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調査概要

  1. 調査対象: gooリサーチ(*1)登録モニター
  2. 調査方法: 非公開型インターネットアンケート
  3. 調査期間: 2011年6月9日~2011年6月13日
  4. 有効回答者数:1,015人
  5. 標本設計: 30人以上の従業員規模の企業に勤務する社員(社長・役員除く)。政府・地方公共団体・各種法人・団体、 農林・漁業等を除く1社1名のみ抽出。従業員規模30人以上-300人未満、300人以上1,000人未満、 1,000人以上5,000人未満、5,000人以上を各1/4ずつに割付け。
    ※なお、職種は「販売(店舗内、事業所内)」「生産・製造」「受付・窓口」「工事・施工」を除外、 調査エリアは、被災地エリア(岩手県/宮城県/福島県)を除外した。
  6. 回答者の属性:
<業種>
全体 1015人 100.0%
製造業 335人 33.0%
流通・商業 94人 9.3%
金融・保険業 93人 9.2%
通信・メディア業 47人 4.6%
運輸・建設・不動産業 103人 10.1%
コンピュータ・情報サービス業 103人 10.1%
教育・医療・その他サービス業 176人 17.3%
その他 64人 6.3%

<従業員規模>
全体 1015人 100.0%
99人以下 152人 15.0%
100人~499人 272人 26.8%
500人~999人 133人 13.1%
1000人~4999人 233人 23.0%
5000人以上 225人

22.2%


<企業:資本>
全体

1015人

100.0%

日系企業 795人 78.3%
外資系企業 220人 21.7%

<職位>
全体 1015人 100.0%
事業部長・部長クラス 111人 10.9%
課長クラス 212人 20.9%
係長・主任クラス 230人 22.7%
一般社員クラス 428人 42.2%
その他 34人 3.3%

<所属する事業所の電力会社>
全体 1015人 100.0%
東北・東京電力管内 574人 56.5%
それ以外 441人 43.4%

【補足】
(*1) 「gooリサーチ
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントが企画・実査・集計を行う、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービス。携帯電話でアンケートに答える「gooリサーチ・モバイル」モニター(12.7万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(8.4万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、総計499万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、さまざまな市場調査ニーズに対応している。(モニターの人数は2010年10月現在)


 



調査結果

 



1. テレワークの実施状況

1.1 テレワークの実施状況(3.11震災前~発生から1カ月以降)

◆テレワーク実施企業は2割。 震災以前から制度を整備して、実施している企業は10.6%、裁量で実施している企業は3.2% 震災直後から実施している企業は3.8%、震災後1カ月以降から実施している企業は2.5%と徐々に増加

勤務先について、テレワークを実施しているか否かについて尋ねたところ、震災以前からテレワークを実施している企業は13.8%、震災直後(発生から1か月位まで)から実施している企業は3.8%、震災後(発生から1カ月位以降)から実施している企業は2.5%で合わせたテレワーク実施企業は2割である。【図表1-1】

【図表1-1】 テレワークの実施状況(3.11震災前~発生から1カ月以降)(N=1,015)
【図表1-1】 テレワークの実施状況(3.11震災前~発生から1カ月以降)(N=1,015)

(備考) 各カテゴリーの数値は、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、合計値は20%を超えている
<参考 総務省「平成22年通信利用動向調査」(平成23年1月実施)>
常用雇用者規模100人以上の企業(農業、林業、漁業、鉱業および公務を除く)のうち、テレワークを導入している企業の割合は12.1%であった。

 

◆従業員規模が大きくなるほど実施率は高く、5,000人以上では3割弱。  
業種別では、通信・メディア業、コンピュータ・情報サービス業で2割以上。  
外資系企業のテレワーク実施率は45.0%で、日系企業の13.1%を大きく上回る。

震災以前~震災後1カ月以降まで、なんらかの方法でテレワークを実施している割合をみると、従業員規模が大きくなるほど実施率は高く、500人以上の企業では2割を超え、5,000人以上の企業は3割弱(28.0%)を占める。

業種別にみると、最も実施率が高いのは通信・メディア業(40.4%)、次いでコンピュータ・情報サービス業(33.0%)、製造業(21.8%)、流通・商業(20.2%)と続く。

