現在ご覧のページは当社の旧webサイトになります。トップページはこちら

地域金融機関は仮想通貨・ICO・トークンエコノミーにどう取り組むべきか

情報未来イノベーションセンター
エクゼクティブコンサルタント 山下 長幸

はじめに

 1990年代前半、ITを使った経営革新や業務改革というコンサルティングテーマがビジネス界でブームになっていて、それらに対応していた筆者の職場の同僚から「アメリカでインターネットと言うものが開発されて、経済・社会に大きな影響を与えると言われているらしい」とコメントを聞いた。筆者も早速インターネットのことを調査したが、その頃の感想としては「リアル世界で行われていることをバーチャル世界に移行させることによりビジネスの効率化・高度化を図るということか。確かにそれが実現すればそうなりそうだが、現実にはPCはそれほど普及していないし、通信速度は遅く、従量課金での通信料金が非常に高く、それほどすぐに簡単には普及しそうにないなあ」という感じだった。それから20数年が経過し、様々な課題克服のための技術開発や新サービス投入がなされ、インターネットによる経済・社会革新はとてつもなく大きなものとなった。

 そして現在、インターネットを前提として構築されたブロックチェーン技術を活用して開発された仮想通貨は、激しい値動きや仮想通貨を扱う業務システムへのハッキングによる巨額損失事件などで、かなり胡散臭い存在として認識されている。他方、一部の有識者からはブロックチェーン技術の利用は、インターネットによる経済・社会革新と同等以上のインパクトを経済・社会に与えるだろうとコメントされている。ブロックチェーン技術がどのように活用され、経済・社会にインパクトを与えるかは関係者の知恵と工夫次第だとは思われるが、現在のブロックチェーン技術の活用が、1990年代前半のインターネットの勃興期の頃と同様だと考えると、様々な課題克服のための技術開発や革新的なサービスの創出が必須ではあるが、20数年後の2040年から過去を振り返ると、ブロックチェーン技術は経済・社会に普及し、大きな変革インパクトを与え、昔そんなことがあったかと懐かしく思い出されるという時代が来ると予測される。

ブロックチェーン技術の特長

 ブロックチェーン技術の最大の特徴は、耐改ざん性が極めて高く、中央集中管理を必要としないところである。

 金融決済的な側面で考えると、ブロックチェーンのこの技術特性により、少額決済(マイクロペイメント)が可能となるところが、経済・社会に大きなインパクトを与えると考えられる。現在、法定通貨による決済は、銀行業界により非常に堅固なATMや銀行間決済ネットワークや勘定系システムが構築され、その維持・運営コストをまかなうため、振込・振替手数料もそれなりな金額となっている。たとえば、3万円未満の振込で100円~200円程度となっている。そうなると、例えば10円の取引の振込のために、100円~200円の振込手数料を負担するというのは、振込手数料負担者にとって経済性が合わないと感じざるを得ない。

 これに対して、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨だと、銀行関連の為替ネットワークや勘定系システムという中央集中管理の仕組みを通す必要がなく、送り手がインターネットを介して受け取り手に振り込みをするだけなので、非常に安価な振込手数料の設定が可能である。仮想通貨による振込手数料が仮に0.1円相当だったとしたら、10円相当の振込も十分に経済性が成り立つ。この少額決済(マイクロペイメント)が可能になったとすると、経済・社会へのインパクトは非常に大きい。これまでそれなりの金額の取引でないと振込手数料支払後の経済性が合わなかったものが、仮想通貨を利用することにより1円相当の取引でも振込手数料を支払後の経済性が合うとなると、様々な超低価格の取引の実施が可能となる。このような少額決済が可能となることで後述のトークンエコノミー生成も可能となる。(ただし、取引に現状レベルの物流コストがかかる取引の場合は、決済手数料のみが低減しても大きな社会・経済革新には結びつきがたい。)

