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2008年5月19日

~ NTTデータ経営研究所、26ヶ国、194銀行を調査対象とした
“ワールド・リテール・バンキング・レポート 2008”の邦訳版を発表 ~

リテールバンキングにおける競争は、一層激化しており、
新たな流通戦略が必要に

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 崇)は、リテールバンキング分野の世界的潮流や、当該分野における新しいビジネスモデルの展望を取り纏めた、“ワールド・リテール・バンキング・レポート(World Retail Banking Report:以下、WRBR) 2008”の邦訳版を刊行いたしました。

【レポートの概要】

1.日常のコア銀行業務に関する地域別・国別の価格*

 典型的なユーザーの行動に基づく4種類の商品及びサービスを「日常のコア銀行業務(口座管理、現金利用、例外処理、決済)」と定義し、地域別・国別にユーロベースの価格を調査した。また、利用頻度(高アクティブユーザー、アクティブユーザー、非アクティブユーザー)の区分も行っている。

 結果は、地域のアクティブユーザーにおけるコア銀行業務の年平均価格は、70ユーロであった。価格水準は北米の79ユーロを最高として、邦銀を含むアジア・太平洋地域が最低の52ユーロであった。

* 価格=銀行が銀行顧客から受取る商品・サービスの価格

2. グローバルなリテールバンキング市場の予測

世界のリテールバンキング市場は、純利益ベースで見ると2006年時点で1兆2,800億ユーロと推定。2017年までに1兆9,000億ユーロ(CAGR* 3.7%)まで増加すると予測している。

なお、日本は、2017年に純利益ベースで160億ユーロ(約25兆6,000億円)規模に増加するも、CAGRは2.3%程度にとどまる。一方、中国の110億ユーロ(CAGR11.0%)、インドの63億ユーロ(CAGR8.8%)を始めとして、日本以外のアジア・太平洋地域全体では、303億ユーロ(CAGR8.4%)に達する成長市場であることを想定している。

* CAGR=年平均成長率(Compound Annual Growth Rate)

3.リテールバンキングビジネスにおける過去のベストパフォーマーに関する戦略分析

これまでのところ、世界の主要なリテール銀行は、リテールバンキングの純収入の50%以上を国内市場で獲得しており、それらの銀行の市場開発は、主に自国の市場において達成されている。そのような状況に鑑みれば、国内市場におけるビジネスの成功こそが、銀行の持続可能性と拡大にとって極めて重要となる。

WRBRでは、2002年-2006年の国内市場におけるリテールバンキングのベストパフォーマーの戦略分析を通じて、利益を伴う成長をもたらしてきた要因として「4つの柱」を特定し、各行のケース・スタディを挙げて整理している。

(図)持続的成長をもたらした4つの柱

持続的成長をもたらした4つの柱
出典:Capgeminiの分析(2008年)

4.リテールバンキングにおける新しいビジネスモデルの展望

WRBRでは、リテールバンキングを取り巻く外部環境の「構造変化」により、競争の障壁が低下する結果、(1)新世代の競合者(PayPal 等)が増加し、(2)消費者の要求を拡大させ、(3)消費者保護規制を強化させる、という実質的で著しい変化が市場にもたらされると指摘している。これらの構造変化は、市場における競争激化と価格の低下をもたらし、銀行の純利益を減少させるリスクが高まる。

そこで、今後、経済の低成長と構造変化に直面する銀行が、「オーガニック・グロース(M&Aを含まない有機的成長)」を実現するために、「3つの流通戦略」と、それに対応する「6つのビジネスモデル」を提示している。

(図)新たな流通戦略とビジネスモデル

新たな流通戦略とビジネスモデル
出典:Capgeminiの分析(2008年)

さらにこのモデルに基づき、52名に及ぶ世界の銀行経営幹部に対してインタビューを実施した結果、「市場で受入れられる可能性が高いモデル」として、(1)信託運用者、(2)ディスカウント銀行、(3)一般ブローカーを順に挙げる一方、「リテールバンキングビジネスに変化をもたらしかねないモデル」(競争上の脅威)として、(1)ディスカウント銀行、(2)オープンソース銀行、(3)一般ブローカーを挙げている。

