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NTTデータ経営研究所
「バーチャルショップに関する意識調査」を実施

~バーチャルショップの認知度は3割に留まるが、利用経験者の9割以上は継続利用に意欲的~
2023.02.06
株式会社NTTデータ経営研究所
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株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 当社)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「バーチャルショップに関する意識調査」(以下、本調査)を実施しました。

本調査では、メタバース等のWeb3(WEB3.0)を活用した新たな購買体験に注目が集まっていることを背景に、20~40代の国内の生活者を対象にバーチャルショップの利用に関する意識について調査を行った結果、以下のことが明らかとなりました。

【主なポイント】

1. バーチャルショップの認知度は3割程度に留まるが、認知している層の約半数は利用経験有り

2. 購入を検討した商品は「食品・飲料・生活用品」「衣類・ファッション・装飾品」がトップ

3. 利用経験者は商品イメージが沸きやすい点をメリットと感じ、9割が継続意向あり

4. オンライン接客品質の向上がサービス継続利用の鍵に

【背景】

近年、次世代のインターネットの形態としてWeb3が注目されており、XR技術(VR、AR等、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術)の発展や、コロナ禍での外出自粛の潮流に伴い、バーチャル空間にアバターとして参加し、他者とのコミュニケーションを実現するメタバースが注目されています。

最近ではBEAMSのバーチャルショップ進出や、NIKE、FOREVER21などのブランドがRobloxというメタバースサービス内にショップをオープンさせたことが話題となっており、小売業における新たな顧客接点としてメタバースの期待が高まっております。

本調査は、バーチャルショップサービスやそのサービスで提供されている購買体験について、国内の生活者がどの程度認知しているのか、また、どのような利用意向やサービスに対する期待を持っているのかなどを把握することを目的に実施しました。

図1.メタバースの3Dイラストレーション

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【用語定義】

■ バーチャルショップ:3Dスキャン・モデリングやVR・AR等を活用したWeb上の仮想店舗で、アバターを用い店舗回遊や商品購入をするサービスの総称

■ モール型バーチャルショップ:仮想空間内に出店された複数の店舗をアバターとして回遊しつつ、スタッフや他のユーザーとのコミュニケーションや商品・サービスをVR・AR等で確認、購入することが可能なバーチャルショップサービス(例:メタパ)

■ イベント型バーチャルショップ:仮想空間内で開催されているバーチャルイベントをアバターとして回遊しつつ、会場内の3Dモデルや現実世界の商品等を試着、鑑賞、購入することが可能なバーチャルショップサービス(例:バーチャルマーケット(Vket))

■ 他メタバースサービス出店型バーチャルショップ:メタバースサービス(Roblox、cluster、XR CLOUD等)に出店された店舗にて、メタバースサービス上のユーザーとしてショッピングが可能なバーチャルショップサービス(例:そらのうえショッピングモール)

【主な調査結果・考察】

1. バーチャルショップの認知度・利用率について

1-1. バーチャルショップの認知度は3割程度に留まる

バーチャルショップの認知について、知っていると回答した生活者は約3割(27.4%)に留まるという結果となりました。

図2a.バーチャルショップの認知有無

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SNSやメディア等における「情報収集」、「情報発信」の頻度別でバーチャルショップの認知度を比較。その結果、どちらも1日1回以上行っている層の6割強(64.4%)が知っているという結果となりました。一方で、情報収集・発信のどちらかを1回未満しか行っていない層では約3割(30.7%)、どちらも1回未満しか行っていない層では1割以下(6.7%)となりました。

現時点では一部の情報感度の高いユーザーにのみ認知されている段階と考えられます。

図2b. 情報収集・発信頻度別バーチャルショップの認知有無

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1-2. バーチャルショップを認知している人の半数がバーチャルショップの利用経験有り

バーチャルショップを認知している人の約半数(44.2%)がバーチャルショップを利用したことがあると回答しており、認知層におけるバーチャルショップに対する興味関心は高いものと考えられます。

図3. バーチャルショップの利用状況

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1-3. 女性の認知度向上と、男性や20代女性を中心とした顧客体験設計が重要