 耐改ざん性が極めて高く中央集中管理を必要としないブロックチェーン技術による2つ目の技術特性は、即時決済を可能する点である。現状の法定通貨の場合、営業日外や営業時間外には決済を実行することができず、直近の営業日営業時間での決済予約をするしかない。しかし、仮想通貨を利用すると、銀行の為替ネットワークや勘定系システムを利用する必要はなく、中央集中管理の仕組みを必要としないインターネットを決済ネットワークとして活用するため、休日でも夜間でも即時に決済を実行することができる。現在、日本における企業間の取引決済は、月1回の後払いが商慣習として根強いものがあるが、仮想通貨や後述のスマートコントラクトの仕組みを利用することにより、1回ごとの取引完了時に即支払ということも可能であろう。企業としては経理業務の効率化となったり、取引代金受け取り企業としては資金繰りの改善に大きく役立つ場合もあると想定される。

 耐改ざん性が極めて高く中央集中管理を必要としないブロックチェーン技術による3つ目の技術特性は、スマートコントラクトを可能とすることである。スマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を活用して予め契約執行条件を組み込み、その契約執行条件を満たす事象が起きた場合、中央集中管理の仕組みを必要とせず、自動的に契約が執行される仕組みである。例えば、自社SNSページの投稿記事に「いいね」してくれたら、1円相当の仮想通貨を支払うというスマートコントラクトであれば、前述の少額決済を可能とする点とも相まって、「いいね」のクリックのたびに、1円相当の仮想通貨を振り込むことも可能となり、「いいね」をする生活者のモチベーションを向上させることができる。

 耐改ざん性が極めて高く中央集中管理を必要としないブロックチェーン技術による4つ目の技術特性は、中央集中管理を必要とせず取引履歴の保存・閲覧可能となり、それらの取引履歴は非常に信用力が高いことである。これまで金融機関は、融資に当たり個人や企業の信用力の判断に相当の時間とコストをかけてきた。個人の場合だと、これまでのクレジットカードの返済遅延などを起こしていないかや、企業だと決算書の提出を受けて粉飾の有無を精査したりしてきた。ブロックチェーン技術により信用力が高い取引履歴が保存され閲覧可能となると、金融機関による与信活動も相当効率化・高度化できるであろう。

法定通貨にペグしている仮想通貨によるキャッシュレス決済

 現在、流通量の大きいビットコインなどの仮想通貨は、法定通貨に対する価格変動が非常に大きいため決済用通貨としては使いづらいものとなっている。日本ではメガバンク等により、法定通貨との交換価値が大きく変動しないか、もしくは交換価値が固定した形で保障されるようなステーブルコインの開発が進められている。いわば法定通貨にペグしている仮想通貨である。その意味では、ビットコインのような中央集権的な管理を必要としない仮想通貨でなく、銀行による何らかの中央集権的な管理が組み込まれるものと想定される。この方式は、生活者や企業からすると、本来の仮想通貨の良さが多少減殺されるにしろ、現在の法定通貨よりも便利で経済的なものであれば、信頼のおける銀行発行による仮想通貨(ステーブルコイン)は生活者や企業に受け入れられやすいものとなろう。

 銀行にとって振込み手数料収入が安定的で大きい企業間の国内取引決済に関して、仮想通貨(ステーブルコイン)による企業間決済が進展した場合、金融機関としては現状の法定通貨での企業間取引手数料収入に対して大きな打撃を受けることになろう。

 さらには銀行にとって振込み手数料収入が安定的で大きい労働者の給与に関しては、現在、労働基準法第24条第1項に、使用者は労働者に対して原則として通貨で賃金を支払わなければならないと規定されている。第24条第1項但し書には労働協約に別段の定めがあれば、通貨以外の手段での賃金支払いは可能となっている。現時点では、給与は法定通貨での銀行振り込みがほとんどで、銀行としても相当な金額の振込み手数料収入があるものと想定されるが、労働者の給与振込に仮想通貨(ステーブルコイン)が活用されることになると、金融機関としては現状の法定通貨での給与振込手数料収入に対して大きな打撃を受けることが想定される。

