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調査概要

1. 経営実態に関するアンケート調査

(ア)調査方法

(1)調査対象

4,683者
2009年5月末時点の協会員(2,711者)及び2009年6月1日時点において 情報収集した、知事登録かつ更新回数1回を除く登録業者(=非協会員/1,972者)

(2)調査票回収数 1,371者
(3)有効回答者数(*1) 1,230者(調査票を提出した非協会員のうち、業態や残高区分が不明を除く)
(4)調査方法 郵送調査法及び電子メールによる調査
(5)調査期間 2009年7月3日~8月10日
(*1) 「業態」は、協会員情報、各種団体会員登録情報等の公知情報、回答内容等により判別、「残高区分」は、2009年融資残高及び回答内容より判別。

(イ)標本構成

標本構成
(*2)  非協会員の3業態及び貸付残高は、回答者のみ判定したため、3業態及び貸付残高の発送数・回答率は未算出。
(*3) 残高カバレッジは、協会員のみ、回答者の貸付残高を全協会員の貸付残高で除した値を算出。

2. 貸金業法改正の認知等に関するアンケート調査

(ア)調査方法

(1)調査対象

調査会社に登録している20歳以上のインターネットモニター

(2)回答者数

借入利用者:1,000名

現在、消費者金融会社やクレジットカード会社・信販会社、その他金融機関から借入残高があり、総量規制に該当する500名と、総量規制に該当しない500名

特定利用者:1,000名/専業主婦(主夫):500名、個人事業主:500名

現在、消費者金融会社やクレジットカード会社・信販会社、その他金融機関から借入残高のある、専業主婦(主夫)500名と、個人事業主500名

(3)調査方法 インターネット調査法
(4)調査期間 2009年8月25日~9月4日

(イ) 標本構成~回答者の個人年収の分布

標本構成~回答者の個人年収の分布

 

 

調査結果




1. 貸金業法改正による資金需要者への影響

(1) 初期審査の今後の見通し

消費者向け無担保貸付の新規借入申込みに対する初期審査姿勢の今後の見通しについて尋ねたところ(【図1】)、貸金業者の67%が「(今後)厳しくする」、8%が「貸付停止を予定」と回答し、依然として、与信姿勢を厳格化する見込みにある(なお、2006年12月以降の審査状況においても、「厳しくした」の比率が67%であった)。
貸付残高規模別にみると、貸付残高「(500億円超)~5,000億円以下」及び「5,000億円超」の貸金業者は、「貸付停止を予定」の回答はないものの、「厳しくする」を回答した比率がそれぞれ80%と71%に達し、与信姿勢厳格化の影響が広範囲にわたっている。一方、貸付残高5億円以下の小規模貸金業者は、64%が「厳しくする」、12%が「貸付停止を予定」を回答した。
事業者向け無担保貸付については、貸金業者全体の52%が「(今後)厳しくする」、14%が「貸付停止を予定」と回答し、消費者向け無担保貸付より「貸付停止」の可能性が高いという厳しい与信姿勢見通しとなった。貸付残高規模別にみると、小規模な貸金業者ほど、「厳しくする」「貸付停止を予定」を回答した比率が高い。

【図1 初期審査姿勢の今後の見通し】

Q:

貴社の初期審査(新規借入申込者に対する審査)の状況において、「4条施行後の審査状況の見通し」について、それぞれ該当する番号ひとつに○印をつけて下さい。

図1 初期審査姿勢の今後の見通し

(2) 貸付停止や与信姿勢厳格化による資金需要者への影響

前出の初期審査姿勢を「厳しくする」「貸付停止を予定」と回答した貸金業者について、属性に応じて与信対象先を分類したうえで、「改正貸金業法の完全施行による影響の可能性」を尋ねた。 (【図2】及び【図3】)
その結果、消費者向け無担保貸付の場合、初期審査姿勢を「厳しくする」「貸付停止を予定」と回答した貸金業者の7割以上が、法改正の完全施行の影響を受ける個人として、「女性」「給与所得者」「自営業」「非正規社員(パート・アルバイト・派遣社員)」「年収400万円未満」「他社借入件数3件以上」を指摘した。
「定職がなく所得も低く、他社借入件数の多い」個人は、貸金業法の完全施行によって資金調達が困難となる度合いを増す可能性が高い。

 

【図2 初期審査を厳格化する貸金業者による、完全施行に伴う与信姿勢の変化(消費者向け無担保貸付)】

Q:

