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2013年10月10日

世界最大のREDDプロジェクト開発と国内初のREDDクレジットを活用した
生物多様性・気候変動オフセットプログラムの提供開始

株式会社NTTデータ経営研究所

 株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:豊田 充、以下 当社)は、インドネシア、ボルネオ島の中央カリマンタン州における熱帯雨林伐採の進行を食い止めることにより、「生物多様性保全」、「温室効果ガス排出回避」、「コミュニティ支援」を実現する世界最大のREDD 注1プロジェクト(正式名称:The Rimba Raya Biodiversity Reserve REDD Project)をInfiniteEARTH社(香港)注2と共同で開発し、同プロジェクトより創出されるREDDクレジットを活用した国内初の「生物多様性・気候変動オフセットプログラム」(Biodiversity & Climate Offset Program)の提供を開始しました。


【背景】

 ボルネオ島の熱帯雨林は、絶滅危惧種であるオランウータンの世界で唯一の生息地であり、スワム(Swamp)と呼ばれる湿地帯の下には、CO2を大量に固定する泥炭(ピート)層が厚く堆積する世界で他に類を見ない特徴を有しています。インドネシアでは、近年、パームオイルの製造を目的としたパーム椰子の植林などによる熱帯雨林の伐採が加速し、毎年、ベルギーの国土面積相当の熱帯雨林が伐採されています。そのため、このまま伐採が続けば、2022年にはインドネシアの熱帯雨林は消滅すると考えられています。

 熱帯雨林が伐採されると、樹上で生活するオランウータンをはじめとする多くの貴重な生物の生態系・多様性が破壊されるだけではなく、スワムの水が排水され、泥炭層が地表に露出することにより、泥炭層に固定されているCO2が数十年の年月をかけて大量に大気に放出されます。世界の温室効果ガスの排出量は約10%が熱帯雨林の伐採によるものとされていますが、泥炭層に固定されているCO2の量は、熱帯雨林そのものに固定されている量の約10倍に相当しており、加速するインドネシアにおける熱帯雨林の伐採は、世界の温室効果ガス排出量にも非常に大きな影響を及ぼしています。

【開発したプロジェクトの概要】

 当社がInfiniteEARTH社と共同開発したプロジェクト(正式名称:The Rimba Raya Biodiversity Reserve REDD Project、以下 本プロジェクト)は、インドネシア、ボルネオ島の中央カリマンタン州において、6万4千ヘクタールの熱帯雨林の30年間(2009~2038年)の利用権をインドネシア政府より取得し、これを保護していくものです。

 本プロジェクトの「生物多様性保全」は、世界的に著名な女性人類学者Dr. Birute Galdikas 注3が40年間の長きにわたりボルネオ島において取り組んでいる絶滅危惧種であるオランウータンの保護活動への支援を柱としており、オランウータンの生態系保護を実現する世界唯一のREDDプロジェクトとなります。また、本プロジェクトの30年間における温室効果ガス排出回避量は約1億トンに上り、世界最大のREDDプロジェクトとなります。さらに、本プロジェクトは、熱帯雨林に暮らす人々の生活環境向上のため、水の浄化装置の提供、メディカルクリニックの開設、雇用創出などの実現を併せて図ります。こうした、本プロジェクトの「生物多様性保全」および「コミュニティ支援」の便益については、CCBS(Climate, Community & Biodiversity Standard)注4、「温室効果ガス排出回避」の便益についてはVCS(Verified Carbon Standard)注5の認証をそれぞれ取得しています。

【新たなオフセットプログラムの概要】

 当社では、2008年から京都議定書に基づくクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトによる京都クレジットを活用したカーボンオフセット 注6プログラム(カーボンオフセット・プロダクツ・プロジェクト(COP))注7を提供し、5年間で国内最大規模の約5万トンのクレジットを償却していますが、2013年からは、温室効果ガス削減効果のみならず、本プロジェクトの有する「生物多様性保全」の便益を還元することにより、京都クレジットでは担保できない「生物多様性」および「パームオイルのサプライチェーンにおける環境負荷」についてもオフセットの対象として選択を可能とする、「生物多様性・気候変動オフセットプログラム」(Biodiversity & Climate Offset Program)を新たに提供していきます。