 銀行サイドからすると、仮想通貨(ステーブルコイン)への参入は、法定通貨での振込手数料収入の減少と言う影響が予想されるものの、予想されるメガインターネットネット企業による仮想通貨ビジネスへの参入に先手を打って対抗し、将来に向かって仮想通貨・ブロックチェーン技術を活用し、どのような金融ビジネスを新たな収益源として確立するかが重要なポイントとなるであろう。その意味で、地域金融機関であっても、自金融機関ブランドの仮想通貨(ステーブルコイン)を発行することによって、地域における自金融機関の商圏ユーザーとの関係を強化し、新たな金融ビジネスへの道を拓いておくべきであろう。メガバンクのような全国レベルでのブランド力はないかもしれないが、このような取組みを行わないと、自金融機関の存在価値を問われることになりかねない。また、自金融機関の仮想通貨があれば、後述のICOや地域トークンエコノミーの展開にも役立つと想定される。

 小売業関連については、仮想通貨を利用した店頭での購入代金の支払いに関するQRコード等の読み取り技術や機器の標準化を業界全体として推進すべきであろう。その上で、地域金融機関としては、自金融機関の商圏における決済加盟店開拓に注力し、加盟店の売上をベースとした新たな手数料収入の手段を確保することが重要であろう。QRコード決済に関しては、現在は法定通貨でのクレジットカードや銀行口座を介して決済処理する方式が主流であるが、仮想通貨決済のインフラとしても活用可能なので、仮想通貨による決済の前哨戦として現行のQRコード決済に地域金融機関として注力することは非常に重要である。

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

 ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは、仮想通貨の発行による資金調達のことである。

 企業による類似の資金調達手段としては、株式発行によるものが既に存在しているが、証券取引所扱いの場合、そもそも発行組織体として株式会社であること、長い上場準備期間、厳しい上場審査基準、高額の上場関連費用がベンチャー企業等にとっては障壁となっている。これに対して、ICOの場合、社団法人でも、企業の1プロジェクト単位でも、個人単位でも発行可能という自由度があり、資金調達主体の広がりが大きく、また、発行期間や資金調達コストにも証券取引所株式上場より優位なポジションにある。

 株式の場合、株式の保有数に応じて株主総会での議決権が付与されており、会社経営に対して関与されることになるが、ICO仮想通貨の場合は、会社経営に関与する権限を付与する義務は必ずしもないという点が株式とは大きく異なる。

 株式の場合、株主への利益還元は、基本的には配当に限定されているのに対し、ICOの場合は、サービス利用権や商品優先購入権など多様な出資者メリットを設定することが可能である。

 ICOに似た資金調達手段としては、クラウドファンディングも存在している。クラウドファンディングの場合も、募集主体は株式会社である必要はなく、自由度が高いところはICOと同様であるが、資金の借り手・貸し手等を管理するための中央集権的なプラットフォームが必要であり、そのための構築・運用費用を借り手もしくは貸し手が負担する必要がある。その分、中央集権的なプラットフォームを必ずしも必要としないICOの方がコスト的に優位なポジションにある。

 ICOは、民間企業のみならず、地方自治体による発行も可能である。例えば里山保存・活性化事業のためにICOし、そのトークンを購入した人たちに里山からの産物をプレゼントしたり、里山保存活動への参加権や里山活性化のための事業を提案する権利を付与したりなどが考えられる。このようにICOの仕組みを上手に活用することによって、新たな地方自治体の資金調達が可能となる。