改正貸金業法の4条施行による影響の可能性について、各属性の分類毎に、それぞれ該当する番号ひとつに○印をつけて下さい。

図2 初期審査を厳格化する貸金業者による、完全施行に伴う与信姿勢の変化(消費者向け無担保貸付)

同様に、事業者向け無担保貸付の場合、初期審査姿勢を「厳しくする」「貸付停止を予定」と回答した貸金業者の7割以上が、法改正の完全施行の影響を受ける法人として、「年商1,000万円未満」「個人事業主」「資本金500万円以上~1,000万円未満」「営業年数2年以内」を指摘した。
「事業規模が小さく、起業・創業まもない、零細事業者・個人事業主」は、貸金業法の完全施行によって資金調達が困難となる度合いを増す可能性が高い。

【図3 初期審査を厳格化する貸金業者による、完全施行に伴う与信姿勢の変化(事業者向け無担保貸付)】

図3 初期審査を厳格化する貸金業者による、完全施行に伴う与信姿勢の変化(事業者向け無担保貸付)

(3) 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体

借入利用者に対して、貸金業法が改正されたことを認知しているかどうかを確認し、その中で、法改正に対して認知がある人(「内容も含めてよく知っている」または「詳しい内容はわからないがある程度は知っている」を回答、以下同じ)について、認知に至った媒体を尋ねた。

1)借入利用者の中の総量規制該当者(【図4】)

総量規制該当者における認知がある人の回答割合は50%に達し、その認知媒体は、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」が最も高く(43%)、「クレジットカード会社等の利用明細書」(37%)が続いた。

【図4 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(総量規制該当者)】

Q: あなたは貸金業法が改正されたことをご存知ですか。以下の中からあてはまるものをひとつお選び下さい。
<前問で「内容も含めてよく知っている」「詳しい内容はわからないがある程度は知っている」と回答した方>
Q:

あなたは貸金業法改正をどのような媒体を通じて知りましたか。以下の中から当てはまるものをすべてお選び下さい。

図4 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(総量規制該当者)

2)借入利用者の中の総量規制非該当者(【図5】)

総量規制非該当者における認知がある人の回答割合は48%に達し、その認知媒体は、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」が最も高く(53%)、「クレジットカード会社等の利用明細書」(32%)、「新聞広告」(26%)が続いた。総量規制該当者と比較すると、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」(総量規制該当者よりも10ポイント高い)、「新聞広告」(同、7ポイント高い)、「雑誌広告」(同、4ポイント高い)等の一般メディアからの認知が高く、「ダイレクトメール・電子メール」(同、7ポイント低い)からの認知が低い。

 

【図5 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(総量規制非該当者)】

図5 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(総量規制非該当者)

3)専業主婦(主夫)(【図6】)

専業主婦(主夫)における認知がある人の回答割合は37%に留まり、借入利用者全体(総量規制該当者と総量規制非該当者の合計、以下同じ)(50%)よりも低かった。また、認知媒体は、「クレジットカード会社等の利用明細書」が最も高く(45%)、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」(33%)、「新聞広告」(20%)が続き、借入利用者と比べて、「クレジット会社等の利用者明細書」による認知が一際高い。

【図6 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(専業主婦(主夫))】

図6 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(専業主婦(主夫))

4)個人事業主(【図7】)

個人事業主における認知がある人の回答割合は50%に達し、その認知媒体は、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」が最も高く(48%)、「クレジットカード会社等の利用明細書」(39%)、「新聞広告」(25%)が続いた。

【図7 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(個人事業主)】

図7 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(個人事業主)

5)借入利用者の年収別(【図8】)

借入利用者の年収別にみると、認知がある人の回答割合は、「300万円以下」(40%)、「301~500万円」(51%)、「501~700万円」(57%)、「701万円以上」(63%)と、年収が少ないほど低かった。
また、認知媒体は、「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットのニュース記事」が最も高く(43%-50%)、「クレジットカード会社等の利用明細書」(30%-38%)が続き、特に、「701万円以上」の高所得者は、「新聞広告」(33%)による認知も高い。

【図8 貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(利用者年収別)】

図8貸金業法改正に対する認知状況と認知媒体(利用者年収別)

