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2012年11月15日

「企業活動におけるソーシャルメディアの活用状況」に関する調査

~戦略/組織面からみたソーシャルメディア活用を成功に導くポイント~

株式会社NTTデータ経営研究所


株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:豊田 充)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する「gooリサーチ」登録モニターを対象に、このたび「企業活動におけるソーシャルメディアの活用状況」に関する調査を実施しました。

ソーシャルメディアやスマートフォンの普及は、消費者の購買行動自体を変革させるインパクトを有しています。「検索」を起点とした消費行動から、「価値の共感」を起点とした消費行動にシフトするとともに、リアルとバーチャルの境界がなくなり、O2O(Online to Offline)と呼ばれる消費行動が一般化しています。企業のビジネスモデルは「価値提供型」から「価値共創型」への転換が求められています。

しかし、メディア活用戦略を始めとする企業のマーケティングモデルがこのような変化に対応できていない可能性があることから、今回、企業活動におけるソーシャルメディアの活用状況と成功/失敗要因をテーマに調査を行いました。


【主な調査結果】

1. ソーシャルメディアの導入状況
ソーシャルメディア導入済みの企業が全体の約2割で、企業活動におけるソーシャルメディア活用はまだ黎明期にある。
  • 現時点でBtoCの企業での導入が先行している(導入済みが約3割)が、BtoBの企業でも導入に前向きな回答割合が高い(約3割)ことから、今後BtoB企業での導入拡大が期待される。
 
販売チャネルとの関係では、バーチャルなWebサイト(ECサイト)との親和性が高い(導入済み企業の36%)ことはもちろんのこと、リアルの実店舗を保有する企業でのソーシャルメディア活用も進んでいる(他社店舗(代理店含む):約33%、自社店舗:約29%)。
  • O2Oを意識した取組みも広がりつつあることがうかがえる。
 
顧客チャネル(コミュニケーションチャネル)との関係では、双方向性のある「自社ブログ」の機能拡張として活用するケース(約7割<導入して1年未満含む>)、認知性の高い「Push型チャネル」を補完する形で自社ブランドへのエンゲージメント強化の手段として活用するケースが多い(約4割<導入して1年未満含む>)。また、コールセンターや店舗などの「Pull型チャネル」を補完する形で、顧客接点の拡大を図るケースもある(約3割<導入して1年未満含む>)。
  • Push型、Pull型、双方向型のトリプルメディアを組み合わせて、クロスメディア戦略を推進しようとする傾向がうかがえる。
 
導入目的は、「売上拡大(販売促進)」12.9%が最も多く、「ブランド力強化」10.0%、「顧客ニーズ等のマーケティングリサーチの高度化」9.6%、「顧客満足度の向上」9.2%、「顧客との長期的な関係の構築」9.2%など多方面にわたっている。
  • 単なる広告・宣伝の手段だけでなく、マーケティングプロセスのさまざまな過程でソーシャルメディア活用に取り組んでいることが分かる。


2. ソーシャルメディアの成功/失敗の要因
ソーシャルメディア導入が「成功した(成果が得られた)」と捉えている企業は全体の3割強であり、残りの6割強は「失敗した(成果が出ていない)」と捉えている。
  • 現状、さまざまな課題を抱えており、有効に機能していないといえる。
 
ソーシャルメディア導入の成功要因で一番多かった回答は、「導入のタイミングが良かったから」35.5%。次いで「関連部署間の連携を緊密に行ったから」31.6%、「知識・ノウハウを持っている社員がいたから」31.6%、「業務プロセス・意思決定プロセスを改定したから」30.3%が続く。
  • 機会を逃さず迅速に意思決定すること、複数組織で緊密に連携を行うこと、専門的な外部人材の活用や適切な研修・訓練の実施、業務レベルやルールレベルでの仕組みの改善が重要であるといえる。
 
ソーシャルメディア導入の失敗要因で一番多かった回答は、「ソーシャルメディアの特性を十分理解できず、適切な戦略を立案できなかった」という点(失敗企業の3割)であった。
  • そのことが結果として個別機能の設計ミスを生んだと解釈することができる。
 
ソーシャルメディア導入の成功企業は、「顧客データ連携システム(ソーシャルCRM)の構築」(87%)、「複数組織による緊密な連携・共同運用」(85%)、「部門長レベル以上(「経営層(社長、役員)レベル」、「管理職(部門長)レベル」)での意思決定」(50%)、「適切な研修・訓練の実施」(85%)、「ガイドライン・ルールの策定」(90%)、「業務プロセス・意思決定プロセスの改定」(57%<業務プロセスを簡素化、担当者に権限移譲>)、「専門的な外部人材の活用」(71%<全部もしくは一部を外部委託>)など各項目への回答割合が失敗企業に比べ高いことが分かった。
  • クリック数などの表面的なKPI指標のみではない経営視点での戦略的な目標管理やクロスメディア戦略の実行も成功要因の1つと捉えることができる。
  • ソーシャルメディアを活用したマーケティングモデルの設計に当たっては、単なるメディア活用という枠を超えて、メディアの特性を理解したマーケティングモデル全体の再構築が要件となるといえる。
 
一方、ソーシャルメディア導入の失敗企業は、「顧客データ連携システム(ソーシャルCRM)の構築」(58%)、「部門長レベル以上(「経営層(社長、役員)レベル」、「管理職(部門長)レベル」)での意思決定」(43%)、「適切な研修・訓練の実施」(49%)、「ガイドライン・ルールの策定」(59%)、「業務プロセス・意思決定プロセスの改定」(38%<業務プロセスを簡素化、担当者に権限移譲>)、「専門的な外部人材の活用」(50%<全部もしくは一部を外部委託>)など各項目への回答割合が成功企業に比べ低いことが分かった。
  • 業務プロセス・意思決定プロセスの改定では「業務プロセスを簡素化」や「担当者に権限移譲」より、「事前・事後のチェック機能を強化した」割合(58%)が成功企業に比べて高いことから、自由闊達なコミュニケーションにより顧客からの信頼を得るというソーシャルメディアの特性を生かし切れていない可能性も指摘できる。
<本調査におけるソーシャルメディアの定義>
大量の情報を一方向で発信する「マスメディア」に対し、主にインターネットを用いて利用者が情報を発信し、発信された情報に対して人と人、人とモノとの相互のコミュニケーションを促進する仕組みを有するwebサービスを指す*1。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、Twitterなどが代表的なソーシャルメディアである(但し、本調査ではブログは除く)。

*1  総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査研究報告書」(2011年3月)
(参考)
企業活動におけるメディア活用戦略の現状(イメージ)


図解
出所:NTTデータ経営研究所作成



本調査結果にみる企業活動におけるソーシャルメディア活用の成功要因

図解
出所:NTTデータ経営研究所作成

【本件に関するお問い合わせ先】

報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ経営研究所
プラクティスサポート部 
井上 国広、秦 真二郎
Tel:03-5213-4170
E-mail:webmaster@keieiken.co.jp

内容に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ経営研究所
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Tel:03-5213-4130
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