資本別にみると外資系企業の実施率は高く、45.0%を占め、日系企業の13.1%を大きく上回る。なお、外資系企業については震災以前から実施している企業は約3割であった。【図表1-2】

【図表1-2】 テレワークの実施状況<従業員規模別><業種別><資本別>(N=1,015)
 
震災以前から実施
震災直後から実施
震災後1カ月以降から実施
テレワーク
実施率
テレワーク
未実施率
  3.11の震災以前から制度(試行実験も含む)を整備し、実施している 3.11の震災以前から職場の上司や個人の裁量で実施している 3.11の震災直後(発生から1カ月位まで)に制度(試行実験も含む)を整備し、実施している 3.11の災震災直後(発生から1カ月位まで)に職場の上司や個人の裁量で実施している 3.11の震災後(発生から1カ月位以降)に制度(試行実験も含む)を整備し、実施している 3.11の震災後(発生から1カ月位以降)から職場の上司や個人の裁量で実施している
全体(n=1015) 10.6 3.2 2.0 1.8 1.7 0.8 20.0 80.0
<従業員規模別>
99人以下(n=152) 3.3 2.0 1.3 1.3 1.3 1.3 10.5

89.5

100人~499人(n=272) 7.4 2.9 1.8 1.8 1.8 1.1 16.9 83.1
500人~999人(n=133) 8.3 4.5 3.0 2.3 3.0 0.0 21.1 78.9
1000人~4999人(n=233) 12.4 3.0 1.7 2.1 1.7 0.4 21.5 78.5
5000人以上(n=225) 19.1 3.6 2.2 1.3 0.9 0.9 28.0 72.0
<業種別>
製造業(n=335) 11.9 3.6 2.4 2.4 0.9 0.6 21.8 78.2
流通・商業(n=94) 10.6 4.3 2.1 1.1 2.1 0.0 20.2 79.8
金融・保険業(n=93) 6.5 3.2 2.2 1.1 3.2 1.1 17.2 82.8
通信・メディア業(n=47) 36.2 0.0 2.1 0.0 2.1 0.0 40.4 59.6
運輸・建設・不動産業(n=103) 1.9 1.9 1.9 1.0 1.9 1.0 9.7 90.3
コンピュータ・情報サービス業(n=103) 21.4 4.9 1.9 2.9 1.9 0.0 33.0 67.0
教育・医療・その他サービス業(n=176) 5.1 2.3 1.1 1.1 1.7 1.7 13.1 86.9
その他(n=64) 3.1 3.1 1.6 3.1 1.6 1.6 14.1 85.9
<資本別>
日系企業(n=795) 7.5 1.8 0.9 0.6 1.6 0.6 13.1 86.9
外資系企業(n=220) 21.8 8.2 5.9 5.9 1.8 1.4 45.0 55.0

1.2 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況

◆ 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下において、テレワークを「支障なく実施できた」企業は 7割を超える。

震災前・震災直後に勤務先で「テレワークを実施した」と回答した対象者に対し、3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況について尋ねたところ、「全く支障なく実施できた」企業は2割弱(19.7%)、「ほとんど支障なく実施できた」企業は半数(51.7%)となり、あわせた割合は7割を超えた。 【図表1-3】

【図表1-3】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況 (N=178)
【図表1-3】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況 (N=178)

3.11震災前から実施していた企業のうち、実施時期と方法別(震災以前・震災直後、制度に基づく実施・裁量による実施)にみると、震災以前から「職場の上司や個人の裁量で実施している」企業は3/4(75.0%)が「支障なく実施できた」と回答している。 また、震災以前から「制度を整備し、実施している」「職場の上司や個人の裁量で実施している」企業において、「全く支障なく実施できた」と回答した割合は2割以上を占める。 平時によるテレワークを実施することが、震災等の有事に有効に役立つことが示唆される。【図表1-4】

【図表1-4】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況
<震災以前・震災直後、制度に基づく実施・裁量による実施別>(N=178)
【図表1-4】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況<震災以前・震災直後、制度に基づく実施・裁量による実施別>(N=178)

 

1.3 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下においてテレワークができなかった理由

◆テレワークが実施できなかった理由として、最も多かったのは「通信回線がうまくつながらなかった」で4割以上、次いで「停電していた」が4割弱と続く。

3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下におけるテレワークの実施状況について、テレワークが「全く実施できなかった」「ほとんど実施できなかった」人に対して、「実施できなかった」理由について尋ねた。