(4) 貸金業法改正についての反応

前出の「貸金業法改正に対する認知状況」における回答者を、法改正に対して認知がある人(「内容も含めてよく知っている」または「詳しい内容はわからないがある程度は知っている」を回答)と、認知が不足している人(「聞いたことはあるが、内容は理解していない」または「まったく知らない」を回答)に分け、それぞれに対して法改正内容が自分に関係するかどうかを尋ねた(【図9】)。
その結果、全般的に、「認知が不足している人」は、「認知がある人」よりも自分が関係すると考えている回答者の割合が低く、特に、専業主婦(主夫)や低所得者層では、顕著となっている。

【図9 貸金業法改正についての反応(自分自身への関与の可能性)】

認知がある人: 前問で「内容も含めてよく知っている」「詳しい内容はわからないがある程度は知っている」と回答
Q: あなたは、貸金業法改正を知ってどう思いましたか。以下の中からあてはまるものをひとつお選び下さい。
認知が不足している人: 前問で「聞いたことはあるが、内容は理解していない」「まったく知らない」と回答
Q:

あなたは、貸金業法改正の内容をお読みになってどう思いますか。あてはまるものをひとつお選び下さい。

図9 貸金業法改正についての反応(自分自身への関与の可能性)

(5) 貸金業法改正を認知した後の借入利用者の行動

前出の「貸金業法改正についての反応」において「自分にも関係しそうだと思った」または「自分にも関係すると思った」と回答した借入利用者に対して、法改正内容が自分に関係すると認知した後、どのような行動を取るか尋ねた。

1)借入利用者の中の総量規制該当者(【図10】)

総量規制該当者の法改正を認知した後の行動は、「特に何もしない」が最も多く(32%)、「詳しい内容を調べる」(31%)、「借入金の総額が年収の3分の1以下になるよう借入金の返済を行う」(24%)が続いた。

【図10 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(総量規制該当者)】

Q: あなたが自分にも関係しそうだと思ったとき、今後どのような行動を取ると思いますか。以下の中からあてはまるものをすべてお選び下さい。 (複数選択式)
Q:

あなたは貸金業法改正が「自分にも関係すると思う」と答えていらっしゃいますが、今後どのような行動を取ると思いますか。以下の中からあてはまるものをすべてお選び下さい。 (複数選択式)

図10 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(総量規制該当者)

2)借入利用者の中の総量規制非該当者(【図11】)

総量規制非該当者の法改正を認知した後の行動は、「詳しい内容を調べる」が最も多く(35%)、「特に何もしない」(34%)が続いた。総量規制該当者と比較すると、「借入金の総額が年収の3分の1以下になるよう借入金の返済を行う」が7ポイント、「弁護士や相談機関等を介して、債務整理等の相談を行う」が5ポイント、低かった。

【図11 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(総量規制非該当者)】

図11 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(総量規制非該当者)

3)専業主婦(主夫)(【図12】)

専業主婦(主夫)の法改正を認知した後の行動は、「特に何もしない」が最も多く(34%)、「詳しい内容を調べる」(31%)、「カードのキャッシング枠を減額したり、解約するなど整理する」(28%)が続いた。借入利用者全体と比較すると、「借入金の総額が年収の3分の1以下になるよう借入金の返済を行う」が7ポイント、「弁護士や相談機関等を介して、債務整理等の相談を行う」が6ポイント低い一方、「カードのキャッシング枠を減額したり、解約するなど整理する」が10ポイントも高く、今後の借入を抑制する行動を取る傾向にある。

【図12 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(専業主婦(主夫))】

図12 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(専業主婦(主夫))

4)個人事業主(【図13】)

個人事業主の法改正を認知した後の行動は、「詳しい内容を調べる」と「特に何もしない」が最も多い(33%)。

【図13 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(個人事業主)】

図13 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(個人事業主)

5)借入利用者の年収別(【図14】)

借入利用者の年収別にみると、法改正を認知した後の行動は、全般的に、「詳しい内容を調べる」(31%-36%)と「特に何もしない」(28%-37%)が多い。「300万円以下」の低所得者は、全般的に回答比率が低く、取れる行動が少ないことが窺われた。

【図14 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(利用者年収別)】 

図14 貸金業法改正認知後の行動(今後行おうと思うこと)(利用者年収別)

(6) 貸金業法改正に伴う新たな借入先

前出の「貸金業法改正認知後の行動」において「新たな借入先を探す」を回答した借入利用者に対して、借入先の候補を尋ねたところ(【図15】)、「正規の貸金業者」(58%)が最も高く、「公的な貸付制度」(37%)が続いた。その一方、「家族や親族」(25%)、「友人・知人」(9%)、「ヤミ金融等非正規の業者」(5%)も少なからず回答があり、更なる多重債務者やヤミ金融被害者・接触者への対策が必要となっている。

