2013年12月12日
ワークスタイル変革シリーズ~「働き方に関する調査」
「ダイバーシティ経営」~働き方からみた多様性の受容
ダイバーシティが浸透している職場は2割を下回る
浸透している職場のうち6割がこの2~3年の業績は良好であり、女性の多くが活躍
調査概要
- 調査対象: NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ) クローズド調査(*1)
- 調査方法: 非公開型インターネットアンケート
- 調査期間: 2013年11月12日~2013年11月15日
- 有効回答者数: 1,308人
- 標本設計: 従業員規模10名以上、経営者・役員を含む雇用者(正社員)、20歳以上のホワイトカラー職種を対象。
なお、企業規模(10人以上500人未満と500人以上)、担当職種(IT関連職種(*2)と非IT関連職種)、役職(*3)(一般社員と管理職)は均等に割り付け。 - 回答者の属性(*4) (*5):
【回答者所属企業の属性】
<従業員規模>
全体 1,308 100.0% 99人以下 447 34.2% 100人~499人 319 24.4% 500人~999人 156 11.9% 1,000人~2,999人 169 12.9% 3,000人~4,999人 59 4.5% 5,000人以上 158 12.1%
<売上高規模>
全体 1,308 100.0% 製造業 337 25.8% 流通・商業 116 8.9% 金融・保険業 60 4.6% 通信・メディア業 39 3.0% 運輸・建設・不動産業 128 9.8% コンピュータ・情報サービス業 297 22.7% 教育・医療・その他サービス業 221 16.9% その他 110 8.4%
【回答者の属性】
<年齢>
全体 1,308 100.0% 24歳以下 2 0.2% 25歳~29歳 24 1.8% 30歳~34歳 96 7.3% 35歳~39歳 165 12.6% 40歳~44歳 230 17.6% 45歳~49歳 249 19.0% 50歳~54歳 268 20.5% 55歳~60歳 171 13.1% 60歳以上 103 7.9%
<役職>
全体 1,308 100.0% 経営者・役員クラス 109 8.3% 事業部長・部長クラス 209 16.0% 課長クラス 352 26.9% 係長・主任クラス 218 16.7% 一般社員クラス 359 27.4% その他 61 4.7%
<主な担当職種(*2)>
全体 1,308 100.0% ★【社内向け】システム開発、情報システム企画・運用管理、Webサイト構築・管理 218 16.7% ★【顧客向け】システム開発・設計、ソフトウェア開発、プログラミング、システム企画・設計、データベース構築 207 15.8% ★【顧客向け】システム運用管理・サーバ管理 34 2.6% ★【顧客向け】Webサイト構築・管理、コンテンツ企画・制作 17 1.3% 営業推進・営業企画、プロダクトマネジメント、生産・品質管理 97 7.4% 顧客サービス・サポート、顧客管理、営業事務、オペレーター、受付・窓口 68 5.2% 経理・財務、総務、人事、広報宣伝、購買、秘書 196 15.0% 法務、事業企画、経営企画 42 3.2% 商品・サービス開発、マーケティング 40 3.1% 営業(外販) 85 6.5% 販売(店舗内、事業所内) 27 2.1% 調査、コンサルティング、研究開発 52 4.0% 教育研修、インストラクター 24 1.8% 経営全般 70 5.4% その他 131 10.0%
【補足】
(*1) 「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスである。
自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2013年11月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されている。
なお、2013年12月9日に、モニター基盤の拡大を機にサービス名称を「gooリサーチ」から「NTTコム リサーチ」と名称を変更し、サービスを提供している。
