2016年11月22日
「パーソナルデータに関する一般消費者の意識調査」
~消費者は意に沿わないパーソナルデータの活用へは不快感を示す一方、パーソナルデータに関連した安心安全なサービスへは高いニーズがある~
目次
調査概要
- 調査対象:NTTコム リサーチ クローズド調査(*1)
10代~60代の男女 - 調査方法:非公開型インターネットアンケート
- 調査期間:2016年8月16日~2016年8月19日
- 有効回答者数:1,059人
- 回答者の属性:性別、年齢
【補足】
(*1)NTTコム リサーチ http://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://nttcoms.com/)が提供する、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスである。自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2016年11月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されている。
調査結果
1. 企業が消費者のパーソナルデータを利用していることへの印象
企業が消費者のパーソナルデータを収集し、マーケティング活動や広告ビジネスなどに利用していることへの印象について、「知っており、不快である」及び「知らなかったので、不快である」の和が70.0%以上であるなど、多くの消費者が不快に感じている。
企業が、WEB閲覧履歴や購入履歴などを収集した上で、マーケティング活動や広告ビジネスなどに利用していることへの印象については、「知っており、不快である」が48.9%と最も多く見られた。
また、「知らなかったが、不快である」の回答が21.4%と2番目に多く、消費者は企業側がパーソナルデータをビジネス利用することについて不快感を持っている傾向が多かった。
【図表1】企業が消費者のパーソナルデータを利用していることへの印象(n=1,059)
2. 企業のマーケティング等の利用目的にて、パーソナルデータを企業に提供しても良いと思うデータの条件
趣味・嗜好、年齢・生年月日のパーソナルデータについては、74.0%以上の消費者が、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いと回答している。
趣味・嗜好、年齢・生年月日については、74.0%以上の消費者が金銭や商品、ポイントなどを得られる場合に、企業側に個人を特定化又は匿名化したパーソナルデータを提供してもよいと回答した。また、この内パーソナルデータについては匿名化されることを条件に提供可能と回答している消費者の割合が高く見られた。
一方、年収や金融資産(株、債券)、位置情報といったパーソナルデータについては、どのような条件であっても提供したくないとの回答が過半数以上見られた。
【図表2】提供しても良いと思うデータの条件(全体)(n=1,059)
3. 企業のマーケティング等の利用目的にて、パーソナルデータを企業に提供する場合の対価
パーソナルデータを企業に提供する対価は、500円以上1,000円以下であるとの回答が最も多かった。
いずれのデータにおいても個人を特定化又は匿名化したパーソナルデータを提供する対価は、500円以上1,000円以下と回答した割合が高く、趣味、嗜好以外のすべてのデータについては40.0%以上であった。特に住所、電話番号、病歴、年収、残高データについては、50.0%以上の消費者が、パーソナルデータを提供する対価を500円以上1,000円以下と回答している。
一方、すべてのデータについて、対価としては低額な10円以下(5円未満および5円以上10円未満)の回答も一定割合見られた。
【図表3】パーソナルデータを提供する場合の対価(全体) (n=1,059)
4.パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズ
利用ニーズについては、見守り安心・安全サービスの肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が55.9%と最も利用ニーズが高かった。一方、人材マッチングサービスについては、否定計(「どちらかと言えば利用したくない」と「利用したくない」の和)が79.4%と最も利用ニーズが低かった。
パーソナルデータを活用したサービスについて、見守り安心・安全サービス、電力・ガス最適提案サービス、各種申請手続き簡略化サービス、キャッシュバックサービス、就職支援サービス、商品レコメンドサービス、人材マッチングサービスの利用ニーズを調査した。
高齢者等の心拍数や歩数、病歴、健康情報のパーソナルデータを活用し、見守り、不測の事態が発生した際に駆け付け対応ができるようなサービスが最も利用ニーズが高く、肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が55.9%であった。
一方、消費者の要望をシステムに登録すると、当該消費者のパーソナルデータを基に社会的信用度を分析し、ある程度信用力のあると判断された場合、個人や企業がその要望に対して機会提案をしてくれるマッチングサービスに関しては、否定計(「どちらかと言えば利用したくない」と「利用したくない」の和)が79.4%と利用ニーズが低い傾向にあった。
【図表4】パーソナルデータを活用したサービスの利用ニーズ(全体)(n=1,059)
5. パーソナルデータを活用したサービスについて利用したくないと回答した理由
パーソナルデータを活用したいずれのサービスを見ても、利用したくないと回答した消費者の内45.0%以上は「自分の情報を知られたくない」、「情報漏えいした場合のリスクが怖い」と回答するなど、サービスそのものへの不満よりも企業による安心・安全なパーソナルデータの管理への課題があることが明らかになった。
パーソナルデータを活用したいずれのサービスを見ても、利用したくないと回答した消費者の内45.0%以上は「自分の情報を知られたくない」、「情報漏えいした場合のリスクが怖い」との回答であった。自分自身のパーソナルデータを第三者に預ける、または流出するリスクに対して嫌悪感を抱いていると考えられる。また、いずれのサービスにおいて、そもそも「サービスに魅力を感じないから」と回答した人も一定数見られた。
【図表5】パーソナルデータを活用したサービスについて利用したくない理由(n=1,059)
以上