 「生物多様性保全」の便益については、本プロジェクトにより保護される熱帯雨林の便益受益権を1ヘクタール/年単位で、また、「温室効果ガス排出回避」の便益については、VCSにより発行されるVCU(Verified Carbon Unit)クレジットを1トン単位で、それぞれを売却することにより、本プロジェクトの運営資金を調達します。VCUについては、2013年6月に、2009~2010年分として2百万トンが発行されており、既に欧州の大手保険会社などが購入しています。

 InfiniteEARTH社が欧米でのマーケティングを担当し、当社は日本におけるマーケティングを担当、世界のグローバル先進企業へ本プロジェクトの支援を要請していきます。2013年度においては、オフセットプログラム参加企業による本プロジェクトサイトの視察、およびDr. Birute Galdikasを招いたシンポジウムの開催を予定しており、本格的なオフセットの実施は2014年度から開始し、当面は、日本において年間10万トンのVCUクレジットの売却を目指します。

参考:熱帯雨林伐採による生態系への影響イメージ

熱帯雨林伐採による生態系への影響イメージ

(撮影:NTTデータ経営研究所)

※注1: REDD(Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation)
森林伐採や劣化を回避することにより森林や地層に固定されている温室効果ガスの排出を食い止めるプロジェクト。新たな国際的温室効果ガス削減の枠組みとして国連などによる導入が検討されています。現状において、国連におけるREDDの方法論は確立されていませんが、自主的温室効果ガス削減プロジェクトの方法論を策定するVCS (Verified Carbon Standard)によりREDDの方法論が確立されており、ケニア、コンゴ、カンボジア、ペルーにおいて既にREDDプロジェクトが開始されています。

※注2: Infinite EARTH社
米国人によるベンチャー企業(香港に登記)。世界初のREDDプロジェクトの方法論をVCS(Verified Carbon Standard)にて確立。
URL: http://www.infinite-earth.com/

※注3: Dr. Birute Galdikas(ビルーテ・ガルディカス博士)
20代において、オランウータンの生態系の研究のためボルネオ島に単身で移住し、現在に至るまで40年間にわたり、オランウータンの保護活動を続けている世界的に著名な人類学者。オランウータン保護基金であるOrangutan Foundation International (OFI)の設立者。2011年には、ワーナー・ブラザーズによる3Dドキュメンタリー映画 “Born to be wild”によりその活動が取り上げられ、米国、カナダにおいて上映されました。
URL: http://www.orangutan.org/

※注4: CCBS(Climate, Community & Biodiversity Standard)
CARE, Conservation International, The Nature Conservancy, Rainforest Alliance, Wildlife Conservation Societyが 2003年に設立したNGOであるThe Climate, Community & Biodiversity Alliance (CCBA)により策定された、プロジェクトの環境・社会性便益を評価するスタンダード。2012年よりVCS(Verified Carbon Standard)とREDDプロジェクトの共同プロジェクト認証を開始しています。
URL: http://www.climate-standards.org/

※注5: VCS(Verified Carbon Standard)
The Climate Group, International Emissions Trading Association(IETA), The World Economic Forumにより、2005年に設立されたNGO。自主的排出権クレジット方法論策定や、自主的排出権クレジットVCU(Verified Carbon Unit)の発行・管理を行っています。VCUは英・米・仏に開設されるレジストリ(登録簿)において、京都クレジットと同様に1トン単位でシリアルナンバーが付され、電子的に発行・管理されています。VCSは、自主的排出権クレジット発行量、登録プロジェクト数において世界最大となります。
URL: http://www.v-c-s.org/

※注6: カーボンオフセット
直接的な施策によって削減できないCO2を、森林吸収源を守る植林やクリーンエネルギーなどの事業に投資することなどにより、排出した分を相殺(オフセット)する仕組み。

※注7: カーボンオフセット・プロダクツ・プロジェクト(COP)
2007年10月発足のNTTデータ経営研究所が主催するCO2排出量削減プログラム。コープネット事業連合が、CO2排出量ゼロ店舗の取り組みで、平成20年度地球温暖化防止活動環境大臣賞(対策技術導入・普及部門)を受賞。
URL: http://www.keieiken.co.jp/services/socio_eco/04-1global_heating.html



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