認知度の調査については、男性はどの世代も3割程度(20代43.2%、30代29.9%、40代35.2%)が認知しているのに対し、女性は30~40代では2割程度(30代23.8%、40代23.6%)に留まっており、特に20代女性は2割以下(16.7%)と、全年代で最も低いという結果となりました。今後は女性、特に20代女性に向けた訴求が課題になると考えられます。

認知層に対して行った利用状況の調査では、20代女性は購入まで至っている割合が約半数(52.9%)となっており、他の性別、世代と比較しても購入まで至る確率が高いことが明らかになりました。また男性に関してはどの世代も約半数(20代50%、30代57.5%、40代48.2%)が利用まで至っていることから、世代問わず興味関心を高く持っていると考えられます。そのため今後は全体的な認知度向上のほか、認知層である20代女性や20~40代の男性をターゲットとした購買体験の設計が重要になると考えられます。

図4a. 性別・年代別バーチャルショップの認知有無

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図4b. 性別・年代別バーチャルショップの利用状況

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1-4. バーチャルショップ利用者の約7割が月に1回以上利用

バーチャルショップ利用者の利用頻度はモール型、他メタバースサービス出店型ともに約7割(モール型69.0%、他メタバースサービス出店型77.4%)のユーザーが月に1回以上利用しており、利用者からはバーチャルショップの利便性や購買体験に対してポジティブな印象を持たれていることがわかりました。

図5. サービス分類別バーチャルショップの利用頻度

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2. バーチャルショップで購入・購入を検討した商品

2-1. 「食品・飲料・生活用品」「衣類・ファッション・装飾品」がトップ

全体の傾向として、「食品・飲料・生活用品」「衣類・ファッション・装飾品」の購入が多い傾向となりました。

バーチャルショップの分類別で見ると、イベント型バーチャルショップでは「家具・インテリア・家電」が3割強(33.3%)と、他と比較して高いため、関与度の高い耐久消費財でも商品需要があると考えられます。

他メタバースサービス出店型バーチャルショップでは「衣類・ファッション・装飾品」の他に「ビューティ・コスメ・ヘルスケア」「スポーツ・楽器等の趣味雑貨」の割合が高く、自分磨きや趣味へのこだわりが強いユーザーが多いと考えることができます。

モール型バーチャルショップでは「携帯・パソコン・周辺サービス」の利用が見られ、物品以外のサービスを利用するユーザーも存在することがわかりました。

図6. サービス分類別バーチャルショップで購入・購入検討した商品

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3. バーチャルショップの利用意向とその理由

3-1. 利用未経験者は利便性、利用イメージが不明確なため、7割が利用意向無し

どのサービスも利用未経験者の7割以上(モール型74.3%、イベント型72.6%、他メタバースサービス出店型74.5%)が、利用してみたいとは思わないという結果となりました。

その理由は通常のECサービスで十分、サービスの使い方や利用しているイメージが沸かない、などがトップとなっており、今後利用未経験者に対して、サービスの利用イメージやベネフィットを訴求することが求められると考えられます。

図7.a バーチャルショップの利用意向(利用未経験者)

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図7b. サービス分類別バーチャルショップを利用したいと思わない理由(利用未経験者)

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3-2. 利用経験者は商品イメージが沸きやすい点をメリットと感じ、9割が継続意向あり

各サービスの利用経験者の9割以上(モール型94.4%、イベント型95.1%、他メタバースサービス出店型90.3%)が引き続きサービスを利用したいと回答しており、バーチャルショップに対してポジティブな印象を抱いていることがわかりました。その理由として、VR、AR等によって商品のイメージが沸きやすいが上位となったため、通常のECサービスと異なり商品を確認できる点をメリットに感じているユーザーが多いと考えられます。

一方で、商品・サービスが気に入ったためと回答した人は2割弱(モール型16.4%、イベント型15.4%、他メタバースサービス出店型14.3%)に留まっており、ユーザーが商品・サービス自体よりもバーチャルショップを利用することによる体験を求めていると考えられます。

バーチャルショップの分類別で見ると、イベント型ではショールーミングを楽しむことができるといった理由が最も多く回答されていることから、バーチャルショップを一種のお祭りや物産展のように捉えて楽しむ傾向にあると考えられます。