最も多かったのが、「通信回線がうまくつながらなかった」で45.1%、次いで「停電していた」(37.3%)、「テレワークできる仕事がなかった」(23.5%)と続く。【図表1-5】

【図表1-5】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下において、 テレワークができなかった理由

【図表1-5】 3.11震災直後の停電や交通混雑などの状況下において、 テレワークができなかった理由(n=51)

1.4 テレワークなど柔軟なワークスタイルの必要性

◆夏場の節電、ピーク時の電力削減や今後の震災への備えとして、テレワークなど柔軟なワークスタイルを実施する必要性を感じる人は5割を超える。

夏場の節電、ピーク時の電力削減や今後の震災への備えとして、テレワークなど柔軟なワークスタイルを実施する必要性について尋ねたところ、「必要性を非常に感じる」は10.1%、「必要性をまあ感じる」は42.1%で合わせた割合は5割を超える。【図表1-6】

【図表1-6】 テレワークなど柔軟なワークスタイルの必要性(N=1,015)
【図表1-6】 テレワークなど柔軟なワークスタイルの必要性(N=1,015)

 

◆従業員規模が大きくなるほど「必要性を感じる」割合は高くなり、5,000人以上の企業では6割超を超える。
また、テレワークの実施の有無別でみると、テレワーク実施企業において「必要性を感じる」割合は75.9%を占め、未実施企業の46.3%と比べて大きく差が開く。

従業員規模別にみると、従業員規模が大きくなるほど必要性を感じる割合は高くなり、「必要性を非常に感じる」「必要性をまあ感じる」を合わせた割合をみると、全体では52.2%、5,000人以上では6割を超える。

業種別では、教育・医療・その他サービス業以外の業種において5割以上が「必要性を感じる」と回答。特に通信・メディア業(59.6%)、運輸・建設・不動産業(58.3%)、「コンピュータ・情報サービス業」(55.3%)で高い。

資本別にみると、外資系企業は6割以上(61.4%)が「必要性を感じる」と回答。

所管の電力会社別にみると、東北電力、東京電力管内では、「必要性を感じる」割合は5割を超える。

BCPの策定・見直しの実施有無別でみると、「必要性を感じる」割合は、顕著な差はないが「あり」(55.3%)、「なし」(51.4%)でやや上回る。【図表1-7】

所属企業におけるテレワークの実施の有無でみると、テレワーク実施企業では75.9%が「必要性を感じる」と回答し、未実施企業の46.3%と比べて大きく差が開いた。

【図表1-7】 テレワークなど柔軟なワークスタイルの必要性
<従業員規模別><業種別><資本別><所管の電力会社別><BCP策定・見直し有無別> (N=1,015)
  必要性を
全く感じない
必要性を
あまり感じない
必要性を
まあ感じる
必要性を
非常に感じる
必要性を感じる
全体(n=1015) 13.4 34.4 42.1 10.1 52.2
<従業員規模別>
99人以下(n=152) 15.8 45.4 31.6 7.2 38.8
100人~499人(n=272) 15.4 37.5 37.9 9.2 47.1
500人~999人(n=133) 15.8 30.8 43.6 9.8 53.4
1000人~4999人(n=233) 10.3 33.0 45.9 10.7 56.7
5000人以上(n=225) 11.1 26.7 49.3 12.9 62.2
<業種別>
製造業(n=335) 10.4 39.1 39.4 11.0 50.4
流通・商業(n=94) 16.0 29.8 46.8 7.4 54.3
金融・保険業(n=93) 14.0 31.2 45.2 9.7 54.8
通信・メディア業(n=47) 8.5 31.9 48.9 10.6 59.6
運輸・建設・不動産業(n=103) 12.6 29.1 50.5 7.8 58.3
コンピュータ・情報サービス業(n=103) 9.7 35.0 42.7 12.6 55.3
教育・医療・その他サービス業(n=176) 20.5 35.2 33.5 10.8 44.3
その他(n=64) 15.6 28.1 48.4 7.8 56.3
<資本別>
日系企業(n=795) 15.2 35.1 40.9 8.8 49.7
外資系企業(n=220) 6.8 31.8 46.4 15.0 61.4
<所管の電力会社>
東北電力、東京電力(n=574) 12.5 32.4 42.5 12.5 55.1
東北電力、東京電力以外(n=441) 14.5 37.0 41.5 7.0 48.5
<BCP (Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定、定期的な見直しの実施の有無>
あり(n=219) 10.5 34.2 44.7 10.5 55.3
なし(n=796) 14.2 34.4 41.3 10.1 51.4
<テレワーク実施の有無>
あり(n=213) 3.0 21.2 61.6 14.3 75.9
なし(n=812) 16.0 37.7 37.2 9.1 46.3

