2010年11月1日
応用脳科学コンソーシアム
脳科学及びその周辺領域の学術知見を活用した
オープンイノベーションモデルの研究活動を開始
~異業種の民間企業と異分野の脳科学研究者が連携し事業性の高い研究テーマを推進~
アサヒビール株式会社
株式会社NTTデータ 積水ハウス株式会社 株式会社竹中工務店 帝人株式会社 凸版印刷株式会社 日産自動車株式会社 株式会社博報堂 株式会社NTTデータ経営研究所
R&D研究会では、各R&D研究会を設置した特別会員企業が、各テーマに関連の深い脳科学及びその関連領域の研究者を招聘し、異業種である他の会員企業※2とともに、最新の研究知見を活用してオープンイノベーションモデルの研究活動を実施致します。 ※1 応用脳科学コンソーシアムの概要は、本リリースの<補足>をご参照ください。
【研究テーマについて】 各社が設置するR&D研究会は現時点で以下の通りです。この他のR&D研究会については、今後随時応用脳科学コンソーシアムのWebサイト※3上で公開予定です。 ※3 応用脳科学コンソーシアムWebサイト : http://www.keieiken.co.jp/can/ (1) 美味しさの総合評価研究会(主幹事特別会員:アサヒビール株式会社) 人間が感じる「美味しさ」は、味や風味・食味以外にも、デザインやCM・広告・口コミ情報等のさまざまな知覚情報によって形成されると考えられます。人間が感じる「美味しさ」の全体像をとらえ、その知見を商品開発やマーケティングに生かすためには、これらの要因を総合的に評価するための手法やノウハウが必要です。本研究会では、本テーマに関連する研究者を招聘し、「美味しさ」を総合的な視点から理解し定量化する新しい評価手法について、その事業応用の検討と、当該評価手法の脳神経科学的な考察を行います。 (2) ヘルスケア脳情報クラウド研究会(主幹事特別会員:株式会社NTTデータ) 近年、脳情報を取得するためのさまざまな脳活動計測装置が開発されつつあります。一方、それらを保持・活用するためのITインフラは、その高性能化と低価格化によって活用の可能性を広げています。本研究会では、これらの背景を踏まえ、健康な生活を支えるための脳情報の利活用の方法を検討します。具体的には、脳情報の計測・データ化・分析に関する研究はもとより、個人情報保護等の法制度面での研究も進め、脳疾患・神経疾患に対する予防・創薬・治験やリハビリ・BMI等への適用を目的とした脳情報クラウドの可能性を探ります。 (3) インタラクティブ住環境研究会(主幹事特別会員:積水ハウス株式会社) 高齢社会化とともに進展する高齢小家族世帯の増加により、健康で自立した生活の持続のために住宅が受け持つ役割は、今後ますます大きくなると考えられます。そこで、脳神経科学による最新の研究知見に基づき、居住者が生涯を通じて、より健康レベルを高め、自立した住生活を続けるための住宅の機能・デザインのあり方の構築を目指します。特に、人の認知特性や行動の誘発・確実性など、これまで積水ハウス株式会社が推進してきたユニバーサルデザイン(日常安全性と使いやすさのデザイン)や快適性研究を深化させ、さらにRT技術等も視野に入れた、人と居住環境のインタラクティブなデザインについて研究を進めます。 (4) コミュニケーション空間研究会(主幹事特別会員:株式会社竹中工務店) 人間は自分を取り囲む建築空間から、知らず知らずのうちにさまざまな影響を受けます。これまで、建築空間が個人個人の健康や知的生産性などに与える影響に関する研究を積極的に進めてきています。本研究会では、個人と個人の関係性(特に、コミュニケーション)に注目し、どのような空間が「よいコミュニケーション」を促し、よい関係(信頼)を醸成するかを脳神経科学的に明らかにすることを目指します。そのために、企業のR&D空間における創発的なコミュニケーション、接客サービスを伴う空間でのコミュニケーションなどを事例として神経科学者や社会心理学者を交えた研究を進めます。 (5) メディア・エンゲージメント研究会(主幹事特別会員:株式会社博報堂) 現在、大画面テレビや3Dテレビ、さらにはインタラクティブメディア、ソーシャルメディアといった多様なメディアが出現してきています。本研究会では、このようにテレビやネットを初めとするメディア形態の多様化に伴って、それに接する生活者の利用形態が変わっていく中で、生活者が情報・広告を受容する過程がどのような認知・行動メカニズムに基づいているかを研究します。その中で、メディアによる臨場感や社会性に関する研究を行っている情報学の研究者や神経科学者の協力を得て、生活者が求める情報表現や広告体験の実現手法の体系化を目指します。 ※日本神経科学学会の役割
特別会員
R&D研究会員
協賛会員
※その他大手民間企業数社が参画予定。 【初年度活動期間】 初年度:2010年10月~2011年3月 【応用脳科学コンソーシアム Webサイト】 http://www.keieiken.co.jp/can/ 以上 ◆ 本件についてのお問い合わせ ◆