(*2) IT関連職種には、「回答者属性 主な担当職種」おいて★印をつけている。
(*3) 本調査では、一般社員クラスと係長・主任クラスを「一般社員」、課長クラス、事業部長・部長クラス、経営者・役員クラスを「管理職」という。
(*4) 回答者の属性は、回答者のアンケート上の自己申告に基づいている。
(*5) 回答の構成比は、少数第2位を四捨五入しているため、各構成比の合計は100%にならない場合がある。
調査結果
- 1. 多様な職業観
- 1.1 仕事のやりがい
- 1.2 いつまで働きたいか
- 1.2.1 いつまで働きたいか
- 1.2.2 どのように働き、どれくらい稼げると考えているか
- 1.3 育児・介護と働き方
- 2. ダイバーシティ推進と職場の実態
- 2.1 ダイバーシティの浸透状況
- 2.2 ダイバーシティの浸透と職場の状況
- 3. 多様性の受容
- 3.1 50歳以上に期待する業務と報酬
- 3.1.1 50歳以上に期待する業務
- 3.1.2 50歳以上の業務の納得感ある処遇水準
- 3.2 育児・介護中の社員に対する働き方への要望
- 3.3 多様な人材への認識
- 3.3.1 女性活躍に対する認識
- 3.3.2 50歳以上の活躍に対する認識
- 4. IT関連の業務スキルに対する自己効力感とキャリア
- 5. ダイバーシティ経営の必要性と日本社会
- 5.1 ダイバーシティ経営の必要性
- 5.2 10年後、20年後の理想的な日本社会
1. 多様な職業観
1.1 仕事のやりがい
■ 現在の仕事にやりがいを感じている人は、約6割。年齢を重ねるほど、現在の仕事に「やりがい」を感じる割合は高くなり、39歳以下で「やりがい」を感じている人は5割程度であるが、60歳以上になると8割を超える。
- 現在の仕事にやりがいを感じているかを尋ねたところ、「現在の仕事に、やりがいを感じている」(11.7%)、「どちらかと言えば、現在の仕事にやりがいを感じている」(48.9%)をあわせると、6割を超える(60.6%)。
男女別にみると、男性は「現在の仕事に、やりがいを感じている」、「どちらかと言えば、現在の仕事にやりがいを感じている」をあわせると、6割を超える(60.6%)。女性も6割を超え、ほぼ同水準。
年齢別にみると、39歳以下では「現在の仕事にやりがいを感じている」、「どちらかと言えば、現在の仕事にやりがいを感じている」あわせて52.3%、40歳~49歳の同回答は57.6%と6割を下回る。50歳~59歳の同回答は6割(64.5%)を超え、60歳以上での同回答は約8割(80.5%)を超えるので、年齢を重ねるほど、仕事のやりがいは高まると言える。【図表1-1-1】
【図表1-1-1】仕事のやりがいを感じている <性別><年代別>
1.2 いつまで働きたいか
1.2.1 いつまで働きたいか
■ 60歳を超えて働きたい人は、6割以上。「65歳くらいまで働きたい」人が、約3割。「70歳くらいまで働きたい」、「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答した人は、約3割に達する。
- 何歳まで働きたいかを尋ねたところ、「50歳前にリタイアしたい」と回答した人はわずか6.0%、「55歳くらいまで働きたい」5.9%、「60歳くらいまで働きたい」が約2割(20.9%)と続き、「65歳くらいまで働きたい」と回答した人は、約3割(29.4%)。さらに、「70歳くらいまで働きたい」、「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答した人は、3割以上(31.5%)に達する。
60歳を超えて働きたい人は、6割を超える(60.9%)。【図表1-2-1】
【図表1-2-1】いつまで働きたいか(N=1,308)
1.2.2 どのように働き、どれくらい稼げると考えているか