 

2. 夏場の節電、ピーク時の電力削減、今後の震災への備えとテレワーク

2.1 夏場に向けて設定した節電目標

◆夏場に向け、65%の企業が15%前後の節電を目標としている。

東京電力・東北電力管内に事業所を持つ企業に、夏場の全社的な節電目標を尋ねたところ、「10%以上15%未満」(27.5%)、「15%以上20%未満」(37.6%)を合わせ、6割以上(65.0%)の企業が15%前後の節電を目標としている。【図表2-1】

【図表2-1】 夏場に向けて設定した節電目標 (N=615)
【図表2-1】 夏場に向けて設定した節電目標 (N=615)
(備考)「東京電力・東北電力管区内に事業所は存在しない」「わからない」と回答した企業を除く。

 

◆5,000人以上の企業では、節電目標を10%以上に設定する企業は9割弱。
一方、中小企業においては、節電対策や節電効果試算の取り組みの遅れも。

夏場の全社的な節電目標を従業員規模にみると、従業員数5,000人以上の企業では節電目標10%以上の企業数が88.2 %となるのに対し、従業員数が少ない企業ほど節電目標が低く、従業員数が99人以下の企業では節電目標10%以下の企業が半数を超えている(54.1 %)。【図表2-2】

また、節電対策と節電効果の検討状況について尋ねたところ、従業員数が多い企業ほど具体化が進んでいる。従業員数5,000人以上の企業では、約7割 (67.6 %)の企業で施策を具体化済みで効果も試算済みまたは試算予定であった。

一方、従業員数99人以下の企業では、約60% (58.1 %)の企業で節電対策を具体化済み、または具体化予定であるものの、効果の定量化まで検討している企業は 20.3 %にとどまった。【図表2-3】

【図表2-2】 夏場に向けて設定した節電目標<従業員規模別>(N=615)
【図表2-2】 夏場に向けて設定した節電目標<従業員規模別>(N=615)

【図表2-3】 節電効果の試算状況<企業規模別>(N=615)
【図表2-3】 節電効果の試算状況<企業規模別>(N=615)
(備考)設定した節電目標に関する設問で「東京電力・東北電力管区内に事業所は存在しない」 「わからない」と回答した企業を除く。


2.2 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策と柔軟なワークスタイルに関する施策

◆最も広く検討されている節電対策はクールビズで半数を超え(54.3%)、所定外労働の削減(25.3%)、 LEDなど省エネ機器の拡充(23.3%)と続く。

ワークスタイルの変更に関連する節電施策の検討状況を尋ねたところ、最も検討企業が多いのは「クールビズの導入・拡充」(54.3 %)で、「所定外労働の削減の徹底」(25.3 %)、「省電力機器・設備の拡充」(23.3 %)が続いた。さらに、輪番休業は16.4 %の企業、休日の増加・取得促進、勤務時間の短縮や移動など勤務時間の移管に踏み込んだ施策は、それぞれ約10%程度の企業によって導入が検討されていることがわかった。現状よりさらにテレワークの拡充を検討する企業は4.7%であった。【図表2-4】

【図表2-4】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況 (N=1,015)
【図表2-4】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況 (N=1,015)

 

◆業種によって、休日や勤務時間などの変更による対策の特徴差がみられる。

業種別にみると、「クールビズの導入・拡充」「所定外労働の削減の徹底」「省電力機器・設備の拡充」はどの業種でも上位を占める。【図表2-5】

休日や勤務時間等働き方の変更が必要な対策の内容は業種によって異なる。

製造業や通信・メディア業では「勤務日や休日のシフト(輪番休業)」(製造業で31.0 %、通信・メディア業で21.3 %)が上位にくる一方で、流通・商業や金融・保険業では「出勤、退社を早める勤務時間のシフト(サマータイム制等などの導入)」(流通・商業で14.9%、金融・保険業で12.9%)の比率が相対的に高い。また、コンピュータ・情報サービス業では「テレワークの導入・拡充」検討企業が14.6%となっている。