この結果から、銀行は将来の競争において「価格破壊」及び「顧客の信頼を巡る競争激化」に最大の懸念を示していることがわかる。

(図)新たなモデルに関する幹部の見解

新たなモデルに関する幹部の見解
出典:Capgeminiの『ワールド・リテール・バンキング・リポート』の成長の手段に関する2008年の調査

結論として、「今後、リテールバンキングビジネスにおけるベストパフォーマーは、構造変化による激しい競争環境の下で、従来までの成長を越えるような、収益性に富む有機的な成長経路の発見、すなわちこれらのいくつかのモデルを組み合わせた『統合モデル』創出が必要である」、と述べている。

* 本レポートは以下URLより、ダウンロードいただけます。 http://www.keieiken.co.jp/services/financial/WRBR08/index.html

◆ 本件に関するお問い合わせ ◆

株式会社NTTデータ経営研究所

〔WRBR2008に関するお問い合わせ先〕
金融コンサルティング本部
山上・大河原  TEL: (03) 5467-8879

〔報道関係のお問い合わせ先〕
マーケティング部 
井上国広  TEL: (03) 5467-6313

【WRBR とは】

WRBRは、欧州最大のIT系コンサルティング企業であるフランスの「Capgemini」、オランダを拠点とした国際的な金融機関である「ING」、銀行や保険会社等が加盟する協会「European Financial Management & Marketing Association(EFMA)」が中心となって取り纏めている、リテールバンキングビジネスを対象とした年次調査です。調査対象は、邦銀6行を含む26ヶ国、主要194銀行に及んでいます。

地域別・各国別の銀行商品及びサービスに関する価格に着目した「価格指標(=Pricing Index)調査」と、最新のリテールバンキングの課題を取り上げた「特集調査(=Spotlight)」の2部から成っており、ビジネスモデルや価格戦略の世界横断的な比較を可能とする内容となっています。

NTTデータ経営研究所は、2007年版よりWRBRの作成に共同参画しており、日本のGDPや人口等のマクロ環境調査、邦銀6行の経営幹部に対するインタビューやアンケート調査、邦訳版等を担当しています。

【INGについて】

INGは、150年の経験を有するオランダを拠点とした国際的な金融機関であり、50か国以上において銀行、保険および資産運用など、さまざまなサービスを提供しています。INGは時価総額において、世界で上位15の金融機関の1つであり、欧州では上位10社に数えられています。INGは9ヵ国で1,500万名の顧客を擁する主要なダイレクトバンクです。アジア、中欧、中南米などの成長市場では、生命保険を提供しています。また、INGは6,500億ユーロを上回る管理資産を有する大規模なアセットマネジャーでもあります。ING不動産部門は、ビジネスポートフォリオにおいて世界最大の不動産会社です。INGの詳細については、www.ing.com 〈英語〉 をご覧ください。

【THE EUROPEAN FINANCIAL MANAGEMENT&MARKETING ASSOCIATION(EFMA)について】

EFMAは、欧州全域の銀行、保険会社および金融機関が加盟する有数の協会です。EFMAは35年前に設立され、現在、世界中の金融機関の2,450以上の異なるブランドが加盟しており、この中には欧州最大手の銀行グループの80%が含まれています。EFMAの詳細については、www.efma.com 〈英語〉をご覧ください。

【CAPGEMINIについて】

Capgeminiは、コンサルティング、IT、アウトソーシングの各種サービスを提供する世界有数のプロバイダの1つです。Capgeminiは35ヵ国に拠点を持ち、2007年の世界売上げは87億ユーロであり、世界中で83,000名以上を雇用しています。Capgeminiの詳細については、www.capgemini.com〈英語〉をご覧ください。

Capgeminiの金融サービス部門は、15,000名の専門家のネットワークを擁し、世界各地で900を超える顧客にサービスを提供しており、銀行、保険および資本市場に有力なソリューションを提供してビジネスの成長を支援しています。詳細については、www.capgemini.com/banking〈英語〉をご覧下さい。

【NTTデータ経営研究所について】

NTTデータ経営研究所は、NTTデータの100%子会社であり金融、公共、産業の各セクターに対し、コンサルティングサービスを提供しています。NTTデータとCapgeminiは2005年よりグローバルパートナーシップ関係にあり、NTTデータ経営研究所金融コンサルティング本部は、金融分野におけるCapgeminiとの窓口の役割を担っています。NTTデータ経営研究所の詳細については、www.keieiken.co.jp をご覧ください。

以上

 

参照:「 ワールド・リテール・バンキング・レポート 2008 」ダウンロード

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