◇株式会社NTTデータ経営研究所 【報道関係のお問い合わせ】 ※以下の内容は、2010年9月1日のプレス内容の抜粋です。なお、詳細はWebサイト(http://www.keieiken.co.jp/can/)をご覧頂くか応用脳科学コンソーシアム事務局までお問い合わせください(上記枠内参照)。 設立の背景及び課題認識 脳科学研究は、「脳の可視化」を実現する各種計測技術・情報技術の飛躍的進歩に伴い、現在急速な発展を遂げつつあります。この結果、我々人間の認知・行動・記憶・思考・情動・意志といった「心」の働きに関する研究知見が急速に蓄積されるとともに、これらの知見を核とし、経済学・社会学・生理学・認知心理学等のさまざまな研究領域と融合した「応用脳科学研究」とその事業活用に関する取り組みが、分野を問わず世界規模で活発化しています。具体的には、脳活動を可視化することで消費者の嗜好や感性を明らかにしてマーケティング活動に応用するニューロマーケティング、これらの結果を応用し感性価値を向上させた商品・サービス等の開発、脳活動の情報を利用して外部機器を制御するブレインマシン・インターフェース(BMI)技術を応用したコミュニケーション支援器具・玩具等の製品開発等、応用の事例は枚挙に暇がありません。これらの先進的事例は、消費者のQOLの向上、ひいては産業経済活動の活性化をもたらすものであると考えられます。 これらの応用脳科学研究及びその事業活用を推進するためには、脳科学が、複数の学問分野及び産業分野の技術・知見及びノウハウと融合することで一層の成果を生み出すという特徴を持つことから、それぞれの専門知見を有する研究者や企業等が共同で研究に取り組むことが重要です。さらに、より適切な応用脳科学研究を推進し、社会全体に価値のある事業活用を実現するためには、研究に携わる者が倫理面・安全面に配慮しつつ、各々の専門的な研究知見を持ち寄って多角的な視点から科学的検証を行うことが必要不可欠であると言えます。しかしながら、我が国においては、脳科学に関する学術研究や各個別企業の取り組みには目を見張る成果があるものの、当該成果の応用や事業活用を目的とした産業界と学術界の連携の動きは必ずしも活発ではありません。 設立の経緯とミッション こういった課題認識の下、本コンソーシアムは、我が国の脳科学研究を代表する学術団体である日本神経科学学会の協力を得ることで、本コンソーシアムにおける各活動に対して科学的・倫理的な観点からの助言を受けた上で、異業種の民間企業と異分野の脳科学及びその関連領域の研究者が一堂に会する研究プラットフォームを提供し、脳科学及びその関連領域の最新の研究知見を活用した応用脳科学研究の推進とその事業活用の実現を目指すとともに、これらの成果の社会還元に貢献する人材の育成に取り組みます。今後は、本コンソーシアムにご賛同頂ける民間企業及び研究者のご参加を広く募り、将来的には脳科学に関連する他の学術領域の学会や研究者との連携強化も図りながら、応用脳科学を切り口とした我が国発のオープンイノベーションを一層推進していく所存です。
全体構成 本コンソーシアムは(1)応用脳科学R&D研究会、(2)応用脳科学アカデミー、(3)応用脳科学ネットワークの3つの機能を有します(詳細は活動内容を参照)。また本コンソーシアムの意思決定機関として、特別会員の民間企業、日本神経科学学会から招聘するサイエンティフィックアドバイザー及び事務局から構成されるステアリングコミッティを設置します。なお本コンソーシアムは将来的に、他学会やさまざまな分野の研究者、さらには各省庁や業界団体との連携も視野に入れています。
本コンソーシアムは、(1)応用脳科学R&D研究会、(2)応用脳科学アカデミー、(3)応用脳科学ネットワークの3つの各機能において、以下のような活動を行います。 (1)応用脳科学R&D研究会 応用脳科学R&D研究会は、異業種の民間企業と異分野の研究者が、応用脳科学研究の推進とその事業活用を目指す研究開発のプラットフォームです。
(2)応用脳科学アカデミー 応用脳科学アカデミーは、脳科学の基礎知識から最先端の知見にいたる専門的な研究知見を有する脳科学及びその関連領域の研究者を講師として招聘し、事業活用という観点から脳科学を学ぶことで、応用脳科学研究及びその事業活用に貢献する人材育成のプラットフォームです。応用脳科学アカデミーは、必要最低限の脳科学の知識や倫理に関する知識を学ぶ「必修コース」と各論からなる「選択コース」に大別されます。応用脳科学アカデミーには、協賛会員を除く全ての会員が参加可能です。 (3)応用脳科学ネットワーク 応用脳科学ネットワークは、会員と研究者の交流、各種研究活動・人材育成活動に資する情報の収集及び本コンソーシアムの活動の社会への発信を促進する人材交流及び啓発のプラットフォームです。応用脳科学ネットワークでは、Webサイトやメーリングリストの運営、脳科学及びその関連領域の研究知見や応用脳科学研究及びその事業応用事例の収集、本コンソーシアムの活動の情報発信等を行います。応用脳科学ネットワークには、全ての会員が参加可能です。 会員種別 本コンソーシアムの会員には、以下のような種別があります。
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