【図表2-5】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況<業種別上位項目>
【図表2-5】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況<業種別上位項目>
(備考)全体平均において、1位~3位を占める対策以外の特徴的な項目をオレンジ色で示した。
 
◆高い節電目標を掲げる企業は、休暇の増加やオフィスの閉鎖など、多様なワークスタイル変更を検討。

設定した節電目標に関して、「10%未満」「10%以上20%未満」「20%以上」の3つに企業を分類し、節電対策を比較したところ、節電目標が高い企業ほど、休日や勤務時間の変更を伴う対策を検討している。

節電目標が「10%未満」の企業の検討対策は「クールビズの導入・拡充」「所定外労働の削減」「省電力機器・設備の拡充」等相対的に導入しやすいと考えられる対策が上位を占める。この傾向は節電目標が「10%以上20%未満」「20%以上」のいずれの企業でも変わらない。しかし、節電目標が「10%以上20%未満」の企業では、加えて「勤務日や休日のシフト」や「サマータイムの導入」を検討している。さらに「20%以上」の節電目標を掲げる企業では、休暇の増加やオフィスの閉鎖などの検討比率も高まるなど、検討する対策の数が大きく増加している。【図表2-6】

【図表2-6】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況<設定した節電目標別>(N=547)
【図表2-6】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況<設定した節電目標別>(N=547)
(備考)検討率が15%を超える施策をオレンジ色で示した。
 
◆夏場にむけて、テレワーク実施企業は、未実施企業よりも節電目標が高く、 多様なワークスタイル施策を検討。

夏場に向けて設定した節電目標について、テレワーク実施企業と未実施企業でみると、「10%以上」の節電目標を持つ企業は、未実施企業では74.2%であるのに対し、実施企業では85.2%と大きく差が開いた。 【図表2-7】

【図表2-7】 夏場に向けて設定した節電目標<テレワーク実施企業・未実施企業別>(N=615)
【図表2-7】 夏場に向けて設定した節電目標<テレワーク実施企業・未実施企業別>(N=615)

夏場に向けて検討している節電対策を、テレワーク実施・未実施企業別に分類したところ、働き方の変更を伴う対策の多くで検討率に大きな差がでた。例えば「サマータイム制等の導入」(実施19.7%、未実施8.5%)、「オフィスの部分的閉鎖」(実施17.7%、未実施6.4%)など、勤務時間や勤務場所の柔軟化が必要な対策で特に差が大きくあらわれている。【図表2-8】

【図表2-8】 夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況 <テレワーク実施企業・未実施企業別>(N=1,015)
【図表2-8】夏場の節電、ピーク時の電力削減対策の検討状況
(備考)テレワーク実施企業における検討率がテレワーク未実施企業の2倍以上である対策をオレンジ色で示した。

3. 柔軟なワークスタイルの実現に向けて

3.1 施策の実施・検討状況と有効性

3.1.1 施策の実施・検討状況
◆テレワーク等柔軟なワークスタイルの実現に向けた施策として、最も実施率が高いのはテレビ会議等遠隔会議で5割弱を占め、次いでペーパーレス化、社員の所在(安否)・プレゼンス管理、知識・情報共有(ナレッジマネジメント等)と続く。

テレワーク等柔軟なワークスタイルの実現のための施策の実施・検討状況を尋ねたところ、「既に実施している」と回答した企業の割合が高い施策は、「テレビ会議、WEB会議、電話会議等の利用」が5割弱(47.2%)で最も多く、「オフィスのペーパーレス化」(39.8%)、「社員の所在(安否)確認システム、プレゼンス管理など勤務状況確認の仕組み及び環境の整備」(34.9%)、「知識・情報共有(ナレッジマネジメント等)の仕組み及び環境の整備」(33.9%)と続く。