■ 50歳~54歳に到達したときに、「現在の会社で、50歳前と変わらない役割とミッションを担って、活躍し続けたい」(50歳前と同じ役割)人が約5割、「現在の会社で、責任範囲や業務量を限定して、過去の経験や知識を活かして、力を発揮したい」(責任範囲や業務量が限定された役割)は1割。55歳~59歳は「50歳前と同じ役割」が約3割を占め、「責任範囲や業務量が限定された役割」は、約2割になる。50歳~54歳、55歳~60歳ともに、約5割が力を発揮したい分野で、500万円以上1,000万円未満稼げると考えている。
- 55歳まで働きたいと回答した人に対して、年代別にどのように力を発揮したいかを尋ねたところ、50歳~54歳では「現在の会社で、50歳前と変わらない役割とミッションを担って、活躍し続けたい」が約5割(46.7%)を占める。
55歳~59歳について同様に尋ねると、「現在の会社で、50歳前と変わらない役割とミッションを担って、活躍し続けたい」を選択した人は、約3割(27.9%)となり、「現在の会社で、責任範囲や業務量を限定して、過去の経験や知識を活かして、力を発揮したい」は、約2割(18.0%)。「現在の会社で、後進の育成を担いたい」人は、約1割(9.0%)である。
60歳~64歳についても同様に尋ねると、「現在の会社で、責任範囲や業務量を限定して、過去の経験や知識を活かして、力を発揮したい」は、16.3%、「現在の会社で、後進の育成を担いたい」人は、10.9%になる。【図表1-2-2】
55歳まで働きたいと回答した人に対して、どのくらいの報酬を稼げると考えているかを尋ねたところ、50歳~54歳の26.4%が「700万円以上~1,000万円未満」稼げると回答。次いで、25.3%が「500万円以上~700万円未満」と回答し、500万円以上1,000万円未満稼げると回答した割合は、約5割(51.7%)に達する。「1,000万円以上」稼げると回答した人は、15.4%を占める。
同様に、55歳~59歳について尋ねると、25.2%が「500万円以上~700万円未満」と回答。次いで、24.1%が「700万円以上~1,000万円未満」と回答し、500万円以上1,000万円未満は、約5割(49.3%)に達する。1,000万円以上稼げると回答した人は、15.5%を占める。
同様に、60歳~64歳について尋ねると、「500万円以上~700万円未満」が約17.4%であり、65歳~69歳も同範囲が12.6%である。【図表1-2-3】
【図表1-2-2】50歳以上で力を発揮したい分野<到達年齢別>
拡大
【図表1-2-3】50歳以上で力を発揮したい分野で稼げると思う報酬<到達年齢別>
拡大
1.3 育児・介護と働き方
■ 育児・介護中の働き方として、テレワーク制度等を利用して、場所や時間にとらわれずに、業務内容や業務量を変えない働き方をしたいと回答した人が最も多く、約2割を占める。
- 自身が中心となって育児を行う場合、どのような働き方がしたいかを育児と介護に分けて尋ねたところ、育児は、「【フルタイム勤務+テレワーク】テレワーク制度等を利用して、場所や時間にとらわれずに、業務内容や業務量を変えない働き方がしたい」と回答した人が最も多く、約2割(19.4%)、介護は同様に15.5%。
次いで、「【短時間勤務】短時間勤務制度を利用して、業務内容や業務量を職場で調整してもらい、働き続けたい」人は、育児では10.6%、介護では12.4%。テレワーク制度を組み合わせた働き方は、育児と介護それぞれ8.6%、11.9%となり、テレワーク制度を組み合わせない短時間勤務を望む人が多い。
さまざまな制度が整備されていたとしても、職場に迷惑をかけたくないので、退職するつもりである人は、育児では、わずか1.5%であるが、介護は4.5%。【図表1-3-1】
※回答にあたっては、育児や介護の状況や職場の状況により、選択肢は変わってくることを前提に、希望する働き方を選択。また、現在、自社に制度がない場合も、制度があったら利用するかどうかで判断して回答。
【図表1-3-1】 育児・介護と働き方 (N=1,308)
2. ダイバーシティ推進と職場の実態
2.1 ダイバーシティの浸透状況
■ ダイバーシティが浸透している職場は、2割を下回る。