また、他メタバースサービス出店型では、商品・サービスの利用で他のプレイヤーと自分を差別化できたと感じたとの回答が多く見受けられました。これはゲーム等のメタバース空間の中でいかに自分のアバターの独自性を出せるかといったニーズが高まっていることが背景にあると思われます。今後、アバター用のファッション、装飾品等の需要が更に高まっていくものと考えられます。

図8a. バーチャルショップの利用意向(利用経験者)

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図8b. サービス分類別バーチャルショップを利用したいと考える理由(利用経験者)

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4. サービスへの期待

4-1. オンライン接客品質の向上がサービス継続利用の鍵に

各分類の改善点として、オンライン接客品質の改善と回答した人が最も多い結果となりました。オンライン上という制約があり、ユーザーと実際に対面できない中で、いかにメタバースへの没世界感を高めるような感情的価値の訴求やライフスタイルの提案等を行うことができるかが重要だと考えられます。

バーチャルショップの分類別で見ると、イベント型ではイベントの改善がトップとなっているため、バーチャルイベント主催者のみならず、個々のテナントでいかにユーザーに楽しんでもらえるイベント・アクティビティを企画していくかが課題と考えられます。

また、他メタバースサービス出店型ではメタバース空間内における商品の取り扱いと回答した人の割合が高く、アバター向けの商品・サービスを拡充していくことが利用率向上に繋がると考えられます。

図9. サービス分類別バーチャルショップの改善点

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【結論~今後について~】

本調査の結果、バーチャルショップの認知度は一部に留まっていることが明らかになりました。そのため、認知していない人に対して利用イメージや利便性を訴求することが今後の課題だと考えられます。特に20代を中心とする女性の認知度が低いため、今後は女性に向けた訴求を積極的に行っていく必要があると考えられます。

一方で、認知層からの興味関心や、既に利用経験のあるユーザーの利用頻度は非常に高いことが明らかになりました。継続利用を検討しているユーザーは、購入した商品・サービスよりもバーチャルショップ特有の購買体験に好感を持っていることから、バーチャル空間での体験自体をベネフィットと感じているものと考えられます。その上で今後は、購入に至る割合が高い男性や20代女性の商品・サービスをメインターゲットに購買体験設計のアップデートを進めるべきだと考えられます。

また、購入(検討を含む)経験のある商品・サービスは食料品・飲料・生活用品や衣類・ファッション・装飾品がトップであることが明らかになりました。モール型では携帯・パソコン等をはじめとする窓口サービス、イベント型では家具・インテリア・家電等の関与度の高い商品・サービス、他メタバースサービス出店型ではアバター向けの商品・サービス(衣類・ファッション・装飾品等)の購入が見受けられ、それぞれの特色に合わせた展開を行うべきだと考えられます。

今後のバーチャルショップにはメタバースへの没世界感を高める感情的価値の訴求や、ライフスタイルの提案など、オンライン接客の品質向上により、今まで以上にユーザーの心を掴むサービスへ進化していくことが求められています。

当社では、生活者に新たな購買体験を提供するとともに、商品・サービスを提供する企業の新たな顧客接点となる可能性を秘めた「バーチャルショップ」について、今後も調査研究に取り組んで参ります。

調査結果はこちらから

<調査結果の利用について>

  • 本調査は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が共同で行っており、本調査結果の著作権は、株式会社NTTデータ経営研究所とNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が保有します。
  • 調査結果の一部を転載・引用される場合は、出所として「NTTデータ経営研究所/NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」または「NTTデータ経営研究所/NTTコム リサーチ」と併記した上で、掲載日・掲載媒体・引用箇所などの情報につきましては広報担当までお知らせください。
  • 調査結果について、出所を明記せずに転載・引用を行うこと、データの一部または全部を改変することなどの行為はご遠慮ください。
  • 本アンケート調査の生データは提供いたしかねます。
報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ経営研究所

コーポレート統括本部 業務基盤部

広報担当

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コンサルタント 山田 翔

Tel:03-5213-4218

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