「実施していないが検討中」と回答した割合が高い施策は、「オフィスのペーパーレス化」(17.6%)、「知識・情報共有(ナレッジマネジメント等)の仕組み及び環境の整備」(16.3%)、「スマートフォン、タブレット端末、スレート端末等、多様なIT機器の利用」(14.9%)、「社員の所在(安否)確認システム、プレゼンス管理など勤務状況確認の仕組み及び環境の整備」(14.8%)である。

【図表3-1】 柔軟なワークスタイル実現のための施策の実施・検討状況(N=1,015)
【図表3-1】 柔軟なワークスタイル実現のための施策の実施・検討状況(N=1,015)

※1:ネット上で個人同士が情報発信し合うことによりコミュニケーションを行うためのアプリケーション、ツール。 具体的には、ブログ、SNS(mixi、Facebook等)、動画共有サイト(YouTube、ニコニコ動画等)、マイクロブログ(Twitter、mixiボイス等)、ソーシャルゲーム(モバゲータウン、GREE等)、メタバース(セカンドライフ等)、中継サービス(Ustream等)等
※2:社外のデータセンター等で運用されている社内業務システム・アプリケーションを利用する形態
※3:インターネット経由で利用する不特定多数の一般ユーザ向けのサービス。無償で利用できるサービスが多い
※4:手元の端末(PCの場合もある)には最小限の機能(ネットワーク機能、画面表示・操作機能)のみを持たせ、アプリケーションやデータはサーバ側で管理する仕組み

*商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

 

◆テレワーク実施企業は、未実施企業に比べて柔軟なワークスタイル実現のための施策を多様に実施。

次に、テレワーク等柔軟なワークスタイルの実現のための施策の実施状況において、テレワーク実施、未実施企業別に、「既に実施している」と回答した割合(実施率)で比較した。

全ての施策について、テレワーク実施企業の方が未実施企業を大幅に上回っている。

特にテレワーク実施企業と未実施企業との間で実施状況の差が目立った施策は、「テレワーク等を開始・拡充するための情報セキュリティ関連のポリシー、ルール等の見直し」(40.9ポイント)、「会社が準備したPC、携帯端末、ネットワーク回線等を利用した自席以外(サテライトオフィス、自宅等)での勤務」(35.3ポイント)であった。【図表3-2】

【図表3-2】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を実施している企業の割合
<テレワーク実施、未実施企業別>(N=1,015)
【図表3-2】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を実施している企業の割合

 

◆外資系企業は日系企業と比べて、メッセンジャー・チャットツールの利用、遠隔会議、スマートフォン等 多様なIT機器の利用、個人所有のITインフラを用いたテレワークといった施策の実施割合が特に高い。

さらに、テレワーク実施企業に着目し、日系・外資系企業別に柔軟なワークスタイルの実現のための施策の実施状況を分析した。

その結果、多くの施策について、外資系企業の方が日系企業を大幅に上回っていることが明らかになった。特に日系企業と外資系企業との間で実施状況の差が目立った施策は、「メッセンジャー・チャットツールの利用」(34.4ポイント)、「テレビ会議、WEB会議、電話会議等の利用」(26.1ポイント)、「スマートフォン、タブレット端末、スレート端末等、多様なIT機器の利用」(22.5ポイント)、「個人所有のPC、携帯端末、ネットワーク回線等を利用した自席以外(サテライトオフィス、自宅等)での勤務」(21.3ポイント)であった。

一方、日系企業の方が実施している企業の割合が多かった施策は、「会社が準備したシンクライアント端末、携帯端末、ネットワーク回線等を利用した自席以外(サテライトオフィス、自宅等)での勤務」(9.4ポイント)、「プライベートクラウドとして提供されているメール、グループウェア、業務システム・アプリケーションの利用」(4.5ポイント)、「Gmail、Googleカレンダー、Skype、Evernote等、外部のパブリッククラウドサービスの利用」(1.3ポイント)、「mixi、Google、Twitter、Facebook等、外部のソーシャルメディアの利用」(0.4ポイント)であることも明らかとなった。【図表3-3】

【図表3-3】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を実施している企業の割合
<テレワーク実施企業のみ、日系・外資系企業別>(N=203)
【図表3-3】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を実施している企業の割合

 

3.1.2 施策の有効性
◆柔軟なワークスタイルに向けた有効な施策は、知識・情報共有(ナレッジマネジメント)が最も支持率が高く3/4を占め、続いてペーパーレス化、テレビ会議等遠隔会議、社員の所在(安否)・プレゼンス管理、情報セキュリティポリシー・ルール見直し等が続く。

