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地域マネジメント

地域DX

地域DXとは何か?

地域DXとは、DXが表す「D(デジタル)」と「X(トランスフォーメーション)」が指し示すとおり、デジタル時代の変化に合わせて、地域の社会システムをRe-Designしていくことを含んだ概念です。

単に地域課題に対して個々のデジタルソリューションを導入したり、自治体が提供する公共サービスをデジタルで置き換えたりする意味での「デジタル化(≒狭義のDX)」よりも、踏み込んだ考え方といえます。

デジタルを活用して地域課題を解決し、持続可能な地域社会を実現するという点では、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」や「スーパーシティ構想」と近いといえます。

(図表1)地域DXの定義

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地域DX、スマートシティ、自治体DXとの関係性

地域DXは、自治体DXやスマートシティ/スーパーシティを包含した概念として捉えることができる。

(図表2)地域DX、スマートシティ、自治体DXとの関係性

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地域DXはなぜ必要か?

地域を取り巻く環境は、今後大きく変化するでしょう。人口減少や少子高齢化、環境問題、インフラクライシスなど従来の手法では解決できないパラダイムシフトが起き地域の持続性が危ぶまれています。

また、世の中は、社会システムの変容が顕在化しており、システム同士が自律的につながり一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる人間中心の社会を形成しようとする動きがみられます。

こういった変化は、地域社会において、「前例」にこだわらない新たな解決手法を生み出していくことを要請しています。さらに、VUCAの時代と言われる通り、不確実性が高く、デジタルがその変化を加速していく時代においては、これらの変化がさらに大きくなっていくことから、対応は急務といえるでしょう。

一方で、行政は、これまでトップダウンの固定的なガバナンスを踏襲してきており、多様性や変化への対応が難しいという側面があります。また、行政には「無謬性」という失敗できない文化が存在し、住民の課題に寄り添って改善を繰り返すことが難しいという指摘もあります。従来の行政的手法で地域課題を解決していくことの限界が来ているといえるでしょう。

(図表3)環境変化と地域DXの必要性

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DXによるRe-Designとは?

地域の社会システムをRe-Designするには、DX(デジタルトランスフォーメーション)が有効です。

DXとは、「①デジタル能力の活用」+「②マインドセット改革の掛け合わせ」の両輪の構造をもっており、地域DXは、その構造を地域に適応したものと考えることもできます。

当社では、企業におけるDX、地域におけるDX、の両方でその導入・実践の実績・ノウハウを蓄積しており、地域に住む人々が新しいテクノロジーの特性を使って、地域の抱える問題を解決できる能力を高めることに貢献できます。

(図表4)DX (デジタルトランスフォーメーション)のOS

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地域DX推進の要諦

地域DX推進のポイントは、【自己組織化】と【統合化】の2つで説明できます。

【自己組織化】とは、雪の結晶が水の分子の結合により自然発生的に美しい形をつくるように、秩序や構造が自然にできあがる現象のことを指す言葉です。

地域DXにおいても、誰かがトップダウンで決定・指示するのではなく、地域のステークホルダーが自分事として地域の未来を考えて、協力しあうことで、自然発生的に変革プロジェクトが立ち上がっていく状態を作ること有用です。

そのためには、市民・行政・その他の地域のステークホルダーがビジョンを共有すること、市民や関係人口と行政とをつなぎ、DXや街づくりへの参画を促進するための市民コミュニケーションを実施すること、地域の課題やニーズ、公共サービスのパフォーマンスに関するデータ・知識を蓄積し、活用すること、が大事です。

また、それらの活動を支えるDXケイパビリティを獲得・強化させていくことが必要です。

ここでいう、DXケイパビリティとは、組織・人材・コミュニティ・ガバナンス・イノベーション創出機能などDX推進するために欠かせない能力のことを指します。地域DXを推進するためには、行政組織内部のケイパビリティも、地域としてのケイパビリティも両方必要です。

(図表5)地域DX推進のポイント

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地域DXが機能するためのモデルとして、行政と地域のケイパビリティが、ビジョン、市民コミュニケーションのプラットフォーム、データ・知識マネジメントプラットフォームを通じて連携するモデルが有用である。

(図表6)地域DX推進のための【自己組織化】モデル

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【統合化】とは、産官学民連携、政府との連携、持続性と経済性の両立といった多角的な要素を取り込み、戦略として統合していく過程ことを指す言葉です。

地域DXにおいても、行政だけでなく、民間企業が深く関わっていくことが不可欠です。単に行政課題とITソリューションをマッチングするようなオープンイノベーション施策に留まらず、関係者を巻き込み、官民が連携して事業として取り組んでいく態勢づくりが重要です。

また、DXでは、「前提条件を外し、仕組みごと変える」ということが大事なので、タテ割りを打破し、異なるものを組み合わせて、連携していくこと、また、国の規制改革とも連動させること、が有用です。

そして、地域DXを持続させるために、収支が成り立つビジネスモデルであること、絵に描いた餅ではなく、テクノロジーの社会実装まで行うことが肝要です。

これらの複数の要素を組み合わせ、統合化し、関係者が合意可能な戦略・ロードマップに落とし込むことも大事になります。

地域DXが促進されていくためのモデルとして、産官学民連携、政府との連携、持続性と経済性の両立といった多角的な要素を取り込み、戦略として統合していくモデルが有用である。