 しかし、現状、ICOに関しては詐欺的な資金募集も多く、また、払い込まれた仮想通貨の値動きも大きく、資金調達側としても振り込まれた金銭的価値の不安定さが課題となる。これに対して、地域金融機関として、ICOコンサルティングビジネスに参入して、まっとうなビジネスとしてのICOであることのお墨付きをして、詐欺的なICOでないことを提示することも可能であろう。また自金融機関発行のステーブルコインを資金払込の仮想通貨として利用することにより、値動きの不安定さを払しょくすることも可能であろう。このように地域金融機関として自地域金融機関の商圏における企業、プロジェクト、個人などへのICOコンサルティング、ICO主幹事としての手数料収入や自金融機関の仮想通貨による払込条件とすることによる関連収益等が期待できる。地域金融機関として、商圏内の法人・個人顧客向けにICO実施プラットフォームビジネスを展開すべきである。このプラットフォームビジネスは顧客開拓力・ICO企画力がポイントであり、地域金融機関の自商圏におけるこれまでの強みを活かすことが可能である。

トークンエコノミー

 トークンとはビットコインやイーサリアムなど既存の仮想通貨のブロックチェーン上で発行される付加価値のある独自データである。「貨幣の代わりになる価値のあるもの、代替貨幣」とも言われている。付加価値の内容はトークンによって異なるが、収益を獲得する権利やサービスを利用する権利などがある。

 トークンエコノミーとは、トークンが多くの生活者や企業により取引される経済のことである。ビットコインなどに代表される仮想通貨や銀行発行による仮想通貨(ステーブルコイン)は汎用的な決済に用いられることを想定して設計されているのに対し、トークンはヘビーユーザーの事業貢献に対する報酬の還元など特定の条件付けができ、それらがトークン経済圏の中で流通するところが、汎用決済系の仮想通貨との大きな違いである。

 日本でも、エイベックス、サイバーエージェント、LINEなど大手企業が自社関連トークンエコノミーの構築・運用を発表している。

 たとえば、エイベックスでは、自社関連トークンエコノミーの構築・運用のために2018年6月に100%子会社「エンタメコイン」を設立した。同社がトークン・仮想通貨を発行、エイベックスグループのみならず、関連のエンターテイメント事業者、ファン顧客などとの決済スキームを2019年初頭を目標に提供するようである。具体的なサービス内容はこれから検討・具体化されるであろうが、たとえば、ファン顧客が同社リリースの楽曲に関して、「いいね」したり、ブログを書いたりすることで、ごく少額のavexトークンが即時にプレゼントされる仕組みが考えられる。ファン顧客としては、貯まったavexトークンをコンサートチケットやファングッズの購入に充てることになろう。エイベックスとしては、ファン顧客がSNS等でのクチコミをしてくれることで、楽曲・アルバム等の売上が向上すれば、ファン顧客にプレゼントしたトークンの元が取れることになる。このようなスキームは前述のブロックチェーン技術による少額決済・即時決済・スマートコントラクトの特長を利用することで可能となる。曲への「いいね」がトークンで1円相当だとして「いいね」のたびに法定通貨での1円を銀行振り込みすることは現状の振込手数料である100円~200円だと経済合理性が合わないが、仮に0.1円相当でトークンが送金できるとなると、「いいね」のたびに1円相当の送金が実現可能となる。さらに「いいね」の報酬が法定通貨での銀行振り込みだとすると、営業日外や営業時間外だとすぐに振り込むことはできないが、トークンでの送金だと銀行の営業日・営業時間に関わらず即時に可能となる。これはファン顧客からすると「いいね」をするモチベーション向上に強く作用するであろう。楽曲への「いいね」がトークンで1円相当だとしてスマートコントラクト化すれば、「いいね」された瞬間、送金処理する自動化も可能である。このようにトークンエコノミーは、ブロックチェーン技術が開発されたことにより初めて構築・運営できるようなったと言える。

 別のスキームとしては、楽曲ごとにICOし、ファン顧客にトークンを購入して頂くというスキームも考えられる。ファン顧客には、楽曲が完成した際のダウンロード権を付与することはもとより、歌手と記念撮影できる権利の付与、楽曲の売れ行きによっては収益還元を受ける権利などをトークンに付与することも可能であろう。歌手と記念撮影できる権利などは、ファン顧客間での売買もありうるであろう。また、楽曲・アルバム製作会社・プレーヤーに関しても、トークンでの製作費用受取オプションを提供して、楽曲・アルバムの売れ行きによっては収益還元を受けることを可能にすることもあり得るであろう。これまで楽曲製作・アルバム製作に関して、固定額での費用の支払いが楽曲・アルバム製作会社・プレーヤーになされる場合に比べて、楽曲・アルバムの売れ行きによっては収益還元を受ける場合、楽曲・アルバム製作会社・プレーヤーの取り組みモチベーションを大きく向上させることができると想定される。