柔軟なワークスタイルの実現のための施策の有効性を尋ねたところ、「有効である」(「非常に有効である」「まあ有効である」の計)と回答した企業の割合が高い施策は、「知識・情報共有(ナレッジマネジメント等)の仕組み及び環境の整備」(75.1%)が最も高く、「オフィスのペーパーレス化」(74.4%)、「テレビ会議、WEB会議、電話会議等の利用」(70.9%)、「社員の所在(安否)確認システム、プレゼンス管理など勤務状況確認の仕組み及び環境の整備」(70.0%)、「テレワーク等を開始・拡充するための情報セキュリティポリシー、ルール等の見直し」(70.0%)であった。【図表3-4】

【図表3-4】 柔軟なワークスタイル実現のための施策として有効である
(「非常に有効である」、「まあ有効である」の計)と回答した割合(N=1,015)
【図表3-4】 柔軟なワークスタイル実現のための施策として有効である

3.2 施策実現に向けての課題

◆柔軟なワークスタイルの実現に向けた課題の第1位は、「施策費の確保」で約7割。次いで「施策推進するための知識、技術をもった人員の不足」「情報の漏えい、改ざんリスクへの不安」と続く。

柔軟なワークスタイルの実現のための施策を推進する際の課題について尋ねたところ、「施策費の確保」が「非常に課題と思う」(12.9%)、「まあ課題と思う」(55.5%)となり、あわせた割合は7割近く(68.4%)を占める。

次いで、課題として挙げられたのは、「施策推進するための知識、技術をもった人員の不足」(「課題と思う」「非常に課題と思う」の計、以下同様)(67.9%)、「情報の漏えい、改ざんリスクへの不安」(同67.0%)と続く。

「情報の漏えい、改ざんリスクへの不安」については、特に約2割(19.2%)が「非常に課題と思う」と答えている点は、注目すべき点である。【図表3-5】

【図表3-5】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を推進する際の課題(N=1,015)
【図表3-5】 柔軟なワークスタイル実現のための施策を推進する際の課題(N=1,015)

3.3 柔軟なワークスタイル実現の前提となる組織環境

◆柔軟なワークスタイル実現の前提となる組織環境について、最も支持率が高いのは「会社と社員が相互に信頼し、社員同士も支えあう組織文化の創造」

柔軟なワークスタイル実現に向けて必要と考えられる社会・組織の環境について、その他を含めた8項目の中から1位~3位で優先順位を尋ねた。

最も優先順位が高い項目は、「会社と社員が相互に信頼し、社員同士も支えあう組織文化を創る」で、1位にあげた割合は3割を超え(30.1%)、1位~3位を合計すると6割を占めた。(63.9%)

次いで「震災を機に、働き方や休暇の取得(ワーク・ライフ・バランス)など、仕事と生活全般のあり方を見直す機運を高め、環境整備を行う」において、1位が18.4%、1位~3位を合計すると6割弱を占め(57.1%)、「都市や地域を問わず、自分が住みたい地域で暮らし、仕事ができるしくみ・環境づくりを行う」(1位~3位の合計47.4%)と続く。【図表3-6】

【図表3-6】 柔軟なワークスタイル実現の前提となる組織環境(N=1,015)
【図表3-6】 柔軟なワークスタイル実現の前提となる組織環境(N=1,015)

3.4 柔軟なワークスタイル実現の前提となる社員のスキル・能力

◆柔軟なワークスタイル実現の前提となる社員のスキル・能力については、6割以上が「指示がなくても自律的に動ける力」を支持

柔軟なワークスタイル実現に向けて、求められる社員のスキル・能力について尋ねたところ、「指示がなくても自律的に動ける力」についての支持率が6割を超えている(62.7%)。次いで、「自分一人でタイムマネジメントができる力」を挙げた企業が5割を超える(50.4%)。多様なメディアを活用できるITリテラシーは、3割を下回った(29.5%)。【図表3-7】

【図表3-7】 柔軟なワークスタイル実現の前提となる社員力・スキル(N=1,015)
【図表3-7】柔軟なワークスタイル実現の前提となる社員力・スキル(N=1,015)

以上


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