【図15 貸金業法改正に伴う新たな借入先】

Q:

あなたは貸金業法改正による影響に伴い、新たな借入先の候補としてどこを想定していますか。以下の中からあてはまるものをすべてお選び下さい。 (複数選択式)

図15 貸金業法改正に伴う新たな借入先

(7)貸金業法改正に伴う相談先

前出の「貸金業法改正認知後の行動」において「弁護士や相談機関等を介して、債務整理(過払い金の返還請求を含む)等の相談を行う」を回答した借入利用者に対して、今後相談したい先を尋ねたところ(【図16】)、「弁護士や司法書士、弁護士会などの相談窓口」(57%)が最も高く、「国民生活センターなどの相談窓口」(25%)が続いた。

【図16 貸金業法改正に伴う新たな相談先(今後相談先としたい場所)】

Q:

あなたは貸金業法改正に伴い債務整理等を行う場合、今後どこに相談したいと思いますか。以下の中から今後相談したい場所をひとつお選び下さい。

図16 貸金業法改正に伴う新たな相談先(今後相談先としたい場所)

(8)新たな借入れができなくなった場合の行動

消費者金融会社から現在も残高があると回答した借入利用者に対して、新たな借入れができなくなると仮定したとき、どのような行動を取るか尋ねた。

1)借入利用者の中の総量規制該当者(【図17】)

新たな借入れができなくなった場合、総量規制該当者(消費者金融会社から借入中)が取る行動は、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」(57%)が最も多く、「アルバイト等により収入を増やす」(32%)、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(28%)、「返済をあきらめて、自己破産・債務整理の手続きを申請する」(21%)が続いた。
また、回答者の5%は、「ヤミ金融等非正規業者から借りる」を回答した。

【図17 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて) (総量規制該当者)】

Q: 仮に、現在の借入先を含め、消費者金融会社やクレジットカード会社・信販会社等から、今後一切の借入れができなくなったと仮定したとき、あなたは今後どうしますか。以下の中からあてはまる行動すべてをお選び下さい。
※  借入利用者のうち、消費者金融利用者による集計結果(以下、図21まで同じ)
図17 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)

2)借入利用者の中の総量規制非該当者(【図18】)

新たな借入れができなくなった場合、総量規制非該当者(消費者金融会社から借入中)が取る行動は、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」(58%)が最も多く、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(34%)、「アルバイト等により収入を増やす」(27%)が続いた。総量規制該当者と比較すると、「返済をあきらめて、自己破産・債務整理の手続きを申請する」(9%)が12ポイント、「返済ができないため、他者・相談窓口に相談する」(8%)が9ポイント低く、生活破綻を避ける意志が強い。

【図18 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて) (総量規制非該当者)】

図18 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)

3)専業主婦(主夫)(【図19】)

新たな借入れができなくなった場合、専業主婦(主夫)(消費者金融会社から借入中)が取る行動は、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」が69%(借入利用者全体よりも12ポイント高い)、「アルバイト等により収入を増やす」が54%(同、23ポイント高い)に達し、「家族や親族から借りる」(28%)(同、15ポイント高い)、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(26%)が続いた。
また、回答者の6%は、「友人・知人から借りる」と回答した。

【図19 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて) (専業主婦(主夫))】

図19 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)
    (専業主婦(主夫))

4)個人事業主(【図20】)

新たな借入れができなくなった場合、個人事業主(消費者金融会社から借入中)が取る行動は、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」(62%)が最も多く、「アルバイト等により収入を増やす」(35%)が続いた。借入利用者全体と比較すると、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(20%)が10ポイント低い一方、「返済ができないため、他者・相談窓口に相談する」(20%)が6ポイント、「税金や公共料金の支払い繰り延べにより資金を捻出する」(16%)が7ポイント、「事業の規模を縮小し、資金を捻出する」(11%)が8ポイント、「取引先への支払い繰り延べにより資金を捻出する」(10%)が6ポイント高く、資金繰りを懸念している。
また、「ヤミ金融等非正規業者から借りる」は7%に達した。

【図20 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)(個人事業主)】

図20 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)(個人事業主)

5)借入利用者の年収別(【図21】)

