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“TraTech”がインバウンド対応を変える!

グローバル金融ビジネスユニット
シニアマネージャー
両角真樹
1 旅行観光ビジネスにテクノロジーを
  • • 訪日外国人旅行者数は続伸
    • - 2015年の日本人海外旅行者数は前年を下回り1,621万人となった一方で、訪日外国人旅行者数はクルーズ船の寄港増加、航空路線の拡大、円安の進行、中国・マレーシア・タイへのビザの大幅緩和、等により、1,974万人と過去最高を記録、1970年以来45年ぶりに日本人海外旅行者数を上回った。2011年~2015年の直近5年間で見ても33%強の年平均成長率であり、これは世界的に見ても驚異的なスピードだ。
    • - 政府は2020年の訪日外国人旅行者数目標を2,000万人から2015年現在の倍以上の数字である4,000万人に引き上げ、2030年には更に6,000万人を目指す事を宣言した。

日本人海外旅行者数と訪日外国人旅行者数の推移

日本人海外旅行者数と訪日外国人旅行者数の推移

出所:日本旅行業協会

訪日外国人旅行者数・消費額の目標

訪日外国人旅行者数・消費額の目標

出所:日本経済新聞

各国の外国人旅行者受入数(2014年)

各国の外国人旅行者受入数(2014年)

出所:日本旅行業協会資料を基にNTTデータ経営研究所が作成

  • • 対GDP比率では更なる伸展余地あり
    • - このように飛躍的な成長を遂げている日本の旅行観光業だが、訪日外国人消費額は3.5兆円程度であり、対GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)比で見ると、依然として0.6%程度と低い割合に過ぎない。これはタイ10.4%、フランス2.4%、アメリカ1.3%、等と比較してみても著しく低い。裏を返せば2020年の日本のGDP目標600兆円を達成する為には、旅行観光業の寄与がまだまだ必要とも言える。
  • • 旧態依然の旅行観光業界
    • - 更なる伸展が期待されるインバウンドだが、課題が無い訳ではない事は下図をご覧頂けば分かる。先ず訪日外国人が旅行中に困った事の1位、3位にあるように“言語”に関する問題だ。「無料公衆無線LAN環境」を除くと、言語に関する問題は圧倒的多数であり、如何にこの単純な問題に訪日外国人旅行者が困っているかが分かる。
    • - 我々NTTデータ経営研究所では以前からTraTech(Travel×Technology)という考え方を提唱しており、FinTech(Finance×Technology)や不動産テック(ReTech:Real Estate×Technology)と同じように、比較的テクノロジーが浸透していない旅行観光業界に関してもイノベーションを起こせないか、という事に取り組んでいる。手始めとして、最も課題認識が多い“言語”に関する問題に取り組んだ。

訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート

訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート

出所:観光庁

2 「大企業×スタートアップ企業」でイノベーションを促進
  • • 考え方はFinTechと同じ
    • - TraTechの考え方は基本的にはFinTechと同じだ。つまりテクノロジーの進展が進んでいない領域に関して、デジタライゼーションの施策を講じる。具体的には、大企業とスタートアップ企業でWin-Winの座組みを形成する事でその取組施策を推進する。例えばNTTデータのような大企業は、リレーション/販路、開発要員等のヒト、法規制対応ノウハウ、そしてスタートアップ企業に最も足りない資金面でのサポート等を提供、一方でスタートアップ企業は、アイディア、技術、そこからもたらされる商品/サービス、IP(知的財産)、そして協業する事によるスピード感、等を提供、お互いにメリットを享受してビジネスを進める。
  • • NTTデータ経営研究所+NTTデータ+Paykeにて座組み
    • - 今回、TraTechにて言語の問題を解消すべくパートナーシップを組んだのは沖縄県発のベンチャー企業「Payke(ペイク)」だ。彼らは「日本の商品は世界的にも優れているので、情報を正しく伝える事ができれば、海外の人は喜んで買ってくれるはず」と考え、“商品のストーリー”をデータベース化し、ユーザーが商品のバーコードをスマートフォンやタブレットでスキャンすれば、彼らの母国語で情報を取得できる仕組みを構築した。NTTデータ経営研究所/NTTデータはそこに決済や免税、ビッグデータ分析、等の付加価値を付けてインバウンド対応の新しいソリューションとして展開する事を検討している。

Paykeの店頭端末におけるサービス紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=PPjk0T6a6cU