- 所属する職場のダイバーシティ推進の浸透について尋ねたところ、「職場のダイバーシティは、浸透している」3.1%、「職場のダイバーシティは、どちらかと言えば、浸透している」14.7%であり、合わせてもダイバーシティが浸透している職場は、2割を下回っている(17.7%)。【図表2-1-1】
【図表2-1-1】ダイバーシティの浸透状況 (N=1,308)
2.2 ダイバーシティの浸透と職場の状況
■ ダイバーシティが浸透している職場は、自身の職場の業績が良好と回答する人が全体と比べて約30ポイント多く(62.9%)、職場で女性が活躍していると回答する人も約25ポイント多い(59.5%)。
- ダイバーシティ浸透職場232人の回答者の職場を全体と同様にみると、「私の職場の業績は、この2~3年良好である」が「当てはまる」が12.9%、「どちらかと言えば、当てはまる」が50.0%であり、合わせて6割を超える(62.9%)。全体(33.7%)と比べると、約30ポイント高い。
次に、「私の職場では、多くの社員がワークライフバランスの実現をしている」をみると、ダイバーシティ浸透職場は、「当てはまる」が8.2%、「どちらかと言えば、当てはまる」が47.0%であり、合わせて5割(55.2%)を超える。全体(27.2%)と比べると、約30ポイント高い。
ダイバーシティ浸透職場は、約6割の回答者が女性と50歳以上の社員が活躍しているとそれぞれ回答(59.5%、57.7%)。女性活躍については、全体(34.4%)と比べると約25ポイント高い。【図表2-2-1】
【図表2-2-1】ダイバーシティ浸透職場の状況
拡大
3. 多様性の受容
3.1 50歳以上に期待する業務と報酬
3.1.1 50歳以上に期待する業務
■ 6割を超える人が、50歳代前半の人に対して、「50歳前と変わらない役割とミッションを担って、活躍し続けてもらいたい」と考えている。
- 職場の50歳以上の社員に対して、どのように力を発揮してもらいたいかを年代別に当てはまるものをすべて挙げてもらったところ、50歳~54歳に対しては「50歳前と変わらない役割とミッションを担って、活躍し続けてもらいたい」が6割を超え(64.5%)、55歳~59歳に対しては45.0%、60歳~64歳では17.9%と年齢とともに、減少する。
「責任範囲や業務量を限定して、過去の経験や知識を活かせるところがあれば、力を発揮してもらいたい」は、50歳~54歳に対しては約2割(20.6%)、55歳~59歳に対しては3割を超え(32.4%)、60歳~64歳に対しては約3分の1(33.3%)が同役割で力を発揮してもらいたいと回答している。
次いで、「後進の育成を担ってもらいたい」が続き、50歳~54歳に対しては約2割(19.4%)、55歳~59歳では26.9%、60歳~64歳は28.5%の人が同役割で力を発揮してもらいたいと回答している。
「自社内で、力を発揮してもらうことは難しいと思うので、力が発揮できる別の会社を探してもらいたい」と回答した人は、50歳~54歳に対しては5.0%、55歳~59歳に対しては6.7%と増えるものの、わずかである。【図3-1-1】
【図表3-1-1】年代別50歳以上の社員に力を発揮してもらいたいこと (N=1,308)(複数回答)
拡大
3.1.2 いつまで働きたいか
■ 「50歳前と変わらない役割とミッションを担う」場合の納得感ある処遇水準は、約5割が500万円以上1,000万円未満、責任範囲を限定した役割では、約4割が400万円以上700万円未満を支持している。
- 職場の50歳以上の社員の仕事内容と回答者の給料を照らし合わせて、50歳以上の社員の納得感ある処遇水準を尋ねたところ、「50歳前と変わらない役割とミッションを担う」場合、約5割が500万円以上1,000万円未満と回答(「500万円以上~700万円未満」22.6%、「700万円以上~1,000万円未満」23.6%)。また、8.6%が1,000万円以上と回答している。
「責任範囲や業務量を限定して、過去の経験や知識を活かせるところがあれば、活かす」場合は、「500万円以上~700万円未満」が最も多く、約2割(20.9%)。「400万円以上~500万円未満」は17.7%と続き、約4割(38.6%)が400万円以上700万円未満を支持している。
