- コンピュータ・リテラシーレベルは総じて高い
パソコンの操作能力である、「コンピュータ・リテラシー」* レベルを「高い」、「普通」、「低い」、に分類して調査した結果、60歳以上とその他の年代別と比較した時にコンピュータ・リテラシーは低い傾向にあるものの、大きな差異は見当たらなかった。(【図表1-1】コンピュータ・リテラシーレベル参照。以下同じ) また、「周囲の半数以上がパソコンを所有しているという回答が7割を超えた」というパソコンの普及実態調査の結果(【図表5-1】 同世代の知人・親類等で自宅にパソコンを所有している人の割合) と併せて鑑みると、高齢者のリテラシーレベルは、総じて高いと考えられる。
* コンピュータ・リテラシー = コンピュータの機能や仕組みを理解し、それを使いこなす能力。主に代表的なアプリケーションの操作、インストール等のこと
- パソコン購入において、男性は自己の判断を優先し、女性は第三者の意見を収集
パソコンの購入に対する行動パターンについて、「購入動機」→「情報収集」→「比較・選定(基準)」の3段階に分類し、調査・分析を行った結果、60歳以上男女で重視する情報源について差異が見られた。
男性は、メーカー・製品比較サイトや専門書籍等から情報収集をしたり、また販売員からも意見を収集したりバランスよく情報収集をしている傾向があり、一方で女性は知人や親類からの意見を収集することが割合多く、販売員からの意見も積極的に収集している傾向が窺える。すなわち、男性は自己で判断し得るための情報を主体に、第三者の意見も合わせて収集しようとする傾向があるが、女性は家族・知人や販売員といった第三者の意見だけを収集する傾向が強いと考えられる。
- パソコンは毎日の生活において必需品として定着
高齢者におけるパソコンの普及実態を把握するため、周囲におけるパソコンの所有率について尋ねたところ、周囲の半数以上がパソコンを所有しているという回答が7割を超えた(【図表5-1】 同世代の知人・親類等で自宅にパソコンを所有している人の割合)。一方「パソコンの使用頻度」については、60歳以上・未満において「毎日」と回答した割合がそれぞれ9割を超えた(【図表5-2】 日常生活におけるパソコン使用頻度)。この結果から60歳以上の高齢者において、パソコンの所有率の高まりと同時に利用についても毎日の生活において必需品として定着していることが窺える。
- 趣味や生活などの情報検索や資産運用にインターネットを積極活
若年層に比べて比較的余暇がある高齢者も例に漏れず、積極的に趣味や生活などの情報検索にインターネットを活用している。これに紐付いて「オンラインショッピング」の利用も比較的高くなっている(【図表11-1】 インターネットの利用用途 )。
また、60歳以上の高齢者は、資産運用を目的とした「オンライン証券等取引」の利用が60歳未満に比べ高い。預金金利の低水準や手数料低下などを背景に、近年オンライントレード等の利用が普及拡大しているが、60歳以上の高齢者がこれを積極的に利用していることが窺える。
さらにコミュニティ系においては、60歳以上の高齢者は「ブログ」、「SNS」、「掲示板・チャット」といったコミュニティサイトの利用は割合低くなっているものの、高齢者における日常のコミュニケーション手段として、電子メールが定着していることを考えれば、地域活動や趣味の交流を目的としたコミュニティサイトの利用が今後普及拡大していく可能性がある。
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公的機関におけるインターネットサービスの利用については関心が高い
公的機関が提供するインターネットサービスの利用について尋ねたところ、60歳以上の高齢者は60歳未満に比べ関心が高いことが分かり、現状の用途としては「省庁の行政情報検索」、「 e-Tax / eLTAX(税金の電子申告・納付)」、「図書館の利用申請」等の利用頻度が高いことが分かった(【図表12-1】これまでに利用したことのある公的機関の行うインターネットサービス)。これに対して今後の利用について尋ねたところ、60歳以上において「パスポートの申請」、「許認可の申請」、「地方自治体への申請」、「医療サービス」、「公的施設の利用申請」、「住基ネット」等の要望が高かった(【図表12-2】今後利用したい、または提供を期待する公的機関のインターネットサービス)。
こうした回答結果の背景の一つに、公的サービスの利用を阻害する、手続きや申請の煩雑さがあげられるが、煩雑な処理を自宅のインターネットで手軽にできるようになるとすれば、高齢者においてより身近なサービスとして拡大する可能性がある。