Paykeの「多言語商品説明」アプリの説明

Paykeの「多言語商品説明」アプリの説明

出所:NTTデータ経営研究所

3 購入金額36%UP、購入個数34%UP、という脅威の結果
  • • 瀬長島ウミカジテラスの47STOREにて実証実験
    • - 本格的なパートナーシップ、ソリューション開発を行う前に、Paykeのサービスがどれだけ必要とされ、また店舗の売上に貢献するかの確認を行う為に、沖縄県の人気リゾート地、瀬長島ウミカジテラス内にある「47STORE」にて実証実験を実施。
    • - 結果は、実証実験期間中の店舗売上は、平日で25%、休日でも12%上昇した。また1回でもPaykeのタブレット端末でスキャンを行った顧客に関しては決済額で36%、購入個数で34%の増加という驚愕の実験結果となった。また実験にご協力頂いた47STOREの店長、アルバイト等の全員が「接客をする上で役立つ」、「特に食品、医薬品、化粧品等で商品情報が欲しい」等のポジティブなコメントを頂く事が出来た。

Payke設置期間における店舗売上UP効果の検証結果

Payke設置期間における店舗売上UP効果の検証結果

出所:NTTデータ経営研究所

Payke利用有無と購買の関連性の検証

Payke利用有無と購買の関連性の検証

出所:NTTデータ経営研究所

4 リアル店舗のカスタマージャーニーを見える化
  • • AIDCA(アイドカ)
    • - 消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの一つとして昔からAIDMA(アイドマ)という法則が使われている。これは1920年代にアメリカの販売・広告の実務書の著者であったサミュエル・ローランド・ホールが考案した考え方で、注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の頭文字を取ったものだ。更に2004年くらいから電通によりネットでの購買行動のプロセスモデルとしてAISAS(アイサス:注目(Attention)、興味(Interest)、検索(Search)、行動(Action)、共有(Share))が提唱された。しかしながらリアル店舗の世界ではもはや記憶(Memory)や検索(Search)等と悠長な事を言っていては顧客が逃げてしまう。その為最近では『その場買い』を促進させるべくAIDCA(アイドカ:注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、確信(Conviction)、行動(Action))という考え方がより利用されている。Paykeのサービスはまさにこの“決済(=Action)の前”のタイミングに効く事で売上向上に寄与するサービスだと言える。
  • • ECの世界では当たり前に出来ている事をリアル店舗でも
    • - もう一つネット(EC)の世界とリアル店舗で大きく異なる事が、消費者の行動分析だ。ECの世界では顧客がWEBサイトに来て、どのページに遷移し、結果どんな商品を購入したかといった購買行動プロセスの見える化が比較的容易だ。対してリアル店舗ではこの行動が追いづらく、加盟店、及びメーカーも苦慮しているのが現状だ。NTTデータ経営研究所/NTTデータは、これまで得意としていた決済領域にPaykeのようなサービスとPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)情報等のビッグデータ分析等を掛け合わせて、単に売上増に寄与するのみならず、リアル店舗の見える化のような付加価値サービスの提供も企図している。
  • • 更なる高みへ
    • - 我々の取組はまだ始まったばかりだ。現時点でPaykeのサービスは一部の小売店に導入されているにすぎないが、現在新たな付加価値ソリューションと実証実験を企画中である。将来的にはモノ情報(商品のストーリー情報)と顧客情報、更にはAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用したマーケティング等の組み合わせ施策も構想しており、インバウンドへの新たな取り組み方として継続的に提言していきたい。 最後に、今回の実証実験にご協力頂いた新里さんを中心としたWBFリゾート沖縄株式会社の皆様へのお礼の言葉にて結びとさせて頂きたい。

AIDCA(アイドカ)に基づいた顧客の購買決定プロセス

AIDCA(アイドカ)に基づいた顧客の購買決定プロセス

出所:NTTデータ経営研究所

実証実験以降、瀬長島にて久しぶりに顔を合わせた4者のチーム

実証実験以降、瀬長島にて久しぶりに顔を合わせた4者のチーム

向かって左からPayke営業部長の翁長良樹さん、Payke代表取締役CEOの古田奎輔さん、WBFリゾート沖縄株式会社 商業施設運営課の新里哲佳さん、NTTデータ カード&ペイメント事業部 営業統括部の鈴木親大さん、NTTデータ経営研究所 グローバル金融ビジネスユニットの両角真樹

NTTデータ Inforiumにおける紹介記事
https://inforium.nttdata.com/focusedissue/inbound_okinawa.html

株式会社Payke

「世の中から『分からない』を無くす」というミッションのもと、バーコードを基軸にした新たな情報プラットフォームを構築している沖縄発のベンチャー企業。インバウンド消費のソリューションとして、「Payke」というアプリとシステムを開発し、沖縄と東京の2拠点で活動している。平均年齢は20代前半という若いチームながら、各界から注目を集め、大手クライアントへのサービス導入も順調に進んでいる。http://payke.co.jp/

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