「後進の育成をする」では、「500万円以上~700万円未満」が最も多く17.8%、次いで「400万円以上~500万円未満」が17.0%、「350万円以上~400万円未満」は11.8%。350万円以上700万円未満を支持した人は約5割(46.6%)を占めている。【図3-1-2】
【図表3-1-2】50歳以上の業務の納得感ある処遇水準 (N=1,308)
拡大
3.2 育児・介護中の社員に対する働き方への要望
■ 約4分の1の管理職が育児・介護中の働き方として、職場の負担があっても、本人が働きやすいように、短時間勤務制度を利用して働き続けてほしいと回答。加えて、介護中の社員に対しては、約2割の管理職が状況に応じた休職制度、短時間勤務、テレワークを組み合わせてもらってよいと考えている。
- 職場の育児・介護中の社員に対してどのような働き方を望むかを育児と介護に分けて、それぞれ当てはまるものを尋ねたところ、管理職670人のうち、約4分の1(育児:26.9%、介護:24.3%)が【短時間勤務】と回答し、育児・介護中の働き方として、職場の負担があっても、本人が働きやすいように、短時間勤務制度を利用して働き続けてほしいと考えている。
加えて、介護中の社員に対しては、約2割(18.7%)の管理職が【状況に応じた制度の活用】と回答し、状況に応じた休職制度、短時間勤務、テレワークを組み合わせてもらってよいと考えている。
【繁忙期の対応】として、定常時は各種制度を利用したとしても、職場の状況に応じて、繁忙期には仕事を優先してほしいと回答した管理職は、育児が5.7%、介護が5.2%と少ない。
同様に、さまざまな制度が整備されたとしても、自社の業務内容や仕事のやり方の見直しを行わない限り、育児や介護をしながら仕事を継続することは難しいため【退職】と回答した管理職は、7.9%と9.0%とわずかである。【図3-2-1】
【図表3-2-1】管理職の育児・介護中の社員に対する働き方への要望 (N=670)
3.3 多様な人材への認識
3.3.1 女性活躍に対する認識
■ 4割以上の女性が、職場で女性が活躍していると感じている一方で、男性は5割以上が女性は活躍していないと感じている。
- 職場の女性の多くが活躍しているかどうかを尋ねたところ、女性回答者129人のうち、15.5%が「当てはまる」、「どちらかと言えば、当てはまる」は28.7%であり、合わせて4割以上(44.2%)が活躍していると回答。一方で、男性回答者1,179人は、「当てはまる」と回答したのは、わずか6.4%。「どちらかと言えば、当てはまる」26.9%を加えても、約3割(33.3%)に留まる。女性が活躍していないと感じている男性回答者は、半数以上(「どちらかと言えば、当てはまらない」23.1%、「当てはまらない」28.2%、あわせて51.3%)。【図3-3-1】
【図表3-3-1】「女性活躍への認識」~職場の女性の多くが活躍している<性別>
■ 回答者の3割以上が、女性は男性に比べて体力がないため、激務に向かないと感じ、約4分の1は、出産育児などで辞めてしまうので、育成することは無駄と感じている。
- 女性に対して、どのように考えたり、感じたりしているかを尋ねたところ、「共感できる」6.7%、「どちらかと言えば、共感できる」28.0%を合わせると、3割以上(34.7%)が女性は体力がないので、激務に向かないと感じている。
次いで、「女性は、出産育児などで辞めてしまうので、育成することは無駄である」項目には、「共感できる」4.9%、「どちらかと言えば、共感できる」20.8%であり、合わせると、約4分の1(25.7%)が女性は、出産育児などで辞めてしまうので、育成することが無駄であると感じている。【図表3-3-2】
【図表3-3-2】女性に対する感じ方 (N=1,308)
3.3.2 50歳以上の活躍に対する認識
■ 50歳以上の4割の回答者が、職場で50歳以上が活躍していると感じている一方で、49歳以下の5割以上が、職場の50歳以上は活躍していないと感じている。
- 職場の50歳以上の社員の多くが活躍しているかどうかを尋ねたところ、回答者全体では9.1%が「当てはまる」、「どちらかと言えば、当てはまる」は31.3%であり、合わせて4割以上(40.4%)が活躍していると回答している。
