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2008年12月25日

貸金事業者における改正貸金業法の影響に関する実態調査

~「派遣社員」「非正規社員」等は、今後、新たな借入が困難に~

株式会社NTTデータ経営研究所


株式会社NTTデータ経営研究所(東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 崇)は、日本貸金業協会(東京都港区、会長:小杉 俊二)からの委託に基づき、日本貸金業協会協会員各社を対象に、「経営実態に関するアンケート調査」を実施いたしました。(回答者数:1,419)

主な調査結果は、2008年10月30日に日本貸金業協会より公表(*)の通りですが、今回、改正貸金業法の完全施行の影響等につきまして、当社にて、調査結果を追加分析いたしましたので、その結果を公表いたします。

(*)http://www.j-fsa.or.jp/doc/pdf/statistics/081030.pdfを参照。

【主な調査結果】

1.「改正貸金業法の施行」「利息返還請求の増加」等を理由に今後も貸付残高は減少する傾向

 日本貸金業協会でも公表の通り、今回のアンケート回答事業者の貸付残高は合計で17.4兆円(2006年9月)から15.2兆円(2008年3月)に減少しており、今後も「減少する(見通し)」と回答した貸金事業者が75%(消費者向け無担保貸付)を占めた。

「減少する(見通し)」と判断した根拠を追加分析したところ、「改正貸金業法の施行」(91%)を挙げる貸金事業者が最も多く、「利息返還請求の増加」(52%)、「利用者の借入意識の変化」(39%)、「自社における与信審査モデルの変更」(38%)が続く結果となった。

貸付残高・貸付件数の推移と今後の見通し

2.貸付残高減少の根拠として、「総量規制の導入」「貸付上限金利引下げ」を挙げる貸金事業者が多い

また、改正貸金業法の施行内容の具体的にどのような内容が、貸付残高の減少(見通し)を判断する根拠となっているか確認したところ、「総量規制の導入」(86%)が最も高く、「貸付上限金利の引下げ」(64%)が続く結果となった。

改正貸金業法の施行内容と、貸付残高の減少見通しの関係

3.「非正規社員(派遣社員・パート・アルバイト)」「低所得者」等は今後新たな借入が困難に 

新規での借入審査を「(今後)厳しくする」と回答した事業者は、「年収400万円未満」「非正規社員(パート・アルバイト・派遣)」「自営業」等に当てはまる個人の70%以上が改正貸金業法の影響を受ける可能性があると判断しており、「定職がなく所得も低い個人」や「自営業者」は、今後より一層貸金事業者からの資金調達が困難となる可能性が大きい。

初期審査の今後の見通し

4.中小貸金事業者の上限金利引下げ対応はこれからが本格化 

新規貸付先に対する上限金利引下げ対応を全件終えた(上限金利引下げに伴い対応が必要な債権比率が0%)貸金事業者の比率は、貸付残高5億円超の貸金事業者で63%~68%となった一方、5億円未満の中小貸金事業者では33%となった。中小貸金事業者は、上限金利引下げ対応が現時点ではまだ進んでおらず、今後、本格化していくことが予想される結果となった。
さらに、上限金利引下げ対応の進捗度ごとに年収や職業を追加分析したところ、「過半が対応未済(上限金利引下げに伴い対応が必要な債権比率が60%超-100%)」の貸金事業者の新規顧客割合は、「低所得者(年収300万円未満)」が5.9割を占め、職業別でも、「非正規社員(パート・アルバイト・派遣)」(1.2割)や「主婦(主夫)」(0.9割)の割合が、比較的高かった。

貸金事業者は、上限金利引下げ時に合わせて審査基準を厳格化する傾向があるため、審査基準厳格化時には、上記のような特定の資金需要者層の資金調達環境が、ますます厳しくなる可能性があることがわかった。

上限金利引下げへの対応

5.借入件数4件以上のローン利用者は融資停止等の措置を受ける可能性 

2007年度末の正常貸付先に対して総量規制への対応がほとんど必要のない(総量規制に抵触可能性のある債権比率が0%-5%)の貸金事業者の比率は、貸付残高5,000億円超の貸金事業者では0%、5億円超から5,000億円以下の貸金事業者が6%~11%となった一方、5億円未満の中小貸金事業者では22%となった。大手貸金事業者は、総量規制の導入への対応が現時点ではまだ進んでおらず、今後、本格化していくことが予想される結果となった。
さらに、総量規制の導入への対応必要度ごとに与信対象先の他社借入件数状況を追加分析したところ、貸金事業者の「総量規制導入への対応必要度」と与信対象先の「他社借入件数の多さ」は、概ね、相関関係にあった。

貸金事業者は、総量規制導入に合わせて与信姿勢を厳格化する可能性があるため、他社借入件数に着目すると、すでに4件以上の借入実績のある資金需要者は、そのほとんどが融資停止等の対応を受ける可能性が想定される結果となった。

総量規制の導入への対応(消費者向け無担保貸付)

 

以上

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