新たな借入れができなくなった場合の行動について、消費者金融会社からの借入中の利用者を年収別にみると、「生活費を切り詰めて、現在の借入金を返済する」(54%-62%)が最も多い。続いて、「300万円以下」の低所得者は、「アルバイト等により収入を増やす」(40%)を挙げる一方、年収「501~700万円」及び「701万円以上」の借入利用者は、「生活水準を落とさず、毎月のやりくりの中で、現在の借入金を返済する」(41%及び32%)を挙げた。
また、年収「300万円以下」及び「301~500万円」に比べて、年収「501~700万円 」及び「701万円以上」の借入利用者は、「ヤミ金融等非正規業者から借りる」(12%及び6%)、「友人・知人から借りる」(7%及び6%)が多い。

【図21 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)(利用者年収別)】

図21 貸金業法改正の影響により借入れができなくなった場合の行動(予測)(あてはまるものすべて)(利用者年収別)

(9) セーフティネットについての認知度

借入利用者に対して、セーフティネット(相談窓口)やセーフティネット貸付の認知状況を尋ねたところ(【図22】)、最も高い「弁護士や司法書士、弁護士会などの相談窓口」でも、利用者の属性や年収にかかわらず20%前後(16%-24%)に過ぎず、全般的に認知されていない。

【図22 セーフティネットについての認知度】

Q: あなたは「セーフティネット」、「セーフティネット貸付」(注2) といわれる多重債務者向けの施策について、どの程度ご存知ですか。以下の中からあてはまるものをひとつずつお選び下さい。
値は、「内容や利用方法について、よく知っている」または「制度の内容や利用方法などについてある程度理解している」の合計回答比率
図22 セーフティネットについての認知度
(注2) 「セーフティネット」「セーフティネット貸付」とは、多重債務に関る相談・情報提供窓口、貸付制度等債務者救済のための機関や仕組みを指す。

2. 業態別にみた貸金業者の経営状況

(1) 損益の状況と見通し

貸金業者の損益状況を業態別にみるために、2008年度の営業損益実績及び2009年度の営業損益見通しについて、対前年度の増減状況を業態毎に算出した。(なお、「増益」は、営業利益の増額、営業損失から営業利益への転換、営業損失の減額の合計回答者数。「減益」も同様の概念。)(【図23】)
消費者金融業態では、2008年度の損益実績において、246者中41%(102者)が「減益」、22%(53者)が「変化なし」、2009年度の損益見通しにおいて、222者中45%(99者)が「減益(見通し)」、24%(53者)が「変化なし(の見通し)」の結果となった。厳しい経営環境の中、増益見通しが立ちにくいことが窺われる。また、事業者金融業態及びクレジット・信販他でも、程度の差はあるものの、基本的には同様の傾向となっている。

【図23 貸金業者の損益の状況と見通し(業態別)】

Q: 「営業利益/損失」について、2007年度及び2008年度の実績、2009年度の見通しを、ご記入下さい。なお、損失がある場合は数字の前に△印をご記入下さい。
上記設問に基づき、「2007年度比の2008年度増減益」「2008年度比の2009年度増減益見通し」を算出
図23 貸金業者の損益の状況と見通し(業態別)

(2) 事業コスト構造の推移

貸金業者のコスト構造を業態別に把握するために、営業貸付金残高(平均残高)に対する営業貸付金利息及び営業費用の比率を、2007年と2008年の両年度について、業態毎に算出した。(「営業費用」は、「金融費用」「貸倒償却費用」「その他販売管理費」「利息返還費用」の合計)(【図24】)
この2年度の間、各業態とも、「営業費用総額(利息返還費用を含む)」の比率が「営業貸付金利息」の比率を上回り、なおかつ、この“逆ザヤ”の幅は、拡大している(消費者金融業態:▲2.7%→▲8.6%、事業者金融業態:▲2.6%→▲7.7%、クレジット・信販他:▲0.9%→▲3.2%)。特に、消費者金融業態では、2008年度に「利息返還費用」の比率が8.7%に達し、事業構造が大変厳しくなったことが読み取れる。

【図24 事業コスト構造(業態別)】

Q:

貸金業に係るコスト構造についてお伺いいたします。直近3期の期末時点における営業貸付金残高(平均残高)、各年度の営業貸付金利息、金融費用等の貸金事業にかかる事業コストをご記入下さい。

図24 事業コスト構造(業態別)

以上


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