(図表7)地域DXの【統合化】モデル

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サービス概要

ビジョン・メイキング

DX推進し目指す姿を定義します。DXを推進し実現したい社会、組織の姿を定義し、関係者で共有することで、DX推進を進めていく上での意思決定基準を明確にします。ビジョン・メイキングは、ワークショップ形式で検討を行います。ワークショップには、DX推進担当者だけでなく、関係部門、市民、事業者など、DX推進に関わる多くの関係者に参加して頂き、幅広い人と合意形成されたビジョンの作成を行います。

DX組織変革・DX人材育成

DXを推進していくために必要なスキルやマインドセットの醸成を行いDX人材の育成を支援します。さらに組織として変化のスピードが速い環境に対応していけるように、固定的なプロセスを前提とした組織形態からそれぞれが変化に対応していける自律的な組織形態への変革を支援します。

デジタルガバナンス導入

デジタル技術の活用によりますます複雑性および不確実性が高まる世の中において、行政がトップダウンで事前にルールを決めて管理するガバナンスシステムは限界を迎えています。様々なステークホルダーを巻き込みながら変化に応じてガバナンスシステムをアップデートし続けるモデルへの変革を支援をします。

  • 住民からのフィードバック等(地域課題の深耕、新たな解決方法の発見など)の変化に対応したり、工夫・改善を繰り返していくプロジェクトマネジメント手法の導入・実践支援
  • KPI設計、データ分析によるモニタリング手法の企画・運用支援
  • デジタルツールを用い、「価値」をマネジメントするプロジェクトマネジメント手法の導入・実践支援 など

行政サービスデザイン

サービスデザインの手法を用いて、利用者中心の観点から、行政サービスのユーザーエクスペリエンス・使い勝手の向上を支援します。ユーザー調査、ユーザーモデリング、ジャーニーマップ作成、改善案立案などを実施します。

イノベーションハブ・リビングラボ立ち上げ・運営支援

地域課題を解決するためのイノベーションハブ・リビングラボの立ち上げと運営を支援します。住民や地域関係者のインタビューやワークショップなどを通じて地域資源と地域課題の特定し、また、デザインシンキング・人間中心デザインの考え方を用いて、デジタルを活用した地域課題の解決のプログラムを立案、運営支援を行います。

地域課題解決・まちづくり

地域の課題に寄り添い、これまで解決が難しかった課題に対してもテクノロジーによる解決策を導きます。現場観察や地域の方々との対話を行い、「イノベーション」と「コミュニティ形成」の両輪で課題解決に取り組むことによって、地域にDXマインドが浸透し、地域全体がDXに向かっていくことに貢献します。

市民コミュニケーション戦略立案・実行

行政から市民へのデジタル・リアルを通じたコミュニケーション戦略の立案支援を実施します。コミュニケーションゴールに沿って、ジャーニーマップなどの手法を活用し、具体的なコミュニケーション施策・アクションプランを検討します。

戦略・ロードマップ策定

地域の強み・弱みの分析、先進テクノロジートレンドや国内外事例の調査分析、法制度や予算等の制約の整理、関係するステークホルダーとの対話・協議を通じて、10-20年先の地域DXの目指すべきゴールを定めて、そこへ駆け上がるための戦略シナリオを策定します。

クロスクリエイション(異分野・官民連携)

複雑な地域課題を解決するためには、多様なプレイヤーの参画やタテ割りではない分野横断の取組が欠かせません。産官学民のプレイヤーを巻き込み、コンソーシアム組成、カスタマージャーニーの沿った分野横断ソリューションの検討、オープンイノベーションの推進、ベンチャー共創などの企画と実行を支援します。

政府との連携・調整

政府が、デジタル田園都市国家構想やデジタル連携基盤の構築を推進する中で、地域DX推進には、国が進める事業や政策との整合性・連続性をもち、規制改革や交付金等を有効活用した盤石な戦略を立てることが重要です。地域DX関連事業の企画・推進、スマートシティ/スーパーシティ企画・構想、規制改革を含むDX施策の立案・実現に向けた支援を行います。

ビジネスモデル検討・構築

PoCで終わらない持続可能な地域DXが必要です。マーケタビリティを踏まえて収支が成り立つ事業の企画、PFS(Pay fo Success)や社会インパクト投資などの手法も交えて、事業者の「持ち出し」に依存しない仕掛けづくりを支援します。

テクノロジー社会実装

机上の空論ではなく、構想を実現するための、技術探索、技術導入、社会実装を推進します。技術パートナーとの連携、実証実験の計画・実施、検証結果の分析、地域への普及・浸透策の検討、ハードルとなる規制に対する規制緩和策の働きかけ、などを行います。

関連するプロジェクトの実績

プロジェクトタイトル

プロジェクト概要

関連テーマ

山形県酒田市

(デジタル変革戦略)

