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2009年7月2日

フローリッチ(世帯年収1,500万円以上)の金融取引における行動特性

~2人に1人が金融危機によって投資マインド低下~

株式会社NTTデータ経営研究所

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:谷口和道)は、NTTレゾナント株式会社の提供するインターネット・アンケートサービス「gooリサーチ」の協力を得て、世帯年収1,500万円以上の高所得層(通称:「フローリッチ」)を対象に、金融取引の特性や運用スタイルのパターン、金融危機による投資マインドの変化等を把握するため、「金融機関のご利用に関するアンケート調査」を実施しました。

【主な調査結果】

1. フローリッチの32.7%は将来的に1億円以上の金融資産を保有すると予測 

フローリッチの基本属性であるが、年代は、「50代(36.0%)」「40代(33.5%)」が中心となっており、既婚者が全体の88.3%、そのうち60.7%が「共働き」という結果になった。

職業は、「会社員(管理職)」が24.9%で最も多く、「経営者・役員(非上場)」(15.6%)、「医師」(12.7%)、「会社員(非管理職)」(11.4%)が続いた。

現在の金融資産は、「1,000万円未満」が31.5%、「1,000万円~2,000万円」が16.1%と、2,000万円未満で約半数を占めたが、「(将来的には最大で)1億円以上の金融資産を保有する(予測)」とした回答が32.7%に上った。
2. 運用スタイルは、「積極・ハイリスク派」「積極・バランス派」「安定派」「無関心派」の4パターン

フローリッチの運用スタイルについて、類似する回答者をクラスター分析(*1)により分類したところ、以下の4つのパターンに分かれ、購入商品やポートフォリオ、メイン金融機関等に差異が見られた。
【分類】  
[積極・ハイリスク運用派]
(18.0%)
ポートフォリオに占めるリスク性商品(47.4%)、投資用不動産(34.6%)の割合が大きく、リスク性商品の中では、FX(18.5%)、コモディティ(8.9%)等、値動きの激しい商品の購入率が高い。
[積極・バランス運用派]
(34.6%)
株式(70.2%)、投資信託(64.5%)、外貨預金・外貨MMF(51.1%)、国債・公共債(38.3%)の購入率が高く、幅広く分散投資を行っている。
(リスク性商品の購入経験:平均3.9商品)
[安定運用派] 
(22.8%)
金融資産の大半(78.5%)を安全性の高い商品で運用しており、資産形成用メイン金融機関として、「利回りの高い商品がある」などの理由で、インターネット専業銀行(16.5%)を選択する傾向が強い。
[運用無関心派]
(24.6%)
金融リテラシーが低く、ほぼ全て(96.7%)の金融資産を安全性の高い商品で運用しており、リスク性商品の購入経験は、平均1.3商品と少ない。
3. メイン金融機関を決済用途と資産形成用途で使い分けている割合は50.6%    

メイン金融機関について、日々の入出金や口座引き落とし等の決済用途と、投資運用商品の購入や相談等の資産形成用途で、別々の金融機関を利用している割合は50.6%という結果になった。

資産形成用メイン金融機関としては、「証券会社(22.0%)」が決済用途とは別に選択される比率が最も高く、「都市銀行(17.6%)」「インターネット専業銀行(16.0%)」が続いた。

「電話・インターネットで取引できる(48.7%)」「手数料が安い(27.3%)」「利回りの高い魅力的な商品がある(16.6%)」「押し売りをせずニーズを把握してくれる(14.4%)」「商品の取扱種類が豊富(14.0%)」などが資産形成用メイン金融機関を選定した主な理由となっており、このことから、取引の利便性や商品性・提案力の違いによって、決済用途とは別の金融機関を選定したと想定される。
4. 金融リテラシーの高低と情報収集・相談の実施率には高い相関が見られる   

金融取引を検討する上で、情報収集を行う比率は全体の85.7%、相談を行う比率は63.3%であった。情報収集・相談の実施率は、金融リテラシーの高低と相関があり、リテラシーが高い人ほど、主体的に情報を収集して、周囲を頼らず自分の判断で金融取引を行う傾向にあることが分かった。
<情報収集・相談実施率>
情報収集実施率 高リテラシー 96.7%  中リテラシー 90.4%  低リテラシー 72.3%
相談実施率

高リテラシー 58.9% 中リテラシー 63.5% 低リテラシー 67.7%
5. 金融危機によって投資マインドが低下した比率は 51.5%

サブプライム問題等を発端とした金融危機以前(2年前)の投資マインドと現在の投資マインドを比較したところ、「投資マインド高維持層(投資マインド:高→高)」「投資マインドアップ層(低→高)」「投資マインドダウン層(高→低)」「投資マインド低維持層(低→低)」の4つの分類の比率およびそれぞれに属する回答者の特徴は以下の通りで、金融危機以前に高い投資マインドを持っていた回答者のうち、51.5%の投資マインドが現在は低下していることが分かった。
【分類】  
[投資マインド高維持層]
(21.8%)
金融リテラシー「高」の比率が最も高いが(64.7%)、直近2年間の運用成績は、全体の65.3%が10%以上の損失を出しており、その中でも、33.2%が30%以上の損失を計上している。
[投資マインドアップ層]
(8.5%)
全般的に、金融リテラシーが高く(「高」の比率が56.0%)、直近2年間の運用成績では、全体の38.0%が利益を出しており、その中でも、25.3%が10%以上の運用益を確保している。
[投資マインドダウン層]
(23.1%)
「投資マインド高維持層」「投資マインドアップ層」と比べると金融リテラシーが低く、直近2年間の運用成績は、全体の74.2%が10%以上の損失(その中の40.6%が30%以上の損失)を出している。
[投資マインド低維持層]
(46.6%)
金融リテラシー「低」の割合が57.6%と最も多く、金融資産の大半(78.8%)を安全性の高い商品で運用している。そのため、金融危機の影響は小さく、全体の68.5%が直近2年間で±10%以内の運用成績に収まっている。
6. 「投資マインドダウン層」の約70%が景気回復等を契機に再度投資を行うと回答 

金融危機によって投資マインドが低下した「投資マインドダウン層」のうち、「もう投資はしない」と、完全に撤退の意思がある回答者は13.2%にとどまり、「景気が回復したと判断できた段階で投資を行う(29.4%)」「当面は預貯金で増やすが一定期間経過後に投資を行う(30.3%)」「情報収集先や相談先が見つかった段階で投資を行う(11.4%)」など、再度投資を行う意向があるとした回答率が約70%を占めた。

一方、「投資マインド低維持層」は、元々リスク性商品・投資用不動産の投資比率が低いポートフォリオであり、58.5%が「今後もリスク性商品への投資予定はない」と回答するなど、今後の投資方針に変更はなく、引き続き、堅実に資産を増やしていくという回答結果になった。
(*1) 多変量解析の1つで、説明変数の回答内容の類似度により、サンプルを分類する手法
(説明変数には「運用関心」「金融リテラシー」「現在の投資意欲」「リスク許容度(全金融資産に対する安全性商品の割合)」を使用)
以上
 

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