年齢別にみると、39歳以下の回答者のうち、「当てはまる」と回答したのは、10.5%。「どちらかと言えば、当てはまる」26.8%であり、4割近く(37.3%)が活躍していると回答。一方で、50歳以上が活躍していないと感じている同年代は、半数以上を占める(「どちらかと言えば、当てはまらない」22.0%、「当てはまらない」28.2%、あわせて50.2%)。
40歳~49歳の回答者のうち、50歳以上が活躍していないと感じている人は、半数以上を占める(「どちらかと言えば、当てはまらない」27.6%、「当てはまらない」22.8%、あわせて50.4%)。
50歳~59歳では、「50歳以上が活躍している」を「当てはまる」と回答したのは、約1割(10.3%)、「どちらかと言えば、当てはまる」34.6%であり、4割(44.9%)以上が、50歳以上の社員が活躍していると回答している。
60歳以上では、「50歳以上が活躍している」を「当てはまる」と回答したのは、14.6%、「どちらかと言えば、当てはまる」34.0%であり、5割(48.6%)近くが50歳以上の社員が活躍していると回答している。【図3-3-3】
【図表3-3-3】「50歳以上の活躍」~職場の50歳以上の多くが活躍している<年齢別>
■ 回答者の4割近くの人が、50歳以上が働きぶりと比較して、給与水準が高いと感じ、約3割が自分の考えに固執するので、議論が噛み合わないと感じている。
- 50歳以上に対して、どのように考えたり、感じたりしているかを尋ねたところ、「50歳以上の人は、その働きぶりと比較して、給与水準が高い」について、「共感できない」は16.4%、「どちらかと言えば、共感できない」は29.5%で、合わせて約5割(45.9%)と回答。一方で、「共感できる」9.4%、「どちらかと言えば共感できる」27.3%を合わせると、4割近く(36.7%)が50歳以上はその働きぶりと比較して給与水準が高いと感じている。
次いで、「50歳以上の人は、自分の考えに固執するので、議論が噛み合わない」は、「共感できる」5.9%、「どちらかと言えば共感できる」25.2%であり、合わせると、約3割(31.1%)が共感している。【図表3-3-4】
【図表3-3-4】50歳以上に対する感じ方(N=1,308)
4. IT関連の業務スキルに対する自己効力感とキャリア
■ 全体の8割近くが現在の業務に必要な知識や技術をもっていると回答している。
- 「現在の業務に必要な知識や技術をもっている」かどうかを尋ねたところ、全体で「当てはまる」と回答したのは約2割(20.9%)、「どちらかと言えば、当てはまる」は、約6割(56.3%)となり、合わせて8割近く(77.2%)が現在の業務に必要な知識や技術をもっていると回答している。
同様に、IT関連業務の「【社内向け】システム開発、情報システム企画・運用管理、Webサイト構築・管理」、「【顧客向け】システム開発・設計、ソフトウェア開発、プログラミング、システム企画・設計、データベース構築」をみても、それぞれ77.1%、76.8%と全体平均と変わらない。
その他のIT関連業務をみると、回答人数は少ない(34人)「【顧客向け】システム運用管理・サーバ管理」は、82.4%と平均よりも若干高く、「【顧客向け】Webサイト構築・管理、コンテンツ企画・制作」(回答者17人)は、回答者数が少ないので、参考程度であるが、64.7%と低めの回答であった。【図表4-1-1】
【図表4-1-1】自己効力感<担当業務別>
拡大
■ 業務に対する自己効力感は、IT関連業務と非IT関連業務は変わらない。一方で、「将来(5~10年後)に有効な知識や技術」については、【顧客向け】システム開発・設計等が、全体平均を約6.6ポイント下回る。
- 「将来(5~10年後)の業務に有効と思われる知識や技術もっている」かどうかを尋ねたところ、全体は「当てはまる」約1割(11.7%)、「どちらかと言えば、当てはまる」約4割(43.7%)となり、合わせて55.4%。
前項でみたように、「現在必要な知識や技術をもっている」と全体の77.2%が回答しているので、「現在もっている知識や技術」と「5~10年後に有効な知識や技術」との差分は、21.9ポイントある。
