安の要因として最も多く挙げられたのは「子育ての時間的拘束が大きい」43.3%で4割以上の親が時間的拘束をストレスとして感じていることが分かった。次いで「子育てに係る継時的な負担が大きい」も39.2%で約4割の親にとってストレスや不安の要因となっていることが分かった。さらに「子育てと仕事の両立が難しい」が28.9%で約3割の親がストレスや不安に思っていることが分かった。また都市地域ならではのストレス要因とも考えられる「外遊びが少ない(15.9%)」、「テレビ・ゲーム等への依存が大きい(13.2%)」、「物音への配慮が必要(10.9%)」などがストレス・不安要因になっている親も1割以上いた。【図1-3】

【図表1.3】子育てにおけるストレス・不安要因(MA)(N=1,023)

子育てにおけるストレス・不安要因

1.4 子供の自然体験不足を認識している人は約3分の2

 「あなたは、あなたの子どもが十分な自然体験ができていると思いますか?」の問いに対し、十分な自然体験ができていると回答した親はわずか2.2%であり、ある程度は自然体験ができていると合わせると約3分の1であった。逆に「ほとんど自然体験ができていない」が20.5%と2割であり、「あまり自然体験ができていない」は46.0%と最も多く、両者を合わせると、子供の自然体験不足を認識している人は約3分の2であった。【図1-4】

【図表1.4】子供の自然体験(SA)(N=1,023)

子供の自然体験

2 子育ての世代の移住意向

 都市地域で暮らす6歳以下の子供のみをもつ男女に、地方への移住・転職希望や移住先での子育て環境に関する意向についてのアンケート調査を実施した。

2.1 “ふるさと”がある人は約半数

 「現在の住まい、またその近隣以外に、ご自身および配偶者の出身地あるいは父母や祖父母が住んでいる“ふるさと”、過去に一定期間暮らしていたり通っていたなどで“なじみのある地域”などはありますか?」との問いに対し、“ふるさとやなじみの地域”があるとの回答が50.0%、ないとの回答が50.0%とそれぞれ半数であった。【図2-1】

【図表2.1】ふるさとの有無 (N=1,023)

ふるさとの有無

2.2 子供の入学前までに地方への移住・転職したい・検討したい親は約15%

 「現在お住まいの地域よりも地方への移住・転職してみたいと思いますか。」に対し、子どもが「入園前までに」および「入学前までに」地方へ移住・転職したい・検討したいという回答を合わせると14.7%であった。これに「中学入学前」、「高校入学前」を合わせると18.6%であり、約2割の親が子育て中に地方への移住・転職をしたい・検討したいと希望していることが分かった。さらに「子育てが終わったら」、「いつかは分からないが」という人も合わせると4割以上の親が地方への移住・転職を検討していることが分かった。【図2-2】

【図表2.2】子供の自然体験(SA)(N=1,023)

子供の自然体験

2.3 移住・転職先で人気なのは東京都、神奈川県、北海道、沖縄県、千葉県

 地方への移住・転職をしたい・検討したいとの回答者に「移住・転職先として検討してみたい都道府県」を5つまで質問したところ、最も多いのが東京都(16.2%)、次いで神奈川県(14.3%)、北海道(11.9%)、沖縄県(10.9%)、千葉県(9.3%) であった。東京都や神奈川県や千葉県などは現在の居住地周辺における移住ニーズが高いからと考えられる。また希望する移住・転職先の回答が、現在の居住地よりも5%以上大きく伸びたのは沖縄県(+10.9%)、北海道(+8.4%)、長野県(+6.9%)、兵庫県(+5.4%)であり、周辺地域に居住している人以外からの希望が多いことが分かる。【図2-3】

【図表2.3 】希望する移住・転職先(N=421)

希望する移住・転職先

2.4 地方への移住・転職を考えるきっかけ

 地方への移住・転職を考えるきっかけとして最も多いのは「子育てのため(29.7%)」、次いで「スローライフ・自分らしい生き方のため(26.4%)」、「出身地や親元等へのUターン(24.0%)」であった。子育て世代の意識として、子育てのために自然豊かなところなどで暮らしたいというニーズが浮かび上がる。【図2-4】

【図表2.4】地方への移住・転職を考えるきっかけ(N=421)

地方への移住・転職を考えるきっかけ

2.5 移住先の保育園・幼稚園として魅力のあるのは「自然環境を活かした保育・教育」

 地方への移住・転職などを行う場合、保育園・幼稚園の条件として、特に魅力があると思うものとして「自然環境を活かし、子供の五感、生きる強さ、主体性を育成する保育・教育のある環境」が最も多く第1位として選択した人が59.4%、1位~3位の合計では87.2%と約8割に上った。次いで、経済的支援や早期教育なども半数以上であった。【図2-5】

【図表2.5】移住先で魅力ある保育・教育(N=421)

移住先で魅力ある保育・教育(N=421)

2.6 森のようちえんへの関心は半数以上。自然体験の機会への希望が多い。

 「現在の居住地又は移住・転職したいと思っている地域に “森のようちえん”がある場合、子どもを通わせることに関心がありますか」との問いに対し、半数以上「関心がある」「やや関心がある」との関心が示された。その内容としては「川遊び、里山散策、岩登り、火おこし、かまくらづくり、どろんこ遊びなど自然体験」(54.2%)、「田植え、稲刈り、芋ほりなど農林業体験」(46.5%)など自然を活かした保育・教育内容への希望が多かった。都市地域での子育てにおいて、子供の自然体験が不足しているとの認識から、このような体験機会を多く持つことへの関心が高いと考えられる。【図2-6、図2-7】

【図表2.6】森のようちえんへの関心(SA)(N=1,023)

森のようちえんへの関心

【図表2.7】保育・教育の内容への希望(MA)(N=1,023)

保育・教育の内容への希望

2.7 地方への移住により希望する子供の数が増加

 今後の出産の意向について「現在の環境の場合」と「地方に移住した場合」で聞いたところ、もう1人子供がほしい、もう2人子供がほしい、もう3人以上子供がほしい回答者がそれぞれ増加し、あわせて約1割が地方に移住することにより子供を増やしたいという意向となっていた。さらに、子供を増やすことを望んでいないという割合は現在の環境では43.9%であるのに対し、地方に移住した場合には31.6%と1割以上も減少した。【図2-8】

【図表2.8】現在の環境および移住した場合の出産希望(SA)(N=421)

現在の環境および移住した場合の出産希望

2.8 自然の中でのあそび体験、子育て環境体験などへの参加意向が高い

 「地方への移住・暮らしを紹介するイベント等で、参加してみたいもの」を聞いたところ、528人からの回答が得られた。最も回答が多かったのが「自然の中でのあそび体験会、子育て環境の体験会」で約5割であった。次いで「地方で開催されるおまつりなど(34.3%)」、「地方で開催される農業体験、自然体験会(29.7%)」などであり、現地で開催されるイベントなどへの参加意向が高かった。移住を具体的に考える前の段階でも、子供の自然体験という位置づけで、現地へ足を運ぶ可能性があることが示された【図2-9】。このような体験・交流をきっかけとして、「いつかは分からないけれども移住を検討したい」という移住への淡い想いを持つ人たちに、移住・子育て・仕事等の情報提供を行い、より具体的な検討を可能とすることが、移住促進に有効だと考えられる。

【図表2.9】参加してみたい地方移住・暮らし紹介イベント(MA)(N=528)

参加してみたい地方移住・暮らし紹介イベント
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