 さらにエイベックスとしてはトークンに記録された取引履歴等がブロックチェーン技術により信用力が極めて高いものだとすると、ファン顧客に関してはVIP待遇をすべきファンなのかの判断も容易になったり、これまで起用した実績のない楽曲・アルバム製作会社・プレーヤーに関しても過去の取引履歴から信用度を判断し、新たに起用する判断も容易になるものと想定される。

 トークンの発行やトークンエコノミーの構築は、メガインターネット企業であるECサイト、SNSサイト、検索サイトなどが既に構築されている自社のサービスプラットフォームをベースに、全国を対象に取り組んでくることが想定される。

 しかし、トークンエコノミーは、ICOなどの仕組みを通じて、大手企業のみならず、中小企業・ベンチャー企業でも、商品開発の1プロジェクト単位でも、個人でも可能なので、大小様々なトークンエコノミーが多数生成されることが想定される。

 このような状況のもと、地域金融機関はトークンエコノミーにどのように取り組むべきであろうか。筆者は、地域金融機関の強みである「地域」という切り口でトークンエコノミーに取り組むことが重要だと考えている。地域と言う切り口としては、域内の伝統工芸、伝統芸能、観光地、温泉、文化財、商店街、サプライチェーン上にある地場企業群、地産地消コミュニティー、域内の各種の学校、公共施設など様々に考えられる。地域金融機関として、これらの切り口をきっかけに、地域トークンエコノミー企画コンサルティング、地域トークンエコノミーのICO主幹事としての手数料収入や自金融機関の仮想通貨上へのトークンの組み込みによる関連収益等が期待できる。このように、地域金融機関として、域内の法人・個人顧客向けに地域トークンエコノミー企画・実施プラットフォームビジネスを展開することも可能である。地域トークンエコノミーは、どのようなアクションに対してどのような報酬や権利をどの程度付与するのかというトークン設計が非常に重要となる。この設計次第で当該トークンエコノミーへの参加者数や活動量が決せられるであろう。地域トークンエコノミープラットフォームビジネスは顧客開拓力・ICO企画力がポイントであり、地域金融機関の自商圏におけるこれまでの強みを活かすことが可能である。

まとめ

 現在、40歳代以降の年代の方々にとって、小学生の人気職業ランキングにユーチューバ―がランクインというニュースは驚きを持って迎えられたことであろう。YouTubeもある種の経済圏である。動画視聴アクセス数が増えることにより媒体価値が高まり、より多くの広告収入を得ることができるYouTubeと動画視聴アクセス者に向けて広告を出稿し自社収益を向上させたい広告主の存在により、動画投稿をして視聴回数に応じて収入を得るユーチューバ―という新たな職業が成立した。

 トークンエコノミーは、これまで法定通貨の元では経済性を成り立たせることが難しかった様々な価値がトークンと言う形で定量化・見える化され、中央集中管理を必要とせず、簡易に安価に迅速に流通するようになる仕組みである。YouTubeにユーチューバ―という職業が成立したように、トークンエコノミーにより、これまでにない様々な収入源の選択肢が生活者に与られるであろう。

 銀行業界も、これまでは合併等での規模の拡大による効率性向上が生き残り策として実行されてきたが、「地域トークンエコノミー」という切り口がナショナルブランドの金融機関等とは異なる地域に強みを持つ地域金融機関にとっての生き残りの有力な手段の一つであると筆者は確信する。地域金融機関の皆様とともにこの分野での新たな金融事業創造ができれば幸いである。

Page Top