同様に、IT関連業務の「【社内向け】システム開発、情報システム企画・運用管理、Webサイト構築・管理」、「【顧客向け】システム開発・設計、ソフトウェア開発、プログラミング、システム企画・設計、データベース構築」をみると、それぞれ23.4ポイント、28.5ポイント差がある。全体平均と比べると、それぞれ1.5ポイント、6.6ポイント下回っている。
回答人数は少ないが(回答者34人)、「【顧客向け】システム運用管理・サーバ管理」は、26.5ポイント全体平均よりも差分が大きく、「【顧客向け】Webサイト構築・管理、コンテンツ企画・制作」(回答者17人)は、参考程度であるが、17.6ポイント差分は小さい。【図表4-1-2】
【図表4-1-2】将来(5~10年後)に有効な知識や技術<担当業務別>
拡大
※:■「現在もっている知識や技術」と「5~10年後に有効な知識や技術」との差分が22ポイント以上
5. ダイバーシティ経営の必要性と日本社会
5.1 ダイバーシティ経営の必要性
■ ダイバーシティ経営の推進が必要と回答した人は、約4割。「自社の喫緊の課題にはならない」と回答した人は、約3割である。
- ダイバーシティ経営の推進の必要性を尋ねたところ、約4割(38.9%)の人が「ダイバーシティ経営の推進は必要だと思う」と回答。一方、「自社の喫緊の経営課題にはならない」と回答した人は、約3割(30.7%)。わからないと回答した人も約3割(30.4%)に達する。【図表5-1-1】
【図表5-1-1】ダイバーシティ経営の推進の必要性
■ 「ダイバーシティ経営の推進は必要だと思う」と回答した509人のうち、6割以上が「多様な顧客ニーズへの対応に多様な人材のアイディアが必要」と回答している。
- 「ダイバーシティ経営の推進は必要だと思う」と回答した509人に、必要と思う理由を上位2つ挙げてもらったところ、6割以上(64.4%)が、「多様な顧客ニーズへの対応に多様な人材のアイディアが必要だから」と回答。次いで、「少子高齢化社会で優秀な人材を登用するためには、多様な人材の活用が必要だから」が5割(50.9%)を超え、「グローバル化が回避できない状況にあるので、多様な人材の活用は必須だから」が約4割(42.0%)と続く。
「CSRの観点で取り組まなければならないから」、「国の施策を順守する必要があるから」、「自社だけが取り組まないわけにはいかないから」といった消極的な理由は、それぞれ5.1%、4.7%、3.5%とわずかである。【図表5-1-2】
【図表5-1-2】ダイバーシティ経営の推進が必要な理由 (N=509)
5.2 10年後、20年後の理想的な日本社会
■ 約6割が、10年後、20年後の日本の社会が「持続的な経済発展が期待できる社会」と男女が共同で家事・育児・介護等が担える社会になっていてほしいと回答。一方で、女性管理職比率が30%以上になるような女性活躍の推進を望む人は、5割を下回る。
- 10年後、20年後の日本がどのような社会になっていてほしいかを尋ねたところ、「持続的な経済発展が期待できる社会」を望む人は、「そう思う」が約2割(19.7%)、「どちらかと言えば、そう思う」約4割(38.1%.)であり、合わせて約6割(57.8%)を占める。
次いで、「『男は仕事、女は家庭』が死語となり、男女が共同で家事・育児・介護等が担える社会」は、「そう思う」は13.6%と少ないが、「どちらかと言えば、そう思う」の4割強(43.5%)を合わせると約6割(57.1%)となった。
一方で、「部長以上の女性管理職の比率が、30%以上になっているような女性の活躍が進んでいる社会」は、「どちらとも言えない」が2割(20.4%)を超え、「そう思う」は1割を下回り(8.7%)、「どちらかと言えば、そう思う」(37.0%)を合わせた回答は、5割を下回る(45.7%)。
「日本人だけでのんびりと暮らせる社会」を望む人は、「そう思う」、「どちらかと言えば、そう思う」を合わせて、25.8%と最も少ない。【図表5-2-1】
【図表5-2-1】10年20年後の理想的な日本社会 (N=1,308)