  • 地域の方々とのワークショップを通じて、「“ちいさなこと”から変えてみる 」といったCREDO(価値観・行動規範)や、「あなたも街づくりに参画できる」といった方針を掲げ、市民がDXの主役であることを前面に打ち出した「酒田市デジタル変革戦略」を策定。また、地域資源・地域課題を発掘し、地域のコミュニティ形成を図りながら、デジタルによる地域課題解決に取り組む「酒田リビングラボ」を立ち上げ。その他、戦略を施策に落とし込むロードマップ作成、行政内部のDX人材育成、など総合的に支援。

  • 【自己組織化】モデル
    ビジョン
    行政D
    ケイパビリティ
    市民コミュニケーション
    地域DXケイパビリティ

  • 【統合化】モデル
    政府との連携・調整

三重県

(DXビジョン策定)

  • 「あったかいDX」を標榜する三重県のデジタル社会推進の取組の一環で、県民とともにバックキャスティングで未来を描き、「三重県デジタル社会の未来像(通称:DXビジョン)」として取りまとめた。三重県各地での県民との対話、オンラインでの「みえDX未来ワークショップ」を繰り返し、県民がDXを自分事として考え・取り組むことに注力した。

  • 【自己組織化】モデル
    ビジョン

東京都

(Digital Innovation City)

  • 臨海副都心に「デジタルテクノロジーの実装」と「スタートアップの集積」を推進する「ベイエリアDigital Innovation City」(DIC)の実現に向けて、①ビジョン・ロードマップの策定、②エリアマネジメント、研究機関、地元企業による官民連携協議会の組成・運営、③先端技術を活用したイベント、課題解決実証の企画募集、実施、④広報活動の推進、など総合的に取り組む。

  • 【自己組織化】モデル
    市民コミュニケーション

  • 【統合化】モデル
    戦略・ロードマップ策定
    テクノロジー社会実装
    クロスクリエイション(異分野・官民連携)

国土交通省

(飛島スマートアイランド)

  • NTT東日本、とびしま未来協議会、合同会社とびしま、酒田市と共同で、飛島スマートアイランド推進協議会(コンソーシアム)を組成。離島ならではの地域課題をテクノロジーで解決する実証調査を実施。島内住民の移動困難者の買い物支援、観光客へのサービス向上に向けた「スマートオーダーシステム」を開発。単なる技術実証ではなく、事業性・持続可能性の検証、ビジネスモデル検討、島民インタビューを通じたサービスニーズの深堀りを行った。

  • 【自己組織化】モデル
    データ・知識マネジメント

  • 【統合化】モデル
    クロスクリエイション(異分野・官民連携)
    ビジネスモデル
    テクノロジー社会実装

東京都

(地域における再エネシェアリングモデル事業)

  • 東京都の南大沢地区で実施している、再生可能エネルギーシャアリングモデルの推進事業。TNクロス様を主な事業主体として、再生可能エネルギーシェアリングモデルの実証実験を行う。弊社はその中で、都民とのコミュニケーション推進を担当。具体的には推進事業のビジョン策定、Webサイトの運営、メディア企画・製作を行った。

  • 【自己組織化】モデル
    ビジョン
    市民コミュニケーション

文部科学省

(行政官の政策企画・立案能力向上のための人材育成プログラム開発)

  • 科学技術イノベーション政策の企画立案・遂行能力の向上に向け、若手の行政官を対象とした人材育成プログラムの開発を実施。

  • フィールドワーク、ワークショップを活用した、自己組織化的なアプローチでの政策立案、科学技術に関わる官民学の連携の実現を行うための人材育成プログラムを開発した。

  • 【自己組織化】モデル
    行政DXケイパビリティ

  • 【統合化】モデル
    クロスクリエイション(異分野・官民連携)

大町市(長野県)

(社会資源活用技能伝承事業)

  • 大町市(長野県)と株式会社フジクラと社会資源活用技能伝承事業として、地域にある現在活用されていない資源についての調査、その活用の可能性の検討を実施した。

  • 調査は市職員とワークショップ、フィールド調査を実施する形で実施。調査・検討結果については、GISに地図情報として提供、市民向けのイベントでの紹介を行った。

  • 【自己組織化】モデル
    地域DXケイパビリティ
    行政DXケイパビリティ
    市民コミュニケーション
    データ・知識マネジメント

大町市(長野県)

(「いどばた」立ち上げ事業)

  • 大町市(長野県)と株式会社フジクラと、定期的に開かれる「場」に生活者が集い、活き活き生活の拠点として「いどばた」を立ち上げる事業を実施。

  • 「いどばた」は、日常的な雑談をする憩いの場になることに加え、地域の方の「活き活き」とした生活を支援する様々な拠点としての役割も担うことを想定。「いどばた」を経由して市民活動、地域のイベントに参加を実施した。

  • 【自己組織化】モデル
    地域DXケイパビリティ
    行政DXケイパビリティ
    市民コミュニケーション

情報発信・メディア掲載

【ReDesign Talk「住民と共に創る地域DX」第2回】~新しいコモンズを共創するリビングラボ~

【note記事】「第2回 新しいコモンズを共創するリビングラボ」を振り返って

関連インサイト